年末調整のやり方は、会社から案内された申告書に今年の所得や家族の状況を書き、必要な証明書と一緒に提出することです。会社が年間の所得税と復興特別所得税を計算し、給与から引いた税額との差を精算します。国税庁の令和7年分民間給与実態統計調査では、年末調整を行った人は47,440千人で、1年を通じて勤務した給与所得者の91.9%でした。
令和8年分の制度と様式の確認日は2026年10月23日です。国税庁の令和8年分年末調整のしかたは、令和8年12月1日以後に行う年末調整について説明しています。令和7年度の改正に加え、令和8年度にも基礎控除などが変わっています。前年の金額をそのまま写さず、今年の欄を使います。
会社へ出す書類を、受けたい控除で分ける
全員が同じ枚数を出すわけではありません。会社が紙で集めるか、社内システムで受け付けるかによっても作業は違います。入力画面の名前が短くても、どの申告書に相当するかを確認します。
| 書類 |
書く内容・添えるもの |
| 扶養控除等申告書 |
本人と扶養親族等の状況。既提出分の変更も確認 |
| 基礎控除等の兼用申告書 |
本人・配偶者・特定親族の所得見積額、該当する控除 |
| 保険料控除申告書 |
対象の保険料と必要な控除証明書 |
| 住宅借入金等特別控除申告書 |
適用する年と方式に応じた申告書、残高の情報等 |
出典:国税庁、令和8年分年末調整のしかた、8〜34ページの各種控除額の確認。
兼用申告書の正式名称には、給与所得者の基礎控除申告書、配偶者控除等申告書、特定親族特別控除申告書、所得金額調整控除申告書が含まれます。特定親族特別控除の欄を見落とさないようにします。すべての欄を埋めるのではなく、本人の状況に当てはまる欄を記入します。
転職した人は、前の勤務先の源泉徴収票が必要になることがあります。前職の給与を含めて年末調整できるか、会社に確認します。支払金額や源泉徴収税額の読み方は源泉徴収票の見方で確認できます。
書き始める前に年分と提出期限を見る
年末に翌年分の扶養控除等申告書を一緒に集める会社もあります。今年の年末調整に使う申告と、翌年の給与の源泉徴収に使う申告を混ぜないことです。書類の最上部にある年分を読み、会社の案内と照合します。
会社が決める提出期限は、従業員の情報を確認して給与計算に間に合わせるためのものです。全国共通の「従業員はこの日まで」という日付を、会社の案内に代えて使わないようにします。証明書が届かないときや所得の見積もりに迷うときは、期限前に担当者へ連絡します。
扶養人員別ランキングで見る年末調整の対象
年末調整は扶養家族がいる人だけの手続きではありません。同じ統計で年末調整を行った人は47,440千人、そのうち配偶者控除または扶養控除の適用がある人は11,221千人です。家族の記入がなくても、自分の基礎控除や保険料控除の確認は残ります。
次は国税庁の令和7年分民間給与実態統計調査・調査結果の概要第23表です。1年を通じて勤務し、年末調整を行い、配偶者控除または扶養控除の適用がある人について、扶養人員別の人数を多い順に並べました。平均や中央値ではなく人数です。
| 順位 |
扶養人員 |
給与所得者数 |
構成比 |
| 1 |
1人 |
7,864千人 |
70.1% |
| 2 |
2人 |
2,520千人 |
22.5% |
| 3 |
3人 |
659千人 |
5.9% |
| 4 |
4人 |
133千人 |
1.2% |
| 5 |
5人以上 |
45千人 |
0.4% |
出典:国税庁、令和7年分民間給与実態統計調査、調査結果の概要28ページ・第23表の合計欄。年末調整を行った人の全体数は同ページ第22表。表の数字は、人数が千人単位、割合が%です。
ここでいう扶養人員は税の控除の集計です。一緒に暮らす人数や健康保険の扶養家族の人数ではありません。人数の多い区分に自分を合わせる必要もありません。自分の家族がどの控除の要件に当たるかを、申告書ごとに確認します。
扶養控除等申告書は本人欄から順に埋める
国税庁の令和8年分扶養控除等申告書の記載例を開き、本人、配偶者、扶養親族、障害者等、住民税に関する欄を分けて読みます。見本の人物情報を写さず、自分の状況を記入します。
最初に本人の情報を確認します。住所や世帯の情報は、会社に登録済みでも変更があれば直します。個人番号の提出方法は会社の指示に従い、問い合わせ用の普通のメールに番号を貼り付けないようにします。
家族の欄は、同居か別居かだけでは決まりません。生計、年齢、所得、他の所得者との重複などを確認します。別居の親族や国外の親族には、追加の確認や書類が必要になることがあります。家族という理由だけで同じ欄にまとめないことです。
扶養がいなくても本人欄は必要
扶養控除等申告書は、原則として主たる給与の支払者に提出します。掛け持ち先を含め、同じ扱いの申告書を複数の会社へ出さないようにします。他の給与があるときは、主たる給与と従たる給与を担当者に伝えます。
