福岡県の最低賃金は、令和8年(2026年)10月4日から時間額1,114円です。前年度の1,057円から57円上がり、引上げ率は5.4%でした。47都道府県の改定額を高い順に並べると20番目で、九州・沖縄の8県の中では最も高い額です。福岡県内の事業場で働く人なら、正社員、パート、アルバイト、派遣の別なくこの額が下限になります。
ただし、時給が1,114円を超えていれば働き方まで分かる、というものではありません。同じ時給でも、残業が多い会社と少ない会社では生活が違います。福岡県の会社の残業時間や有給休暇の数字は、福岡県の会社を採用の数字で比べるページで並べています。求人票の時給と、こうした会社の数字を合わせて見てください。
福岡県の最低賃金は1,114円:いつから適用されるか
使う資料は、厚生労働省の令和8年度 地域別最低賃金 全国一覧と、福岡労働局の福岡県の最低賃金のページです。どちらも2026年10月25日に開いて確認しました。
| 項目 |
福岡県の値 |
| 令和8年度の時間額 |
1,114円 |
| 改定前(令和7年度) |
1,057円 |
| 引上げ額 |
57円 |
| 引上げ率 |
5.4% |
| 発効日 |
令和8年10月4日 |
| 47都道府県での順位 |
20番目 |
出典:厚生労働省、令和8年度 地域別最低賃金 全国一覧。順位は47都道府県の改定額を高い順に並べて数えたもので、福岡県と同じ額の県はありません。
発効日は10月4日なので、10月3日までに働いた時間は1,057円、10月4日以降に働いた時間は1,114円が基準です。給料の締め日が月末でも、発効日をまたぐ月は日ごとに分けて考えます。10月分の給与明細を見るときは、10月4日以降の勤務に1,114円以上が払われているかを確かめます。
全国加重平均は1,177円(改定前1,121円)で、福岡県はこれより63円低い額です。ただ、全国加重平均は働く人の多い都府県の額に引っ張られる数字です。福岡県で働く人が比べる相手は、全国平均ではなく福岡県の1,114円です。
改定前の額で並べても、福岡県は20番目でした。順位は前の年度と変わっていません。引上げ額57円は全国加重平均の56円より1円大きく、九州の他県には60円以上上げた県もあります。
九州・沖縄の8県と比べると最も高い
同じ地方の県と並べると、福岡県の位置がはっきりします。次の表は、全国一覧の値を九州・沖縄の8県だけ取り出し、改定額の高い順に並べたものです。
| 県 |
令和8年度 |
改定前 |
引上げ額 |
発効日 |
| 福岡 |
1,114円 |
1,057円 |
57円 |
10月4日 |
| 大分 |
1,096円 |
1,035円 |
61円 |
11月1日 |
| 佐賀 |
1,095円 |
1,030円 |
65円 |
11月15日 |
| 熊本 |
1,092円 |
1,034円 |
58円 |
12月1日 |
| 鹿児島 |
1,090円 |
1,026円 |
64円 |
10月25日 |
| 長崎 |
1,087円 |
1,031円 |
56円 |
11月2日 |
| 沖縄 |
1,086円 |
1,023円 |
63円 |
12月2日 |
| 宮崎 |
1,085円 |
1,023円 |
62円 |
10月24日 |
出典:厚生労働省、令和8年度 地域別最低賃金 全国一覧。発効日はすべて令和8年です。
福岡県と2番目の大分県の差は18円です。一方で、引上げ額は佐賀県の65円、鹿児島県の64円のほうが大きく、九州の中では額の差が縮まっています。
発効日がばらばらな点にも気をつけます。2026年10月29日の時点で、大分、佐賀、熊本、長崎、沖縄はまだ改定前の額です。県境の近くで働く人や、県外の店舗へ応援に行く人は、働く事業場がある県の額と発効日を見ます。
福岡県の最低賃金の推移:令和に入って上げ幅が大きくなった
平成29年度からの10年分を、福岡労働局の推移表で確かめました。引上げ額は、前の年度の時間額との差を計算したものです。
| 年度 |
時間額 |
引上げ額 |
発効日 |
| 平成29年度 |
789円 |
24円 |
平成29年10月1日 |
