出張手当は、出張のために通常必要と認められる旅費の範囲なら所得税が非課税です。在宅勤務手当は、通常必要な費用の実費相当額を精算するのか、使わなくても返還不要の金銭を渡すのかで扱いが分かれます。国税庁のFAQが示す毎月5,000円の渡切り支給の例は給与課税が必要です。2026年10月23日に最新の公式案内を確認しました。手当の名前や金額だけで非課税とは決まりません。
会社が支給するか、いくら支給するか、どの費用を負担するかは、会社の規程を確認します。税務上非課税にできる説明があることと、自分にその費用が支払われることは別です。個人の税額や非課税の可否は、支給の実態と資料をそろえて会社の担当者などに確認します。
手当は原則として給与、旅費には例外がある
国税庁のタックスアンサーNo.2508、給与所得となるものは、役員や使用人に支給する手当は原則として給与所得になると説明しています。地域、家族、住宅などの手当も、手当という名前だから税金がかからないわけではありません。
その例外に、転勤や出張などのための旅費のうち、通常必要と認められるものがあります。仕事で使った費用を会社が負担する支払いと、従業員が自由に使える給与としての支払いは、内容を分けて見ます。
給与明細の欄だけで判断しにくいときは、どの費用に対する支給かを確認します。基本給に上乗せする給与なのか、立て替えた交通費や宿泊費の精算なのか、定額の日当なのかを整理すると、担当者に聞く点がはっきりします。
この記事でいう非課税は、主に従業員側の所得税の扱いです。会社側の消費税の処理や経費計上と同じ説明ではありません。会社の会計処理で使う言葉を、そのまま自分の給与所得の判定に読み替えないようにします。
日当は旅費規程と出張の実態を合わせて見る
出張手当や日当は、会社の規程で、出張に伴う費用の支給として定められることがあります。交通費や宿泊費を別に精算するのか、日当に何を含むのかは会社ごとです。求人票に手当ありと書かれていたら、金額と対象となる出張を確認します。
国税庁の所得税基本通達、旅費の説明の9-3は、旅行の目的、目的地、行路、期間、宿泊の要否、職務内容、地位などから、通常必要とされる費用の範囲を考えるとしています。
社内の役員・使用人全体で適正なバランスを保った基準か、同業種・同規模の他の使用者などが一般的に支給している金額に照らして相当かも判断要素です。社内規程に金額が載っているだけで、どんな支給でも非課税になるという意味ではありません。
「日当なら領収書がなくてもいくらでも非課税」「一定の日額以下なら全員同じ扱い」とは説明できません。旅行に通常必要な支出かを見ます。通常必要な範囲を超える部分の所得区分は、同通達9-4で確認できます。
支給条件と精算条件を分けて聞く
日帰りと宿泊、移動する距離、出張先で食事や宿泊を会社が直接手配するかによって、社内の支給条件が変わることがあります。自分に適用される規程を読み、どの費用が別精算になるかを確認します。ほかの人が受け取った額を、自分の支給額と決めないようにします。
| 会社に聞く項目 |
確認する内容 |
| 出張の定義 |
どんな移動が支給対象になるか |
| 日当 |
対象者、支給単位、含まれる費用 |
| 交通費 |
使える経路、承認、精算方法 |
| 宿泊費 |
予約方法、会社手配か立替か |
| 変更・中止 |
予定変更時の連絡と費用負担 |
| 申請 |
必要書類、提出先、期限 |
この表は社内規程を確認するための項目です。国が一律に同じ日当や宿泊費を支給するよう定めた金額表ではありません。支給の有無と非課税の判定を一緒にせず、会社の条件を確かめます。
在宅勤務手当は渡切りか実費精算かを確認する
国税庁の在宅勤務に係る費用負担等に関するFAQは、令和8年4月1日更新のものを確認しました。問1で、通常必要な費用の実費相当額を精算する方法と、返還不要の手当の違いを説明しています。
在宅勤務に通常必要な費用を精算して支給する一定の金銭は、給与として課税する必要がありません。これに対し、費用として使わなくても返還しなくてよい手当は、給与として課税する必要があります。FAQの毎月5,000円という数字は、この渡切りの例です。
この5,000円は、非課税限度額でも全国の平均支給額でもありません。少額なら当然に非課税になるという説明でもありません。定額の支給なのか、精算前の仮払いなのか、未使用分を返還する必要があるのかを確認します。
| 支払い方 |
国税庁FAQの基本的な扱い |
| 使わなくても返還不要の手当 |
給与として課税が必要 |
| 通常必要な費用の実費相当額を精算 |
一定の金銭は給与課税不要 |
| 仮払い後に業務使用分を計算し精算 |
費用と超過部分の扱いを分ける |
| 家事部分を含む費用をそのまま負担 |
業務使用分の合理的な計算を確認 |
出典:国税庁、在宅勤務に係る費用負担等に関するFAQ、問1・5。対象費用と精算の実態によるため、個人の課税判定を確定する表ではありません。