年の途中で家族の状況が変わった人は、既に提出した申告書と年末時点の状況が一致するかを確認します。結婚や出産だけでなく、家族の就職、収入の増加、他の家族による控除の申告も関係します。変更した事実と日付を整理して伝えると、修正箇所がわかりやすくなります。
本人についても障害者、寡婦、ひとり親、勤労学生などに該当するかを記入する欄があります。名称の印象だけで選ばず、記載例の条件を読みます。自分で判別できないときは、関係する事実をまとめて会社や税務署へ確認します。
収入は受け取る総額、所得は控除後の金額
申告書で間違えやすいのが「収入金額」と「所得金額」です。給与の手取りを収入欄に書くのではありません。給与の収入から給与所得控除などを反映した額が、給与所得の金額です。給与以外の所得がある人は、その分も別に整理します。
国税庁の令和8年分基礎控除等申告書の記載例に沿って、年内の給与と賞与の見込みを集めます。前職分があるならそれも確認します。副業の売上をそのまま所得として足したり、必要経費を二重に引いたりしないようにします。
家族の所得は、本人に確認した見込みを使います。直近の月収だけを見て年間額を決めると、賞与や転職前の給与が抜けることがあります。「今は働いていない」と「今年の所得がない」は違います。いつからいつまでの数字かを揃えます。
見込みが変わったときは、どの所得がどの程度変わるのかを担当者へ連絡します。年末調整後の再調整や確定申告が必要になることもあるため、自己判断で前年の申告を残さないようにします。
基礎控除は令和8年分の表で判定する
国税庁の令和8年分年末調整のしかた3ページに、改正後の基礎控除が示されています。次の表はそのうち合計所得金額が2,350万円以下の部分です。居住者に適用される加算を含み、給与の収入額そのものを区分に当てはめる表ではありません。
| 本人の合計所得金額 |
令和8年分の基礎控除額 |
| 132万円以下 |
104万円 |
| 132万円超336万円以下 |
104万円 |
| 336万円超489万円以下 |
104万円 |
| 489万円超655万円以下 |
67万円 |
| 655万円超2,350万円以下 |
62万円 |
出典:国税庁、令和8年分年末調整のしかた3ページ、基礎控除の引上げの表の令和8・9年分。高所得の区分や非居住者などは元資料の条件を確認。
同じ資料で、令和8・9年分の給与所得控除の最低保障額は74万円とされています。前年の給与所得の早見表を使うと、所得の見積もりからずれるおそれがあります。収入と所得の換算も今年の表で行います。
控除額は、その金額がそのまま戻ってくるという意味ではありません。税額計算の前に所得から差し引く額です。還付は既に徴収された税額との精算結果で決まるため、基礎控除の金額だけで自分の還付額は計算できません。
特定親族特別控除は扶養控除と欄が違う
特定親族特別控除は令和7年度の改正で設けられましたが、令和8年分の所得要件は今年の資料で確認します。生計を一にする19歳以上23歳未満の親族について、合計所得金額が62万円超123万円以下などの要件が示されています。配偶者や青色事業専従者等は除かれます。
合計所得金額が62万円以下なら、特定親族特別控除ではなく、特定扶養親族として扶養控除を検討する範囲です。同じ親族を、両方の控除の対象として重ねて記入しないようにします。年齢も単に学生かどうかでは判断しません。
給与所得だけの場合の特定親族の収入の範囲は、令和8年分の資料で136万円超197万円以下とされています。給与以外の所得があればこの収入額だけでは判断できません。控除額は親族の所得に応じて変わり、最高63万円です。該当すれば一律に63万円引けるという説明は誤りです。
家族間で誰が控除を受けるかも確認します。同じ親族について重複して申告しないよう、他の所得者の申告内容と揃えます。税の扶養の扱いが変わっても、社会保険の扶養が同じ基準で変わるわけではありません。健康保険の手続きは別に確認します。
保険料と住宅ローンは証明書を先に揃える
保険料控除申告書は、国税庁の保険料控除申告書の記載例と、保険料を払ったことがわかる資料から記入します。契約の種類や新旧の区分を名称だけで推測せず、控除証明書と申告書の対応する欄を見ます。払った保険料の全額がそのまま控除額になるわけではありません。
給与から差し引かれた社会保険料は会社側で把握しています。自分で払った国民年金保険料などがある人は、対象期間と必要な証明書を確認します。同じ支払いを給与天引き分と自分で払った分の両方に入れないようにします。
令和8年分には年齢23歳未満の扶養親族を有する場合の生命保険料控除の特例もあります。該当する契約や扶養親族の条件は、国税庁の同資料21ページ以降で確認します。前年と同じ保険に入っていても、今年の様式の質問を飛ばさないことです。
