面接の逆質問では、配属予定の仕事、評価、残業、有給休暇について、入社を決めるために足りない事実を聞きます。厚生労働省の令和5年若年者雇用実態調査で、初めての会社を辞めた理由は、労働時間・休日・休暇の条件が28.5%で最多でした。「何か聞かなければ」と探すより、自分が入社後に困る点を質問にします。公式資料と制度の確認日は2026年10月23日です。
答えを聞いたら、対象が全社か配属先か、いつの実績かまで確かめます。質問をしたことだけで面接の評価が決まるわけではありません。会社を選ぶために必要な情報を得ることと、自分がその仕事を理解することを目的に使ってください。
若年者が初めての会社を辞めた理由のランキング
厚生労働省の令和5年若年者雇用実態調査から、初めて勤務した会社を辞めた理由を多い順に並べました。対象は、調査時点で働く満15〜34歳のうち、在学しておらず、初めて勤務した会社を辞めた人です。3つまでの複数回答で、単位は%です。
| 順位 |
初めての会社を辞めた理由 |
割合 |
| 1 |
労働時間・休日・休暇の条件がよくなかった |
28.5% |
| 2 |
人間関係がよくなかった |
26.4% |
| 3 |
賃金の条件がよくなかった |
21.8% |
| 4 |
仕事が自分に合わない |
21.7% |
| 5 |
その他 |
16.1% |
出典:厚生労働省、令和5年若年者雇用実態調査、これまでの就業状況の表17、初めて勤務した会社をやめた理由別在学していない若年労働者割合の総数行。
令和5年10月1日現在の調査です。割合は平均や中央値ではなく、対象者が理由を選んだ割合です。複数回答なので合計を足して一つの退職率にはできません。今は働いていない人全体や、すべての年齢の転職者を表した数字でもありません。
この結果を、応募先の社員も同じ割合で不満を抱えているという意味には使えません。「働く時間」「人との仕事の進め方」「給与」「仕事の中身」は、入社前に確認しておく項目だと読むための表です。最多の理由だけを、誰にとっても最優先の条件にする必要はありません。
質問は調べた事実、聞きたい対象、確認したい点の順で作る
採用ページや求人票に書いてあることを読んだうえで、その先を聞きます。たとえば研修制度ありと書かれていれば、制度の有無をもう一度聞くより、応募する職種で何を学び、現場に入ってから誰が教えるかを聞きます。調べ方は企業研究のやり方で整理しています。
質問の骨格は「【資料】に【記載内容】とありました。【応募職種・配属予定部署】では、【確認したい点】を教えてください」です。この形を丸暗記する必要はありません。出発点が何かと、どの人の実際を知りたいかが伝われば十分です。
一度に複数の論点を詰め込むと、答えがどの質問に対応したか分からなくなります。配属を聞くときは配属、残業を聞くときは残業に絞ります。答えを受けて、必要な点だけ続けて聞くほうが、話の中身を追えます。
説明の途中ですでに解決したものは、質問のメモから外します。用意した文章をすべて読むための時間ではありません。事前に疑問を書いておくのは、会話の流れの中で聞き漏らさないためです。
配属は部署名より最初に担当する仕事を聞く
新卒採用では、配属先が面接時点で決まっていないことがあります。その場合は、どのように希望を聞き、いつ決定するかを確認します。まだ決まっていないものを確約してもらおうとせず、決定の流れと変更の可能性を聞きます。
使える例文は「【職種】を希望しています。配属先はいつ、どのような情報をもとに決まりますか」「配属後、最初に担当する仕事の例を教えてください」です。希望した職種名が同じでも、日々の業務は会社で違います。扱う商品、担当する顧客、社内で受け持つ範囲まで聞きます。
転職なら「今回の【職種】の募集は、欠員の補充と業務拡大のどちらに近いでしょうか」「入社後に最初に任せたい業務と、引継ぎを受ける相手を教えてください」と聞けます。募集の背景を知ると、既存の仕事を引き継ぐのか、新しく作るのかが分かります。
前任者の退職理由や個人の評価を細かく聞く必要はありません。確認したいのは、自分が入る仕事の範囲と支援です。「前任の方はなぜ辞めたのですか」から始めるより、「引継ぎの体制と、着任時点で残る課題を教えてください」と仕事の話にします。
業務の範囲には、入社直後とその後で違いがあることもあります。「当初は【業務】との説明でしたが、その後に担当が変わる範囲も教えてください」と聞けば、最初の配属だけで判断せずに済みます。勤務地や業務の変更範囲は、条件の書面とも照合します。
評価は頑張りより求める成果を聞く
評価制度がありますかという質問だけでは、どのように働けばよいかが分かりません。制度の名称より、応募する役割で何を評価し、どう伝え合うかを聞きます。給与の条件がよくても、任される責任を誤解していると入社後にずれが起きます。
