給料日は、会社が定めた支払日です。全国共通の日付はなく、労働基準法24条は、原則として毎月1回以上、一定の期日を決めて支払うよう定めています。土日祝に重なるときは、就業規則や賃金規程にある扱いを確認します。厚生労働省の最新の令和7年の監督指導結果では、賃金不払事案は22,605件、対象労働者は173,016人でした。
振り込まれていないときは、給料の計算を区切る締め日と、実際に支払う日を分けて確認します。決められた支払日を過ぎているなら、給与明細、口座の入金記録、会社からの説明を保存します。理由がわからないまま、次の給料日まで待ち続ける必要はありません。
制度と統計は、厚生労働省の公式資料を2026年10月23日に確認しました。支払いの対象や請求できる額は、契約、働いた記録、既に支払われた額を突き合わせて確認します。
給料日は、締め日と支払月を一緒に読む
締め日は、どこまでの勤務を今回の給与として計算するかを区切る日です。支払日は、その給与を実際に受け取る日です。同じ日を指すとは限りません。求人票の支払日だけを見て、入社した月に通常の月給が全額入ると考えないようにします。
確認する場所は、労働条件の通知書、雇用契約書、就業規則、賃金規程です。「毎月の締め日」「当月払いか翌月払いか」「支払日」「休日と重なったとき」をひと続きで読みます。給与担当の案内と書面が違えば、どちらが適用されるかを聞きます。
| 書面の項目 |
確かめること |
| 締め日 |
どの日までの勤務が今回の計算に入るか |
| 支払月 |
締めた月に払うか、次の月に払うか |
| 支払日 |
毎月の何日に支払うか |
| 休日の扱い |
前後のどの日へ動くか |
| 初回の給与 |
入社日からどこまでを、いつ払うか |
基本給と残業代の締め日が違う会社なら、給与明細で対象期間を分けて確認します。働いた月と支払われた月が違うこと自体と、約束した日に支払われないことは別です。どの期間のどの項目が不足しているのかを絞ると、会社へ具体的に聞けます。
入社前は、最初の支払日までに必要な生活費も確認します。月給の額だけで家計を組むと、初回が途中入社の計算だったときに支払いの予定がずれます。初回の計算方法と対象期間を、内定時の条件確認に入れておきます。
転職前後の給与を比べるときも、口座へ入った月だけで判断しません。前職の最終給与と転職先の初回給与が同じ月に入ることもあれば、支払時期が離れることもあります。どちらも対象の勤務期間を記し、未入金と、まだ支払日が来ていない分を分けます。
賃金支払いの5原則は、受け取り方と支払時期のルール
厚生労働省の確かめよう労働条件にある賃金のQ&Aは、労働基準法24条の5原則と例外を説明しています。会社での呼び名が給与、給料、時給、日給のどれであっても、労働者として受け取る賃金の支払いを確認する基本です。
| 原則 |
内容 |
確認する点 |
| 通貨払い |
原則は現金で払う |
振込などは認められた方法か |
| 直接払い |
労働者本人に払う |
本人が受け取る仕組みか |
| 全額払い |
賃金の全額を払う |
控除に根拠があるか |
| 毎月払い |
毎月1回以上払う |
通常の給与をまとめて先送りしていないか |
| 一定期日払い |
決まった日に払う |
支払日を特定できるか |
出典:厚生労働省、確かめよう労働条件・賃金の額や支払方法に関するQ&A、賃金支払の5原則。労働基準法24条。
毎月払いと一定期日払いには、賞与や臨時に支払われる賃金などの例外があります。通常の給与が遅れている話と、賞与の支給日・支給条件の話を混ぜません。賞与の予定があるからといって、毎月の賃金を遅らせてよいわけではありません。
銀行振込は、本人の同意と受け取れる日を確かめる
通貨払いが原則でも、一定の条件を満たした銀行振込は認められています。厚生労働省のモデル就業規則は、本人の同意を得て、本人が指定する本人名義の口座に振り込めることを説明しています。