住宅ローン控除は、初めて適用を受ける年は原則として確定申告が必要です。国税庁の住宅借入金等特別控除申告書の記載例も確認します。翌年以後に会社で年末調整を受ける人も、方式によって必要な書類や残高情報の取得方法が異なります。申告書と金融機関の案内を確認し、会社に何を提出するかを揃えます。
医療費控除や副業の申告は年末調整と分ける
医療費控除や寄附金控除などは、年末調整の提出欄を探しても処理できません。必要に応じて確定申告で扱います。年末調整が済んだ人でも、申告すべき所得や受けたい控除があれば別の手続きが残ります。詳しくは会社員の確定申告で確認できます。
副業がある人は、所得の申告が必要かと、年末調整の基礎控除などを判定する所得見積額を分けて考えます。副業分を会社で精算しないことが、その所得を申告書の見積額から外してよい理由にはなりません。
提出後は源泉徴収票で、給与の総額、所得控除、扶養の状況などを確認します。還付があったかだけを見て終わらず、申告した控除が反映されているかを照合します。食い違いを見つけたら、提出した内容と証明書を用意して担当者に伝えます。
提出前の見直しは書類をまたいで行う
書類ごとに入力が終わっていても、家族の所得が別々の額になっていることがあります。扶養控除等申告書と兼用申告書に同じ親族が出てきたら、対象の年と所得見積額が一致するかを見ます。控除の欄が違うだけなのか、重複して申告しているのかを確認します。
本人の給与も、今年の見込みと前年の源泉徴収票を混ぜないようにします。前年の額は今年の額そのものではありません。年内に支払われる予定の賞与や、前職で受け取った給与を整理してから記入します。会社が画面に表示している見込み額に前職分が含まれるかも、案内を読みます。
保険料の証明書は、契約名、対象年、申告額、支払者などを確認します。申告する本人が負担したものかを含め、家族が契約者となっている保険を扱うときは条件を確認します。家族宛ての証明書が届いたという理由だけで、自分の控除に入れないことです。
書類が間に合わないときに伝える内容
担当者には、何が不足しているか、いつ入手できるか、申告内容のどこに影響するかを伝えます。「年末調整ができません」だけではなく、「【書類名】が未着で、【確認している内容】が確定していません」と書くと、会社側が必要な案内を返しやすくなります。
前職の源泉徴収票が届かないときは、発行元への依頼状況を整理します。前職の給与を覚えている額で入力して完了にするのではなく、確認できる資料で照合します。手元の給与明細を合算すれば必ず源泉徴収票の各欄を再現できる、と決めつけないようにします。
会社の受付に間に合わなかった控除については、今後の修正方法や確定申告の要否を確認します。会社で処理しなかったことだけから、控除を受ける機会がすべてなくなったと判断しないことです。反対に、後で直せると思って誤った内容を確定させることも避けます。
精算された月の明細と源泉徴収票を保存する
還付や追加徴収がどの支払いで処理されるかは会社に確認します。給与明細で差し引きがいつもと違うときは、給与自体の増減なのか、年末調整の精算なのかを分けて読みます。賞与月の明細に出る会社なら、その明細も一緒に確認します。
源泉徴収票が交付されたら、申告の控えと突き合わせます。記入漏れを見つけたときは、修正したい欄と根拠の資料を示します。税の手続きに使う控えは、自分が後から読める形で保管し、無関係な人が閲覧できる場所には置かないようにします。
家族の所得の確認は年内の全体で行う
扶養親族の勤務先が変わった場合は、以前の勤務先と現在の勤務先の収入を合わせて確認します。今の月収だけでは、その年の所得はわかりません。家族から額を聞くときも、税を引く前の給与収入か、振り込まれた手取りかを揃えて話します。
給与以外の所得があるときは、何の収入か、必要経費などをどう計算するかを確認します。会社の入力画面でわからない欄が出たら、表示名と不明な点を担当者へ伝えます。入力欄を通すためだけに数字をゼロにしたり、根拠のない概算で確定したりしないことです。
家族の情報が前年と同じでも、今年の控除の要件が同じとは限りません。年齢や所得の条件、使う申告書の年分を改めて読みます。前年の控えは確認の助けに使い、今年の申告内容を自動で決めるものにはしません。
入社後の手続きと実際の給与を確認する
転職先には、年末調整の提出方法、前職の源泉徴収票の提出先、締切、修正時の連絡先を聞きます。問い合わせは「【年分】の【書類名】について、【変更した内容】をどの方法で届ければよいですか」と、対象を絞って伝えます。
求人票の年収は通常、手取りや年末調整の還付額ではありません。賞与や手当の条件も含めて読みます。手取りを知りたいときは、税と保険料の条件を分けて考え、税の控除額を給与の増額と取り違えないようにします。
厚生労働省のしょくばらぼで職場情報を読み、給与や働き方の説明と合わせます。年末調整の統計は応募先の給与や事務対応を示すものではありません。その会社の実際の数字は、求人票・面接・しょくばらぼで確かめます。