労災の申請は、仕事中のけがか通勤中のけがか、治療費か休業分かで使う書類と出し先が違います。療養のため働けず賃金を受けないなどの条件を満たすと、休業4日目から給付基礎日額の60%と休業特別支給金20%が支給対象です。令和7年の労災による休業4日以上の死傷者数は135,333人でした。
けがをしたら受診を優先し、医療機関に仕事中・通勤中の事故であることを伝えます。会社への連絡と、給付の請求を分けて進めます。制度は2026年10月23日に厚生労働省と労働局の公式説明で確認しました。自分の事故が認定されるか、いくら支給されるかは、状況を示して確認します。
受診時は事故の状況を伝え、会社に連絡する
医療機関には、いつ、どこで、何をしていてけがをしたのかを伝えます。仕事中や通勤中の事故だと説明せずに、通常の病気やけがと同じ手続きを進めると、後で保険の切替えが必要になることがあります。手続きの書類が届くまで受診を待つ必要はありません。
会社には事故の日時、場所、状況、受診先、働けるかについて医師から説明された内容を伝えます。身体の状態を自分で判断して仕事を続けず、治療に関する判断は医療機関に相談します。連絡を受けた担当者と、その後の書類の窓口も確認します。
事故の状況は、覚えている範囲で記録します。作業内容や使っていた設備、勤務の指示、通勤経路などを、事実と自分の推測に分けて書きます。会社や監督署への説明を同じ資料からできるようにしておくと、後から日付や経路が食い違うことを防げます。
| 手元に残す内容 |
使う場面 |
| 事故日時と場所 |
事故状況の説明、請求書の記載 |
| 作業や移動の内容 |
業務・通勤との関係の確認 |
| 受診先と受診日 |
療養の請求や医師の証明 |
| 領収書など |
費用を立て替えたときの確認 |
| 休んだ日と給与の記録 |
休業給付の対象期間の確認 |
| 会社への連絡履歴 |
書類の依頼や対応状況の説明 |
記録のために危険な場所へ戻ったり、受診を遅らせたりする必要はありません。すでに手元にある勤務表やメッセージから整理し、不足する資料は相談先に聞きます。
業務災害と通勤災害は、事故の原因と移動内容で分かれる
厚生労働省の労災保険は、業務や通勤が原因となった負傷、疾病などに給付を行う制度です。仕事が原因のものが業務災害、通勤が原因のものが通勤災害です。仕事中に起きた事故でも、具体的な行為や業務との関係を確認して認定されます。
「会社の敷地内だから必ず業務災害」「本人の不注意だから労災ではない」と、場所や一言だけで結論を出さないことです。会社と意見が違うときも、実際の状況を労働基準監督署に説明します。認定の判断を会社だけに任せて申請を諦める必要はありません。
東京労働局の通勤災害の説明は、就業に関して住居と就業場所を往復するなどの移動を、合理的な経路・方法で行うことを通勤としています。複数の就業場所の間の移動なども含まれますが、業務の性質を持つ移動は分けて扱います。
通勤経路を外れたり、移動を中断したりしたときは、その間とその後の移動が原則として通勤に当たらなくなります。ただし、日常生活上必要な一定の行為を、やむを得ない事情により最小限の範囲で行ったときには例外があります。例外でも、寄り道そのものの最中まで一律に対象になるわけではありません。
寄り道があったら隠さず、目的、経路、事故の場所、元の経路に戻ったかを伝えます。申請者が「たぶん通勤災害」と分類するより、移動の事実を示すほうが判断に必要な情報がそろいます。
治療に使う療養の給付と、休業に使う給付は別の請求
厚生労働省の各労災保険給付の内容は、療養の給付と休業の給付を分けて示しています。病院に書類を出しただけで、休んだ期間の給付まで同時に終わるとは限りません。
業務災害の治療には療養補償給付、通勤災害の治療には療養給付を使います。労災指定医療機関等では、必要な療養を給付として受ける方法があります。指定外の医療機関などで費用を立て替えたときは、療養の費用を請求する手続きになります。
治療を受けたことと、休業給付の条件を満たすことは別です。仕事を休んだ日について、療養のため働けなかったか、賃金を受けたかなどを確認します。欠勤として処理されている日でも、給与の支払いがどうなっているかまで給与担当に聞きます。
医療機関を変える、薬局を利用する、交通費を請求するといったときには別の様式や確認事項があります。病院用の書類をすべての費用に流用せず、厚生労働省の様式一覧か監督署で、請求する費用に合うものを確認します。
指定医療機関へ出す書類は、業務用と通勤用で違う
厚生労働省の主要様式一覧から、最新の請求書を確認できます。業務災害と通勤災害では様式が違います。名称が長いため、実際の手続きでは給付名と様式番号を合わせて照合します。
| 請求するもの |
業務災害 |
通勤災害 |
| 指定医療機関等での療養 |
様式第5号 |
様式第16号の3 |
| 立替えた療養費用・病院等 |
様式第7号(1) |
