月給25万円の手取りは、仮に東京の協会けんぽ、40歳未満、扶養なし、一般の事業、住民税月1万円など下記の条件なら197,086円です。令和8年4月分以後の保険料率と、令和8年分の源泉徴収税額表で計算しました。月給から、本人負担の保険料、所得税、住民税を引いた残りが手取りです。制度と数値の確認日は2026年10月23日です。
この額をすべての月給25万円の人に当てはめることはできません。加入している健康保険、年齢、扶養、前年の所得、通勤手当などで変わります。手元の給与明細を見るなら、先に総支給額と控除の内訳を分けます。振込額だけでは、どの条件で差が出たかがわかりません。
手取りは総支給額から控除を引いて計算する
給与明細の総支給額は、税金や保険料を引く前の金額です。基本給だけでなく、支給された手当や残業代などが含まれます。控除欄はそこから引くもの、差引支給額は最後に受け取る額です。会社独自の控除があれば、それも振込額に影響します。
計算の順番は、支給額をそろえる、保険料を確認する、社会保険料等控除後の額で所得税を読む、住民税などを引く、です。健康保険と厚生年金は、給与明細の月給へそのまま料率を掛けるとは限りません。標準報酬月額という区分の額を使います。
| 明細の欄 |
確かめる内容 |
| 基本給・各種手当 |
何の対価として支払われたか |
| 総支給額 |
その月に支給された額の合計 |
| 社会保険料等 |
本人負担の保険料 |
| 所得税 |
月額表などで源泉徴収する額 |
| 住民税 |
自治体から通知された額 |
| その他の控除 |
社宅、食事代など会社ごとの項目 |
| 差引支給額 |
控除後に受け取る額 |
税の計算に入る支給と、保険料の計算に入る報酬の範囲は同じではありません。非課税通勤手当などがある人は、総支給額だけを入力して終わらせず、何を含む数字かを確認します。今回の例ではこの混乱を避けるため、通勤手当などの別支給はないと仮定します。
月給の例は、加入先と標準報酬月額まで固定する
月給25万円の例を、次の条件で計算します。特定の読者の税額を判定したものでも、会社員の平均手取りでもありません。保険料と税金の計算を追えるようにした仮定の例です。
| 項目 |
仮定する条件 |
| 支給対象 |
月給制の会社員 |
| 月の給与 |
課税給与250,000円 |
| 別支給 |
通勤手当、賞与、残業代なし |
| 健康保険 |
協会けんぽ東京支部 |
| 年齢 |
40歳未満、介護保険の対象外 |
| 標準報酬月額 |
決定済みの額が260,000円 |
| 雇用保険 |
一般の事業 |
| 所得税 |
扶養控除等申告書提出済み、甲欄0人 |
| 住民税 |
仮に通知額が月10,000円 |
| その他 |
会社独自の控除なし |
出典:協会けんぽ、令和8年度東京支部の保険料額表。国税庁、令和8年分給与所得の源泉徴収税額表。条件と住民税額は計算のための仮定です。
住民税の1万円は、月給25万円から求めた税額ではありません。前年の所得などに基づいて自治体が通知した額が、仮に1万円だったと置いています。自分の計算では、この欄を住民税の決定通知や給与明細の額に置き換えます。
標準報酬月額26万円も、今月の給料だけで自動的に決まるという意味ではありません。今回は決定済みの額を26万円とします。入社時や毎年の見直しでどう決まるかは、社会保険料の計算と標準報酬月額で確認できます。
健康保険と支援金は標準報酬月額で出す
協会けんぽの令和8年度東京支部の保険料額表で東京の健康保険料率は9.85%です。会社員の本人負担は原則としてその半分です。介護保険の対象でない欄を使うと、標準報酬月額26万円の折半額は12,805円になります。
同じ表の子ども・子育て支援金率は0.23%で、令和8年4月分から適用されます。労使折半なので、26万円 × 0.23% ÷ 2=299円です。子どもがいるかどうかを聞いてから徴収する仕組みではありません。本人の年齢や扶養人数に関係する別制度と混ぜず、明細の項目名を読みます。
介護保険は、40歳から64歳の介護保険第2号被保険者に加わります。令和8年度の協会けんぽの介護保険料率は1.62%です。今回の例は40歳未満なので0円ですが、対象になるなら26万円 × 1.62% ÷ 2=2,106円が加わります。
支援金と事業主だけが負担する拠出金を区別する
保険料額表には、子ども・子育て拠出金の説明もあります。名前が似ていますが、給与から引く子ども・子育て支援金と同じではありません。事業主だけが負担する項目を、本人の控除額として追加してはいけません。
給与明細の略称だけでは何の控除かわからないときは、「この欄は子ども・子育て支援金ですか。本人負担の計算元を教えてください」と聞きます。健康保険料とまとめた表示であっても、計算を確認するときは元の項目へ分けてもらいます。
厚生年金と雇用保険は、同じ月給でも計算元が違う
厚生年金保険料率は18.3%、本人負担は原則9.15%です。東京の保険料額表でも、標準報酬月額26万円の折半額は23,790円です。居住する都道府県で厚生年金の基本の料率が変わるわけではありません。
