会社に質問する無料・名前は会社に伝わりません

企業研究のやり方5ステップ:求人票・公的データ・口コミの読み方とテンプレート

・ナギサコーポレーション(運営)

この記事の答え

  • 企業研究は、公式サイト、求人票、公的データ、口コミの順に調べ、最後に会社に直接聞く
  • 数字は有価証券報告書、しょくばらぼ、ユースエールなどの認定で確かめる。口コミは公式の数字と食い違うところを見つけるために読む
  • 調べてもわからないことは、質問の形にして会社に聞く。それが面接の逆質問にもなる

口コミや求人票ではわからないことは、会社に直接聞けます。まだ載っていない会社にも質問をリクエストできます。名前は会社に伝わりません。

気になる会社に質問をリクエストする

企業研究は、公式サイト、求人票、公的データ、口コミの順に調べ、最後にわからないことを会社に直接聞く、の5ステップで進めます。会社が自分で書いた情報から先に読み、数字は国の公表しているデータで確かめ、口コミは公式の情報と食い違うところを見つけるために使います。調べてもわからなかったことは、そのまま会社への質問になり、面接の逆質問にも使えます。

企業研究とは:何のためにやるのか

企業研究とは、応募する前に、その会社の事業、数字、働き方、一緒に働く人を調べることです。目的は2つあります。

  1. 自分が会社を選ぶ条件(就活の軸や転職の理由)⁠と⁠、その会社が合っているかを確かめる
  2. 面接で「なぜこの会社なのか」⁠を⁠、事実で話せるようにする

1つ目を飛ばすと、入社してから「思っていた会社と違った」⁠が起きます。厚生労働省の新規学卒就職者の離職状況(令和4年3月卒業者)⁠で⁠は⁠、大学を卒業して就職した人の33.8%⁠が3年以内⁠に辞めています。

数字で見る:3年以内⁠の離職率は、会社の規模と業種で大きく違う

次の表は、同じ厚生労働省の調査から、大学を卒業して就職した人の3年以内⁠の離職率を、事業所の規模別に並べたものです(令和4年3月卒業者)⁠。

事業所の規模 3年以内⁠の離職率
5人未満 57.5%
5〜29人 52.0%
30〜99人 41.9%
100〜499人 33.9%
500〜999人 31.5%
1,000人以上 27.0%

産業別では、離職率の高い順に、宿泊業・飲食サービス業55.4%⁠、生活関連サービス業・娯楽業54.7%⁠、教育・学習支援業44.2%⁠、医療・福祉40.8%⁠、小売業40.4%でした。「その他」⁠を除いた上位5産業です。

規模の小さい会社や特定の業種を避けるための表ではありません。同じ規模・業種の中でも会社ごとの差は大きく、平均が高いほど、応募先の数字を1社ずつ確かめる意味が大きいということです。

ステップ1:公式サイトと採用ページを読む

会社が自分で書いている情報から読みます。見るところは4つです。

  • 事業の中身。何を、誰に売って、売上を立てているか。売上の大きい事業はどれか
  • これからの計画。中期経営計画や社長のメッセージで、何に力を入れると言っているか
  • 採用ページの仕事内容。入社後に担当する業務、配属先、研修
  • 数字の公開。残業時間、有給休暇の取得日数、離職率、平均勤続年数を公開しているか

あわせて、同じ業界の会社を2〜3社並べて見ると、売上の規模、得意な分野、取引先の違いがわかります。業界の中での位置がわかると、「なぜ同業の他社ではなくこの会社か⁠」⁠に答えやすくなります。

公開していない数字は、公的データで探すか、会社に聞く項目としてメモしておきます。

ステップ2:求人票で働き方の条件を確かめる

求人票(募集要項)⁠は⁠、働く条件がいちばん具体的に書かれている書類です。とくに次の点を見ます。

固定残業代の書き方

厚生労働省は、固定残業代を賃金に含める場合、求人票などに次の3つ⁠を書くよう求めています(固定残業代を賃金に含める場合は、適切な表示をお願いします)⁠。

  1. 固定残業代を除いた基本給の額
  2. 固定残業代に関する労働時間数と金額等の計算方法
  3. 固定残業時間を超える時間外労働、休日労働および深夜労働に対して割増賃金を追加で支払う旨

「月給25万円(固定残業代含む)」だけでは、基本給も何時間分の残業代かもわかりません。足りなければ質問します。

就業場所と業務の「変更の範囲」

厚生労働省の労働条件明示のルールの案内⁠によると、2024年4月から、労働契約を結ぶときには、雇い入れ直後の就業場所と業務の内容に加えて、その「変更の範囲」⁠も示すことが必要になりました。転勤があるか、どの範囲まであるかは、勤務地を軸にしている人にとってとくに大事です。求人票や面接で、変更の範囲を確かめます。

