逆質問は、入社してから自分が働く姿を確かめる質問をします。一次面接では現場の仕事と育て方を、二次面接では配属先のチームを、最終面接(社長・役員)では会社の方針と自分への期待を聞き、会社のホームページや求人票を読めば分かることは聞きません。
残業や休みは、聞いてかまいません。聞き方を「どのくらいですか」から「前年度の月平均の実績を教えてください」に変えるだけで、働き方を真剣に確かめたい人の質問になります。新卒の募集なら、残業や有給の実績は若者雇用促進法で企業に提供を求められる項目で、面接の前に確かめておくこともできます。
逆質問で、何が伝わるのか
リクルート就職みらい研究所の就職白書2018で、企業が採用基準で重視する項目は「人柄」92.1%、「自社/その企業への熱意」77.6%、「今後の可能性」65.6%の順でした。一方、学生が面接で熱意をアピールした割合は19.1%にとどまります。
逆質問は、面接の中で学生や転職者の側から話題を選べる、ほぼ唯一の時間です。何をどこまで調べてきたか、入社後に何をしたいと思っているかが、質問の中身にそのまま出ます。熱意を「御社が第一志望です」と言葉で言うより、調べたうえでの質問のほうが伝わります。
もう1つ、逆質問は自分のための時間でもあります。就職白書2025では、就職先を「安易に決めてしまった」と感じる学生が43.6%いました。就職先を決めるときに自分が重視する基準が分からなかった学生では、その割合が65.8%に上がります(基準が分かっていた学生では31.1%)。自分の基準に照らして聞きたいことを聞くのが、逆質問の本来の使い方です。
一次面接の逆質問の例5選
一次面接の面接官は、人事や若手〜中堅の社員であることが多くなります。現場に近い人にしか答えられないことを聞きます。
| 逆質問の例 |
確かめられること |
| 1 入社1年目の方は、1日をどんな仕事で過ごしていますか |
最初の仕事の中身。入社後の姿を想像できるか |
| 2 入社後の研修は、どんな内容で何か月ありますか。現場に出たあとは、誰に教わりますか |
育て方。メンターや指導役がいるか |
| 3 配属先はいつ、どのように決まりますか。希望はどこまで考えてもらえますか |
配属の決まり方 |
| 4 〇〇さんがこの仕事で大変だと感じたのは、どんなときでしたか |
仕事のきつさを、面接官自身の話として聞ける |
| 5 入社までに勉強しておくとよいことはありますか |
入社後に使う知識。熱意の表し方としても使える |
2は、学生が会社を選ぶときの決め手とも重なります。就職みらい研究所の就職プロセス調査(2025年卒・2024年12月1日時点)では、就職先を決めるときに最も決め手となった項目は「自らの成長が期待できる」がいちばん上でした。成長できるかは、研修と現場での教わり方を聞けば、ある程度分かります。
3の配属は、企業の側でも説明に差があるところです。就職白書2025では、「本人のキャリアや成長の観点から、なぜそのポジションに配置されたかを説明している」企業は、採用数を充足した企業で47.4%、充足できなかった企業で39.6%でした。配属の決まり方を聞いて、はっきり答えが返ってくるかも、会社を見る材料になります。
二次面接の逆質問の例
二次面接の相手は、配属先の課長や部長であることが多くなります。一緒に働く人にしか答えられないことを聞きます。数には入れていませんが、一次と最終の例の間をつなぐ質問として使えます。
- チームは何人で、どんな経験の方がいますか
- 配属されたら、最初に任される仕事は何ですか
- このチームで評価されている人は、どんな働き方をしていますか
最終面接(社長・役員)の逆質問の例5選
最終面接の相手は、役員や社長であることが多くなります。現場の細かいことより、会社がどこに向かうか、自分に何を期待するかを聞きます。
| 逆質問の例 |
確かめられること |
| 6 これから5年で、いちばん力を入れる事業は何ですか |
会社の方向。自分のやりたいことと重なるか |
| 7 私と同じ職種で入る人に、最初の3年で期待することは何ですか |
入社後に求められること |
| 8 社内で活躍している若手の方に、共通していることはありますか |
会社が評価する人の姿 |
| 9 〇〇(中期経営計画やニュースで読んだこと)について、現場ではどう変わりましたか |
調べてきたことが伝わる。計画と実際の差 |
| 10 今日の面接で、私について不安に思われた点があれば教えてください |
最後に補足できる。答えてくれない会社もある |
