育児の時短勤務は、3歳未満の子を養育する対象労働者に対し、原則として1日6時間の短時間勤務を含む制度を事業主が設ける仕組みです。2025年4月には、2歳未満の子のために時短で働く人を対象に、賃金の原則10%を支給する育児時短就業給付が始まりました。勤務時間を短くする制度と、減った賃金に対する給付は分けて確認します。
2025年10月からは、3歳から小学校就学前の子を養育する人の柔軟な働き方の措置も始まっています。すべての人の時短勤務が就学前まで自動で延長されたわけではありません。制度は厚生労働省・ハローワークの公式資料を2026年10月23日に確認しました。
時短勤務・給付・柔軟な働き方で対象年齢が違う
復職の相談では、「育児の制度」とまとめず、働く時間の制度、給付金、休暇を分けます。子の年齢や勤務先の制度によって、確認する窓口と書類が違います。会社で時短が使えるからと、雇用保険の給付も同じ期間続くとは限りません。
厚生労働省の育児・介護休業法のあらまし・事業主が講ずべき措置と育児時短就業給付の内容と支給申請手続を分けて読むと、年齢と目的の違いがわかります。給付の手引きは令和8年8月1日時点版です。
| 制度 |
子の年齢など |
確認する先 |
| 育児の短時間勤務 |
原則として3歳未満 |
会社の人事・規程 |
| 育児時短就業給付 |
2歳未満、加入歴等の要件あり |
会社の担当・ハローワーク |
| 柔軟な働き方の措置 |
3歳から小学校就学前 |
会社が選んだ措置 |
| 会社独自の延長制度 |
会社の規程による |
規程の対象と期間 |
法律上の対象より長く使える会社もあります。その場合も、いつまで使えるか、途中で勤務時間を変えられるか、通常勤務へ戻す手続きは何かを確認します。制度の名称が同じでも、年齢の上限や申請の単位が同じとは限りません。
子の看護などのために休む日は、毎日の勤務時間を短くする話と別です。病気や行事で休む制度は子の看護等休暇の対象と使い方で確認できます。時短だけで突発的な休みまで解決できると考えず、組み合わせを調べます。
短時間勤務の対象は、雇用形態だけで決めない
厚生労働省のあらましは、3歳未満の子を養育する労働者について、短時間勤務の対象要件を説明しています。通常の1日の所定労働時間が6時間以下でないこと、日々雇用される人でないこと、現に育児休業中でないことなどを確認します。
労使協定で対象から除ける人もいます。継続雇用期間が1年未満、週の所定労働日数が2日以下の人、業務の性質や実施体制上、短時間勤務が困難と認められる業務の人などです。「契約社員だから使えない」という説明だけで済ませず、適用する要件と協定を確認します。
業務上困難だとして除外されたときも、その一言で確認を終えないことです。何を根拠に除外し、代わりの措置は何かを聞きます。現場が忙しいという説明と、制度上の除外要件に当たるかは、分けて確認します。
利用できるかを自分だけで判断しにくいときは、契約期間、勤続、勤務日数、担当業務をそろえて人事へ相談します。説明に納得できない場合は、労働局の雇用環境・均等部(室)に確認します。個人の可否は契約や協定の内容を見て判断されます。
原則の短縮時間と、出社から退社までの長さを分ける
短時間勤務は、原則として所定労働時間を6時間とする措置を含む必要があります。会社がほかの時間の選択肢を用意していることもあります。希望の勤務時間があるなら、その選択肢と、開始・終了時刻の組み合わせを聞きます。
所定労働時間と、職場にいる長さは同じとは限りません。休憩が間に入るなら、始業から終業までの幅は変わります。保育施設のお迎えや通勤と照合するときは、働く時間だけでなく、休憩を含む退社時刻を確認します。
短くした時間の分だけ、仕事を自宅へ持ち帰ることになっていないかも確認します。勤務を終えた後に連絡や作業が発生するなら、勤怠へどう記録するかを相談します。制度上の終業時刻と、実際に仕事をやめられる時刻が離れていては、生活の予定が立ちません。