様式第16号の5(1) |
| 休業分の給付 |
様式第8号 |
様式第16号の6 |
出典:厚生労働省、主要様式ダウンロードコーナーの療養の給付、療養の費用、休業の給付の各欄。薬局等の費用は異なる枝番を使います。
様式第5号は、仕事中のけがで労災指定の医療機関にかかるときの請求書です。通勤用の第16号の3は、療養給付たる療養の給付請求書です。どちらも労災指定の医療機関等を経由して提出します。
立て替えた費用の請求は、仕事中のけがなら第7号(1)、通勤中のけがなら第16号の5(1)です。休業用の第8号は休業補償給付支給請求書・複数事業労働者休業給付支給請求書、第16号の6は休業給付支給請求書です。
提出先が違う書類をまとめて渡すときは、会社がどこまで提出を代行するかを確かめます。医療機関へ本人が持参する分、会社が証明後に返す分、監督署へ送る分を分けて一覧にしておくと、書類がそろったまま手元に残ることを防げます。
窓口で追加資料を求められたら、提出済みの請求書を特定できる情報と、追加で必要な内容を確認します。名前の似た様式を新しく書き直す前に、どの申請に対する補足なのかを聞きます。病院や会社へ再び依頼する内容も、それを踏まえて整理します。
費用と休業の請求先は、事業場を管轄する労働基準監督署です。鹿児島労働局の請求手続き一覧でも、給付ごとの書類と提出先を確認できます。自宅の最寄りの署とは限らないため、事業場の所在地を伝えて確かめます。
休業給付は待期後から。給与の手取りを基準にはしない
厚生労働省の休業給付の請求手続き資料では、業務または通勤が原因の傷病による療養で、働けず、そのため賃金を受けていないとき、休業4日目から給付を行うと説明しています。
休業補償給付または休業給付は給付基礎日額の60%、休業特別支給金は20%です。合わせた割合だけを見て「普段の手取りの80%」と考えないことです。基礎にするのは、原則として労働基準法の平均賃金に相当する給付基礎日額です。
厚生労働省の計算方法の説明では、平均賃金は原則として事故発生日等の直前3か月に支払われた賃金総額を、その期間の暦日数で割るとしています。賃金締切日があるときの起点や、除く賃金もあるため、給与明細の総額をそのまま当てはめて確定額にしないようにします。
所定労働時間の一部だけ働いた日も、実働分の賃金を踏まえた確認が必要です。休んだ時間の割合だけで、支給される額を自己判断しないことです。勤務した時間と給与の支払いがわかる記録を、会社の証明とそろえます。
最初の3日間は待期期間です。業務災害では、事業主が平均賃金の60%の休業補償を行う扱いです。通勤災害には、同じ事業主の補償責任を定めた規定はありません。治療費の給付まで最初の3日間は出ない、と混同しないことです。
会社独自の上乗せ補償や給与の支払いがあるなら、その内容も担当者に確認します。国の制度と社内制度を別々に読み、支給先に給与の状況を正しく伝えます。個人の金額は、給付基礎日額と対象日が確定するまで断定できません。
請求書は本人・会社・医療機関の記載をそろえる
請求書には、本人が記載する事故や振込先などの情報に加え、事業主の証明、診療を担当した医師の証明等が必要になる欄があります。先に空欄の見本を見て、誰に何を依頼するかを確認します。
会社へ書類を預けるときは、何の請求書か、どの期間についての請求か、返却方法を伝えます。すでに病院へ提出した書類と、これから監督署へ出す休業用の書類を別に管理します。「労災の書類」という呼び方だけだと、どこで止まっているかがわからなくなります。
受診の証明を依頼する時期や方法は医療機関に聞きます。本人が診療の記載欄を埋めたり、会社の証明内容を推測で書き換えたりしないことです。誤りに気付いたら、どの欄を誰に直してもらうかを提出先に確認します。
提出前には控えを残します。請求期間、事故発生日、勤務先の情報が前の書類と合っているかを見ます。不明な欄は空想で補わず、監督署に聞いてから完成させます。提出後に連絡が来たときも、控えがあれば同じ書類を見ながら話せます。
期限は事故の日だけで数えず、請求する給付ごとに確認する
厚生労働省の労災保険の請求期限の説明では、療養の費用は支出した日ごとに請求権が発生し、その翌日から2年です。休業給付も、賃金を受けない日ごとに請求権が発生し、その翌日から2年とされています。
「事故からすべて同じ期限」とまとめると、療養費の領収日や休業した日ごとの確認を落とします。どの給付を、どの期間について請求するのかを整理し、古い費用や休業分があるなら早めに監督署へ相談します。期限に近いものを、会社の証明待ちのまま放置しないことです。
期限の数え方に不明点があるときは、事故の日付だけでなく、受診と支払いの日、休業期間、これまでの請求状況を伝えます。すでに別の書類を出していても、その書類で今回の費用や休業分まで請求できているとは限りません。