社長に聞くなら、「〇〇さんが会社の判断でいちばん大事にしていることは何ですか」のように、経営者本人の考えを聞く質問も使えます。会社の方針を決めている人にしか答えられないからです。
9は、会社のIR資料やニュースを読んでいないと出せない質問なので、熱意がそのまま伝わります。10は踏み込んだ質問です。聞くなら、答えをもらったあとに1〜2文で補足できるよう準備しておきます。
最終面接で何が見られているかは、最終面接で落ちる理由と、人事が確かめていることで詳しく書いています。
避けたい逆質問(NG例)5つ
避けたいのは、聞くこと自体が悪い質問ではなく、聞き方や場面が合っていない質問です。
| 避けたい逆質問 |
避けたい理由と、言い換え |
| 御社の事業内容を教えてください |
ホームページで分かることを聞くと、調べていないことが伝わる。読んだうえで「〇〇事業の今後」を聞く |
| 特にありません |
熱意を示す場を使わずに終わる。1つは用意しておく |
| 残業はありますか |
はい・いいえで終わり、答えも漠然とする。前年度の月平均の残業時間を聞く |
| 給料はいつ上がりますか |
最終面接の役員に聞くと、待遇だけを気にしている印象になりやすい。評価の仕組みとして人事に聞く |
| 面接官の年収や私生活を聞く |
選考の場で聞くことではない。仕事の経験を聞く |
待遇の質問は、聞いてはいけないものではありません。避けたいのは、聞き方が漠然としていることと、聞く相手がずれていることです。評価や昇給の仕組みは、人事の面接や内定後の面談で聞くほうが、具体的な答えが返ってきます。
残業や休みは、聞いてよいか
聞いてかまいません。働き方は、入社してから毎日関わることです。聞き方のコツは3つあります。
- 実績の数字で聞く。「前年度の月平均の残業時間と、有給休暇の平均取得日数を教えていただけますか」
- 理由を一言添える。「長く働きたいので、働き方を確かめておきたいです」
- 部署ごとの差を聞く。「配属先によって、忙しさに差はありますか」
新卒の募集であれば、これらは法律で企業に提供を求められる情報です。厚生労働省の若者雇用促進法のあらまし(若者向け)によると、新卒者等を対象に募集する企業は、応募者や応募を考えている人から求めがあれば、次の3つの類型それぞれについて1つ以上の情報を提供しなければなりません。すべての項目を提供することが望ましい、ともされています。
| 類型 |
提供を求められる項目 |
| 募集・採用の状況 |
直近3事業年度の新卒採用者数・離職者数、新卒採用者数の男女別人数、平均勤続年数 |
| 職業能力の開発・向上 |
研修の有無と内容、自己啓発支援、メンター制度、キャリアコンサルティング制度、社内検定など |
| 職場への定着 |
前事業年度の月平均所定外労働時間(残業)、有給休暇の平均取得日数、育児休業の取得者数(男女別)、女性の役員・管理職の割合 |
同じ資料は、情報提供を求めたことを理由とする不利益な取扱いをしてはならないと定めています。「面接において、当該応募者が情報提供を求めた事実に触れること」も、不利益な取扱いが疑われる例として挙げられています。
面接で聞きにくいことは、事前に確かめる
面接の場で数字を細かく聞くのが気になるなら、面接の前に確かめておく方法があります。
- 若者雇用促進法の情報提供の求め(新卒の募集)。プレエントリーをするか、氏名、連絡先、学校名と卒業年月、情報提供を希望する旨をメールや書面で企業に伝えます。説明会や面接の場では、情報提供を希望する旨を口頭で伝えるだけでも求められます。大学のキャリアセンターやハローワーク経由の求人なら、そこから企業に求めてもらうこともできます
- 厚生労働省のしょくばらぼ(職場情報総合サイト)で、会社が出している残業や有給、採用の状況を調べる。転職の人も使えます
- 会社の採用ページや、女性の活躍などについて公表している数字を読む
- 会社に質問するから、このサイトを通して会社に直接聞く。名前は会社に伝わりません
先に数字をつかんでおけば、面接では「月平均〇時間と伺いましたが、繁忙期はどのくらいになりますか」のように、一歩踏み込んだ逆質問ができます。
転職の面接での逆質問
転職の面接では、入社後すぐに任される仕事をはっきりさせる質問が中心になります。
- 入社後3か月で、どんな状態になっていることを期待されていますか
- このポジションが空いた(新しくできた)理由は何ですか
- チームは何人で、どんな経験の方がいますか
- 前の職場の〇〇の経験は、どの場面で使えそうですか
若者雇用促進法の情報提供の仕組みは、新卒者等を対象にした募集が対象です。転職の募集では使えないので、しょくばらぼや会社の公表資料、面接での質問で確かめます。