引き継ぎは、担当業務を丸ごと同僚へ渡すという話だけではありません。締切の近い仕事、会議、顧客からの連絡を誰が受けるかを決めます。本人がいない時間に判断できる人を置くなど、仕事の流れも一緒に確認します。
時短中の給与は、会社の賃金規程で確認する
短時間勤務の制度があることと、短くした分の賃金が全額保障されることは別です。基本給、職務手当、通勤手当、賞与の算定などを分けて確認します。総額だけ示されたなら、どの項目をどの式で変えるのかを聞きます。
復職面談では、通常勤務時の条件と時短勤務時の条件を並べてもらいます。月の支給額だけでなく、賞与や評価に関する規定も確認します。支給額と手取り額は違うため、給与の説明を受けるときはどちらの額かをそろえます。
制度の利用を理由にした不利益な取扱いと、働かなかった時間に対応する賃金の取扱いも分けます。何が減るかを見ずに「時短ならすべて減額されて当然」「給与が減ったらすべて違法」と一括しないことです。規程と実際の変更を示して相談します。
育児休業中にもらう給付と、復職して時短で働く間の給付は別制度です。休業の説明が必要なら育児休業給付金の条件で確認できます。復職前に受けた説明を、そのまま時短勤務中の支給条件に当てはめないようにします。
育児時短就業給付は、時短中の賃金を基準にする
厚生労働省の給付手引きでは、2歳未満の子を養育するため、週の所定労働時間を短縮して働く雇用保険の被保険者が対象です。育児休業給付の対象となる育児休業から同じ子について引き続き時短を始める場合など、受給資格の要件があります。
育児休業から引き続く要件でないときは、原則として開始日前2年間に、賃金支払基礎日数11日以上、ない場合は基礎時間80時間以上の完全月が12か月あるかなどを確認します。加入しているだけで全員が対象になるわけではありません。
支給額は原則として、その月に支払われた時短中の賃金額の10%です。短縮前の給与の10%でも、減った差額の10%でもありません。開始時賃金月額の90%を超える賃金を受けた月は、開始時の額を超えないよう給付率が調整されます。
支給限度や最低限度のほか、各月の要件もあります。そのため「月給の10%を必ず受け取れる」とは言えません。給与の計算期間と実際の支払月がずれることも含め、手引きに沿って会社とハローワークへ確認します。個別の受給額は、この記事から確定できません。
給付の申請は、勤務条件と賃金の記録をそろえる
給付の手引きは、各月の初日から末日まで被保険者であることや、所定労働時間を短縮して就業した期間があることなどの要件を示しています。育児休業給付や介護休業給付を受けている月の扱いも確認が必要です。
申請に向けては、短縮前後の所定労働時間、開始日、賃金の記録を整理します。会社の担当者へ、受給資格の確認、初回申請、その後の申請を誰がいつ行うかを聞きます。会社に書類を出したことと、支給が決まったことは分けて把握します。
フレックスタイム制で働く人は、清算期間の総労働時間を短縮しているかがポイントです。手引きは、総労働時間を変更せず、フレキシブルタイムの一部を働かないことで欠勤控除を受ける場合は、育児時短就業とは扱わないと説明しています。
勤務時間の制度そのものが不明なら、フレックスタイム制の仕組みで清算期間と総労働時間を確認します。毎日少し早く帰ることと、契約上の所定労働時間を短縮することは、給付の確認では同じではありません。
柔軟な働き方の措置は、会社が用意した中から選ぶ
2025年10月からの措置は、厚生労働省の男女雇用機会均等法、育児・介護休業法のあらましなどで確認できます。3歳から小学校就学前の子を養育する労働者に関し、事業主は次の5つから2つ以上を選んで用意します。対象労働者はその中から1つを選んで利用します。