ほかに、年間休日の日数と休みの曜日、賞与の前年度の実績、試用期間中の条件も見ます。

ステップ3:公的データで数字を確かめる

会社の公表している数字は、国のサイトでも確かめられます。会社の規模や上場しているかどうかで、使える場所が変わります。

調べる場所 わかること 向いている会社
EDINET(有価証券報告書) 売上と利益の推移、従業員数、平均年齢、平均勤続年数、平均年間給与、女性管理職比率など 上場企業など
しょくばらぼ 採用者数と離職者数、残業時間、有給休暇の取得状況など、会社が登録した職場情報 規模を問わず掲載企業
ユースエール認定 若者の採用・育成と雇用管理が国の基準を満たしているか 中小企業
くるみん、えるぼしの認定 子育てとの両立や、女性の活躍の取り組みが国の基準を満たしているか 規模を問わず

有価証券報告書(EDINET)

上場企業などは、金融庁の電子開示システム「EDINET」⁠で有価証券報告書を公開しています。「従業員の状況」⁠の欄に、提出会社の従業員数、平均年齢、平均勤続年数、平均年間給与が載っています。金融庁によると、2023年3月期の決算から、同じ欄で女性管理職比率、男性の育児休業取得率、男女間の賃金格差の開示も求められるようになりました(金融庁「サステナビリティ情報の開示に関する情報」)⁠。

平均年間給与は会社全体の平均で、職種や年齢で大きく違います。また持株会社の場合、「提出会社」⁠の数字は持株会社そのもので、実際に働くグループ会社の数字ではないことがあります。

しょくばらぼ

厚生労働省の職場情報総合サイト「しょくばらぼ」⁠で⁠は⁠、会社の職場情報を検索して比べられます。掲載企業数は152,380件(2026年10月1日時点、サイトの表示)⁠で⁠、上場していない会社の数字を調べるときにまず見る場所です。載っていない項目は会社に聞きます。

ユースエール認定

ユースエール認定は、若者の採用・育成に積極的で、雇用管理の状況が優良な中小企業(常時雇用する労働者が300人以下⁠)⁠を厚生労働大臣が認定する制度です。認定の要件には、次のような数字の基準があります。

  • 直近3事業年度に新卒者などとして正社員で就職した人の離職率が20%以下
  • 前事業年度の正社員の月平均の所定外労働時間が20時間以下で、月平均の法定時間外労働が60時間以上⁠の正社員が1人⁠もいない
  • 前事業年度の正社員の有給休暇の取得率が平均70%以上⁠、または年間の取得日数が平均10日以上

認定企業は若者雇用促進総合サイト⁠で探せます。認定が無い会社が悪いわけではありませんが、認定があれば、これらの基準を満たしていることがわかります。

新卒の募集なら、職場情報を会社に求められる

若者雇用促進法にもとづき、新卒者などを募集する会社は、応募者や応募を考えている人から求めがあった場合、「募集・採用に関する状況」「職業能力の開発・向上に関する状況」「雇用管理に関する状況」⁠の3つ⁠の区分それぞれについて、1つ以上の情報を提供しなければなりません(厚生労働省「若者雇用促進法のあらまし(若者向け)」)⁠。たとえば、直近3事業年度の新卒採用者数と離職者数、研修の有無と内容、前事業年度の月平均の所定外労働時間や有給休暇の平均取得日数といった項目です。同じ資料では、情報の提供を求めたことを理由に不利な扱いをしないことも、会社に求めています。

ステップ4:口コミを読む

口コミは、公式の情報と数字を見てから読みます。先に読むと、強い言葉に引きずられて数字を冷静に見られなくなります。注意は次の4つです。

  • 書いた人がいつ、どの部署で、どの雇用形態で働いていたかを見る。数年前の書き込みは、今の会社と違うことがある
  • 1件⁠で判断しない。何人もが同じことを書いているテーマを拾う
  • 公式の数字と比べる。「残業が多い」⁠と⁠い⁠う書き込みが続いていて、会社が残業時間を公開していなければ、それは確かめるべき点
  • 書き込みの言葉をそのまま信じず、具体的な事実だけを拾う。「最悪の会社」⁠は事実ではないが、「固定残業を超えた分が出ない」⁠は確かめられる事実

口コミで見つけた食い違いや、確かめられなかったことは、次のステップの質問にします。

ステップ5:わからないことは会社に聞く

ここまで調べてもわからないことは、会社に直接聞きます。聞く場所は、説明会、OB・OG訪問、面接の逆質問、それからこのサイトです。

聞くときは、調べたことを前に置いて、具体的に聞きます。

調べたこと 質問の形
求人票に残業は月20時間程度とある 配属予定の部署の、昨年度の月平均の残業時間を教えてください
口コミに「若手がすぐ辞める」という書き込みが続いている 直近3年⁠の新卒採用者数と、そのうち今も在籍している人数を教えてください
採用ページに「転勤あり」とだけある 転勤の範囲と、入社5年目までの社員が転勤した例がどのくらいあるかを教えてください
有価証券報告書の平均年間給与が高い 入社5年目の、この職種の給与の例を教えてください

