新卒の3年以内離職率は、大学卒33.8%、高校卒37.9%、短大等卒44.5%、中学卒54.1%です。厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況」の最新公表、令和4年3月卒業者の数字です。2026年10月22日に確認しました。応募先を見るときは、この全国値に加え、同じ入社年度の新卒採用者が今何人在籍しているかを確かめます。
離職率は会社の良し悪しを決める点数ではありません。転職して仕事を変えた人も、別の事情で辞めた人も含みます。全国でどのくらいの人が最初の職場を離れたかを押さえ、応募先の研修、配属、働く時間の質問に使います。
学歴別の3年以内離職率:大学卒33.8%、高校卒37.9%
対象は令和4年3月に卒業して就職した人です。割合の単位は%で、平均勤続年数や離職までの期間の中央値ではありません。就職者のうち、就職後3年以内に最初の事業所を離職した人の割合です。
| 学歴 |
1年目 |
2年目 |
3年目 |
3年以内合計 |
| 中学卒 |
32.9% |
13.0% |
8.1% |
54.1% |
| 高校卒 |
17.9% |
11.5% |
8.5% |
37.9% |
| 短大等卒 |
19.3% |
13.7% |
11.5% |
44.5% |
| 大学卒 |
12.1% |
11.9% |
9.9% |
33.8% |
出典:厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況(令和4年3月卒業者)」資料全体版別紙1「学歴別就職後3年以内離職率の推移」、別紙3。公表値のまま掲載。
1年目、2年目、3年目は、各年に離職した人の割合です。大学卒の2年目11.9%は、1年目を乗り切った人のうち11.9%が辞めたという意味ではありません。いずれも、最初の就職者数を分母にしています。
内訳を足しても合計と一致しない箇所があります。資料では、それぞれ小数第2位を四捨五入しているためと説明しています。足し算に合わせて合計を直したり、どれかの年の値を変えたりはしません。
「短大等」は資料の学歴区分です。短期大学だけの数字として扱わず、専修学校などを含む区分として読みます。大学卒と比較するときも、働き始める年齢や職種の構成が違うため、学歴だけが離職の原因だとは言えません。
全体の離職率と、新卒の3年以内離職率は分母が違う
新卒の数字は、ある年の卒業者を一定期間追って数えています。毎年の入退職を集計する雇用動向調査の離職率とは違います。社員全体の年間の離職率と、新卒の3年以内離職率をそのまま並べて、高い・低いと判断することはできません。
社員全体の動きを調べるときは離職率の平均と業界別の数字を使い、新卒の定着を見るときは本記事の表を使います。面接で「離職率は低いです」と言われたときも、社員全体か、新卒だけか、何年間の数字かを確認します。
厚生労働省の集計は、事業所から届け出られた雇用保険の加入記録、生年月日、資格取得日などから新規学卒就職者を推定し、その後の離職日で数えています。学校を卒業した人全員へのアンケートではなく、雇用保険に加入した新卒就職者が対象です。
そのため、卒業者全体のうち何%が仕事を失ったかを示す数字でもありません。最初の職場を離れた後に、別の会社で働いている人もいます。離職率から、その後ずっと無職だった人の割合を読み取ることはできません。
事業所規模別ランキング:大卒は5人未満57.5%、1,000人以上27.0%
令和4年3月卒業者の3年以内離職率を、事業所の人数で分けました。大卒の離職率が高い順です。企業全体の規模別ではありません。
| 順位 |
事業所規模 |
大学卒 |
高校卒 |
| 1 |
5人未満 |
57.5% |
63.2% |
| 2 |
5〜29人 |
52.0% |
54.6% |
| 3 |
30〜99人 |
41.9% |
45.2% |
| 4 |
100〜499人 |
33.9% |
36.7% |
| 5 |
