パート・アルバイトの時給を公的統計で見ると、厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」の短時間労働者は、男女計1,518円、男性1,769円、女性1,418円です。派遣は別統計で、「令和6年度労働者派遣事業報告書の集計結果(速報)」の賃金が8時間換算16,735円でした。どちらも最新の公表資料を2026年10月22日に確認した数字です。
同じ「時給の相場」を探すときでも、募集時給、働いている人の平均、派遣先が払う派遣料金は別です。応募先では、自分の仕事に適用される基本時給、手当、働く曜日と時間を確認します。
パートの平均時給1,518円は、短時間労働者の所定内給与の平均
この記事で使う時給は、令和7年6月の短時間労働者の「1時間当たり所定内給与額」です。超過労働給与額を除いた所定内給与を、所定内実労働時間に対応させた数字です。賞与込みの年収を時間で割った値ではありません。
短時間労働者は、同じ事業所の一般の労働者より1日の所定労働時間が短い人、または1日の所定労働時間が同じでも1週の所定労働日数が少ない人です。勤務先でパートやアルバイトと呼ばれる人だけを、その呼び名で集めた表ではありません。
| 性別 |
1時間当たり所定内給与額 |
| 男女計 |
1,518円 |
| 男性 |
1,769円 |
| 女性 |
1,418円 |
出典:厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」短時間労働者第11表。企業規模10人以上の平均。中央値ではありません。
この平均より低い募集時給が、すぐに不適切という意味ではありません。平均には、資格や経験を要する仕事も含まれます。逆に、平均より高いだけで働く条件がよいとも判断できません。短い契約、勤務時間帯、担当業務なども見ます。
求人の見出しに高い時給が出ていても、特定の曜日や時間帯だけに適用されることがあります。募集要項の基本時給と加算条件を分けて読み、自分が入れるシフトでの額を確認します。交通費が別か、研修中に条件が変わるかも聞きます。
年齢別の平均時給:男女計では35〜39歳1,782円が最高
令和7年調査、短時間労働者、企業規模10人以上です。年齢階級別の平均であり、同じ人が年齢を重ねたときの昇給を追った表ではありません。単位は円です。
| 年齢階級 |
男女計 |
男性 |
女性 |
| 19歳以下 |
1,192円 |
1,202円 |
1,185円 |
| 20〜24歳 |
1,287円 |
1,300円 |
1,275円 |
| 25〜29歳 |
1,513円 |
1,566円 |
1,478円 |
| 30〜34歳 |
1,772円 |
2,394円 |
1,558円 |
| 35〜39歳 |
1,782円 |
2,709円 |
1,569円 |
| 40〜44歳 |
1,692円 |
2,667円 |
1,514円 |
| 45〜49歳 |
1,652円 |
2,545円 |
1,501円 |
| 50〜54歳 |
1,562円 |
2,343円 |
1,440円 |
| 55〜59歳 |
1,547円 |
2,238円 |
1,430円 |
| 60〜64歳 |
1,526円 |
2,024円 |
1,397円 |
| 65〜69歳 |
1,569円 |
1,884円 |
1,401円 |
出典:厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」短時間労働者、第11表「性、年齢階級別1時間当たり賃金」。年齢計には70歳以上も含まれますが、この表は公表された各階級を掲載。
男性の中年層で平均が高くても、その年齢で入れば同じ額を得られるわけではありません。就いている職種、資格、経験などをそろえた表ではないためです。年齢だけを応募時給の根拠にしないことです。
