教育訓練給付金は、雇用保険の要件を満たす人が指定講座を受講したとき、支払った教育訓練経費の一部を受け取る制度です。一般は20%・上限10万円、特定一般は追加条件を満たすと最大50%・上限25万円、専門実践は最大80%・年間上限64万円です。最大率は全員に最初から適用されるものではありません。給付の種類と受講前の手続きを確かめてから、講座を申し込みます。
制度と金額は2026年10月23日に厚生労働省・ハローワークの公式案内で確認しました。自分の受給可否や実際の支給額は、加入歴、受給歴、講座、受講開始日などによって変わります。学校の広告に給付対象と書かれていても、本人の資格確認は別に必要です。
一般・特定一般・専門実践の給付率と上限
厚生労働省の制度の公式案内と、ハローワークの給付の案内をもとに整理しました。追加支給の欄は、追加分を含めた合計の給付率と上限です。
| 種類 |
基本の給付 |
追加条件を満たすと |
| 一般 |
20%・上限10万円 |
この区分の追加給付なし |
| 特定一般 |
40%・上限20万円 |
合計50%・上限25万円 |
| 専門実践 |
50%・年40万円 |
合計70%・年56万円、さらに80%・年64万円 |
出典:厚生労働省、教育訓練給付金の公式案内、ハローワークの教育訓練給付金の案内。特定一般と専門実践の拡充分は令和6年10月以降に開講する講座。上限は一般・特定一般が給付の上限、専門実践は年間上限。
対象になるのは本人が支払った所定の教育訓練経費です。学校へ払ったすべての費用が対象になるわけではありません。受講費用の全額を先に払う必要があるか、分割の方法はあるかなど、資金の予定も学校へ確認します。
専門実践は受講中にも申請する仕組みですが、一般と特定一般の基本給付は訓練修了後です。給付を受け取る時点と、学校へ支払う時点が一致するとは限りません。最大の給付額を、申込時点の値引きのように扱わないでください。
一般教育訓練は経費の一部を修了後に申請する
一般教育訓練は、雇用の安定や就職の促進につながる指定講座を対象とします。厚生労働省の一般のQ&Aは、給付を対象経費の20%、上限10万円としています。算定した額が4,000円を超えないときは支給されません。
この上限額は全員に支給される定額ではありません。本人が負担した入学料や受講料など、対象経費と給付率から算定します。交通費、パソコンなどの器材、検定試験の受験料など、対象に含まれない費用もあります。
受講しただけで自動的に支給されるものでもありません。指定された修了要件を満たし、必要な証明書や領収書等をそろえて申請します。修了証明書がいつ発行されるかを受講前に学校へ聞いておくと、修了後の手続きにつなげやすくなります。
一般では、特定一般や専門実践と同じ受講前の資格確認手続きが一律に必要になるわけではありません。ただ、受給できると思って支払った後に、加入期間や過去の受給歴の条件を満たさないとわかることは避けたいところです。受講前に支給要件を照会できます。
特定一般の追加分は資格取得と雇用等が条件
特定一般は、速やかな再就職や早期のキャリア形成につながる指定講座が対象です。基本は対象経費の40%、上限20万円を修了後に支給します。
2024年10月以降に開講する講座では、資格取得等に加え、修了後1年以内に雇用保険の被保険者として雇用されるなどの条件を満たすと、合計50%、上限25万円までの差額支給があります。基本分と追加分を別々の満額でもらえるという意味ではありません。
受講前に、講座が目標とする資格、追加給付に必要な条件、申請する時期を確認します。試験日が修了後になる講座では、修了と資格取得の時期が離れます。学校の修了と資格試験の合格を同じ出来事として考えないでください。
すでに雇用されている人の扱いも、ハローワークの公式案内で確認します。「再就職しないから在職者は対象外」と、名称や広告だけで判断しないことです。雇用の状態と資格取得の時期を伝えて、必要な証明を聞きます。
専門実践は受講中と修了後の給付を分ける
専門実践は、中長期のキャリア形成に役立つ指定講座が対象です。受講中の基本給付は経費の50%、年間上限40万円で、原則6か月ごとの支給対象期間について申請します。
目標とする資格取得等を行い、修了後1年以内に雇用保険の被保険者として雇用されるなどの条件を満たすと、合計70%、年間上限56万円までの差額を申請できます。受講中の50%に、さらに70%をそのまま上乗せする制度ではありません。
2024年10月以降に開講する講座では、上の条件に加え、訓練修了後の賃金が受講開始前と比べて5%以上上がると、合計80%、年間上限64万円までの差額給付があります。
賃金上昇は、自分で手取りの月額を比べるだけでは判定できません。厚生労働省の申請手続き案内で必要な確認書類を読み、比較の期間や賃金の範囲を窓口に確認します。賞与や残業が増えたから条件達成と自己判断しないでください。
年間上限と受講期間全体の上限を分ける
