雇い止めとは、有期の労働契約が終わるときに、会社が契約を更新しないことです。更新を拒めるかは労働契約法19条、予告の手続きは厚生労働省の基準で確かめます。3回以上更新した契約や1年超の継続勤務などでは、原則として満了日の30日前までの予告が必要です。厚生労働省の有期労働契約に関する実態調査で、最新の個人調査である令和3年調査では、理由の説明があった現在の有期契約労働者で、その他を除く最多は業務・職務の打ち切り・終了31.9%でした。
更新して働き続けたいなら、その意思を会社に伝え、契約書と更新の履歴を手元に集めます。「契約満了と言われたから仕方ない」と書類を処分せず、更新を断られた理由と、それまでの会社の説明を照らし合わせます。
制度は厚生労働省の公式資料を2026年10月23日に確認しました。自分の雇止めが有効か、更新を求められるかは、契約の文面と実際の働き方をそろえて相談します。
雇い止めと解雇は、契約の終了日で分ける
契約期間の途中で会社が一方的に雇用を打ち切るのは、解雇の問題です。満了日に更新せず終わらせる雇い止めとは、出発点が違います。会社が何と呼んだかに加えて、契約書の満了日と、実際に退職を求められた日を確認します。
厚生労働省の労働契約法のあらましは、解説資料の第17条で、有期契約の途中の解雇には、やむを得ない事由が必要だと説明しています。仕事がなくなったと言われても、それだけで途中の解雇が有効になると決めつけません。
| 会社からの説明 |
手元で見ること |
| 今回の契約で終了する |
現在の満了日、更新の有無、更新上限 |
| 満了前に辞めてもらう |
終了を求められた日と、その理由 |
| 自分から退職届を出してほしい |
本当に自分の意思で辞めるのか |
| 派遣先の仕事が終わる |
雇用主との契約も終わるのか |
派遣先との仕事の終了と、派遣元との雇用契約の終了は同じではありません。誰と労働契約を結んでいるかを先に確認します。勤務している場所の担当者の説明だけでなく、雇用主からの説明を受けます。
退職届や合意書の提出を求められたら、内容を読み、自分が希望していることと合っているかを見ます。更新を希望しているのに、自分から辞めると読める文面へその場で署名すると、後で経緯を説明しにくくなります。書類の写しを受け取り、疑問のある部分を相談します。
雇止め法理は、更新への期待と拒否の理由を見る
労働契約法19条は、すべての有期契約を必ず更新させる規定ではありません。厚生労働省の労働契約法のあらまし、本文38〜39ページは、対象となる契約と、申込み、会社が拒否する理由を分けて説明しています。
対象となるのは、次のどちらかに当たる有期契約です。
- 繰り返し更新され、更新しないことが、期間の定めのない契約の解雇と同じように扱われると認められるもの
- 満了時に更新されると期待することに、合理的な理由があると認められるもの
そのうえで、労働者が満了日までに更新を申し込んだか、満了後に遅滞なく契約を結ぶ申込みをしたかを見ます。会社がこれを断ることに客観的に合理的な理由がなく、社会通念上も相当でないときは、従前と同じ労働条件で申込みを承諾したものとみなされます。契約期間も含め、同じ条件での成立です。
更新回数だけで適用は決まらない
「何回更新したら必ず守られる」という線引きではありません。厚生労働省の解説は、仕事が臨時か常用か、更新回数、通算した期間、契約管理の状況、継続を期待させる会社の言動などを総合して判断するとしています。
毎回面談と審査をしていたのか、書類だけを形式的に交わしていたのか。同じ仕事を続けると言われていたのか、特定の仕事が終われば終了すると説明されていたのか。契約書だけではわからない経緯も残します。
「来期も同じ担当で」と説明されたメールや、次の期間の勤務予定があれば、その日時と内容を整理します。ただし、予定があることだけで更新が確約されたとは言い切れません。反対に、上限が書かれていることだけで雇止めが必ず有効になるわけでもありません。
働き続けたい意思を、会社に届く形で伝える
厚生労働省の解説では、更新の申込みに決まった様式はなく、雇止めへの反対の意思が会社に伝わるものでもよいとしています。証明しやすいように、メールなどで、いつ、何を伝えたかを残します。
現在の契約の満了日は【満了日】です。契約の更新を希望し、引き続き勤務したいと考えています。更新しないとの説明について、理由と判断の根拠をご回答ください。
この文面を送れば更新が確定する、という意味ではありません。自分の希望と会社の回答を区別して記録するための例です。満了日が近い、既に過ぎているときは、会社の回答を待ち続けず、申込みの時期も含めて相談します。
雇止めの予告は、満了前に知らせる手続き
厚生労働省の有期労働契約の締結、更新、雇止め等に関する基準については、基準の資料の2ページに予告の対象が載っています。次のいずれかに当たる有期契約では、原則として満了日の30日前までの予告が必要です。
| 予告の対象となる契約 |