働き直す仕事を探すなら、過去の経験のどこが評価されるかを聞きます。前の仕事と職種名が同じでも、担当範囲や必要な資格が違えば、時給の決まり方も変わります。経験者の加算があるなら、対象となる経験と必要な確認書類を見ます。
産業別の平均時給ランキング:教育2,541円、医療・福祉2,113円
令和7年調査の短時間労働者、男女計、企業規模10人以上について、1時間当たり所定内給与額が高い順に並べました。単位は円。各産業で働く短時間労働者の平均で、同じ職種同士の比較ではありません。
| 順位 |
産業 |
平均時給 |
| 1 |
教育・学習支援業 |
2,541円 |
| 2 |
医療・福祉 |
2,113円 |
| 3 |
学術研究・専門・技術サービス業 |
1,874円 |
| 4 |
情報通信業 |
1,853円 |
| 5 |
金融業・保険業 |
1,829円 |
| 6 |
電気・ガス・熱供給・水道業 |
1,814円 |
| 7 |
建設業 |
1,596円 |
| 8 |
複合サービス事業 |
1,439円 |
| 9 |
不動産業・物品賃貸業 |
1,389円 |
| 10 |
サービス業(他に分類されないもの) |
1,377円 |
| 11 |
運輸業・郵便業 |
1,371円 |
| 12 |
鉱業・採石業・砂利採取業 |
1,369円 |
| 13 |
生活関連サービス業・娯楽業 |
1,330円 |
| 14 |
製造業 |
1,298円 |
| 15 |
卸売業・小売業 |
1,268円 |
| 16 |
宿泊業・飲食サービス業 |
1,234円 |
出典:厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」短時間労働者、第13表「産業、性別1時間当たり賃金」。男女計を降順に並べ替え。
教育には授業を担当する仕事も、事務などの仕事もあります。医療・福祉も、資格職と補助業務を一つにした産業です。業界の平均を、資格を問わない受付や事務の募集時給として読むことはできません。
上位の産業へ移れば必ず高時給になるという表ではありません。自分が応募できる仕事を具体的に探し、必要な資格、経験、担当範囲と時給を比べます。準備や片付け、引き継ぎなどの仕事があるなら、その勤務時間の扱いも会社へ確認します。
低い産業の平均を、給与を抑えてよい理由にすることもできません。個別の賃金には、その勤務地と仕事に適用される最低賃金があります。平均値と法的な下限は、使う目的が違います。
企業規模別では、中企業1,626円が大企業1,473円を上回る
規模は企業全体の常用労働者数です。店や営業所だけの人数ではありません。令和7年調査、短時間労働者の1時間当たり所定内給与額を、男女別で載せました。
| 企業規模 |
男女計 |
男性 |
女性 |
| 1,000人以上 |
1,473円 |
1,653円 |
1,400円 |
| 100〜999人 |
1,626円 |
1,988円 |
1,482円 |
| 10〜99人 |
1,491円 |
1,746円 |
1,388円 |
出典:厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」短時間労働者、第12表「企業規模、性別1時間当たり賃金」。
規模が大きいほど時給も高い、という並びではありません。産業や仕事の構成が違うため、大企業かどうかだけで応募先を絞ると、実際の条件を取りこぼします。
全国で同じ名前の店舗があっても、雇用主が同じとは限りません。求人票の雇用主、勤務先、就業場所の変更の範囲を確認します。待遇の公表資料を読むときも、ブランド全体と自分を雇う会社を混ぜないようにします。
都道府県別の上位:神奈川1,819円、東京1,779円
e-Statの都道府県別原表から、企業規模計10人以上、産業計、男女計の値を比較しました。令和7年6月の短時間労働者の1時間当たり所定内給与額です。中央値や募集賃金ではありません。
| 高い順 |
都道府県 |
平均時給 |
| 1 |
神奈川 |
1,819円 |
| 2 |
東京 |
1,779円 |
| 3 |
茨城 |