振込手続きを会社が済ませた日だけでなく、所定の支払日に引き出せる状態になっているかを確認します。会社から「送金した」と返事があっても、入金が確認できなければ、支払日、登録口座、振込の状況を給与担当に照会します。
賃金のデジタル払いも、どんな決済サービスでも会社が一方的に指定できる仕組みではありません。厚生労働省のモデル就業規則、令和7年12月版の第47条解説は、本人の同意を得て、厚生労働大臣の指定を受けた資金移動業者の口座へ支払う仕組みを説明しています。導入の案内を受けたら、銀行口座への支払いとの違いと、同意する内容を確認します。
全額払いは、額面と手取りが同じという意味ではない
所得税や住民税、社会保険料など、法令に根拠のある控除は認められています。社宅費などは、労使の書面による協定を含め、何を根拠に控除しているかを確認します。手取りが基本給より少ないことだけで、不払いだとは判断できません。
逆に、「仕事で損害を出した」「引き継ぎが終わっていない」と言われたことだけで、会社が一方的に給与を差し引けるわけでもありません。賃金のQ&Aは、損害賠償の請求権があっても、賃金と一方的に相殺できないと説明しています。差し引かれた項目と理由を聞き、明細に残します。
見比べるのは、支給の合計、控除の内訳、差引支給額、実際の入金額です。明細の読み方は給与明細の見方で確認できます。明細が発行されていても、それだけで入金まで済んだ証拠にはなりません。
給料日が土日祝なら、会社の休日規定を確認する
給料日が休日に重なったら必ず直前の営業日になる、と全国一律には決められません。会社があらかじめ定めている繰上げ・繰下げの規定を確認します。金融機関の休業日と会社の休日が同じかどうかも、規定の言葉を読んで確かめます。
厚生労働省の規則の見本であるモデル就業規則、令和7年12月版の第46条は、支払日が休日なら前日に繰り上げる規定例です。これは会社が規則を作るための見本であり、すべての職場へそのまま適用される規則ではありません。
| 規定で見つけたい言葉 |
会社へ聞くこと |
| 休日は繰り上げる |
連休なら実際の支払日はいつか |
| 休日は繰り下げる |
どの営業日に支払うか |
| 金融機関の休業日 |
対象となる日と振込日をどう決めるか |
| 休日の記載がない |
どの規定に基づいて支払うか |
連休の前は、家賃やカードの引き落とし日と、実際の給料日を別々に確認します。口座の残高が増えた日から逆算するだけでは、会社がどういう規定で払っているかがわかりません。給与担当の案内や、社内の年間予定に支払日の記載があれば照合します。
もともとの休日規定に沿って日が動くことと、資金繰りなどを理由に、今月だけ会社が支払いを先送りすることは違います。「土日だから」という説明が、書面の規定と合っているかを見ます。後日払うと言われたら、その日付と理由を残します。
入金される時刻まで、すべての金融機関で共通とは言えません。深夜に残高が変わらないことだけで結論を出さず、所定の支払日に受け取れる状態かを確認します。支払日当日でも、会社が払わないと説明しているなど、事情がはっきりしていれば、その説明を持って相談します。
給料が遅れたら、記録を残して対象の賃金を確かめる
会社へ連絡する前に、支払日、給与の対象期間、入金の有無を並べます。「入っていない気がする」から、どの期間のいくらが支払われていないかへ整理します。給与明細が手元になければ、過去の明細や契約書など、今ある資料で相談を始めます。
最初の連絡では、給料の対象期間と約束した支払日を伝え、支払状況を確認します。振込口座の登録違いなどの事務処理なのか、会社が支払えないと言っているのかで、聞く内容が変わります。電話で回答を受けたときは、後から日時と内容をメモします。
【対象月】分の給与について、所定の支払日【支払日】を過ぎましたが入金を確認できません。現在の支払状況と、未払いがある場合の対象・金額・支払予定日を回答してください。