数えるもの |
| 契約を3回以上更新している |
最初の契約締結とは別の、更新の回数 |
| 短い契約を更新して継続勤務が1年を超える |
初めて契約した日からの継続した期間 |
| 契約期間そのものが1年を超える |
現在の契約で定めた期間 |
出典:厚生労働省、有期労働契約の締結、更新、雇止め等に関する基準について、2ページ・雇止めの予告。あらかじめ更新しない旨が明示されている契約を除く。
回数と期間は、どちらも必要な条件ではありません。更新が3回に達していなくても、継続勤務や契約期間の条件で対象となることがあります。契約の開始日・満了日を並べ、どの条件に当たるかを確かめます。
予告があっても、雇止めの有効性は別に残る
満了前に知らされたから、会社は自由に更新を断れる、とはなりません。予告は手続きの問題で、19条による更新拒否の判断とは別です。早めに通知された人でも、更新の実態や会社の理由を調べる余地があります。
予告が遅かったときも、それだけで自動的に無期契約へ変わるとは言えません。通知を受けた日、満了日、会社が告げた内容を残し、雇止め自体の問題と、予告の問題を分けて相談します。
解雇の予告と混同し、予告がないから必ず解雇予告手当を受け取れると計算するのも避けます。雇止めの予告についての基準と、解雇についての法律は別です。実際は契約途中の解雇なのかも含め、受け取った通知を見てもらいます。
雇止めの理由ランキングは、業務の終了が上位
厚生労働省の令和3年有期労働契約に関する実態調査、個人調査の結果の概要第50表から、現在有期契約で働く人の回答を、割合の高い順に並べました。その他を除く、掲載された具体的な理由の順位です。
対象は、調査対象のうち過去5年間に有期契約の満了時の雇止めを経験し、理由があったと答えた有期契約労働者です。単位は%で、平均や中央値ではなく回答者の割合です。最大3つの複数回答で、合計を100%に直していません。
| 順位 |
説明された雇止めの理由 |
割合 |
| 1 |
担当業務・職務の打ち切り・終了 |
31.9% |
| 2 |
景気要因などによる業務量の減少 |
28.8% |
| 3 |
経営状況の悪化 |
24.8% |
| 4 |
勤務成績 |
4.8% |
出典:厚生労働省、令和3年有期労働契約に関する実態調査、個人調査・結果の概要、第50表(本文60ページ、PDF52ページ)。有期契約労働者の行。その他35.1%を除いた順位。
同じ行では、雇止めの経験がある人のうち、理由があった人は81.6%、特に理由の説明はなかった人は9.6%、無回答は8.8%です。表の31.9%などは、この81.6%に当たる人を100とした割合です。雇止め経験者全員の割合として読まないようにします。
厚生労働省の調査の概要によると、令和3年1月1日現在の状況と、一部の項目では過去5年間の実績を尋ねています。対象は、常用労働者を5人以上雇う民営事業所で働く有期契約労働者などです。個人調査は全体として有意抽出であり、雇止め後に就職していない人を含めた全国の経験者全員の姿を表すものではありません。現在の契約区分で分けた表なので、無期転換者の行とは混ぜません。
業務の終了が多くても、その説明なら法律上必ず雇止めできる、とは読めません。回答された理由の集計であり、有効・無効を判定した結果ではないためです。令和3年の調査結果は、2026年の発生件数や増減を示す数字でもありません。
理由の証明を求め、契約満了の一言で終わらせない
厚生労働省の基準の資料は、予告後に雇止めの理由の証明書を請求されたら、会社は遅滞なく交付しなければならないとしています。雇止めの後に請求したときも同様です。明示する理由は、単なる契約期間の満了とは別の理由が必要です。
【通知日】に説明を受けた雇止めについて、理由を記載した証明書の交付をお願いします。更新しないと判断した具体的な事情も確認したいです。
理由の証明書と、離職票は用途が違います。理由の証明は、なぜ更新しなかったかを確認する書類です。離職票に何と記載されるかの確認は、それとは別に進めます。
業務終了と言われたら、どの業務がいつ終わるのか、自分の担当はどの範囲なのかを聞きます。勤務成績と言われたら、どの時期の、何の評価を指しているのかを聞きます。会社の答えを、自分の推測で補って書き換えないようにします。
説明が口頭だけなら、面談後に内容を整理したメールを送り、相違があれば教えてほしいと伝えます。最初の説明と後の説明で理由が変わったときも、古い記録を消さず、日付ごとに残しておくと経緯を追えます。
更新上限は、最初の書類と今回の書類を比べる
2024年4月から、有期契約の締結時と更新時には、更新上限の有無と内容の明示が追加されました。通算契約期間の上限なのか、更新回数の上限なのかまで確認します。厚生労働省の労働条件明示のルール変更は、改正の資料で確認できます。