給与として課税される手当でも、支給条件が明確なら生活費の負担を考える材料になります。非課税かどうかだけで良し悪しを決めず、何を自分で負担し、会社がいくら負担するかを見ます。実費精算では、経費として使ったお金が戻るのであって、その全額が自由に使える収入になるわけではありません。
通信費と電気代は業務使用分を合理的に計算する
自宅の通信費や電気代には、仕事で使った分と生活で使った分が混ざります。FAQの問5・6・8は、業務に使用した部分を合理的に計算して精算する方法を説明しています。請求額があるから、その全額を業務使用分とするわけではありません。
電話の通話料は、通話明細などで業務のための料金を確認する方法があります。基本使用料やインターネットの通信料は、業務使用部分を合理的に計算する必要があります。会社が採用する算定方法と、提出する請求書の項目を確認します。
電気料金も、在宅勤務をしたという事実だけで全額が業務分にはなりません。どの部屋を使い、どの期間に勤務し、どの計算方法を採るのかを確認します。自分で有利な割合を決めるのではなく、国税庁の例や合理的な計算方法に沿って、会社と条件をそろえます。
家族の利用分や、業務とは関係のないサービスの料金が請求書に入っているときも区別します。スマートフォンの本体代や業務に使わないオプションの費用などを、通信費というひとつの名前で全部まとめないようにします。
在宅勤務の日数が変わったら、精算の前提も変わることがあります。出社日と在宅日が混在する人は、勤務記録と精算対象の月を合わせます。給与の支給月と通信料金の請求月が違うときは、何月分の業務使用分を処理したかを残します。
パソコンや机は所有権と返却条件を見る
国税庁FAQの問2・3では、会社が所有する事務用品や環境整備の物品を貸与するなら、給与として課税する必要はないと説明しています。従業員へ所有権が移る支給なら、現物給与として課税する必要があります。
会社が支給という言葉を使っていても、自由に処分できず、仕事で使わなくなったら返す物品なら、貸与として扱える説明があります。言葉だけで判断せず、所有者、使用目的、退職時や在宅勤務終了時の返却を確認します。
従業員が立て替えて購入する方法も、領収書を出したことだけで扱いが決まるわけではありません。会社が所有して本人に貸与するのか、本人の所有物になるのかを確かめます。FAQの問5の事務用品などの精算方法も、この前提を付けて説明しています。
| 物品の受け取り方 |
確認すること |
| 会社の備品を持ち帰る |
貸与品の管理と返却先 |
| 会社が購入して自宅へ送る |
所有者と返却条件 |
| 本人が購入して精算する |
事前承認、所有権、領収書 |
| 本人の所有物として受け取る |
現物給与としての処理 |
出典:国税庁、在宅勤務に係る費用負担等に関するFAQ、問2・3・5を踏まえた確認項目です。
机や椅子を買う前に、対象となる物品、申請の手順、立替の可否を確認します。仕事に使うつもりで購入しても、社内で承認していなければ精算できるとは限りません。購入後に税金の話だけを調べるより、購入前に会社の負担条件を確かめます。
諸手当の支給企業割合ランキング
厚生労働省の令和7年就労条件総合調査、第17表から、主な手当の支給企業割合を高い順に並べました。対象は令和6年11月分の諸手当を支給した企業、単位は%、複数回答です。平均額や中央値ではなく、手当を支給した企業の割合です。
| 順位 |
手当の種類 |
支給企業割合 |
| 1 |
通勤手当など |
90.2% |
| 2 |
役付手当など |
84.2% |
| 3 |
家族・扶養・育児支援手当など |
62.3% |
| 4 |
技能・技術(資格)手当など |
53.0% |
| 5 |
住宅手当など |
45.7% |
| 6 |
調整手当など |
32.6% |
| 7 |
上記等のいずれにも該当しないもの |
28.5% |
| 8 |
特殊勤務手当など |
19.5% |
| 9 |
精皆勤・出勤手当など |
17.4% |
| 10 |
業績手当など |
13.7% |
| 11 |
左記以外の生活手当 |
13.5% |
| 12 |
単身赴任・別居手当など |
13.2% |
| 13 |
特殊作業手当など |
11.9% |
| 14 |
地域・勤務地手当など |
11.6% |
出典:厚生労働省、令和7年就労条件総合調査、賃金制度の第17表、令和7年調査計。手当名を一部短縮。2026年10月23日確認。
この調査は、常用労働者30人以上の民営企業を対象とする調査です。表の分母はその中で諸手当を支給した企業であり、全企業の割合と同じではありません。労働者のうち何%が受け取っているかを示す数字でもありません。
出張手当や在宅勤務手当を独立して集計した順位表ではありません。「いずれにも該当しないもの」を、出張手当や在宅勤務手当の支給率と読み替えることもできません。手当全体の広がりを確認したら、目的の手当は個々の会社の規程へ戻ります。