| 事業主が選ぶ措置 |
確認する内容 |
| 始業時刻等の変更 |
フレックスや時差出勤の仕組み |
| テレワーク等 |
月10日以上の措置の内容 |
| 保育施設の設置運営等 |
利用できる支援の内容 |
| 養育両立支援休暇 |
年10日以上の措置の内容 |
| 短時間勤務制度 |
短縮後の勤務時間 |
出典:厚生労働省、男女雇用機会均等法、育児・介護休業法のあらまし、柔軟な働き方を実現するための措置。2026年10月23日確認。制度上の選択肢で、導入割合の順位ではない。
この中に短時間勤務制度が必ず入るとは限りません。時短を続けたい人は、会社がどの措置を選んだか、自社独自の延長があるかを聞きます。法改正で就学前まで全員が時短を選べるようになった、と読み替えないことです。
子が3歳になる前に受ける個別の周知や意向確認の場では、勤務時間帯、通勤、送迎との関係を具体的に話します。使える制度の説明を受けるだけでなく、自分がどの制度を希望し、何に困るかを伝えるための面談として準備します。
事業所規模別ランキング:短縮措置等の制度がある割合
厚生労働省の令和6年度雇用均等基本調査・結果概要から、育児のための所定労働時間の短縮措置等の制度がある事業所の割合を高い順に並べました。令和6年10月1日現在、常用労働者5人以上の事業所が対象です。単位は事業所割合の%で、利用者割合や平均・中央値ではありません。
| 順位 |
事業所規模 |
制度がある割合 |
| 1 |
500人以上 |
99.2% |
| 2 |
100〜499人 |
98.5% |
| 3 |
30〜99人 |
88.4% |
| 4 |
5〜29人 |
70.9% |
| ー |
全体 |
74.5% |
出典:厚生労働省、令和6年度雇用均等基本調査、結果概要23ページ、事業所調査Ⅰの3(1)ア・付属統計表第13表の値。短時間勤務以外の措置も含む区分。
この表の制度は、短時間勤務だけではありません。フレックスや始業・終業時刻の繰上げ・繰下げなども含む区分です。99.2%を「大きい職場なら全員が時短で働ける割合」と読んだり、74.5%を短時間勤務だけの導入割合と呼んだりはできません。
事業所の規模と企業全体の規模も違います。同じ企業の中に複数の事業所があるため、求人で見る従業員数とそのまま対応させないことです。規模別の傾向を見た後は、応募する職場の制度を確認します。
短時間勤務だけの導入割合も、利用者の割合とは違う
同じ調査の図4では、各制度の導入事業所割合を示しています。制度別の割合を高い順に並べると、次のとおりです。令和6年度調査の事業所割合で、複数回答です。前の規模別表と同じく、取得率ではありません。
| 順位 |
制度 |
導入割合 |
| 1 |
短時間勤務制度 |
70.0% |
| 2 |
所定外労働の制限 |
64.0% |
| 3 |
始業・終業時刻の繰上げ・繰下げ |
38.4% |
| 4 |
育児休業に準ずる措置 |
24.3% |
| 5 |
育児の場合に利用できるフレックスタイム制度 |
14.9% |
| 6 |
テレワーク |
13.3% |
| 7 |
育児に要する経費の援助措置 |
8.1% |
| 8 |
事業所内保育施設 |
4.4% |
出典:厚生労働省、令和6年度雇用均等基本調査、結果概要24ページ・図4、付属統計表第14表の値。図の制度名を一部短縮。
調査時点は2024年で、2025年の改正前です。この数字を、改正後の柔軟な働き方の措置の履行率として使うことはできません。制度を持つ職場の割合と、実際にどの制度を何人が利用したかも別の数字です。
短時間勤務の割合が高くても、希望する勤務時間や部署の仕事の進め方まではわかりません。制度の有無を確認したら、同じ職種で利用した実績、引き継ぎ、復帰後の業務分担まで聞きます。全国の割合だけで職場を評価し切らないことです。