新卒なら「【職種】に配属された新人について、仕事を覚えるまでにどんな点を見ていますか」「業務を振り返って相談する機会は、どのように設けていますか」と聞けます。成果がまだ出ない段階で、学ぶ内容と支援の受け方を確認します。
転職なら「【経験・技能】を生かす採用と理解しています。入社後に期待する成果と、評価する時期を教えてください」と聞きます。自分の経歴のどこを必要としているかと、入社後に何を求めるかがつながる質問です。肩書だけを合わせても、期待する成果が同じとは限りません。
給与については、「提示予定の給与に含まれる役割と、評価の結果が給与に反映される仕組みを教えてください」と確認できます。まだ個人の提示額が決まっていない段階では、決定の流れを聞きます。全員が同じ時期に同じ額だけ昇給する、という答えを期待して聞かないことです。
残業は全社平均と配属先の実績を分ける
残業はありますかだけでは、あるかないかしか分かりません。自分が入る部署で、通常の月と繁忙期にどの程度働くかを聞きます。会社全体の平均だけが公表されているなら、配属予定の部署でも同じなのかを確認してください。
例文は「求人票の残業時間は【記載内容】とありました。この数字は全社と【配属予定部署】のどちらでしょうか」「配属予定部署の直近年度の月平均と、忙しい時期の状況を教えてください」です。数字の対象と期間を指定することで、別の集計を比べる間違いを減らせます。
平均だけでは、残業が一部の人に集中しているかは分かりません。「繁忙期にはどの仕事が増え、どのように分担していますか」「仕事が終わらないときの相談先と調整の流れを教えてください」と続けると、数字の背景が見えます。
求人票に固定残業代があれば、給与の内訳と超過分の扱いも確認します。固定残業代に対応する時間数は、実際の残業時間そのものではありません。計算に使う時間と勤務実績を同じものとして聞かないでください。集計の読み方は残業時間の平均と業界別の数字でも確認できます。
残業を聞くこと自体を避ける必要はありません。ただし、「絶対に残業はしたくありません。ありませんよね」と答えを誘導するより、働ける条件と業務の実際を合わせて話します。勤務時間に制約があるなら、選考の中で伝え、可能な働き方かを確認します。
有給は取得日数と申請の流れを一緒に聞く
有給休暇は取れますかという聞き方だけでは、制度の説明で終わることがあります。配属予定の部署の取得実績、申請方法、休むときの引継ぎを聞きます。平均の数字が公表されていれば、正社員だけの集計か、対象年度はいつかを確かめます。
例文は「【配属予定部署】の前年度の有給休暇の平均取得日数を教えてください」「休暇を申請するとき、業務の引継ぎや日程の調整はどのように行っていますか」です。実績と運用を分けて聞くと、数字だけでは分からない日常の仕事が見えます。
取得率と取得日数は別です。取得率が示されたときは、何を分母にした数字か、平均取得日数も分かるかを確認します。会社が数字を持っていない場合は、その場で計算してもらうより、担当部署への確認が可能かを聞きます。
有給休暇と年間休日も混ぜないようにします。年間休日は会社の休日、有給は労働日に取得する休暇です。休日の日数だけが説明されたときは、有給の取得実績を別に確認してください。数字の違いは有給休暇の平均取得日数と取得率で整理しています。
自分に継続的な通院などの予定があるなら、必要な勤務上の条件を具体的に伝えます。一般的な取得実績だけで、個人の日程が必ず認められるとは判断できません。必要以上の個人事情を広げるより、勤務に関係する調整が可能かを確認します。
人間関係は仲のよさより相談と分担の実例を聞く
職場の雰囲気はよいですかという質問には、受け取る人の主観が入りやすくなります。自分が仕事を進める場面を想像し、迷ったときに誰に相談するか、担当が不在ならどう引き継ぐかを聞きます。仲がよいという答えと、働きやすい仕組みがあることは同じではありません。
「【職種】の担当者が判断に迷ったときは、普段どなたに相談しますか」「急な休みが出たとき、業務をどのように引き継いでいますか」と聞けば、仕事の進め方の説明を受けられます。個人の性格を評価してもらう質問にしないことです。
新人の相談先が上司だけなのか、別の教育担当もいるのかで、入社後の動き方が変わります。研修が終わってからの支援も聞いてください。入社時だけ研修を受けても、配属後に誰にも確認できなければ、実際の仕事で困るためです。
面接官が人事担当だけなら、現場の細かな運用をその場では答えられないこともあります。答えられなかったことだけで職場を評価せず、現場担当に聞ける機会や、後日回答を受ける方法があるかを確認します。分からないと言えることと、確認しても回答がないことを区別します。
新卒は育成、転職は着任後の役割を深く聞く