ハローワークの案内では、給付は最大3年間で、その場合の上限は192万円とされています。法令上最短4年の専門実践教育訓練では、4年目の受講相当分について追加支給を受けられる場合もあります。
ただし、自分の講座が何年分の給付対象になるかは、指定内容と制度の要件で確認します。学校の修業年限が長いから、その年数すべてに同じ給付が出ると考えないでください。休学や受講の中断があるときも、先に学校と窓口へ連絡します。
追加給付の有無を前提に、退職後の生活費を使い切る計画は立てないことです。資格の取得や修了後の雇用、賃金の変化は、申込時点では確定しません。基本給付までの支払いと、追加条件を満たさなかったときの負担を分けて考えます。
受給資格は加入期間だけでは決まらない
ハローワークの公式案内では、一般と特定一般は支給要件期間3年以上が基本で、初めて受けるときに限り1年以上です。専門実践は3年以上が基本で、初めて受けるときに限り2年以上です。
ここでいう初回は、その学校へ初めて通うという意味ではありません。過去の教育訓練給付の受給歴を確認します。以前に別の種類を利用しているときも、記憶だけで初回と判断せず、窓口で照会してください。
離職した人は、受講開始日までの期間なども条件になります。前の職場と今の職場の加入歴をどう扱うか、雇用保険に入っていなかった期間があるか、受講開始日にどの状態なのかを整理します。
会社が受講を許可したことと、雇用保険から給付を受けられることは別です。学校は講座の指定や修了条件を案内しますが、本人の加入・受給歴による判断はハローワークで確認します。
申請書に使う情報は、雇用保険の番号、受講開始日、講座の指定番号などです。番号がわからない、以前の書類がないというときも、適当な内容を記入せず、照会に必要なものを窓口へ聞きます。
受講前は講座選び、資格確認、申込みの順に進める
特定一般と専門実践では、原則受講開始日の2週間前までに受給資格の確認を行います。期限までに学校へ申し込めば足りる、という意味ではありません。
厚生労働省の専門実践Q&Aは、事前に訓練対応のキャリアコンサルタントによる相談を受け、ジョブ・カードを作成する手続きを説明しています。一定の例外もあるため、自分の必要手続きは住所を管轄する窓口へ確認します。
特定一般も訓練前のキャリアコンサルティング等が必要です。厚生労働省の事前手続き案内で両方の区分の提出期限を確認できます。予約が必要な相談もあるため、開始直前に動くと時間が足りなくなります。
| 順番 |
やること |
確認先 |
| 1 |
目指す仕事と必要な学習を整理 |
キャリア相談、求人情報 |
| 2 |
指定講座と開講日を確認 |
公式の講座検索、訓練施設 |
| 3 |
加入歴と過去の受給歴を照会 |
管轄のハローワーク |
| 4 |
必要な事前相談と資格確認 |
キャリア相談、ハローワーク |
| 5 |
支払いと修了条件を確認して申込む |
訓練施設 |
講座の申込期限と受給資格確認の期限は別々に控えます。申込金を先に払う必要がある講座では、給付を使えなかったときにキャンセルできるか、返金条件も確認します。個人の受給可否を確認する前に、最大給付だけで総費用を決めないでください。
公式の講座検索で指定番号まで確認する
厚生労働省の講座検索では、給付の種類、資格、地域、受講の方法などから指定講座を探せます。学校名だけでなく、講座名、指定番号、開講時期を確認します。
同じ資格を目指す講座でも、通学と通信、実施校、受講する時期で指定が異なることがあります。検索で見つけた講座と、実際に申し込む講座が一致しているかを学校へ聞きます。別のコースへ変えるときは、その指定も確認し直してください。
学校の案内では、受講料、入学料、対象外の費用、修了の条件、欠席したときの対応、資格試験との関係を見ます。給付の申請で必要な証明書を発行できるか、書類を受け取る時期も確認します。
給付対象というだけで、就職先が決まるわけではありません。学んだ内容が、応募したい仕事の求人条件とつながっているかを先に見ます。仕事の経験と学習の予定を整理するときは職務経歴書の整理も使えます。
都道府県別の一般・特定一般の受給者ランキング
厚生労働省の令和6年度雇用保険事業年報、第32表(1)から、一般教育訓練と特定一般教育訓練を合わせた受給者実人員が多い労働局を並べました。対象期間は令和6年度、単位は人です。平均給付額や中央値、人口に対する利用率ではありません。
| 順位 |
労働局 |
受給者実人員 |
| 1 |
東京 |
11,954人 |
| 2 |
神奈川 |
6,467人 |
| 3 |
大阪 |
5,788人 |
| 4 |
愛知 |
4,788人 |
| 5 |
埼玉 |
4,745人 |
| 6 |
兵庫 |
4,049人 |
| 7 |
千葉 |
3,908人 |
| 8 |
北海道 |
3,544人 |
| 参考 |
全国計 |
78,713人 |
出典:厚生労働省、令和6年度雇用保険事業年報、年報全体PDFの第32表(1)、受給者実人員の男女計。都道府県労働局別の上位8局を掲載。