復職面談には、希望時間と担当業務のメモを持っていく
面談前に、勤務を始められる時刻、退社が必要な時刻、通勤に必要な時間、保育施設などの予定を書きます。家族が代われる日と、代わりが見つからない日も区別します。希望をすべて私生活の説明にする必要はなく、業務調整に必要な内容に絞ります。
【開始希望日】から【希望期間】、【希望する勤務時間帯】の短時間勤務を希望しています。【担当業務】の締切や連絡対応について、勤務時間内に行う範囲と引き継ぎ先を相談したいです。給与の計算と、育児時短就業給付の確認・申請担当も教えてください。
勤務時間が決まったら、会議や締切がその時間に合っているかを見直します。元の仕事量がそのまま残るなら、どれを優先し、どれを移すかを上司と確認します。本人の工夫だけで処理する前提にせず、担当の範囲を具体的に決めます。
時短の終了前にも、通常勤務への戻し方や、ほかに利用できる措置を確認します。給付が終わる日と時短勤務が終わる日が一致しないことがあるため、家計と勤務の予定を別々に更新します。条件が変わったときは、会社とハローワークへ必要な連絡を確認します。
利用できないと言われたら、どの条件かを聞き直す
申請したときに「前例がない」「この部署は無理」と言われたら、対象要件のどこに当たらないのか、労使協定の除外があるのかを確認します。制度そのものがないと言われた場合も、どの規程を見ればよいかを聞きます。口頭の説明だけで、自分の雇用形態では対象外と決めつけないことです。
希望する時刻が使えない話と、短時間勤務制度の対象外だという話も分けます。勤務の開始・終了時刻を調整すれば利用できるのか、対象要件そのものの問題なのかで、次の確認が変わります。希望する理由は、送迎や通勤との関係が伝わる範囲で説明します。
説明が食い違うときは、申請した内容、会社の返事、該当すると言われた規程を残します。制度の可否は労働局の雇用環境・均等部(室)、給付の可否はハローワークへ、それぞれ確認します。会社の勤務制度の担当者と給付の担当者が違うこともあるため、質問を分けて伝えます。
制度を使い始めた後も、勤務と申請の状況を確認する
時短を始めた後は、予定の退社時刻と実際の業務終了を照合します。帰宅後の連絡が続く、休憩を取れずに仕事を詰めているといったことがあれば、勤務時間だけを短くしても負担は残ります。どの仕事が時間内に終わらなかったかを示し、分担を見直します。
給付の申請についても、担当者へ提出した日と、追加資料を求められた内容を残します。入金がないことだけで不支給と決めず、どの段階で止まっているかを確認します。勤務時間や雇用条件が途中で変わったなら、その変更を担当者へ伝え、給付上の取扱いも確認します。
会社の制度の期限と、子の年齢による制度の切替えは、同じ予定表に分けて書きます。保育施設の利用時間や家族の勤務も変わるなら、以前の面談の内容だけで進めず、変更点を伝えます。申請と日々の働き方をそれぞれ確認すると、制度上は利用していても仕事の終わり方が変わっていない、といったずれに気付けます。
その会社の運用は、求人票・面接・しょくばらぼで確かめる
応募段階では、時短制度の対象年齢、勤務時間の選択肢、申請窓口、同じ職種での利用実績を聞きます。「子育て支援あり」という表現だけで、いつまで、どの部署で使えるかはわかりません。求人票にない点を面接で具体的な質問にします。
利用実績の人数を聞くなら、いつの期間で、どの範囲の社員を数えたかをそろえます。厚生労働省のしょくばらぼに公表情報があれば、残業や有給、育児に関する情報の年度と対象を読みます。会社全体の数字から、配属先でのお迎え対応まで推測しないことです。
求人票で制度、面接で仕事の分担、しょくばらぼで公開値を確認します。自分に必要な時間帯で働けるかを、その会社の説明と照合します。その会社の実際の数字は、求人票・面接・しょくばらぼで確かめます。