1,718円 |
| 4 |
大阪 |
1,658円 |
| 5 |
山梨 |
1,597円 |
出典:厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」短時間労働者・都道府県別第1表。北海道〜群馬のExcel、埼玉〜長野のExcel、岐阜〜和歌山のExcel。各都道府県シートの産業計。
最低賃金の高い順とは違います。平均時給には、各地域で働く人の職種や資格、産業の構成も反映されます。表の順位だけで、同じ仕事の求人が必ず高い地域だとは言えません。
都道府県内でも、通える範囲や勤務時間帯を絞ると応募できる求人は変わります。高い時給を探すときは、通勤時間と交通費、希望する時間に入れるかをあわせて見ます。遠い職場の高い時給だけで判断すると、使える時間や支出が増えることがあります。
都道府県別の下位:秋田1,161円、福島1,202円
上位と同じ条件で47都道府県を比較し、低い順の上位を抜き出しました。対象を企業規模5〜9人に変えたり、女性だけに絞ったりはしていません。
| 低い順 |
都道府県 |
平均時給 |
| 1 |
秋田 |
1,161円 |
| 2 |
福島 |
1,202円 |
| 3 |
山形 |
1,203円 |
| 4 |
青森 |
1,213円 |
| 5 |
岩手 |
1,226円 |
出典:同調査、短時間労働者・都道府県別第1表「北海道〜群馬」。企業規模計10人以上、産業計、男女計。順位は同条件の47都道府県の値を照合。
平均が低い地域であっても、自分の仕事の適正な給与が全国平均から自動的に決まるわけではありません。必要な資格や担当する責任、働く時間に対応する提示額を確認します。
この調査は令和7年6月の給与です。その後に適用される最低賃金と比べるときは、時点が違います。過去の平均時給を見て、現在の最低賃金を下回る求人でも問題ないと判断してはいけません。
派遣は8時間換算16,735円:パートの時給とは定義を分ける
派遣の賃金は、厚生労働省の「令和6年度労働者派遣事業報告書の集計結果(速報)」を使います。全業務平均の派遣労働者の賃金は、8時間換算で16,735円です。
| 派遣の雇用区分 |
8時間換算の平均賃金 |
| 全業務平均 |
16,735円 |
| 無期雇用 |
17,181円 |
| 有期雇用 |
14,407円 |
出典:厚生労働省「令和6年度労働者派遣事業報告書の集計結果(速報)」表7「派遣労働者の賃金(その1)」全業務平均、令和6年度欄。単位は円。
この数字を単純に割って、求人票で通常示される「平均時給」に置き換えてはいません。事業報告の賃金は、短時間労働者の所定内給与とは集計方法も対象も違います。無期雇用と有期雇用の差も、同じ職種・経験・派遣先をそろえた差ではありません。
派遣料金は、派遣先から派遣元へ支払う料金です。派遣労働者が受け取る賃金と別なので、料金を自分の給与として見ないことです。派遣元が公開する情報を見るときも、「派遣料金」「賃金」のどちらかを先に確認します。
実際の募集では、業務内容、就業時間、交通費、契約期間、更新条件をそろえて比べます。高い時給でも、就業できる日が希望より少ないなら、毎月の収入の考え方が変わります。仕事が終了した後の次の就業先の案内も、派遣元へ確認します。
最低賃金と平均時給は、使う場面を分ける
平均時給は、実際の給与の分布を平均した統計です。最低賃金は、適用される仕事で下回ってはいけない賃金の下限です。全国平均1,518円が、全国共通の法的な下限になることはありません。
勤務地に適用される金額と発効日は、最低賃金の一覧と確認方法から確認します。求人票を読むときは、地域別だけでなく特定の産業に適用される最低賃金の有無も確認し、適用の判断に迷う点は公的窓口へ問い合わせます。
最低賃金と比べる際に、給与のすべての手当をそのまま算入できるとは限りません。判断は厚生労働省の最低賃金の案内で対象賃金を確認します。年収や賞与を足して独自に判定することは避けます。