| 平成30年度 |
814円 |
25円 |
平成30年10月1日 |
| 令和元年度 |
841円 |
27円 |
令和元年10月1日 |
| 令和2年度 |
842円 |
1円 |
令和2年10月1日 |
| 令和3年度 |
870円 |
28円 |
令和3年10月1日 |
| 令和4年度 |
900円 |
30円 |
令和4年10月8日 |
| 令和5年度 |
941円 |
41円 |
令和5年10月6日 |
| 令和6年度 |
992円 |
51円 |
令和6年10月5日 |
| 令和7年度 |
1,057円 |
65円 |
令和7年11月16日 |
| 令和8年度 |
1,114円 |
57円 |
令和8年10月4日 |
出典:福岡労働局、福岡県最低賃金改正の推移(令和7年度まで)、令和8年度は厚生労働省の全国一覧。
平成29年度の789円から令和8年度の1,114円まで、9回の改定で325円上がりました。令和2年度は1円だけの引上げでしたが、令和5年度からは毎年40円を超えています。1,000円を初めて超えたのは令和7年度の1,057円です。
令和7年度は発効日が11月16日と遅く、それまでの10月と11月前半は992円のままでした。年度によって発効日が動くので、「毎年10月1日から上がる」と決めつけず、その年の発効日を確かめます。
福岡県の特定最低賃金:百貨店・総合スーパーは県の額が適用
福岡県には、地域別最低賃金とは別に、5つの産業で特定最低賃金が決められています。特定最低賃金は、その産業の基幹的な仕事をする人に適用されるものです。厚生労働省の最低賃金の種類の説明どおり、地域別と特定の両方がかかる人には、高いほうの額以上を払う必要があります。
| 業種 |
時間額 |
発効日 |
今の扱い |
| 製鉄業、製鋼・製鋼圧延業、鋼材製造業 |
1,176円 |
令和7年12月10日 |
特定最低賃金 |
| 輸送用機械器具製造業 |
1,147円 |
令和7年12月10日 |
特定最低賃金 |
| 電子部品・デバイス・電子回路、電気機械器具、情報通信機械器具製造業 |
1,137円 |
令和7年12月10日 |
特定最低賃金 |
| 自動車(新車)小売業 |
1,131円 |
令和7年12月10日 |
特定最低賃金 |
| 百貨店、総合スーパーマーケット |
1,065円 |
令和8年2月1日 |
県の1,114円 |
出典:福岡労働局、福岡県の最低賃金のページ(2026年10月25日確認)。今の扱いは、各業種の時間額と福岡県最低賃金1,114円を比べて高いほうを書いたものです。
上の4業種は、特定最低賃金のほうが県の額より高いので、該当する人には特定最低賃金が下限になります。たとえば製鉄業の基幹的な仕事なら、1,114円ではなく1,176円以上です。
百貨店、総合スーパーマーケットの1,065円は、10月4日からの県の額1,114円を下回りました。この業種で働く人には、県の1,114円が適用されます。福岡労働局の特定最低賃金の推移を見ると、改正の発効日は12月10日の年が多く、地域別最低賃金より後に切り替わります。
5業種に当てはまらない会社や仕事なら、福岡県最低賃金の1,114円だけを見れば足ります。自分の会社がどの業種に入るかは、日本標準産業分類で決まります。分からないときは、会社か福岡労働局に聞くのが早いです。
月給と年収に直した計算:時給×時間数で出す
時給1,114円で働いたときの金額を、前提を決めて計算します。ここで出すのは額面(税金や社会保険料を引く前)です。手取りではありません。
| 働き方の前提 |
1か月の時間 |
1か月の額 |
12か月の額 |
| 1日8時間・月20日 |
160時間 |
178,240円 |
2,138,880円 |
| 1日8時間・月21日 |
168時間 |
187,152円 |
2,245,824円 |
| 1日4時間・月20日 |
80時間 |
89,120円 |
1,069,440円 |
計算:1,114円 × 160時間 = 178,240円、178,240円 × 12か月 = 2,138,880円。ほかの行も時給×時間数で出しています。残業代、賞与、手当は入れていません。
