再就職手当は、基本手当の支給残日数を所定給付日数の3分の1以上残し、安定した仕事に就くなどの条件を満たした人への給付です。残日数が3分の2以上なら支給率は70%、3分の1以上で3分の2未満なら60%です。算定に使う日額の上限は、2026年8月改定で離職時59歳以下6,745円、60〜64歳5,454円です。
就職が決まれば全員が受け取れるわけではありません。待期が終わっているか、いつ採用が内定したか、どの経路で応募したかも関係します。厚生労働省とハローワークの公式資料を2026年10月23日に確認しました。自分の対象可否と額は、受給資格者証と就職条件を用意して窓口で確認します。
受給の条件は、残日数以外もすべて確認する
厚生労働省の基本手当・再就職手当のQ&AのQ39は、再就職手当の支給要件を示しています。残日数が多いだけでは足りず、すべての条件を満たす必要があります。
| 確認する項目 |
公式の条件の要点 |
| 基本手当の残日数 |
就職日前日までの失業認定後、所定給付日数の3分の1以上 |
| 勤務の見込み |
1年を超えて勤務することが確実と認められる |
| 待期 |
待期満了後の就職 |
| 紹介経路 |
給付制限がある人は、待期満了後1か月間に紹介要件あり |
| 前の勤務先との関係 |
離職前の事業主や密接な関係にある事業主への再雇用ではない |
| 過去の給付 |
就職日前3年以内の就職について対象の手当を受けていない |
| 内定の時期 |
受給資格決定前から採用が内定していた事業主ではない |
| 雇用保険 |
原則として被保険者資格を取得する条件での雇用 |
出典:厚生労働省、労働者向け基本手当・再就職手当Q&A、Q39。過去の給付は再就職手当または常用就職支度手当
「1年以上」と「1年を超えて」は同じではありません。ちょうど1年の契約だから必ず対象とせず、更新の有無や条件、実際の雇用見込みまで確認します。正社員なら自動的に全条件を満たすという扱いでもありません。
前の会社と同じ名前でなくても、資本、資金、人事、取引などの関係から、密接な関係にある事業主と扱われることがあります。系列や関係があるときは自分で除外せず、勤務先の情報を窓口へ伝えます。
過去に手当を受けた経験がある人は、振込日だけを見て期間を数えません。公式の条件は、就職日前3年以内の就職についての給付です。過去の就職日と給付の種類をそろえて確認します。
最初に受給資格を決め、待期の日程を把握する
再就職手当は、雇用保険の基本手当の受給資格とつながる制度です。退職後に仕事が決まっても、基本手当の受給手続きをしていなければ受け取れません。先に内定してから、手当のために手続きの日付を動かすこともできません。
手続きの入口は、住居地を管轄するハローワークでの求職申込みと離職票の提出です。ハローワークの具体的な手続きで必要書類を確認します。離職票が届かないときも、そのまま待ち続けず窓口へ相談します。
7日の待期は、離職した翌日から自動的に進む期間ではありません。受給手続きと失業状態の確認に基づいて扱われます。自分の待期満了日を窓口で確認してから、就職日との関係を見ます。
待期中に働いたり収入があったりしたときは、内容を申告します。短時間だから関係ない、給与がまだ振り込まれていないから申告しなくてよい、と自己判断しません。待期や失業認定に影響するかは、働いた日と時間などで確認します。
基本手当の入口や離職票の確認事項は失業保険の条件と手続きで整理しています。再就職手当だけを先に計算するより、受給資格、待期、受給期間の順に日程を把握すると、就職が決まった後の確認が進みます。
給付制限がある人は、応募経路を就職前に確認する
給付制限を受けた人が待期満了後1か月以内に就職する場合、ハローワークまたは許可・届出のある職業紹介事業者の紹介が条件です。求人サイトを見たことと、職業紹介を受けたことは同じではありません。
直接応募や、求人広告を見て自分で申し込んだ応募を、勝手に紹介扱いにしないことです。紹介会社を使っていても、実際の採用経路が何だったかを確認します。ハローワークで求人を検索しただけで応募したときも、紹介があったかを確かめます。
待期、給付制限、紹介要件の期間は、同じものではありません。基本手当が支給されない期間だから全部同じ条件、とは考えず、受給資格者証の記載と窓口の説明をもとに、日付を分けます。
2025年4月以降の自己都合退職では、基本手当の給付制限は原則1か月に短縮されています。ただし、離職の状況や繰り返しの自己都合退職などによって扱いが変わります。自分の給付制限が何日までかを確認します。
離職理由の扱いは自己都合と会社都合の違いで確認できます。会社の呼び方だけで決めず、離職票に事実と違う記載があれば、その経緯をハローワークへ伝えます。
計算は、日額と残日数と支給率を掛ける
計算の基本は、再就職手当の算定に使う基本手当日額×支給残日数×支給率です。所定給付日数そのものをすべて掛けるのではありません。就職日前日までの失業認定を受けた後に、何日残っているかを使います。
| 支給残日数の割合 |
