最終面接でも落ちます。最終面接は入社してもらう人を決める場で、企業は「この人は本当に入社するか」「入社後に伸びるか」を確かめます。落ちる理由は、入社の意思が伝わらない、それまでの面接と話がずれる、会社の方向と本人の希望が合わない、ほかの候補者との比較、の4つに分けられます。
最終面接の結果がいつ来るかに決まりはありません。面接の最後に、いつ頃どの方法で連絡があるかを聞いておきます。
この記事では、作った「人事の本音」ではなく、企業への調査と国の資料をもとに、最終面接で確かめられていることを説明します。
最終面接は、顔合わせではない
最終面接の通過率を、公的に公表している統計はありません。「最終面接は9割受かる」といった数字を見かけても、何の調査か書かれていなければ、確かめようがありません。
数字で分かるのは、企業の側の事情です。リクルート就職みらい研究所の就職白書2025では、2025年卒の採用で、企業が採用予定数を100としたとき、次のようになっていました。
| 採用予定数を100としたとき |
全体 |
採用数を充足した企業 |
充足できなかった企業 |
| 内定を出した数 |
169.4 |
182.1 |
160.8 |
| 辞退された数 |
83.5 |
86.2 |
81.8 |
| 最終的な内定者 |
87.7 |
101.4 |
78.3 |
全体では、採用予定100人あたり169.4人に内定を出し、83.5人に辞退されています。出した内定の半分近くが辞退されている計算です。採用数が計画より少なかった企業のうち、43.4%が理由に「内定辞退が予定より多かった」を挙げています。
企業から見ると、入社しない人に内定を出すのは、採用の枠を1つ使うことです。最終面接で入社の意思がしつこいほど確かめられるのは、この事情があるからです。
最終面接で確かめられていること
入社の意思
就職白書2018で、企業が採用基準で重視する項目の2位は「自社/その企業への熱意」(77.6%)でした。最終面接では、熱意がいちばん具体的な形で問われます。「第一志望ですか」「内定を出したら入社しますか」「ほかの会社の選考はどうなっていますか」という質問です。
入社後に伸びるか
同じ調査で3位の「今後の可能性」は65.6%です。従業員5,000人以上の企業に限ると78.1%と、規模が大きいほど高くなっていました。役員や社長は、入社直後の仕事より、5年後、10年後にこの会社で何をしているかを聞きます。
人柄と、それまでの評価の確認
1位の「人柄」(92.1%)は、最終面接でも変わりません。一次・二次の面接官の評価を受けて、役員が自分の目で確かめる場でもあります。
厚生労働省の公正な採用選考の基本は、企業に「あらかじめ質問項目や評価基準を決めておき」、応募者の適性と能力に基づいて判断するよう求めています。最終面接にも評価の基準があり、その場の雰囲気だけで決まるものではない、というのが国の考え方です。
最終面接で落ちる理由4つ
上の調査から考えられる、最終面接で落ちる理由を4つに分けました。
| 落ちる理由 |
どう見えるか |
準備 |
| 1 入社の意思が伝わらない |
「第一志望か」への答えがあいまい。会社を選ぶ理由がほかの会社でも言える |
なぜこの会社か、を同業他社と比べて言えるようにする |
| 2 一次・二次と話がずれる |
志望動機や将来の話が、前の面接と食い違う |
それまでの面接で話したことを書き出して見直す |
| 3 会社の方向と希望が合わない |
やりたいことが、会社がこれから力を入れる事業と重ならない |
中期経営計画やIR資料、社長のメッセージを読む |
| 4 ほかの候補者との比較 |
本人の問題ではなく、枠の数で決まる |
自分で変えられない部分なので、引きずらない |
1 入社の意思が伝わらない
最終面接で「第一志望です」と言うだけでは、意思は伝わりません。その会社でなければならない理由を、同業の会社と比べて話せるかが問われます。たとえば「人を育てる仕事がしたい」は、どの会社でも言えます。「御社は入社3年目まで配属先の上司とは別に教育係がつくと伺い、そこに惹かれました」なら、その会社でしか言えません。
2 一次・二次と話がずれる
最終面接の面接官がそれまでの面接の記録を見ているかは、外からは分かりません。見ていると考えて準備しておくほうが安全です。一次で話した「やりたいこと」と、最終で話す「やりたいこと」が違えば、どちらが本当かが分からなくなります。面接を受けたら、その日のうちに話した内容をメモしておくと、最終面接の前に見直せます。
3 会社の方向と希望が合わない