文面に書く額がまだ確定しないなら、無理に金額を埋めません。基本給は未払いか、残業代だけ不足しているか、控除に疑問があるかを分けて問い合わせます。「全部払った」と言われたら、支払日と内訳がわかる資料を求めます。
会社が支払予定日を答えたら、その日を記録します。ただし、新しい予定日を聞くことと、当初の支払日の遅れに同意することは同じではありません。繰り返し日を延ばされている、連絡が取れないときは、次の約束を待つだけにせず窓口へ相談します。
持っていく資料は、契約・勤務・入金の記録
| 資料 |
確認する内容 |
| 契約書や条件の通知 |
賃金額、締め日、支払日 |
| 就業規則や賃金規程 |
休日の扱い、手当、控除 |
| 給与明細 |
支給額、控除額、差引支給額 |
| 勤怠や業務の記録 |
働いた期間、時間、仕事内容 |
| 通帳や入出金履歴 |
入金の有無、入金日、受取額 |
| 会社との連絡 |
請求した日、回答、支払予定日 |
不足額を自分で整理した表と、会社が発行した明細は区別して持ちます。自分の計算を会社が認めた金額として扱わず、どこが一致し、どこが食い違うかを相談先へ伝えます。部分的な支払いがあったら、受取日と額を追記し、残っている部分を更新します。
賃金不払事案の業種別ランキングは、商業が最多
厚生労働省の賃金不払が疑われる事業場に対する監督指導結果、令和7年の別紙資料から、業種別の件数を多い順に並べました。令和7年に労働基準監督署が扱った賃金不払事案の集計です。平均や中央値ではなく、件数と、その全体に占める割合です。
表は資料の2ページ、業種別の監督指導状況の①件数を使っています。その他の内訳も確認し、その他を除く上位6業種を掲載しました。給与全部の未払いだけでなく、一部が支払われない事案も含む集計で、給料日が遅れた件数だけを数えたものではありません。
| 順位 |
業種 |
件数 |
割合 |
| 1 |
商業 |
4,701件 |
20.8% |
| 2 |
製造業 |
4,370件 |
19.3% |
| 3 |
保健衛生業 |
3,620件 |
16.0% |
| 4 |
接客娯楽業 |
2,813件 |
12.4% |
| 5 |
建設業 |
2,290件 |
10.1% |
| 6 |
運輸交通業 |
1,152件 |
5.1% |
出典:厚生労働省、賃金不払が疑われる事業場に対する監督指導結果、令和7年・別紙2ページ、2.業種別の監督指導状況、①件数。その他を除く上位6業種。
全体は22,605件、対象労働者は173,016人です。その他には教育・研究業598件、清掃・と畜業567件などが含まれます。上位だけの合計を、全件数と読み替えないようにします。
この順位は、その業種で働く人が未払いに遭う確率の順位ではありません。業種ごとの労働者数や事業場数で割った率ではなく、監督署が扱った事案の件数です。件数が少ない業種なら自分の会社も大丈夫、とは判断できません。
指導で支払われた件数も、自分の回収の約束ではない
同資料の1ページでは、令和7年中に支払われた件数は21,731件、割合は96.1%です。この数字には、不払賃金の一部のみが支払われた事案も含むという注記があります。「相談すれば必ず全額戻る」という成功率には使えません。
支払われなかった件数には、翌年へ繰り越された事案、倒産や事業主の行方不明によるものも含まれます。公表値の割合を個人の結果に当てはめず、会社の状況、未払いの対象、残っている資料を窓口で確認します。
未払いは労働基準監督署に、資料を持って相談する
決められた日の賃金が払われていないときは、労働基準監督署へ相談できます。通常の給与の不足なのか、残業代の計算なのか、契約した賃金そのものの争いなのかを説明します。賃金の変更に関する争いなど、内容によって別の手続きや窓口を案内されることもあります。