改定前の1,057円で同じ160時間働くと169,120円でした。57円の引上げで、1か月160時間なら9,120円、12か月なら109,440円の差になります。
フルタイムで1年働いても、最低賃金ちょうどの時給なら額面で200万円台前半です。福岡県全体の働く人の平均とどれだけ違うかは、福岡県の平均年収で年齢別・業種別の数字を見られます。
月給制・日給制の人は時間額に直して比べる
月給制の人は、月給をそのまま1,114円と比べられません。福岡労働局のページは、月給を1か月平均の所定労働時間で割って比べるよう書いています。
| 給与の形 |
比べ方 |
| 時給 |
時給 ≧ 1,114円 |
| 日給 |
日給 ÷ 1日の所定労働時間 ≧ 1,114円 |
| 月給 |
月給 ÷ 1か月平均の所定労働時間 ≧ 1,114円 |
出典:厚生労働省、最低賃金額以上かどうかを確認する方法。
たとえば年間の所定労働時間が1,920時間の会社なら、1か月平均は160時間です。月給(対象となる賃金だけ)が178,240円より少なければ、1,114円を下回ります。所定労働時間は、残業を入れた実際の労働時間ではありません。年間休日や1日の所定時間から月平均を出す手順は、時給の計算と最低賃金との比べ方で詳しく書いています。
最低賃金との比較に入れない手当
比べる月給には、毎月の基本的な賃金だけを入れます。厚生労働省の対象となる賃金の説明で、次の賃金は除きます。
| 除く賃金 |
例 |
| 臨時に支払われる賃金 |
結婚手当など |
| 1か月を超える期間ごとに支払われる賃金 |
賞与など |
| 所定労働時間を超える労働の賃金 |
時間外割増賃金など |
| 所定労働日以外の労働の賃金 |
休日割増賃金など |
| 午後10時から午前5時の労働のうち通常の賃金を超える部分 |
深夜割増賃金など |
| 精皆勤手当、通勤手当、家族手当 |
― |
出典:厚生労働省、最低賃金特設サイト、対象となる賃金は?
総支給額が20万円を超えていても、その中に残業代や通勤手当が多く入っていれば、基本給と毎月の手当だけでは1,114円に届かないことがあります。給与明細を見るときは、基本給、職務手当などの毎月決まった手当、残業代、通勤手当を分けて書き出します。
福岡県の最低賃金を下回っていたときの相談先
最低賃金より低い時給で合意していても、その部分は無効です。厚生労働省の最低賃金とはの説明では、最低賃金と同じ定めをしたものとみなされ、会社は差額を払う必要があります。地域別最低賃金を払わない場合の罰則(50万円以下の罰金)も最低賃金法にあります。
相談の前に、次をそろえておくと話が早く進みます。
- 給与明細(10月4日の前後を含む月)
- 労働条件通知書か雇用契約書
- 勤務した日と時間の記録(シフト表、タイムカードの写し、自分のメモ)
まず会社の担当者に、時給と計算方法を確認します。それで直らないときや、会社に言いにくいときは、福岡労働局の労働基準部賃金室か、勤務先を管轄する労働基準監督署に相談できます。窓口は福岡労働局の最低賃金・最低工賃関係のページと、厚生労働省の都道府県労働局の所在地一覧から確かめられます。
その会社の実際の数字は、求人票・面接・しょくばらぼで確かめる
最低賃金は、法律で決まった下限です。最低賃金ぎりぎりの時給かどうかは、会社の公開データでは分かりません。求人票の時給と、会社が公開している残業時間・有給休暇の数字を合わせて見ることで、その職場で働いたときの生活が見えてきます。
福岡県の会社の数字は、福岡県のランキングにまとめています。残業時間が少ない順と有給休暇の取得率が高い順の表から、会社ごとのページへ進めます。市ごとに見たいときは、福岡市・北九州市・久留米市のページがあります。
求人票では、時給のほかに、所定労働時間、固定残業代の有無、昇給の基準を見ます。面接で聞けることは、繁忙期の残業、シフトの決め方、有給休暇の取り方です。厚生労働省のしょくばらぼでも、会社が公表した残業や有給の数字を確かめられます。全国のほかの県と並べて見たいときは、最低賃金ランキング2026に47都道府県の表があります。