役員は、会社がこれから進む方向を決めている人たちです。本人のやりたいことが、会社が縮小しようとしている事業に向いていれば、入社後に希望がかなわない可能性が高いと判断されます。会社の中期経営計画やIR資料は、最終面接の前に読んでおく価値があります。読んだうえで逆質問をすれば、意思も伝わります。例は逆質問の例10選にまとめています。
4 ほかの候補者との比較
最終面接まで残った人は、みな一定の評価を受けています。採用の枠が少なければ、最後は比べて決まります。これは本人が変えられない部分です。落ちたとしても、それまでの面接で評価されてきたことまで否定されたわけではありません。
転職の最終面接(役員面接)で確かめられること
転職の最終面接でも、入社の意思と入社後の働きが確かめられる点は同じです。そのうえで、年収、入社できる時期、今の会社の退職の見込みなど、条件の確認が入ることがあります。希望の年収は、根拠(今の年収や担える仕事)と一緒に答えられるようにしておきます。入社時期は、今の会社の就業規則で退職の申し出が何日前までと決まっているかを確かめてから答えます。
「合格フラグ」「不合格フラグ」は当てにならない
面接が長かった、社長が笑っていた、次の予定を聞かれた、といった「合格フラグ」や、その逆の「不合格フラグ」の話はよく出回っています。ただ、面接の様子と合否の関係を調べた公的な調査は見当たりません。面接官の態度は人によって違い、あとから比べて決まることもあります。結果が出るまでは、ほかの会社の選考も止めずに進めておくのが現実的です。
Web面接の最終面接で気をつけること
経団連が会員企業に聞いた2021年度入社対象 新卒採用活動に関するアンケート(2020年、442社が回答)では、Web面接を実施した企業のうち63.8%が「最終面接を含め全ての面接で実施」していました。一方で、Web面接を実施した企業の62.7%が、対面より学生の評価が難しいと答えています。Web面接の短所としては「細やかな表情等が把握しにくい」「熱意等が伝わりにくい」が多く挙がりました。
Web面接で最終面接を受けるなら、熱意を表情で伝えるのが難しくなる分、言葉で具体的に話すことの重みが増します。カメラの位置、明るさ、音声は、前日までに試しておきます。
最終面接の結果はいつ来るか
結果を何日以内に知らせなければならないという法律や公的な決まりはなく、会社ごとに違います。確実なのは、本人が聞いておくことです。
- 面接の最後に「結果はいつ頃、どのような方法でいただけますか」と聞く
- 聞いた日を過ぎても連絡がなければ、1〜2営業日待ってから、採用担当にメールで確かめる
- 他社の内定の返事に期限があるなら、その期限を正直に伝えて、結果の時期を相談する
確かめるメールは、短くてかまいません。「〇月〇日に最終面接を受けた〇〇です。結果のご連絡の時期について、目安を教えていただけますでしょうか」で足ります。
最終面接のあとの、困った求めへの対応
最終面接やその直後に、他社の選考をやめるよう求められることがあります。就職みらい研究所の就職プロセス調査(2025年卒・2024年7月1日時点)では、内定を取った大学生の7.7%が「オワハラ」を受けたことがあると答えています(内閣官房の会議に提出されたリクルートの資料)。この調査でオワハラとして例示されたのは、内定と引き換えに他社の就職活動をやめるよう強要すること、内定承諾書の早期提出を強要すること、辞退を申し出たのに何度も引き留めの話し合いを求めることなどです。
厚生労働省の若者雇用促進法のあらまし(若者向け)は、国の指針として、内定と引き換えに他の事業主への就職活動をやめるよう強要するなど、職業選択の自由を妨げる行為をしないよう企業に求めています。同じ資料は、採用内定のときまでに、労働条件を書面などで示すことになっている点にも触れています。内定の連絡を受けたら、労働条件が書かれた書面をもらえるかを確かめてください。
困ったときは、大学のキャリアセンターか、新卒応援ハローワークに相談できます。
最終面接で落ちたら、次にやること
不採用の通知に理由が書かれていなければ、自分で振り返るしかありません。上の4つの理由のうち1〜3に当てはまるものがなかったかを、面接のメモと照らして確かめます。4の比較で落ちたのなら、直すところはありません。最終面接まで進んだことは、それまでの面接で評価されたということなので、同じ準備はほかの会社の選考でも使えます。面接で聞かれる質問全体と、聞いてはいけない質問への対処は面接でよく聞かれる質問15選にまとめています。
最終面接の前に、その会社の働き方や評価のしかたを確かめておきたいときは、会社に質問するから会社に直接聞くこともできます。