通勤や住宅の手当も一緒に比べたいときは住宅手当と通勤手当の条件を確認します。手当がある企業の割合と、自分が対象者になる条件は違うため、応募先に確認する項目を残して読みます。
給与明細と経費精算を同じ月で照らし合わせる
手当の説明を聞いたら、給与明細の課税対象、非課税の項目、経費の精算結果を照合します。会社から同じ日に振り込まれていても、給与と立替経費が混じっていることがあります。振込額だけで給与が増えたとは判断しません。
疑問があるときは「【対象月】の【手当名】について、給与としての支給か、実費の精算かを確認したいです。課税の対象にした額と計算の前提を教えてください」と聞きます。明細、申請した費用、承認された額がつながるように確認します。
給与として支給される手当を見込んで手取りを考えるなら、税金や社会保険などの控除を含めて確認します。手取りの計算と、年の給与を確認する源泉徴収票の見方も使えます。所得税で非課税かどうかだけから、ほかの制度の扱いまで決めつけないようにします。
本人が申請していない経費や、まだ精算されていない費用は、給与明細だけでは見落とします。出張や在宅勤務の費用が多い月は、立替額、申請済みの額、支払済みの額を分けておきます。会社の精算処理の時期も聞き、未処理なのか対象外なのかを確認します。
入社前に立替と承認の手順まで確認する
手当の金額が同じでも、会社が予約して支払うのか、本人が一度立て替えるのかで手元の負担は違います。出張が多い仕事では、交通費と宿泊費の支払方法、仮払いの有無、精算後の振込時期を聞きます。求人票の日当だけではわからない部分です。
在宅勤務では、パソコン、通信回線、机や椅子のうち、会社が何を用意し、何を本人が負担するのかを確認します。持っている物を使えるか、追加購入が必要か、故障したらどこへ連絡するかも聞きます。勤務を始めてから費用が増える点を把握しておきます。
経費を使う前の承認が必要なら、誰に、何を伝え、どんな記録を残すかを確認します。急な出張や予定変更では担当者が不在になることもあるため、連絡先と変更時の手順がわかると動きやすくなります。金額の条件だけでなく、申請できる仕組みまで見ます。
手当がある求人を同じ条件で比べる
出張や在宅勤務の手当がある求人を比べるときは、月給の見た目と費用負担を分けます。立替費用が戻ることを給与の上乗せとして足すと、実際より自由に使えるお金が多く見えます。会社が直接支払う費用も含めて、何を本人が負担するかをそろえて比べます。
出張の多い仕事なら、手当の支給単位と、宿泊や交通の手配方法を合わせて聞きます。在宅勤務なら、定額の手当があっても、必要な機器や回線を本人が用意するのかを確認します。金額が高いほうを選ぶ前に、自分が使う費用と支給対象を比べます。
説明が部署によって違うときは、今回の配属先の条件を確認します。会社全体に制度があっても、自分の雇用形態や勤務場所で使えるとは限りません。適用の条件がわからない手当は、確定した収入として生活費の計画へ入れないようにします。
精算が止まったときは理由を確認する
申請した費用が支払われていなければ、未承認、書類不足、対象外、支払処理待ちのどれかを確認します。同じ未払いに見えても、追加で出すべき資料が違います。口頭の回答だけなら、必要な書類と提出先をメモし、いつ出したかを残します。
税務上の扱いを質問した回答と、会社が負担するかを質問した回答も分けます。「給与課税になるから支給しない」という会社の説明があったら、税金の一般論ではなく、社内でどの支給規定を適用しているのかを確認します。個人の処理に疑問が残れば、資料をそろえて担当窓口へ確認します。
過去の同僚の精算例だけを根拠にせず、現在の規程と自分の勤務条件を見ます。在宅勤務の制度が変わった、配属先が変わった、出張の手配方法が変わったなど、前提が動いた時期も確認します。変更後の説明が書類に反映されていなければ、適用開始日を聞きます。
精算に使う請求書や領収書は、対象月と申請した費用が対応するように保管します。会社に提出した後も、控えと申請結果が残っていれば、支給額や課税額について後から質問できます。
その会社の手当と実際の働き方を確かめる
求人票では手当の有無と対象、面接では支給条件と費用負担、内定時には適用される規程を確認します。税務上の一般論がわかっても、自分の雇用区分や勤務形態に使える制度かは、会社の説明で確かめます。
厚生労働省のしょくばらぼでは、公開された職場情報を確認します。出張日当や在宅勤務手当の額が必ず載っているわけではありません。掲載された残業や休暇などの数字を確認し、費用負担や働く場所についてわからない点は面接で聞きます。
出張や在宅勤務がどれほどある仕事かも合わせて見ます。手当だけを切り離さず、出張の頻度、在宅勤務の対象者、出社の予定、申請の手順とつなげて判断します。その会社の実際の数字は、求人票・面接・しょくばらぼで確かめます。