住宅手当の相場は、受け取った人の平均で月18,700円です。厚生労働省の令和7年就労条件総合調査では、住宅手当などを支給した企業は全企業の41.7%でした。通勤手当の非課税上限は、電車・バスなら合理的な運賃等について月150,000円が最高限度です。マイカーは距離別で、令和8年4月に長距離の区分などが改正されています。
手当の名前が求人票にあっても、自分が受け取れるとは限りません。住宅手当は住まいの契約や世帯主の条件、通勤手当は経路と会社の支給上限を確認します。税金がかからない上限と、会社が払う上限を分けて読むと、入社後の受取額を取り違えずに済みます。
住宅手当の金額ランキング:受給者平均を企業規模別に比較
厚生労働省の令和7年就労条件総合調査の概況の第18表から、住宅手当などの平均支給額が高い順に並べました。調査名は令和7年ですが、この表が調べたのは令和6年11月分です。対象は常用労働者30人以上の民営企業で、その手当を支給された労働者の1人平均です。中央値ではありません。
| 順位 |
企業規模 |
月の平均支給額 |
| 1 |
1,000人以上 |
21,100円 |
| 2 |
300〜999人 |
18,500円 |
| 3 |
30〜99人 |
17,500円 |
| 4 |
100〜299人 |
16,400円 |
| ― |
規模計 |
18,700円 |
出典:厚生労働省、令和7年就労条件総合調査の概況・第18表。令和6年11月分。原表の千円を円に換算。
企業規模が大きい順に金額が並ぶわけではありません。30〜99人の平均は100〜299人を上回ります。「小さい会社だから住宅手当が少ない」と決めず、応募先の規定を読みます。
この平均に、手当を受け取っていない人のゼロ円は入っていません。月18,700円を誰もが受け取れる全国標準のように扱うと、条件を見誤ります。企業内で一律にこの額を払っているという意味でもありません。
求人を比べるときは、平均との差だけで判断しないことです。賃貸住宅の契約者に限る会社と、持家にも出す会社では受給対象が違います。支給期間に区切りがあれば、入社直後の月給と、その後の月給も変わります。
支給企業割合は分母を分けて読む
同じ調査の第17表は、諸手当を支給した企業を100として各手当の支給企業割合を示しています。住宅手当などは45.7%です。表内の角括弧にある、全企業に対する割合は41.7%です。
企業規模別の数字は次のとおりです。ここでは原表に合わせ、諸手当を支給した企業の中での割合を載せます。住宅手当を受給した労働者の割合ではありません。
| 企業規模 |
住宅手当など |
家族手当など |
通勤手当など |
| 1,000人以上 |
60.8% |
72.7% |
93.9% |
| 300〜999人 |
59.0% |
70.6% |
93.1% |
| 100〜299人 |
52.1% |
68.2% |
91.7% |
| 30〜99人 |
41.6% |
59.1% |
89.3% |
| 規模計 |
45.7% |
62.3% |
90.2% |
出典:厚生労働省、令和7年就労条件総合調査の概況・第17表。令和6年11月分に諸手当を支給した企業を100とする複数回答。家族手当などは家族・扶養・育児支援手当など。
大きい企業ほど、住宅手当を支給する企業の割合は高くなっています。ただし、制度がある会社でも全社員への支給とは限りません。企業の割合から個人の受給確率を計算することもできません。
全企業を分母にそろえると、家族手当などは56.9%、通勤手当などは82.5%です。住宅手当の41.7%と比較するならこちらを使います。全企業に対する値と、諸手当を払った企業だけの値を混ぜて順位を付けないことです。
家族手当や単身赴任手当の平均も並べる
同じ令和6年11月分の受給者平均を、生活に関わる手当を中心にまとめました。手当ごとに受給者が違うため、表の平均額を足して一般的な月給を作ることはできません。
| 手当の種類 |
月の平均支給額 |
| 単身赴任・別居手当など |
49,300円 |
| 地域・勤務地手当など |
26,200円 |
| 住宅手当など |
18,700円 |
| 家族・扶養・育児支援手当など |
17,600円 |
| 通勤手当など |
12,700円 |
出典:厚生労働省、令和7年就労条件総合調査の概況・第18表。各手当を支給された労働者1人平均。通勤手当は1か月換算。
単身赴任手当は、家族と離れて暮らすなどの事情がある人への支給です。金額だけを見て住宅手当より有利とは判断できません。二重生活で必要になる費用と、その費用のどこまでを会社が負担するかを確認します。
家族手当も、配偶者や子の条件によって扱いが変わります。結婚したら自動で受給できると考えず、対象、申請時期、変更届の提出先を見ます。住宅手当と同時に受け取れるかも、求人票の短い記載ではわかりません。
電車・バスの非課税上限は合理的な運賃等で判断する
国税庁タックスアンサーNo.2582は、通勤手当の所得税上の扱いを説明しています。令和8年4月1日現在の法令等に基づく内容を、2026年10月22日に確認しました。