500〜999人 |
31.5% |
29.9% |
| 6 |
1,000人以上 |
27.0% |
26.3% |
出典:厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況(令和4年3月卒業者)」別紙2・別紙3「事業所規模別就職後3年以内の離職率」。対象・期間は学歴別表と同じ。
大きな企業に応募しても、働く営業所や工場、店舗の人数は小さいことがあります。募集要項にあるグループ全体の従業員数だけで、この表のどこに入るかを決めないことです。
規模が小さい職場に応募するなら、教育を誰が担当するか、担当者が休んだ日に誰へ聞けるかを確認します。人数が少ないこと自体より、仕事を覚える途中で相談先がなくならないかが、自分に関係する点です。
規模の大きい職場では、研修があっても配属後の支援が別になっていることがあります。集合研修の説明だけで終わらず、配属先の担当者、面談の機会、異動を相談する手順まで聞きます。
大卒の産業別ランキング:離職率が高い上位は宿泊・飲食55.4%
令和4年3月卒の大学卒について、「その他」を除いた産業を高い順に並べた上位です。割合は各産業の新卒就職者に対する3年以内離職者の割合。高卒は同じ産業の値を併記しました。
| 順位 |
産業 |
大学卒 |
高校卒 |
| 1 |
宿泊業・飲食サービス業 |
55.4% |
64.7% |
| 2 |
生活関連サービス業・娯楽業 |
54.7% |
61.5% |
| 3 |
教育・学習支援業 |
44.2% |
53.6% |
| 4 |
医療・福祉 |
40.8% |
49.2% |
| 5 |
小売業 |
40.4% |
48.3% |
出典:同資料別紙2・別紙3「産業別就職後3年以内の離職率」。大学卒の高い順。「その他」を除く。
この順位だけでは、何が原因で辞めたかはわかりません。シフト、仕事内容、勤務地、給与、進路変更など、特定の理由の割合をこの表に付け足すことはできません。産業の数字をそのまま応募先の事情として説明するのも避けます。
宿泊・飲食や小売の仕事を考えているなら、勤務時間帯、繁忙期、休日の組み方、店舗間の異動を聞きます。教育や医療・福祉なら、担当する仕事の範囲や、資格と実務を結びつける指導の流れを確認します。職場見学では、説明を受けた業務と現場の仕事が一致するかも見ます。
離職率が高い産業に興味があるからといって、志望そのものを捨てる必要はありません。自分が続けるうえで困る条件を具体化し、応募先がどう運用しているかを聞くための入口にします。
大卒の離職率が低い上位:電気・ガス等12.4%、製造業21.2%
同じ資料、同じ卒業年の大学卒について、低い順の上位を示します。「その他」は除いています。高い順の表と対象を変えていません。
| 順位 |
産業 |
大学卒の3年以内離職率 |
| 1 |
電気・ガス・熱供給・水道業 |
12.4% |
| 2 |
鉱業・採石業・砂利採取業 |
12.8% |
| 3 |
製造業 |
21.2% |
| 4 |
金融業・保険業 |
25.0% |
| 5 |
情報通信業 |
27.2% |
出典:同資料別紙3「新規大卒就職者の産業別就職後3年以内の離職率」。大学卒、令和4年3月卒。
低い離職率は、採用された人の仕事や働く条件が自分にも合うことを保証しません。交替勤務や転勤、配属先の仕事内容など、自分が気にしている条件は別に確かめます。全国の定着と個人の希望が一致するとは限らないからです。
同じ産業でも、営業、製造、開発、事務では日々の仕事が違います。採用区分が職種別なら、自分が応募する区分の採用・定着を聞きます。会社全体で定着していても、自分の配属先で同じ状態かどうかは、その数字だけではわかりません。
順位は、教育や待遇のどの要素が効いたかを検証した結果ではありません。「研修が充実しているから低い」と決めつけず、実際の研修内容と配属後の支援を別に確認します。
過去の推移:大卒は令和3年卒34.9%から令和4年卒33.8%へ
