インターンシップには、文部科学省・厚生労働省・経済産業省の合意で4つのタイプがあります。タイプ1オープン・カンパニー、タイプ2キャリア教育、タイプ3汎用的能力・専門活用型インターンシップ、タイプ4高度専門型インターンシップ(試行)です。このうち「インターンシップ」と呼べるのは、就業体験を伴うタイプ3と4だけです。要件を満たすタイプ3で企業が得た学生の情報は、広報活動の開始以降に限り、採用活動に使えます。
内閣府の令和7年度の調査では、インターンシップと呼称されるものに参加した学生は74.6%でした。この記事の定義と要件は、文部科学省が公開している三省合意の文書と内閣府・内閣官房の資料で、2026年10月26日に確かめました。参加するプログラムがどのタイプかは、企業の募集要項で確かめます。
4つのタイプの違い
根拠は、文部科学省・厚生労働省・経済産業省が合意したキャリア形成支援の取組の基本的考え方で、三省合意と呼ばれます。平成9年に作られ、令和4年6月13日に改正されました。経団連と大学関係者でつくる採用と大学教育の未来に関する産学協議会の整理を取り入れています。
| タイプ |
名前 |
就業体験 |
| タイプ1 |
オープン・カンパニー |
必須でない |
| タイプ2 |
キャリア教育 |
必須でない |
| タイプ3 |
汎用的能力・専門活用型 |
必須 |
| タイプ4 |
高度専門型(試行) |
必須 |
文部科学省の概要資料は、タイプ1と2はインターンシップと呼ばないもの、タイプ3と4はインターンシップと呼んで行うものに分けています。タイプ1と2の目的は個社・業界の情報提供や教育で、タイプ3と4の目的は、学生が自分の能力を見極めることと、企業が評価材料を得ることです。
タイプ1:オープン・カンパニー
企業や業界の情報を伝える取組です。会社説明会や職場見学に近く、就業体験は必須ではありません。三省合意は、タイプ1では原則として大学の単位は認定されないと見ています。短い時間で多くの会社を知るのに向いています。
三省合意の別紙2では、タイプ1で企業が得た学生情報は、広報活動や採用選考活動に使えません。採用に情報を使えるのは、要件を満たしたタイプ3だけです。オープン・カンパニーは選考の場ではないので、気軽に複数の会社を見て回る使い方ができます。ただし、学生が自分で出すエントリーシートに参加したことを書けば、ほかの書類と同じように選考で読まれます。
タイプ2:キャリア教育
大学の授業や、企業が大学と組んで行うプログラムなど、働くことを学ぶための教育です。これも就業体験は必須ではありません。
タイプ3:汎用的能力・専門活用型
就業体験が必須のインターンシップです。汎用的能力活用型と、専門能力活用型があります。次の節の5つの要件を満たすと、企業は得た学生情報を採用活動に使えます。
タイプ4:高度専門型(試行)
博士課程の学生のジョブ型研究インターンシップなどで、令和3年度から試行的に行われています。修士課程向けの詳細は、三省合意の時点で今後検討するとされています。
タイプ3に求められる要件
三省合意の別紙2は、産学協議会の基準に準拠したタイプ3の要件を次のように定めています。
| 要件 |
中身 |
| 就業体験 |
期間の半分を超える日数を職場で |
| 指導 |
社員が指導し、終了後に評価を返す |
| 期間 |
汎用型5日間以上、専門型2週間以上 |
| 時期 |
学部3・4年、修士1・2年の長期休暇 |
| 情報開示 |
募集要項とHPで公表 |
情報開示で公表する項目は、プログラムの目的、実施時期・期間・場所・募集人数・選抜方法・無給か有給か、就業体験の内容、求められる能力、フィードバックの方法、採用活動開始以降に学生情報を使う旨、その年度の実施計画、過去2〜3年程度の実施実績などです。応募前に、募集要項にこれらが書かれているかを見れば、タイプ3かどうかの見当がつきます。
企業が学生情報を採用に使える時期
三省合意の別紙2は、令和6年度以降に卒業・修了する学生を対象に、令和5年度以降に行う取組で得た学生情報の扱いを定めています。
| 取組の時期 |
基本 |
趣旨を示したタイプ3 |
| 卒業前年度の2月末まで |
使えない |
3月から広報、6月から選考 |
| 3月〜卒業年度の5月 |
使えない |
広報に使える。6月から選考 |
| 卒業年度の6月以降 |
使えない |
使える |
ポイントは、タイプ1〜4は採用活動そのものではないことです。概要資料は、学生は採用選考活動の開始以降に、改めて採用選考のためのエントリーが必要としています。インターンシップに参加しただけで選考に申し込んだことにはなりません。
2025年度卒からの「複線化」
内閣官房の2026年度卒業予定者向けの案内では、2025年度卒以降の学生は、卒業年度に入る直前の春休み以降に行われる専門活用型インターンシップ(2週間以上)で高い専門的知識や能力を持つと判断されれば、6月より前から採用選考に移れるとしています。
内閣官房の就職・採用活動のページによると、2027年度卒業・修了予定者の日程ルールは、広報活動開始が3月1日以降、採用選考活動開始が6月1日以降、正式な内定日が10月1日以降です。学年ごとの流れは就活はいつからで整理しています。
学生の参加状況:内閣府の令和7年度調査
内閣府の学生の就職・採用活動開始時期等に関する調査は、令和7年度に卒業・修了予定の大学4年生と大学院2年生に聞いた調査です。有効回答は4,415人でした。2023年度調査からは、「インターンシップと呼称されるもの」について聞いています。タイプ1や2が混ざっている可能性がある点に注意して読みます。