| 通勤方法 |
月の非課税限度額の考え方 |
| 電車・バスのみ |
経済的かつ合理的な運賃等。最高150,000円 |
| 電車・バスとマイカー等を併用 |
定期券等と交通用具分等の限度額を合算。最高150,000円 |
| 合理的な新幹線・特急通勤 |
要件を満たす運賃等を含む。最高150,000円 |
出典:国税庁、タックスアンサーNo.2582・電車・バス通勤者の通勤手当。所得税の月当たりの非課税限度額。
月150,000円は、勤務先に請求できる金額ではありません。会社が合理的な経路の実費をどこまで支給するかは、その会社の規定で確かめます。税制上の限度まで非課税で払えることと、会社に同額の支給義務があることは別です。
希望する最短経路が、会社の認定経路と同じとも限りません。運賃だけでなく所要時間や乗換えを含め、どの経路が認められるかを聞きます。グリーン料金は、この非課税となる合理的な通勤費に含まれません。
自宅から駅まで交通用具を使い、その先は電車という通勤なら、併用の扱いを確認します。電車だけの定期代と同じ計算で終わらせず、交通用具の距離、駐車場の条件、合算後の最高限度を見ます。
マイカー・自転車の限度額は片道の通勤距離で変わる
国税庁タックスアンサーNo.2585の改正後の表です。令和8年4月1日以後に支払われるべき通勤手当に適用される距離別の額を載せます。駐車場等の加算、有料道路の料金を含まない基本の区分です。
| 片道の通勤距離 |
月の非課税限度額 |
| 2km未満 |
全額課税 |
| 2km以上10km未満 |
4,200円 |
| 10km以上15km未満 |
7,300円 |
| 15km以上25km未満 |
13,500円 |
| 25km以上35km未満 |
19,700円 |
| 35km以上45km未満 |
25,900円 |
| 45km以上55km未満 |
32,300円 |
| 55km以上65km未満 |
38,700円 |
| 65km以上75km未満 |
45,700円 |
| 75km以上85km未満 |
52,700円 |
| 85km以上95km未満 |
59,600円 |
| 95km以上 |
66,400円 |
出典:国税庁、タックスアンサーNo.2585・非課税となる限度額の1。距離は通勤経路に沿った片道の長さ。
往復距離で区分を選ぶと計算が変わってしまいます。直線距離でもありません。申請時に使う通勤経路を決め、その道のりで片道の距離を確認します。異動や転居の後も、以前の距離のままにしないことです。
非課税限度額を超える手当を会社が支給すること自体が禁止されているわけではありません。超える部分は給与として所得税等の課税対象になります。反対に、限度額より会社の支給額が少なくても、差額が国から補われる制度ではありません。
最新の改正は長距離と駐車場代の扱い
国税庁の令和8年改正Q&AのQ1-1とQ1-2で、改正内容と適用時期を確認できます。片道65km以上の人の限度額が引き上げられ、一定の駐車場等の料金相当額を加算する扱いが設けられました。
駐車場等の加算は月5,000円が上限です。勤務先の周辺や、通勤に使う駅・停留所等の周辺にある駐車場など、要件を満たすことが前提です。マイカー通勤者なら誰でも一律に5,000円を足せるわけではありません。
適用は令和8年4月1日以後に支払われるべき通勤手当です。同日前に支払われるべき手当の差額として追加支給するものは除かれます。「今月振り込まれた」という情報だけで改正後の扱いに切り替えないことです。
有料道路を使う人は、合理的な料金と距離別の限度額を合算し、最高月150,000円で判断します。要件を満たす駐車場等も使うときは、その料金相当額の加算を含めて最高限度を確認します。通勤方法が複数ある人ほど、距離の表だけで自己判断せず、給与担当に経路を示して聞きます。
住宅手当がある求人では支給条件を先に読む
「住宅手当あり」の一文だけでは家計に入れられません。求人票に額が出ていても、上限額なのか、自分に適用される定額なのかを確かめます。対象外なら、基本給が同じでも受け取れる給与は変わります。
| 求人票の記載 |
確かめること |
| 賃貸住宅に支給 |
契約者と家賃負担者の条件 |
| 世帯主に支給 |
会社が使う世帯主の定義 |
| 上限あり |
家賃に対する計算方法と上限 |
| 社宅・寮あり |
自己負担、入居条件、退去時期 |
| 住宅手当あり |
試用期間や雇用形態での違い |
| 転勤時の補助あり |
引越費用、家賃補助、二重受給の扱い |
同居の仕方や契約名義が変わると、受給資格が変わることがあります。支給開始だけでなく、いつ停止するのかも確認します。入社時には対象でも、年齢や勤続による期限があれば、その後の生活費は別に考えます。
面接では、家庭の事情を細かく話す前に制度の条件を聞けば十分です。「この募集の住宅手当について、契約名義と支給期間の条件を教えてください」と聞き、該当するかは必要な範囲で担当者に確認します。
社宅と現金の住宅手当も分けます。自由に住まいを選べるか、退職や異動でいつ退去するか、家賃以外に何を負担するかで生活は変わります。制度の名前の多さより、利用後に自分が払う費用を整理します。