比較するのは、いずれも3年間の経過がそろった卒業年です。令和5年卒・令和6年卒の途中経過は、この表に混ぜていません。
| 卒業年(3月卒) |
大学卒 |
高校卒 |
| 平成30年 |
31.2% |
39.2% |
| 平成31年 |
31.5% |
39.5% |
| 令和2年 |
32.3% |
37.0% |
| 令和3年 |
34.9% |
38.4% |
| 令和4年 |
33.8% |
37.9% |
出典:同資料別紙1「学歴別就職後3年以内離職率の推移」。各卒業年から3年後の6月時点で把握した数字。
新しい卒業年ほど必ず悪化しているわけではありません。大卒、高卒とも直近では下がっています。ただし、この変化だけで、新卒向けの教育が全国で改善したとまでは言えません。景気や採用、働く人の構成などを切り分けた表ではないためです。
公表年と卒業年も分けて読みます。最新公表の資料であっても、今年入社した人の3年以内離職率はまだ出ません。採用ページに新しい入社年度の高い定着率が出ていたら、何年何月までの在籍を数えているかを確認します。
応募先には、採用者数と離職者数を入社年度ごとに聞く
「若手は定着していますか」より、人数と時点を聞くほうが比較できます。同じ年に入社した人を追った数字と、直近の離職者全体の数字を混ぜないようにします。
| 確かめたいこと |
説明会・面接での聞き方 |
| 新卒の定着 |
入社年度別の新卒採用者数と、そのうち現在も在籍する人数を教えてください |
| 職種との関係 |
今回応募する職種の新卒についても、採用と在籍の状況はわかりますか |
| 配属後の支援 |
配属後に仕事を教わる担当者と、困ったときの相談先を教えてください |
| 退職後の改善 |
若手の定着のために見直した勤務条件や教育の運用はありますか |
| 数字の範囲 |
この定着率は会社単体ですか。グループ全体や中途採用を含みますか |
採用人数が少ない年は、少数の退職で割合が動きます。率だけで比較せず、分母の採用人数も残します。逆に、人数が多い会社でも、集計対象が違えば全国値と同じ条件にはなりません。
異動や出向、グループ会社への転籍をどう数えるかも会社に聞きます。「会社に残っている」「グループ内で働いている」「同じ職場で働いている」は同じ意味ではありません。知りたいのが配属先の定着なら、その範囲を伝えます。
個人の退職理由や退職した人の名前を尋ねる必要はありません。集計した人数と、会社が把握する課題、改善した仕組みを聞けば、働き方の確認は進みます。回答できない細かい区分があれば、どの範囲なら公開できるかを確認します。
定着率の回答が出たら、集計した時点をメモする
会社から定着率の説明を受けたら、いつ現在の在籍者を数えたかも書きます。採用ページの更新日と、集計した日が同じとは限りません。新しいページに見えても、載っている数字は前の年度の実績ということがあります。
途中経過の年度と、入社後の期間が十分に過ぎた年度を混ぜないことです。入社直後の人が多く残っていることと、入社から長く在籍していることは、違う状態です。複数年度の人数を一括で示されたら、年度ごとに分けた情報があるかを聞きます。
複数の会社を比べるときは、採用人数、離職人数、対象の学歴・雇用形態、集計時点を同じメモに残します。わからない項目は無理に埋めません。割合がわかっても採用人数が出ていなければ、少人数の変動かどうか判断できないため、そこを追加質問にします。
数字が食い違うときは、どちらかをすぐに誤りと決めず、対象法人と期間を確認します。採用ページは会社単体、説明会はグループ全体という違いもあり得ます。会社の回答で範囲がわかったら、同じ範囲の資料だけを使って比較します。
離職者が少なくても、配属後に困らないかを聞く
退職者が少ないという説明を受けても、相談や研修の確認は残ります。仕事が合わないと感じたとき、何を相談できるか、配置の希望をどこへ伝えるかを聞きます。退職しないことだけが、働き続けやすい条件ではありません。