雇用保険は、標準報酬月額を使わず、対象となる実際の賃金に労働者負担の率を掛けます。厚生労働省の令和8年度雇用保険料率のご案内で一般の事業は5/1,000です。今回の例は25万円 × 5/1,000=1,250円です。
26万円に5/1,000を掛けると、別の額になります。健康保険の表で26万円を見つけても、それをすべての控除に使い回さないことです。雇用保険は事業の区分によって率も変わります。農林水産・清酒製造の事業と建設の事業の労働者負担は6/1,000です。
| 控除項目 |
この例で使う額 |
本人負担の計算 |
| 健康保険 |
260,000円 |
9.85%の折半 |
| 介護保険 |
対象外 |
0円 |
| 子ども・子育て支援金 |
260,000円 |
0.23%の折半 |
| 厚生年金 |
260,000円 |
18.3%の折半 |
| 雇用保険 |
250,000円 |
5/1,000 |
出典:協会けんぽ、令和8年度東京保険料額表・20等級、厚生年金17等級の行。厚生労働省、令和8年度雇用保険料率のご案内・料率表。平均・中央値ではなく適用率です。
所得税は社会保険料を引いた後の月額表を読む
この例の保険料等は、12,805円 + 299円 + 23,790円 + 1,250円 = 38,144円です。課税給与25万円から引くと211,856円になります。国税庁の令和8年分給与所得の源泉徴収税額表・月額表で211,000円以上213,000円未満の行を読みます。
扶養控除等申告書を提出した主な勤務先で、扶養親族等の数が0人なら甲欄0人の4,770円です。月給25万円の行を直接読むのでも、住民税を引いた後の額を使うのでもありません。社会保険料等控除後の額と、使う欄を合わせます。
扶養がいないことと、申告書を出していないことも違います。扶養がいなくても申告書を出していれば甲欄を使う例があります。提出していない場合などに使う乙欄の金額を、同じ条件の手取りとして比べないようにします。
月々の源泉徴収と年末調整後の税額は違う
毎月引かれる所得税は、年間の税額をその月だけで最終決定したものではありません。年の途中で給与が変わったり、控除する内容が増えたりすれば、年末調整などで精算します。月額表で出した税額を単純に年収の税金だと扱わないことです。
国税庁の令和8年度税制改正の案内で改正は原則として令和8年12月1日施行、令和8年分以後の所得税に適用としています。ただし、11月までの源泉徴収事務に変更はありません。年税額の控除改正と、毎月の月額表の切替時期を分けて確認します。
月給から振込額までの計算表
上の仮定なら、控除と差引支給額は次のとおりです。住民税は仮定の通知額で、年末調整の還付や追加徴収のない通常月として計算しています。表の単位は円です。
| 項目 |
金額 |
| 月の給与 |
250,000円 |
| 健康保険 |
12,805円 |
| 介護保険 |
0円 |
| 子ども・子育て支援金 |
299円 |
| 厚生年金 |
23,790円 |
| 雇用保険 |
1,250円 |
| 所得税・復興特別所得税 |
4,770円 |
| 住民税・仮定 |
10,000円 |
| 控除合計 |
52,914円 |
| 手取り |
197,086円 |
出典:協会けんぽ、令和8年度東京保険料額表・標準報酬月額260,000円の行。国税庁、令和8年分月額表・2ページの211,000円以上213,000円未満、甲欄0人。厚生労働省、令和8年度雇用保険料率。これらに基づく試算で、住民税10,000円は仮定です。
計算式は250,000円 - 38,144円 - 4,770円 - 10,000円 = 197,086円です。額面から一定の割合を引く方法と違い、どの控除がいくらかを追えます。この例では各保険料が円単位で出るので、保険料の端数処理は発生していません。
給与から保険料を引く端数処理は、日本年金機構の保険料の計算方法と保険料額表の注意を確認します。原則として本人負担の1円未満は50銭以下を切捨て、50銭を超えれば切上げです。労使間の特約があるときの扱いもあるため、明細との差をすべて誤りと決めつけません。
住民税は今月の月給だけでは計算できない
住民税は前年の所得などに基づく税額です。今年の月給だけを聞いて、読者の住民税を言い切ることはできません。前年に働いていたか、所得控除があるかなども関わります。計算では決定通知の額を使います。
新卒で入社した人と、前年から同じ収入で働いている人では、同じ月給でも控除が違うことがあります。転職して給与が下がっても、すぐ住民税まで同じように下がるとは限りません。転職直後の生活費を考えるときは、前職の給与明細や通知書も確認します。
今回の例で住民税以外の条件が同じなら、住民税が仮に0円なら207,086円、仮に15,000円なら192,086円です。これは税額を判定した数字ではなく、入力した通知額が変わったときの差引計算です。通知前に自分の税額として使わないようにします。