通勤手当は出社回数と支払い方まで聞く
定期券代を支給する会社と、出社日の実費を精算する会社では、在宅勤務が混じると受取額が変わります。定期券を買う前に、購入期間と承認手順を確認します。会社の認定前に買うと、想定した経路の全額が精算されるとは限りません。
マイカーなら燃料代以外も聞きます。駐車場代、有料道路代、申請できる経路、車通勤そのものの許可を分けて確認します。税金の非課税限度額に駐車場等の加算があっても、会社がその料金を負担するかは別です。
転勤や出社先の変更がある仕事では、勤務地が変わった後の上限も確認します。採用時の勤務地だけなら通勤できても、別の拠点になると自己負担や所要時間が増えることがあります。通勤の負担は平均通勤時間の読み方とあわせて整理できます。
通勤費が給与と同じ日に振り込まれても、生活費として自由に使える増収とは違います。定期券や駐車場の支払いに充てる分を取り分けてから、家計に残る額を見ます。立替払いが先になるなら、初回の精算時期も聞いておきます。
月給総額と基本給を分けて会社を比べる
手当が多くても、基本給が低ければ賞与や昇給の条件の読み方が変わります。賞与の計算にどの賃金項目を使うかは会社の規定によります。「月給に手当を含む」と書かれているときは、基本給と手当の内訳を並べます。
会社のモデル給与に、自分には当てはまらない家族手当や住宅手当が含まれていないかも見ます。入社後の収入を確認する場面では、モデルの最大額より、自分の条件で示された書面を優先します。賞与があるならボーナスの手取りの計算で、支給額と振込額も分けて考えます。
比較メモには、支給が続く条件、申請が必要な時期、停止する条件を書きます。給与総額の欄に足すのは、自分が対象だと確認できた手当だけです。対象か不明な額を足して、内定先どうしの年収差を作らないことです。
支給条件を読んで疑問が残ったときは、口頭の説明と書面が一致しているかも確かめます。「たぶん支給される」と言われた段階で契約や転居を進めず、担当窓口から適用条件の説明を受けます。手当の有無より、自分に適用される内容がはっきりしているかを見ます。
入社前に比べるのは手当を含めた条件の続き方
応募先の比較表には、毎月必ず支払われる額と、条件に該当するときだけ支払われる額を別に書きます。住宅手当は後者です。現在の住まいでは受給できても、引越しや同居の変更で止まるなら、長く続く収入として扱う前に停止条件を確かめます。
求人票に上限だけが書かれているときは、上限まで受給できる家賃や契約の条件を聞きます。実際の額が家賃に応じて変わる制度なら、上限額を月給にそのまま足して比較しないことです。応募時には住居が決まっていない人も、予定している契約の仕方で対象になるかを確認できます。
賞与の実績に手当が入っているかは、支給月数の説明だけではわかりません。基礎となる賃金の範囲を聞き、月々の手当と賞与を分けて記録します。手当の支給が厚い会社でも、基本給や昇給の条件まで同じとは限りません。比べる項目を給与総額だけに絞らず、内訳を残します。
引越しを伴う就職では、初回の住宅手当がいつの給与から出るかも確認します。入居時に必要な費用と、毎月の家賃補助では役割が違います。会社が負担する費用、本人が先に払う費用、後で精算される費用を書き分けると、入社前に用意するお金が見えてきます。
申請後に条件が変わるときの確認
住所や契約名義が変わったときは、住宅手当と通勤手当の両方について手続きを確認します。引越しで通勤距離が短くなっても、以前の認定経路のまま申請を続けないことです。申請内容と実際の通勤が違えば、税金の扱いと会社からの支給額の両方で確認が必要になります。
在宅勤務の日が増えたときも、通勤定期券を継続するか、出社日の精算に変えるかを会社に聞きます。自分で都合のよい支払い方を選べるとは限りません。変更の締切や申請の担当がわかっていれば、定期券を購入した後に認定されなかったという食い違いを防げます。
給与明細では、住宅手当、通勤手当、精算費用がどの項目に載っているかを確認します。求人票と明細で名前が違うだけなら担当者に対応を聞き、金額が違うなら適用条件や日割りの有無を確かめます。手当の平均額を持ち出して増額を求める前に、自分の契約どおり支払われているかを確認する順番です。
その会社の支給額を求人票・面接・しょくばらぼで確かめる
統計の平均は、手当の水準を知る入口です。応募先では、住宅手当の支給額と対象者、通勤手当の会社上限、認定される経路を求人票で確認します。書かれていない条件は面接で聞き、内定時には自分の給与内訳と照合します。
企業研究の進め方に沿って、制度の説明と実際の働き方を分けて調べます。しょくばらぼに載る職場情報では、勤務地や働き方に関わる項目も確認し、掲載のない手当の細則は会社に聞きます。
質問は「住宅手当は充実していますか」より、「今回の採用条件で適用される住宅手当の額と期限を教えてください」のほうが答えを比べられます。相場を調べた後は、その会社で自分が受け取れる実際の数字を求人票・面接・しょくばらぼで確かめます。