調べたうえでの質問は、会社のことを調べてきたことも伝わります。

このサイトでは、気になる会社に質問を送ることができます。質問は会社に届き、会社が答えるとその回答がこのサイトに載ります。まだ載っていない会社にもリクエストでき、質問した人の名前やメールアドレスが会社に伝わることはありません。

企業研究のテンプレート

1社ごとに、次の表を写して埋めていきます。わからなかった欄は空けておき、ステップ5で聞く質問にします。

項目 書くこと 調べる場所
事業 何を、誰に売っているか。売上の大きい事業 公式サイト、有価証券報告書
これから 力を入れる事業、中期経営計画の要点 公式サイト、IR資料
仕事内容 入社後の業務、配属先、研修 採用ページ、求人票
勤務地 最初の勤務地と転勤の範囲 求人票、面接
給与 基本給、固定残業代の時間数、賞与の実績 求人票
休み 年間休日、有給休暇の平均取得日数 求人票、しょくばらぼ
残業 月平均の残業時間 しょくばらぼ、会社に聞く
定着 新卒の採用者数と離職者数、平均勤続年数 しょくばらぼ、有価証券報告書
人 メンター制度、女性管理職の割合、育休の取得 しょくばらぼ、有価証券報告書
認定 ユースエール、くるみん、えるぼし 若者雇用促進総合サイト、しょくばらぼ
口コミ 何人もが書いているテーマ 口コミサイト
聞くこと 上の欄でわからなかったこと 説明会、面接、会社に質問する
自分の軸との一致 軸の条件がこの会社にあるか 上の欄すべて

最後の「自分の軸との一致」⁠が埋まれば、面接で志望動機や軸を聞かれたときに、そのまま話せます。軸の決め方は就活の軸とは⁠、転職の面接で理由を話すときの組み立ては転職理由・退職理由の伝え方⁠で説明しています。

よくある質問

企業研究とは何ですか?

応募する前に、その会社の事業、数字、働き方、一緒に働く人について調べることです。目的は、自分が会社を選ぶ条件(就活の軸や転職の理由)⁠とその会社が合っているかを確かめることと、面接で「なぜこの会社なのか」⁠を事実で話せるようにすることです。

企業研究では、何を調べればいいですか?

事業(何で売上を立てているか)⁠、数字(売上の推移、従業員数、平均勤続年数、離職率、残業時間、有給休暇の取得日数⁠)⁠、働き方(勤務地と転勤、休日、固定残業代⁠)⁠、人(研修、メンター制度、女性管理職の割合など⁠)⁠の4つです。このページの最後に、書き込んで使えるテンプレートを載せています。

上場していない会社の数字は、どこで調べられますか?

厚生労働省の職場情報総合サイト「しょくばらぼ」⁠で⁠、掲載している会社の採用者数や離職者数、残業時間、有給休暇の取得状況などを調べられます。中小企業ならユースエール認定を受けているかどうかも手がかりになります。新卒の募集なら、応募者は若者雇用促進法にもとづいて職場情報の提供を会社に求めることができます。

口コミサイトの情報は、どこまで信じていいですか?

1件⁠の書き込みで判断しないことです。書いた人がいつ、どの部署で、どの雇用形態で働いていたかによって、同じ会社でも内容は大きく変わります。何人もが同じことを書いているテーマを拾い、公式の数字と食い違うところを、会社に質問する材料にします。

業界研究とは何ですか?企業研究とどう違いますか?

業界研究は、業界全体の仕組み(どこからお金が入るか、どんな会社があるか、伸びているか⁠)⁠を調べることです。企業研究は、その中の1社⁠の事業、数字、働き方、人を調べることです。業界研究で候補の会社を絞り、企業研究でその会社が自分の条件に合うかを確かめる、という順番で進めます。

企業研究はいつから、何社くらいやればいいですか?

少なくとも応募する会社の分はやります。最初は公式サイトと求人票だけで絞り込み、面接に進んだ会社から公的データと口コミ、質問まで深く調べます。

気になる会社の「ホント」⁠を⁠、会社に聞いてみませんか。

残業、休み、評価のしかた、職場の雰囲気。求人票に書いていないことを質問すると、会社に回答をお願いして、届いた答えをこのサイトに載せます。まだ載っていない会社にもリクエストできます。無料で、名前やメールアドレスは会社に伝わりません。

気になる会社に質問をリクエストする

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