会社への請求記録は役立ちますが、会社に強く要求し切ってからでなければ相談できない、と待つ必要はありません。体調や職場での関係がつらく、連絡を取れない事情も、そのまま相談先に伝えます。持ち物と相談の進め方は労基署への相談で整理しています。
会社へ求める内容は、支払予定を知りたいのか、給与の不足分を確かめたいのか、未払いの是正を求めたいのかに分けます。窓口で説明しやすくなるだけでなく、会社の返事が自分の質問に答えているかも確認できます。
監督署への相談が、その場で本人の口座に入金される手続きというわけではありません。指導の後も入金がなければ、その事実を伝え、利用できる手続きを確認します。請求できる期間を過ぎないよう、退職まで待たず、未払いがわかった段階で相談します。
非常時払は、既に働いた分を給料日前に請求する制度
労働基準法25条は、出産、疾病、災害などの非常の費用に充てるため、本人が請求したときに、支払日前でも既に働いた分の賃金を支払う制度です。厚生労働省の賃金関係の案内は、今後働く予定の分の前借りとは区別しています。
給料日前にお金が必要という事情だけで、必ず対象になるとは限りません。何の費用が必要か、既に働いた期間はどこまでかを会社へ伝えます。会社独自の前払いサービスがあるかどうかと、法律上の非常時払に該当するかどうかも、別に確認します。
【必要な費用】のため、既に勤務した【対象期間】分の賃金について、非常時払の対象になるか確認したいです。必要な手続きと、支払対象の金額をご案内ください。
受け取れる額を通常の月給全額と決めつけず、既に働いた分の賃金として会社に計算を確認します。必要な費用の説明に何を用意するかも聞きます。事情を伝えても対応されないときは、請求した内容と会社の回答を残し、労基署などに確認します。
退職時の賃金は、請求からの期限を確認する
労働基準法23条では、退職した労働者から請求があった場合、会社は請求日から7日以内に賃金を支払う必要があります。厚生労働省の群馬労働局の支払いの解説は、所定の給料日にかかわらず支払うこと、争いがあれば異議のない部分を支払うことを説明しています。
「退職日から自動的に7日」と覚えず、請求した日を残します。退職して通常の支払日を待つのか、23条に基づいて賃金の支払いを請求するのかを区別します。会社への連絡は、未払いの対象期間と請求内容がわかる形にします。
退職に伴い、【対象期間】分の未払い賃金の支払いを請求します。支払額の内訳と支払日をご回答ください。金額に争いがある部分は、争いのない部分と分けてお知らせください。
退職金には、あらかじめ支払時期を定めているときの扱いがあります。最後の通常給与と退職金を一括して、どちらも必ず請求後7日と判断しません。退職金規程に支払時期の定めがあるかも確認します。
貸与品の返却や引き継ぎの連絡と、働いた賃金の支払いは、項目を分けて進めます。退職後に会社のシステムへ入れなくなると、明細や勤怠を見返せなくなることがあります。自分の給与や勤務の資料を確認できる方法を、退職前に会社へ聞いておきます。
入社前に、その会社の給与と働き方の実績を確かめる
求人票で月給の額と内訳を読み、面接では締め日、支払日、休日の扱い、初回給与の計算対象を聞きます。入社前に渡される条件の通知と説明が一致しているかまで確認します。給料日が希望と違うだけで会社の良し悪しを決めず、自分の生活費の支払予定と組み合わせます。
給与の額は、基本給、手当、固定残業代、賞与の実績を分けます。働き方も、残業や有給休暇の数字の対象期間と、配属予定の部署に近い数字かを確認します。会社全体の平均だけでは、応募する仕事の月給や残業代の実態はわかりません。
厚生労働省のしょくばらぼで採用や働き方の公開情報を確認し、書かれていない項目は面接で聞きます。公開情報を調べる順番は企業研究の進め方で整理しています。その会社の実際の数字は、求人票・面接・しょくばらぼで確かめます。