担当業務や勤務地に強い希望があるなら、採用時にどこまで決まり、入社後に何を基準に配属するかを確認します。配属前の説明と現場の仕事の差を小さくする質問は、全国の離職率と比べるだけでは得られない判断材料です。
新卒向けの職場情報は、公開情報と会社の回答を突き合わせる
厚生労働省の若者雇用促進法の案内資料では、新卒者などの募集で、採用、能力開発、雇用管理に関する職場情報の提供を説明しています。新卒採用者数や離職者数、研修、残業、有給休暇といった情報が対象に挙がっています。
全国の離職率だけを持って面接へ行くより、応募先の採用ページや公開している職場情報を読んでから聞きます。「公開資料の対象年度より後の状況を教えてください」と聞けば、古い数字を繰り返し確認せずに済みます。
調べ方を一続きに整理するなら、企業研究のやり方で、求人票から公的な公開情報へ進む順番を確認できます。自分が重く見る条件は、就活の軸の決め方に沿って言葉にしておくと、定着率だけに判断を寄せずに済みます。
会社の回答は、研修の名称だけでなく実施の時期、担当者、配属後の支援まで読みます。「制度あり」でも、自分の雇用形態や勤務地が対象かどうかは別です。知りたいことをまとめて聞き、答えの範囲が狭ければ追加で確認します。
研修は期間だけでなく、配属後に何を任せるかまで聞く
研修の期間が長くても、実際に担当する業務を練習できるとは限りません。座学で学ぶこと、現場で教わること、自分で担当し始める仕事を分けて確認します。採用時の説明から、入社後の仕事の流れが見えるかがポイントです。
たとえば、接客の仕事なら、先輩について覚える段階と、単独で担当する段階の間に、どんな確認があるかを聞きます。事務や技術の仕事でも、成果物の確認を誰が行い、わからない点をどの時点で相談できるかを聞けます。仕事の名称より、教わり方を具体的にします。
配属後の面談については、実施の有無だけでなく、何を話す場なのかを確認します。成績を評価する面談と、困っていることを相談する面談では、話しやすさが変わります。直属の上司には言いにくい問題を、別の担当へ伝えられるかも聞きます。
定着のために取り組んでいることを尋ねたら、始めたばかりの制度と、すでに運用している制度を分けて聞きます。予定されている施策を、入社時から利用できる条件と同じ扱いにはしません。自分の入社時期に何が使えるかを確認します。
配属・勤務条件の説明は、内定後の書面とも照合する
離職率を調べた後に残るのは、自分の仕事と生活に合う条件かという判断です。勤務地、勤務時間、休日、担当業務の説明を、求人票と面接のメモで照らし合わせます。「配属先による」と説明された項目は、どの段階で決まるかを確認します。
全国転勤や交替勤務があるなら、その有無だけでなく、今回の採用区分でどう扱うかを聞きます。希望を申告できることと、必ず希望が通ることは別です。条件を理解して応募を続けるために、決まっていることと未定のことを整理します。
内定後に条件が示されたら、説明会で聞いた内容と変わっていないかを見ます。違いがあれば、入社してから確かめるのではなく、契約前に担当者へ質問します。新卒の定着率を調べる作業は、最後に自分の雇用条件を読むところまでつなげます。
その会社の実際の数字は、求人票・面接・しょくばらぼで確かめる
しょくばらぼで応募先を探し、新卒採用者数と離職者数、残業時間、有給休暇の取得状況など、掲載されている項目を確認します。空欄は、退職者がいないという意味ではありません。未掲載の項目を、会社に聞くメモへ移します。
求人票では、勤務時間、休日、勤務地、担当業務を確認します。面接では、その条件で新卒が働き続けるための支援と、公開数字の対象年度を聞きます。求人票の条件と、面接で説明された働き方が一致しているかを最後に見直します。
大学卒33.8%という全国値は、最初の入口です。応募先で確認したいのは、同じ年度に入った人がどれだけ残り、どの仕事に配属され、困ったときに誰に相談できるかです。数字と仕事の実態をそろえてから、入社するかを決めます。