「上限あり」とだけ覚えていても、いつ終了する契約かはわかりません。今回の更新を回数に含めるのか、どの契約から通算する説明なのかを、書面と会社の説明でそろえます。契約期間の長さが途中で変わった人は、更新回数を勤続年数に読み替えません。
最初の契約を結んだ後で上限を新設したり短縮したりするなら、その理由をあらかじめ説明する必要があります。以前は上限がなかったのに、今回初めて終了時期を示されたときは、変更前後の通知書を比較します。
上限の説明と、雇止め法理の判断を分ける
理由を説明されたことと、上限に沿った雇止めが有効かは別です。労働契約法のあらましは、既に更新への合理的な期待があったところへ会社が一方的に上限を宣言しても、そのことだけで19条の該当性が直ちに否定されるわけではないと説明しています。
会社から上限への同意書を渡されたときは、変更の内容、自分への適用時期、署名が何への同意を意味するかを確認します。「受け取った確認」と「終了に同意した確認」が同じ文書に入っていないかも読みます。わからないまま同意した扱いにせず、写しを持って相談します。
無期転換と離職理由は、別の手続きを確かめる
同じ使用者との有期契約が反復更新され、通算5年を超えるときの申込みによる無期転換は、労働契約法18条の制度です。雇止め法理と分けて、自分に申込権が発生しているかを確認します。特例もあるため、勤続年数だけで結論を出しません。
無期転換の申込権が発生する更新時には、申込みの機会と転換後の労働条件の明示も確認します。無期契約になれば自動的に正社員の賃金になる、という制度ではありません。詳しい条件は無期転換の確認で整理しています。
離職票の理由も、会社が使った呼び名だけで決めません。更新を希望したのか、会社から更新しないと言われたのか、契約時には何と説明されていたのかを残します。雇止めだから全員同じ離職区分、給付額、受給時期になるとは限りません。
離職票の記載と認識が違ったら、契約書や更新希望の記録を持ってハローワークに確認します。会社都合・自己都合の区分と確認する資料は離職理由の違いで扱っています。雇止めの有効性に関する相談と、雇用保険の離職理由の確認を並行して進めます。
相談前に、契約と会社の説明を時系列にする
資料を集めるときは、最新の契約書だけに絞らず、最初の契約から並べます。手元にない書類は、何がないかをメモして会社へ確認します。全部そろうまで相談を遅らせる必要はありません。
| 整理する資料 |
書き留めること |
| 契約書・労働条件の通知 |
開始日、満了日、更新の記載、上限 |
| 更新時のメールや面談記録 |
更新の基準、継続についての説明 |
| 今回の通知 |
受け取った日、終了日、理由 |
| 自分からの連絡 |
更新を希望した日と伝えた内容 |
| 会社からの回答 |
証明書、回答日、説明の変更 |
面談の記録は、会社から聞いた言葉と、自分が受け取った意味を分けて書きます。「継続できると思っていた」だけでなく、どの説明を、いつ、どの場面で聞いたかを残します。正確な言葉を覚えていない部分は、そのことも記し、後から記憶を補って断定しません。
契約書を更新のたびに受け取っていなかった人は、手元にある給与明細や勤務予定、更新についての連絡も並べます。書類がない期間を、働いていなかった期間として空けてしまわず、勤務を続けていたことと、契約の文面を確認できていないことを別に記します。会社へ書類を求めた日も残します。
相談用の資料では、通知が出された日と、自分が受け取った日を区別します。メールを印刷するなら送受信の日時がわかる形にし、添付書類も対応させます。会社の説明に納得できない点は、該当する資料の横へ質問として書くと、相談中に確認し忘れることを防げます。
雇止めの効力などの民事上の争いは、厚生労働省の総合労働相談で相談できます。予告の基準や労働条件の明示に関する問題は労働基準監督署への相談も含め、どの窓口が扱う内容かを確認します。相談しただけで更新が決まるわけではありません。
相談では、更新して働きたいのか、会社の理由を確かめたいのか、離職後の手続きを進めたいのかも伝えます。希望が違うと、確認する順番も変わります。仕事内容や条件の変更を提案されたら、その条件を受け入れられるかも分けて考えます。
次の会社では、更新の条件と実際の継続状況を聞く
求人票では契約期間、更新の有無、判断基準、更新上限を読みます。面接では、今回の仕事が続く予定、更新を判断する時期と担当、上限を設けている理由を聞きます。「長期歓迎」という募集の言葉と、雇用契約の期間は別に確認します。
実績を聞くなら、対象の年度と雇用区分をそろえます。「登用する制度がある」という説明だけでなく、対象者のうち実際に何人が登用・転換したかを確かめます。採用者数や離職者数も、正社員と有期契約を混ぜた数字かどうかを聞きます。
厚生労働省のしょくばらぼで、採用や定着などの公開情報を読み、対象期間と雇用区分を確認します。掲載されていない更新実績を推測で埋めず、面接で聞く項目に残します。調べ方は企業研究の進め方で整理しています。その会社の実際の数字は、求人票・面接・しょくばらぼで確かめます。