この表には専門実践の受給者は入っていません。専門実践は受講中にも複数回支給されるため、延べ受給者数と実人数を混ぜて比較しないようにします。同じ年度の数字でも、何を数えたかが違えば、そのまま大小を比べられません。
受給者の多さは、講座の質や給付の受けやすさのランキングではありません。地域ごとの人口や雇用者数、講座の構成などの違いもあるためです。自分の利用を決めるときは、住んでいる地域の順位より、指定講座と受給資格を確認します。
この年報の実績は令和6年度です。現在の最大給付率を、年報の受給者全員が使ったと読み替えることもできません。制度改正の適用日は講座の開講時期によって分かれるため、実績の年度と制度の確認日を区別します。
修了後に慌てないよう証明書と申請時期を控える
受講を始めたら、学校の領収書、修了の証明、ハローワークから受け取った書類をまとめて保管します。受講を申し込んだ証明と、給付の支給申請に必要な証明は同じとは限りません。学校がいつ、どの書類を渡すかを確認します。
専門実践の受講中の申請と、資格取得や賃金上昇による追加申請は、別の段階の手続きです。最初の受給資格確認を終えたから、その後の申請も自動で済むわけではありません。受講前に受け取った案内に、次の確認日や提出する書類を追記しておきます。
資格試験の受験、結果の通知、就職、賃金の確認には、それぞれ時期があります。講座の修了日だけを予定表に書くと、後で必要な手続きを見落とします。学校とハローワークの案内を別々に控え、わからない期限は早めに窓口へ聞いてください。
受講料の返金や値引き、勤務先からの補助があったときは、給付対象経費の扱いを確認します。本人が最終的に負担した額と、申込時の表示価格が異なることがあるためです。値引き前の受講料をそのまま申請するのではなく、必要な証明を学校へ聞きます。
在職中に受けるなら仕事と授業の予定を先に合わせる
通信講座でも、実習や試験のために決まった日に参加することがあります。授業が夜間だから仕事へ影響しない、と決めず、通学、課題、実習の予定を確認します。修了に必要な出席や課題の条件を、給付率と同じくらい丁寧に読んでください。
勤務先には、業務上必要な研修なのか、本人の希望で受ける学習なのかを分けて相談します。勤務として扱う時間、休暇を使う時間、会社が補助する費用があるかで、予定と負担は変わります。会社から受講を勧められたことだけで、すべて勤務時間になるとは判断できません。
転職を検討している人は、講座を修了する時期と、応募の準備が重なることもあります。取得見込みの資格と、取得済みの資格は区別して応募書類に書きます。修了証明を受け取ったことと、目標資格を取得したことも別々に確認します。
講座を選ぶときのメモには、【目標の仕事】、【指定番号】、【開始日】、【本人負担】、【事前手続き】を書けます。給付の最大額だけでなく、仕事につながる内容か、修了まで続けられるか、支払いを用意できるかを同じ紙に並べて確認してください。
職業訓練や生活費の給付とは分けて考える
教育訓練給付金は、本人が指定講座を選んで支払った対象経費の一部を支給する仕組みです。ハローワークの案内を受けて訓練を受ける職業訓練の制度とは、申込方法や費用の扱いが異なります。
専門実践に関連する教育訓練支援給付金は、生活を支えるための別の給付です。受講料の80%という数字を、生活費の支給率や失業給付の金額と混ぜてはいけません。年齢や受講の方法など別の要件もあるので、必要なら窓口で分けて相談します。
仕事を続けながら通うなら、授業の曜日、実習、試験、繁忙期の仕事を並べます。給付が使えても、勤務と重なって修了できなければ計画が成り立ちません。会社の休暇や勤務調整の制度も、申込みの前に確認します。
窓口へ相談するときは、すでに受講料を支払ったか、受講を開始したかも伝えます。まだ申込みを検討している段階と、開始後に手続きを確認する段階では、必要な案内が違います。開始日が近いときほど、学校への連絡と資格確認を別々に進めてください。
検索した画面を見ながら、学校へ講座の指定番号と開講日を照合してもらうと、似た名前の講座の取り違えを防げます。給付の種類を自分で上位の区分へ変更することはできません。指定された講座の区分に沿って、本人が必要な条件を満たすか確認します。
学びを使う職場の実際の数字を確かめる
講座を決める前に、学んだ後に応募したい求人を読みます。資格が必須なのか、経験も求められるのか、給与の幅と担当する仕事はどうなっているかを確認します。修了すれば年収が必ず上がるという前提で受講料を決めないでください。
面接では、その資格を使う仕事の範囲、入社後の研修、勉強と勤務を両立するための運用を聞きます。募集要項に資格手当があっても、対象の資格や支給条件は会社で違います。給付制度の上限と、会社での処遇は別々に確かめます。
その会社の実際の数字は、求人票・面接・しょくばらぼで確かめます。学習を支える制度の有無に加えて、残業時間や休暇の取得実績も確認し、受講中と修了後の働き方を具体的に考えてください。