支給率 |
| 所定給付日数の3分の2以上 |
70% |
| 3分の1以上、3分の2未満 |
60% |
| 3分の1未満 |
再就職手当の残日数要件を満たさない |
出典:厚生労働省、労働者向け基本手当・再就職手当Q&A、Q39・Q40
残日数が3分の2ちょうどなら70%の側、3分の1ちょうどなら60%の側です。残日数と所定給付日数を逆にして計算しないよう、受給資格者証でどちらの数字かを確認します。
次は、所定給付日数90日、算定に使う基本手当日額5,000円と仮定した例です。すべての支給要件を満たすものとして計算しています。統計の平均額でも、読者本人の給付額でもありません。
| 仮定の残日数 |
支給率 |
計算結果 |
| 90日 |
70% |
315,000円 |
| 60日 |
70% |
210,000円 |
| 59日 |
60% |
177,000円 |
| 30日 |
60% |
90,000円 |
| 29日 |
対象外 |
残日数要件を満たさない |
出典:厚生労働省、同Q&Aの計算式に仮定の日額5,000円と残日数を当てはめた例。所定給付日数90日の3分の2は60日、3分の1は30日
金額だけを比べて入社日を調整すると、勤務先との合意や他の要件を見落とすことがあります。日程を変える必要があるときは、まず採用先とハローワークへ事実を伝えます。手当の対象になるという予想だけで仕事の条件を決めないことです。
算定に使う日額には、基本手当とは別の上限がある
基本手当の受給資格者証に書かれた日額を、そのまま再就職手当に使えるとは限りません。再就職手当の算定用には別の上限があります。厚生労働省の令和8年8月改定資料の2ページ目で確認できます。
| 離職時の年齢 |
算定に使う日額の上限 |
| 59歳以下 |
6,745円 |
| 60〜64歳 |
5,454円 |
出典:厚生労働省、雇用保険の基本手当を受給される皆さまへ、令和8年8月1日からの変更、2ページの就業促進手当の上限額
この額は手当の総額の上限ではなく、計算に入れる1日分の上限です。受給資格者証の日額が上限より低ければ、その低い日額を使います。すべての人が上限額で計算できる制度ではありません。
仮に離職時59歳以下、基本手当日額7,000円、支給残日数60日、支給率70%で全要件を満たすなら、算定日額を6,745円にして計算します。6,745円×60日×70%で283,290円です。前の表の日額5,000円の例とは別の仮定です。
上限額は毎年8月に改定されます。古い説明資料を見つけたときは、対象期間を確認します。就職日が改定時期に近いときや、受給中に改定があったときも、どの日額を使うかを窓口で確認します。
受給期間の終わりが近いときは、残日数の扱いを聞く
受給資格者証に給付日数が残っていても、受給期間がいつ終わるかを確認します。厚生労働省のQ39では、支給残日数が就職日から受給期間満了日までの日数を超えるとき、その期間の日数を支給残日数として扱うと説明しています。
そのため、最初の所定給付日数から単純に受給済み日数を引いた数だけで、手当が決まるとは限りません。受給期間満了日、就職日、前日までの認定を同じ画面や書類で確認します。
受給期間の延長などの手続きをしていた人は、変更後の期限を使います。自分の古いメモと窓口の説明が違ったら、どの処理によって期限や残日数が変わったかを聞きます。給付の計算を自分の記憶だけで進めないことです。
年齢別ランキングで見る再就職手当の支給人員
厚生労働省の令和6年度雇用保険事業年報で、再就職手当の支給人員は387,366人でした。確認できた年報の年齢別表から、多い順に並べます。令和6年度中の支給人員で、単位は人です。平均額、申請者の受給率、各年齢の人口に対する割合ではありません。
| 順位 |
年齢区分 |
支給人員 |
| 1 |
45〜59歳 |
142,600人 |
| 2 |
30〜44歳 |
124,086人 |
| 3 |
29歳以下 |
82,145人 |
| 4 |
60〜64歳 |
38,535人 |
| ー |
計 |
387,366人 |
出典:厚生労働省、令和6年度雇用保険事業年報の全国の状況、第11表(2)、再就職手当の④支給人員。2026年10月23日確認
人数が多い年齢の人ほど個人の審査に通りやすい、という表ではありません。年齢区分の幅も違い、もともとの対象人数も違います。読者本人の支給率は、年齢別順位ではなく所定給付日数と残日数で決まります。
この実績は令和6年度のものです。現在の制度や上限額は、別に最新の公式案内で確認します。過去の実績表にある金額や制度を、そのまま現在の条件として使わないようにします。
就職が決まったら、申告と支給申請を順に進める
仕事が決まったことを申告する手続きと、再就職手当の支給申請を分けて確認します。採用先が決まった時点で、就職日、契約期間、紹介経路、内定日をハローワークへ伝えます。認定日まで黙って待たないことです。