都道府県別の健康保険料率ランキングで違いを見る
健康保険料率は協会けんぽの支部によって違います。令和8年度の都道府県ごとの保険料率から、率の低い順の上位を載せます。対象は協会けんぽの一般被保険者の健康保険料率で、介護保険と支援金を含みません。
| 順位 |
支部 |
健康保険料率 |
| 1 |
新潟 |
9.21% |
| 2 |
沖縄 |
9.44% |
| 3 |
福島 |
9.50% |
出典:協会けんぽ、令和8年度都道府県単位保険料率・令和8年度欄。表番号なし。令和8年3月分からの率で、平均や中央値ではありません。本人負担は原則折半です。
自宅がどこにあるかだけで加入支部を選ぶわけではありません。勤務先の加入する保険と支部を確認します。健康保険組合などに入っている人へ、東京の協会けんぽの率をそのまま当てはめることもできません。
明細と計算が違うときは、差のある項目から戻る
自分で計算した額と給与明細が違ったら、最初に総支給額を見ます。今回の25万円は課税給与だけで、別支給の通勤手当や残業代はありません。実際の明細に手当があれば、比較している元の額がすでに違います。支給額が同じと確認できてから、控除欄を比べます。
健康保険と厚生年金が違うなら、決定済みの標準報酬月額を聞きます。今月の給料を表に当てはめただけでは、会社が使っている決定額と一致しないことがあります。入社時や定時決定の通知を確認できれば、どの区分から保険料を読めばよいかがわかります。
雇用保険だけが違うなら、計算対象の賃金と事業の区分を確認します。健康保険の計算元を使っていないか、通勤手当などを除外していないかを見ます。料率の年度も合わせます。昨年度の率で計算していたなら、給料が同じでも控除額は一致しません。
所得税だけが違うなら、扶養控除等申告書の提出、甲欄・乙欄、扶養親族等の数を確認します。手元のシミュレーターが年末調整後の年税額を月に配分していれば、月額表の源泉徴収額と違うこともあります。計算方法が違う数字を、同じ所得税として比べないようにします。
| 差がある欄 |
給与担当へ確認する内容 |
| 健康保険 |
加入先、支部、標準報酬月額、介護保険の扱い |
| 支援金 |
対象月、標準報酬月額、端数処理 |
| 厚生年金 |
標準報酬月額、何月分の控除か |
| 雇用保険 |
計算対象の賃金、事業区分、料率 |
| 所得税 |
月額表の欄、扶養人数、申告書の提出状況 |
| 住民税 |
通知された年税額と各月の徴収額 |
確認するときは「手取りが少ない」だけで終わらせず、「【対象月】の【控除項目】について、使った計算元と料率を教えてください」と聞きます。会社からの説明を明細の欄と合わせると、端数だけの差か、条件の違いかを分けられます。
入社直後や退職する月は、通常月と同じとは限らない
日本年金機構の保険料計算の案内では、事業主は給与から前月分の保険料を控除できます。明細に保険料が載る時期を確認するときは、支給月と保険料の対象月を分けます。最初の給与が通常月より多かったからといって、その振込額がその後も続くとは決められません。
退職時も、最後の給与の締日と支払日、資格喪失の時期などで確認する内容が変わります。会社が何月分を最後の給与から控除したかを聞きます。通常月の試算に合わないという理由だけで、未払いか過大控除かを判断しないようにします。
転職で月給が上がった人は、新しい会社の給与と、前年の所得に対する住民税が並ぶことがあります。入社直後の明細だけでは年間の手取りを見通せないので、支給条件、控除月、住民税の通知を合わせます。年末調整で前職の給与を含める手続きも、勤務先へ確認します。
自分用の計算メモは、仮定と確定した数字を分ける
計算するときは、会社から確定した条件として受け取った額と、自分で置いた仮定を別の欄に残します。未確定の賞与を毎月の生活費に入れたり、前年所得を確認せず住民税を0円にしたりすると、振込額より多いお金を使う予定になってしまいます。
月給は【提示額】、標準報酬月額は【決定額か未確認】、住民税は【通知額か未確認】のように、わからない欄を残して構いません。空欄を一律の手取り率で埋めるより、どの情報を会社や通知書で調べればよいかが見えます。計算をやり直すときも、変わった欄だけを確認できます。
求人票の月給と、会社の実際の支給内容を比べる
内定先と比較するときは、基本給、固定残業代、通勤手当、賞与を分けます。今回の試算には賞与を入れていません。賞与がある会社なら、ボーナスの手取りの計算で月給とは違う所得税の計算も確認します。年間で比べたい人は年収別の手取り比較へ進めます。
面接では「提示された月給の内訳と、別途支給される手当を教えてください」と聞きます。固定残業代込みなら、含む時間数と超過分の支払も合わせます。手取りを増やすために残業が必要な条件と、基本給だけで生活できる条件は、分けて比べます。
その会社の実際の数字は、求人票・面接・しょくばらぼで確かめます。月給の試算に加えて、残業時間、休日、有給休暇の実績を見れば、その収入をどの働き方で得るのかまで確認できます。