雇用の呼び方と働く時間の違いを整理したいときは、非正規雇用の割合と区分も使えます。パート、アルバイト、派遣という名前だけで、時給や保障される勤務日数が同じになるわけではありません。
求人票では時給と一緒に、シフトが決まる時期を読む
毎月の収入には、時給だけでなく働く日数と時間が関係します。採用時に決める勤務日と、後から希望を提出して調整する勤務日を分けて聞きます。「相談可」とあっても、必ず希望どおりに働けるという意味ではありません。
休憩の時間、開店前後の作業、研修やミーティングの有無も確認します。時給の表示が同じでも、拘束される時間と給与が支払われる時間の関係を理解しておくと、勤務後の予定を立てやすくなります。
| 求人票で読む項目 |
応募先に聞くこと |
| 基本時給と加算 |
自分の勤務時間帯に適用される額を教えてください |
| 研修中の条件 |
研修の期間、勤務時間、賃金の扱いを教えてください |
| 勤務日数 |
採用時に決まる日数と、シフト調整の方法を教えてください |
| 契約の更新 |
更新を判断する条件と、説明を受ける時期を教えてください |
時給が同じ求人は、確保できる勤務時間を並べる
働ける時間が決まっている人は、希望する曜日と時間帯を先に書き出します。そのうえで、求人にある勤務日数が必須の条件なのか、希望を出した後に調整する条件なのかを聞きます。時給が高くても、希望の時間に勤務できなければ比較の前提が変わります。
シフトを作る時期、変更を相談する方法、繁忙期の勤務の扱いも確認します。長く働く予定なら、毎月の勤務が安定して決まるかは、時給と同じくらい生活に関係します。勤務日数が変動するなら、どういう理由で増減し、いつ通知されるかを聞きます。
採用ページにある収入例は、その勤務日数と時間で働いた例です。自分が同じ日数を働けるか確認せず、そのまま毎月の収入として置かないことです。特定の手当や加算を含む例なら、その条件も読みます。
給与の支払日と締め日も、採用時に確認します。入社した月にどの期間の給与を受け取るかがわからないと、最初の支払いの見通しが立ちません。平均時給の数字からはわからない、応募先固有の条件です。
派遣の募集では、登録時の説明と就業条件を分けて読む
派遣元へ登録したときの案内と、具体的な就業先で働く条件は分けます。紹介される仕事ごとに、業務内容、勤務地、就業時間、契約期間を確認します。派遣元全体の平均賃金が高くても、今回紹介された仕事の額が同じとは限りません。
時給の改定についても、いつ、どの条件で見直すかを聞きます。派遣先で任される仕事が増えたときに、誰へ相談すればよいかも確認します。現場の指示と契約で説明された業務が違うときの連絡先を把握しておくと、就業後の確認が進みます。
契約の更新を希望するときは、希望を伝える時期と、更新の見通しを確認できる時期を聞きます。求人の「長期」という表示だけで、同じ派遣先で働き続けることが決まったとは扱わないことです。契約書面に示される期間と条件を読みます。
働く場所が変わったときの交通費や通勤時間も、比較メモに残します。募集時の時給の高さだけで判断せず、実際に通えるか、予定している生活と合うかを確かめます。公的な派遣賃金の平均は、個別の就業条件を省略する根拠にはなりません。
その会社の実際の数字は、求人票・面接・しょくばらぼで確かめる
しょくばらぼで、応募先が公開する働き方や採用の情報を見ます。自分の雇用形態を含む数字か、正社員だけの数字かを確認します。平均残業時間などが会社全体の数字なら、配属先の勤務実態は面接で補います。
時給は、求人票の基本額と加算条件を読み、面接で自分が入る曜日・時間帯の条件を確認します。派遣なら、賃金を支払う派遣元と、実際に働く派遣先の役割も分けて聞きます。確認した内容は、契約時に示される労働条件と照合します。
全国平均やランキングからわかるのは、給与の大まかな位置です。自分の仕事でいくら受け取り、いつ働き、どんな仕事を任されるかは、その会社の条件で決まります。時給だけで結論を出さず、働く時間と契約をそろえて選びます。