ハローワークの案内では、原則として就職日の前日に就職の申告をします。前日が閉庁日ならその前の開庁日です。給付制限中の扱いや来所が難しい事情があるときは、先に窓口へ連絡して必要な手続きを確認します。
申請書類には勤務先の証明が必要です。採用担当者と、入社後に証明を担当する人が違うこともあるため、提出先と返却予定を確認します。契約書の内容が採用時の説明から変わったら、変更後の条件で窓口へ相談します。
申請した時点で支給が決まるわけではありません。ハローワークで審査し、可否を判断します。入金までの日数を一律に決めず、生活費の計画では、未確定の給付をすぐ使えるお金として置かないようにします。
申請前に、書類の日付と応募の経緯をそろえる
受給資格決定日、内定日、就職日、雇用契約の開始日を並べます。口頭で採用を伝えられた日と、書面が届いた日が違うこともあります。自分に有利な日付だけを選ばず、実際の経緯を説明します。
紹介経路も、求人を見つけた場所だけでなく、誰から紹介を受け、どこへ応募したかを整理します。紹介状や採用通知など、確認に使える資料は保管します。後で事実を作り直さずに済むよう、採用が決まった段階で記録します。
就業促進定着手当は、再就職後の賃金と勤務を確認する
再就職手当を受けた人が同じ事業主に6か月以上雇用され、再就職後の賃金が離職前より低いなどの条件を満たすと、就業促進定着手当の対象となることがあります。再就職手当へ自動的に上乗せされるものではありません。
東京ハローワークの就職促進給付Q&Aでは、2025年4月以降の再就職分について、再就職手当の算定基礎となる残日数等に対する上限割合が20%と説明しています。実際の支給額は賃金低下の状況などにより異なります。
賃金が下がれば必ず同じ額が受け取れるとは限りません。対象になるかを確認したい人は、再就職手当の関係書類と、再就職後の給与明細や勤務記録を保管し、申請時期と必要書類を窓口に聞きます。
条件を確認するときは、採用先への質問も具体的にする
求人票に契約更新ありと書かれていても、それだけで長く雇用されることが確実とは確認できません。初回契約の期間、更新の基準、更新上限の有無、採用後に条件が変わる可能性を質問します。雇用契約書で示される条件と口頭の説明も照合します。
採用先には、手当の支給を保証してもらうのではなく、勤務条件の事実を確認します。給付の判断はハローワークが行います。会社の採用担当が「対象になるはず」と答えたことを、そのまま審査結果として扱わないことです。
再就職手当の条件をハローワークで確認しています。【契約開始日】からの雇用期間、更新の条件、雇用保険の資格取得予定について、書面で確認させてください。
書面を受け取ったら、窓口へ伝えた内容と同じかを確認します。条件が変わったときは、申請前に変更後の内容を報告します。古い内定通知の条件だけで申請を進めると、実際の雇用との食い違いが残ります。
手当の試算と、毎月の生活費は別に作る
再就職手当は、入社後の給与の代わりに毎月支払われるものではありません。初回給与がいつ支払われるか、締め日の関係で最初の月がどう計算されるかは、勤務先の給与規定で確認します。給付の審査を待つ間も、生活費の支払いは続きます。
家計の予定は、確定した給与の支払日と手元のお金から作ります。再就職手当は、対象になる見込みがあっても、支給決定前には入金日を固定しません。仕事が決まった安心感から、給付の見込み額を先に使う予定に組み込まないようにします。
通勤や仕事の準備にかかる費用も見ます。求人票に手当があるなら、対象、精算方法、最初の支払時期を聞きます。再就職手当の額と採用先の待遇を混ぜず、就職後に毎月続く収支が成り立つかを確認します。
申請後に勤務条件が変わったら、窓口へ知らせる
入社予定日が変わった、契約期間が短くなった、採用が取り消されたといった変更が起きたら、ハローワークに状況を伝えます。申請書を提出済みでも、最初の予定どおりとして放置しません。変更を示す通知なども保管します。
入社してから早期に退職したくなったときも、再就職手当を受けたという理由だけで次の給付を自己判断しません。残日数、受給期間、新しい勤務先での加入状況などを確認する必要があります。退職を考える事情と、給付の手続きを分けて相談します。
厚生労働省のQ&Aは、再就職手当を受けた後でも、支給残日数があり受給期間内に再び失業状態になった場合などの取扱いを説明しています。誰でも同じ条件で再開できるわけではありません。受給資格者証と新しい離職関係の書類を用意し、自分の記録で確認します。
その会社の実際の数字を、求人票・面接・しょくばらぼで確かめる
再就職手当の額が大きくても、短期間で辞めたくなる条件なら生活の見通しは立ちません。求人票では契約期間、更新、雇用保険、基本給と手当を読み、面接で入社後の仕事内容と勤務時間を確認します。
【職種】の契約更新の考え方と、入社後の配属先の残業実績を教えてください。求人票にある給与は、基本給と手当でそれぞれいくらですか。
厚生労働省のしょくばらぼの残業や定着の情報も、対象年度と人数を確認して読みます。求人票、面接、実際の公開数字を比べ、給付の有無に加えて長く働ける条件がそろっているかを確かめます。