| 調査年度 |
参加した |
5日以上を経験 |
| 2021年度 |
73.2% |
20.1% |
| 2022年度 |
72.8% |
21.2% |
| 2023年度 |
77.1% |
24.6% |
| 2024年度 |
76.1% |
34.6% |
| 2025年度 |
74.6% |
40.1% |
参加率は7割台で大きくは動いていませんが、5日以上のプログラムを経験した学生は、2021年度の20.1%から2025年度の40.1%に増えました。参加した中での最長日数は、2025年度調査で5〜10日が29.9%と最も多く、1日が22.2%、半日が8.1%でした。
同じ調査では、参加したインターンシップと呼称されるものが採用のための実質的な選考を含んでいた割合が58.6%でした。参加後に受けた接触では、早期選考の案内が73.5%です。インターンシップの名前が付いていても、中身が選考に近いものが増えていると読めます。参加する前に、そのプログラムが選考とどうつながるのかを募集要項で確かめ、書かれていなければ説明会で質問します。
日数が長いほど、効果を感じる学生が多い
同じ調査は、参加した効果を、半日・1日のものと5日間以上のものに分けて聞いています。「そう思う」と答えた学生の割合です。
| 参加した効果 |
半日・1日 |
5日以上 |
| 業界・業種を理解できた |
60.2% |
79.9% |
| 会社の雰囲気を理解できた |
45.3% |
74.7% |
| 仕事の内容を具体的に知れた |
50.9% |
74.0% |
| 将来設計を考えるのに役立った |
23.9% |
50.9% |
| 選考で一部省略などの優遇 |
33.9% |
50.1% |
| 内々定につながった |
24.4% |
39.9% |
| 専門の知識・スキルが身についた |
10.4% |
25.9% |
会社の雰囲気と将来設計は、5日以上のほうが25ポイント以上高くなっています。一方で、学業に支障が出たと強く感じた学生も、半日・1日の8.5%に対して5日以上は12.8%でした。長いプログラムほど得られるものは多いですが、授業や試験の日程と重ならないかを先に確かめます。
参加の時期と方法
同じ調査では、大学4年生の参加は大学3年生の7月から本格化していました。大学院2年生では、大学院1年生の7月からです。参加の方法は、2025年度調査で対面のみが43.4%、ウェブ等のみが51.1%、両方が5.5%で、対面のみの割合は年々増えています。
参加が本格化する3年生の7月より前に、気になる業界の募集要項を一度見ておくと、タイプ3に当たるプログラムを選びやすくなります。
参加するプログラムの選び方
1. どのタイプかを募集要項で確かめる
日数、就業体験の割合、フィードバックの有無、学生情報を採用に使う旨の記載を見ます。過去の実施実績が載っているかも手がかりです。1日の説明会型ならタイプ1で、会社を広く知るために使います。5日間以上で職場の社員が指導するならタイプ3の可能性が高く、その会社で働く自分を確かめる機会になります。
2. 学業との両立を考える
タイプ3は長期休暇中に行うことが要件です。授業期間中に何日も拘束するプログラムは、要件から外れている可能性があります。ゼミや試験の日程と重なるときは、日程の変更ができるかを先に問い合わせます。
3. 参加後の扱いを聞く
フィードバックの内容と、参加後の選考の流れを確かめます。参加を断ったり、別の会社の選考を受けたりしたことで不利な扱いを示されたら、大学のキャリアセンターや新卒応援ハローワークに相談します。
受け入れる企業に求められていること
三省合意は、インターンシップを受け入れる企業に、次の点に気をつけるよう求めています。応募する側にとっては、プログラムの質を見る手がかりになります。
| 項目 |
三省合意の考え方 |
| 実施体制 |
目的と方法をはっきりさせ、大学と連携する |
| 経費・報酬 |
大学と企業が個別に協議して決める |
| 安全・災害補償 |
責任範囲を事前に決め、補償を確保する |
| ハラスメント |
現場の対応は企業が責任を持つ |
| 労働関係法令 |
使用従属関係があれば適用される |
| 公正性 |
受け入れの公正性・透明性のルールを作る |
三省合意は、受け入れる企業と学生の間に使用従属関係などがあると認められる場合には、労働関係法令が適用されることもあり、その場合は企業が法令を守る必要があるとしています。無給のプログラムで、実際の業務を長時間任されていると感じたら、大学のキャリアセンターに相談します。
ハラスメントへの対応は、企業が責任を持つものとされています。参加中に困ったことが起きたときの連絡先が、募集要項や初日の説明で示されているかも確かめておきます。
参加したら、企業研究とエントリーシートにつなげる
就業体験で見た仕事の中身、社員の働き方、受けたフィードバックは、志望動機の材料になります。メモを残しておき、企業研究の手順に沿って公的なデータと照らし合わせます。手順は企業研究のやり方で、書類への書き方はエントリーシートの書き方で確かめます。
その会社の数字は、求人票・面接・しょくばらぼで見る
インターンシップで見えるのは、限られた部署の限られた期間です。会社全体の残業時間、有給休暇の取得日数、新卒の離職の状況は、別に確かめます。厚生労働省のしょくばらぼでは、掲載企業の採用者数や離職者数、残業時間を見られます。気になった点は、選考の場で質問として聞きます。