連絡の際は、書類がどこにあるかも確認します。会社へ預けた段階、病院に証明を依頼した段階、監督署へ提出した段階を分けます。受け取りを確認できる資料と控えを残し、不足書類の連絡を受けたら、提出する相手と方法を聞きます。
交通事故では、相手方との手続きも監督署に伝える
通勤中の交通事故など、相手方がいる事故では、労災の書類のほかに確認する事項があります。相手方や保険の担当者と連絡を取っているなら、その状況を監督署にも伝えます。相手方との手続きがあるから労災の相談はできないと決めないことです。
厚生労働省の主要様式一覧には、第三者行為災害関係の書類もあります。労災の給付と、相手方から同じ損害について受けた支払いとの調整が関わるため、受け取った費用の内容を窓口へ確認します。別の制度だから重ねてすべて受け取れると考えないようにします。
治療費、休業による損害など、何に対する支払いなのかを分け、相手方から示された書面を手元に置きます。示談などを進める前に、労災の請求にどう関わるかを監督署へ相談します。記事の一般的な説明だけで、個別の合意内容の有利・不利を判断しないことです。
けがの状況や医師の判断が変わり、休業期間が延びるときも、その都度必要な手続きを確認します。会社、医療機関、監督署で扱っている期間が合っているかを見直すと、未請求の期間や、同じ費用について説明が重なることを防げます。
会社が手続きしてくれないときは、監督署へ事情を伝える
茨城労働局の証明を得られないときの案内は、事業主の証明がないからといって請求書を絶対に受け付けないわけではないと説明しています。事業場の所在地を管轄する監督署へ相談するよう案内しています。
会社に断られたら、断った理由、やり取りの日時、証明を依頼した書類を整理します。会社が未記入の欄を本人が証明したように埋めるのではなく、未記入の事情を監督署に伝えます。追加資料や提出方法は、そこで確認します。
【事故日】に【作業・通勤の状況】でけがをしました。【給付名・様式番号】の証明を会社に依頼しましたが、【会社の説明】と言われています。手元には【資料】があります。請求の進め方を相談したいです。
会社が労災ではないと考えていることと、監督署が認定するかは別です。自分にも不明点があるなら、その部分を区別して話します。相談時の準備は労働基準監督署への相談でも確認できます。
病気やけがによる休業でも、業務外のものは健康保険の傷病手当金という別制度が関わります。傷病手当金の条件と混ぜず、原因と休業の状況を窓口に説明します。同じ期間の給付を、別制度だから重ねて受けられると決めつけないことです。
業種別の死傷者数ランキング:仕事中の災害を人数で見る
厚生労働省が公表した令和7年の確定値で、休業4日以上の死傷者数の多い業種を並べました。対象は令和7年1月から12月の労働災害です。労働者死傷病報告に基づく人数で、通勤災害と新型コロナウイルス感染症へのり患による災害は含みません。
| 順位 |
業種 |
死傷者数 |
| 1 |
製造業 |
26,371人 |
| 2 |
商業 |
23,128人 |
| 3 |
保健衛生業 |
19,291人 |
| 4 |
陸上貨物運送事業 |
15,632人 |
| 5 |
建設業 |
13,437人 |
| ― |
全産業 |
135,333人 |
出典:厚生労働省、令和7年における労働災害発生状況・確定値別表2、PDF4ページ目。親区分の上位5業種を掲載し、内数の小売業や社会福祉施設は重ねて順位に入れていません。単位は人で、平均や中央値ではありません。
この順位は、そこで働く人数を分母にした発生率の順位ではありません。業種ごとの働く人数や仕事内容が違うため、人数の多さだけで個人の危険度を比べることはできません。会社ごとの安全管理を評価する表でもありません。
通勤中の事故は含まれていないので、通勤災害の多さをこの表で説明することもできません。仕事中の災害の規模を知るために使い、自分のけがの請求は事故の事実と必要書類で進めます。
統計の人数が少ない業種でも、自分の事故の申請が不要になるわけではありません。会社の事故実績がないと説明されたときも、今回の事故がいつどのように起きたかを整理して手続きを確認します。過去の実績と今回の給付の可否は、それぞれ別の資料で確かめるものです。
次の会社の安全管理は、教育と事故後の手順まで聞く
就職先を調べるときは、「安全第一」という言葉だけでなく、配属前の教育、作業手順の確認、事故やヒヤリとした出来事を報告する方法を聞きます。未経験者がどの段階から作業を担当するのか、誰に確認できるのかも具体的な質問です。
けがをした後の連絡先、受診時の案内、労災請求を支援する担当も確認します。制度の名前を知っていることと、現場から手続きへつなげる仕組みがあることを分けて聞きます。求人票に書かれていない運用は、面接で補います。
公開情報を調べる手順は企業研究のやり方にまとめています。その会社の実際の数字は、求人票・面接・しょくばらぼで確かめます。勤務時間や定着などの情報も読み、安全管理で公開されていない内容は会社に具体的に聞きます。