口コミに会社が回答するページは、評判対策として意味があります。ただ、それだけで十分とは言い切れません。回答のページは、ネット上にたくさんある口コミのページに、材料が1つ加わるだけだからです。AIの概要がその回答を引用するかどうかは、Googleが決めます。
回答を強くするのは、回答の中で根拠として示せる事実です。私たちは、正しい情報を置く場所を3つに分けて考えています。自社サイト、第三者のページ、そして口コミへの回答です。
3つの置き場所と、それぞれの役割
| 置き場所 |
役割 |
例 |
| 自社サイト |
事実の出どころ。数字と時点を書く |
採用ページのよくある質問、会社概要、事業計画の要点 |
| 第三者のページ |
会社の言い分ではない裏付け |
厚生労働省の女性の活躍推進企業データベース、業界紙や地元メディアの記事、プレスリリース |
| 口コミへの回答 |
書き込みへの直接の返事 |
口コミサイトの企業回答、このサイトのような回答のページ |
3つは上から順に積み上がります。自社サイトに数字が無いまま回答だけを書くと、「残業は減っています」のように確かめようのない文になります。自社サイトに「2025年度の月平均の残業は12時間でした」と書いてあれば、回答はそのページを示すだけで済みます。
AIの概要は何を材料にしているか
GoogleはAI機能とウェブサイトについてのページで、AI Overviews と AIモードが、1つの質問を関連する複数の検索に分けて調べ、答えと一緒に幅広いリンクを示すと説明しています。生成AI機能向けの最適化ガイドでは、フォーラムでの議論なども含め、ウェブ上で言われていることを表示できると書いています。
ここからは私たちの考えです。社名と「残業」で検索されたときに、口コミのページが10あり、回答のページが1つ加わったとします。AIが答えを作るときに回答のページを選ぶかどうかは分かりません。一方で、数字と時点が書かれた公式のページがあれば、問いへの直接の答えとして使える材料になります。回答と自社サイトの両方があれば、どちらから読まれても同じ事実にたどり着きます。
第三者の裏付けは、すでに出している数字から探す
第三者のページというと、取材記事を書いてもらうことを思い浮かべがちです。先に探してほしいのは、すでに法律で公表している数字です。
2026年4月1日から、常時雇用する労働者が101人以上の会社は、男女の賃金の差と女性管理職の比率の公表が義務になりました(厚生労働省の資料)。公表の場として最も適切とされているのが、厚生労働省が運営する女性の活躍推進企業データベースです。会社が書いた数字ですが、国のデータベースに載っていることは、自社サイトだけに書くより確かめやすい形です。
ほかに使えるのは、プレスリリース、地元の新聞やテレビの記事、業界団体の表彰などです。どれも、会社が自分で書いた宣伝文句ではなく、事実が載っているものを選びます。
口コミを自分たちで書くことはしない
良い口コミを社員に頼んで書いてもらう、会社の人が社員のふりをして書き込む、といったやり方を私たちは勧めません。多くのサイトの規約に反しますし、見つかったときには、元の口コミよりも大きく会社の信用を落とします。
回答の書き方
回答は、口コミと言い合うためのものではありません。読むのは書いた本人より、これから応募する人です。私たちが回答を書くときに守っていることです。
- 最初の1文で事実を答える。数字と時点を入れる
- 根拠のページを示す。自社サイトの採用ページや、公的なデータベース
- 当たっていた部分は認め、いつから何を変えたかを書く
- 書いた人を探さない。部署や時期から本人が分かるような書き方をしない
- 「誤解です」で始めない。事実を並べれば、読む人が判断できる
「固定残業の時間を超えて働かされる」というご意見について
当社は月20時間分の固定残業代を設けており、それを超えた時間外・休日・深夜の労働には割増賃金を追加で支払っています。2025年度の月平均の残業は12時間でした(採用ページに掲載)。繁忙期に20時間を超えた月があったことは事実で、2024年度から受注の締め日をずらし、超える月を減らしています。
上は書き方を示すための例です。数字は自社のものに置き換えます。
削除の手続きとは、別のものとして考える
事実と違う投稿で権利が侵害されている場合は、掲載しているサイトに削除を申し出る道があります。2025年4月1日、プロバイダ責任制限法は情報流通プラットフォーム対処法に名前が変わり、大規模なプラットフォームの事業者には、削除の申出の窓口と手続きの整備・公表、削除の基準の策定・公表、申出への判断と通知が義務付けられました。判断と通知の期間は、総務省令で7日とされています(総務省の資料)。
ただし、7日以内に削除されるという意味ではありません。7日以内に判断して、申し出た人に知らせる義務です。投稿者への照会などの理由があれば、その旨を知らせたうえで判断が後になることもあります。
そして、感想や評価は、会社にとって不利というだけでは削除の対象になりません。「働きにくいと感じた」は書いた人の感想です。削除を目指すより、事実を出して、読む人が判断できる材料を増やすほうが、多くの口コミに対しては現実的です。
効果の測り方
始める前に、記録を取っておきます。これが無いと、3か月後に何が変わったのか分かりません。
| 記録すること |
方法 |
| AIの概要の文 |
社名+「評判」「残業」「女性」「将来性」などで検索して全文を写す |
| 引用元 |
概要に付いているリンクを開き、サイト名とページを控える |
| 自社のページが入っているか |
引用元に自社サイトや回答のページがあるか |
| 検索結果の上位10件 |
口コミサイト、自社サイト、回答のページの順位 |
3か月ごとに、同じ言葉で同じように記録して比べます。AIの答えは聞く日によって変わるので、1回の結果で良し悪しを決めません。記録の手順は社名で検索するとAIの概要に悪い口コミが出るときの調べ方に、自社サイトに書く項目は口コミへの答えを置く採用FAQの作り方にまとめています。
回答を始めたのに、3か月たっても引用元に自社のページが1つも入らないなら、根拠になるページが足りていない合図です。そのときは、回答を増やすより先に、自社サイトの数字を増やします。