同じ職種でも、求められる経験が違えば質問を変えます。新卒は、配属の決まり方、研修で学ぶ内容、独り立ちまでの支援、仕事を相談する相手を確認します。仕事をまだ経験していなくても、どの順番で覚えるかは具体的に聞けます。
転職では、今回求める経験、着任後の責任、担当の範囲、引継ぎの有無を深く聞きます。「経験者採用なのでお任せします」と言われても、決定権や支援する人まで分かるわけではありません。任される仕事と、会社から提供される情報や人員を分けて確認します。
質問する相手も考えます。現場の面接官には日々の業務や評価、採用担当には給与条件や手続き、最終段階では事業や組織として期待する役割を聞きます。役職が高い面接官だから、休暇の社内申請まで必ず把握しているとは限りません。
公表されている売上や沿革をそのまま尋ねる必要はありません。調べた事業と応募する仕事がどう結びつくかを聞きます。「【事業の取組み】を拝見しました。【応募職種】ではどの業務を担当する予定ですか」とすれば、会社全体の話から自分の仕事につなげられます。
答えを誘導する聞き方と質問の詰め込みを避ける
「休みやすいですよね」「評価は公平ですよね」のように望む答えを置くと、実際の手順が分かりません。公平ですという回答が得られても、誰が何を見て評価するかは残ったままです。抽象的な評価を求めず、仕組みと実例を聞きます。
「口コミで悪く書かれていますが本当ですか」と書き込みをそのままぶつける必要もありません。残業について気になったなら、配属先の実績と申告の運用を確認します。個人の投稿を面接官に採点してもらうより、会社が説明できる事実を聞くほうが判断に使えます。
給与や休暇を避けることが礼儀というわけではありません。ただ、仕事や役割がまだ分からない段階で待遇だけを繰り返すと、どんな働き方を望むかが伝わりません。仕事内容と必要な条件をどちらも聞き、入社後に双方が困らないようにします。
自分の意見を長く話して終わるのも避けます。質問の前置きは、何を調べ、何を確認したいかが伝わる範囲にとどめます。自己紹介や経歴の説明はそれぞれの時間で行い、逆質問は相手の回答を聞く時間を残してください。自己紹介の組立ては面接の自己紹介で確認できます。
面接後は回答と書類を同じ項目で照合する
面接後に、質問した内容、回答、対象となる部署や職種、対象年度、未確認の点を書きます。「よい雰囲気だった」といった印象だけでは、後日別の会社と比較できません。数字と運用の説明を分けて残してください。
| 残す項目 |
記入する内容 |
| 仕事 |
【最初の担当業務・変更の範囲】 |
| 配属 |
【決定時期・希望の扱い】 |
| 評価 |
【期待する成果・確認する時期】 |
| 働く時間 |
【部署・年度・残業の実績】 |
| 休み |
【対象者・年度・取得実績】 |
| 未確認 |
【確認先・回答予定】 |
この表は記入用で、架空の企業の実績ではありません。数字を聞けなかった欄に一般平均を埋めないでください。分からなかったまま残すことで、次の面接や条件確認で何を聞くかが分かります。
回答と求人票が違うと感じたら、誤りと決める前に対象と時点を確認します。全社の昨年度平均と配属先の今の状況では違うことがあります。どちらが今回の働き方を説明しているのかを聞き、最終的な労働条件は書面でも確認します。
回答を待つ質問は確認先と時期を残す
その場で答えが出なかった質問は、「【確認したい項目】は、次の選考までに採用担当へ確認できますか」と聞きます。回答を急がせるのではなく、誰から説明を受けるかを確認するためです。後からメールなどで回答を受けたら、面接時のメモと一緒に保存します。
入社を決める条件に関わる項目は、不明なまま一般的な説明で埋めないでください。質問した内容に回答があるのか、別の制度を説明されただけなのかを読み直します。仕事内容や勤務条件の理解が違うと分かったら、承諾前にその違いを伝えて確かめます。
その会社の実績を確認してから入社を決める
全国の統計は、質問する項目を見つける材料です。応募先の残業や有給、給与を代わりに示す数字ではありません。面接の説明、求人票、公開された職場情報の対象をそろえ、自分が働く条件として読めるかを確認します。
厚生労働省のしょくばらぼに掲載された職場情報も確認します。掲載がない項目や、対象年度が古い項目は、面接で確かめる内容として残します。会社が公表した平均があっても、応募する雇用形態や部署と一致するかまで見てください。
その会社の実際の数字は、求人票・面接・しょくばらぼで確かめます。答えがよく聞こえたかだけで判断せず、任される仕事と必要な条件を自分の言葉で説明できる状態にしてから、入社を決めてください。
出典・確認日:2026年10月23日。ランキングは厚生労働省の令和5年若年者雇用実態調査、表17の総数行を使用。質問例と記入欄は、この集計を企業別の実績に置き換えたものではありません。公的な最適質問数や、この質問なら合格するという数値は置いていません。