転職に「何歳まで」という一律の上限はありません。厚生労働省の令和7年雇用動向調査では、65歳以上でも転職入職率は男性10.5%、女性6.1%です。年齢によって動き方と賃金の変化は違いますが、特定の歳を限界とする数字ではありません。応募先が求める仕事と、自分が示せる経験を合わせて準備します。
募集・採用時の年齢制限は原則禁止です。ただし定年などの例外があります。「年齢不問」と、経験を問わず採用することも同じではありません。応募できる条件、仕事に必要な経験、入社後の給与を別々に確かめます。制度と公式資料の確認日は2026年10月23日です。
年齢別の転職入職率は内定率ではない
使う数字は、厚生労働省、令和7年雇用動向調査結果の概要・転職入職者の状況の図4-1です。令和7年、2025年の年間の状況を示しています。今回確認した最新の年計結果です。
転職入職率は、年初の常用労働者数に対する転職入職者数の割合です。転職サイトに登録した人のうち採用された割合でも、応募者が内定を受けた割合でもありません。低い階級だから応募しても無理、高い階級なら短期間で決まる、とは読めません。
転職する人の数だけでなく、その階級で働いている人の数との関係も含む率です。応募しなかった人もいるため、年齢別の選考の通りやすさを測るには別の情報が必要です。数字を自分の合否の予測に置き換えないことです。
| 年齢階級 |
男性 |
女性 |
| 19歳以下 |
15.3% |
14.7% |
| 20〜24歳 |
16.5% |
15.8% |
| 25〜29歳 |
14.1% |
17.1% |
| 30〜34歳 |
11.4% |
13.1% |
| 35〜39歳 |
7.8% |
9.3% |
| 40〜44歳 |
7.3% |
10.5% |
| 45〜49歳 |
6.0% |
10.0% |
| 50〜54歳 |
4.7% |
7.9% |
| 55〜59歳 |
5.8% |
7.6% |
| 60〜64歳 |
11.3% |
8.9% |
| 65歳以上 |
10.5% |
6.1% |
出典:厚生労働省、令和7年雇用動向調査結果の概要、図4-1。男女それぞれの常用労働者についての率。一般労働者とパートタイム労働者を含み、平均年齢や中央値を表す数字ではありません。
男女で動きが違い、年齢が上がるにつれて一方向に下がる形でもありません。一般労働者とパートタイム労働者の構成なども異なります。この表から、年齢そのものが転職の成否を決めたと説明することはできません。
転職入職率のランキングは男女を分けて読む
比較するため、同じ図4-1からそれぞれの上位を高い順に並べました。男女を単純に平均して総合順位にはしていません。率の順位であって、求人数や待遇の順位ではありません。
| 順位 |
男性の年齢階級 |
転職入職率 |
| 1 |
20〜24歳 |
16.5% |
| 2 |
19歳以下 |
15.3% |
| 3 |
25〜29歳 |
14.1% |
| 4 |
30〜34歳 |
11.4% |
| 5 |
60〜64歳 |
11.3% |
出典:厚生労働省、令和7年雇用動向調査結果の概要、図4-1の男性。掲載した5階級の率は原資料の値です。
| 順位 |
女性の年齢階級 |
転職入職率 |
| 1 |
25〜29歳 |
17.1% |
| 2 |
20〜24歳 |
15.8% |
| 3 |
19歳以下 |
14.7% |
| 4 |
30〜34歳 |
13.1% |
| 5 |
40〜44歳 |
10.5% |
出典:厚生労働省、令和7年雇用動向調査結果の概要、図4-1の女性。令和7年の年間値です。
順位が上の時期まで急いで退職する、という使い方はしません。今の経験を応募先の業務でどう使うか、必要な条件がそろっているかを確かめる順番は、どの階級でも同じです。統計は周囲の動きを知る資料として使います。
転職後の賃金は増える人と減る人がいる
同調査の表6では、全体で賃金が増加した人40.8%、減少した人31.0%、変わらない人25.5%です。年齢別の結果も載っています。次の表は男女計で、金額の平均ではなく、各回答区分の割合です。
| 年齢階級 |
増加 |
変わらない |
減少 |
| 19歳以下 |
63.6% |
18.2% |
15.4% |
| 20〜24歳 |
55.2% |
19.9% |
17.5% |
| 25〜29歳 |
49.8% |
25.0% |
23.9% |
| 30〜34歳 |
48.6% |
20.8% |
29.0% |
| 35〜39歳 |
43.5% |
28.1% |
23.9% |
| 40〜44歳 |
44.9% |
24.6% |
27.4% |
| 45〜49歳 |
41.1% |
28.0% |
30.1% |
| 50〜54歳 |
29.4% |
26.7% |
42.0% |
| 55〜59歳 |
25.5% |
33.0% |
38.9% |
| 60〜64歳 |
21.1% |
24.2% |
54.3% |
| 65歳以上 |
22.2% |
33.4% |
42.3% |
| 全体 |
40.8% |
25.5% |
31.0% |
出典:厚生労働省、令和7年雇用動向調査結果の概要、表6。前職が雇用者で調査時に在籍する転職入職者が対象。自営業からの転職は含みません。賃金変動不詳を含むため各行の合計は100%になりません。
この表は年間の手取りが何円増減したかを示していません。月の働く時間、雇用形態、担当業務が変わる転職も含みます。減少した人がいることと、同じ仕事なら年齢だけで賃金が減ることは別です。
増加が多い階級でも、自分の条件が上がるとは限りません。基本給、手当、賞与の条件、固定残業代を内定時の書面で確認します。今の年収は残業を多くして得た額なのかも分けると、次の働き方と比較できます。
年齢制限は原則禁止、求人に制限があれば根拠を読む
厚生労働省、募集・採用における年齢制限禁止についてでは、労働施策総合推進法9条による原則禁止を説明しています。求人票を年齢不問にしても、実際に年齢だけで応募を断ることや採否を決めることは認められません。
例外は、定年を上限とする無期雇用の募集、法令による就業年齢の制限、長期勤続によるキャリア形成を図るための若年者等の募集などです。ほかにも技能の継承や高年齢者の雇用促進などの例外があります。例外ごとに条件があり、会社が自由に上限を置ける仕組みではありません。厚生労働省の年齢制限に関するリーフレットの7〜11ページで、例外ごとの条件を確認できます。
求人に年齢の記載があるなら、例外事由と契約期間を読みます。「経験者採用」と「長期勤続によるキャリア形成」の条件が混在してわかりにくいときは、ハローワークなどで記載の扱いを確認します。ネット記事の年齢ラインだけで応募を諦める必要はありません。
逆に、年齢不問だから必要な資格や経験も不問とは限りません。募集業務に必要な能力を満たすかは別に見られます。求人の必須条件と歓迎条件を分け、満たす根拠を自分の経験から用意します。
若手は続かなかった理由と次に身につけたい仕事をつなげる
経験が短い段階では、担当した仕事を大きく見せようとせず、自分が実際にできた範囲を書きます。補助で関わった仕事と、自分で判断して進めた仕事を分けると、面接で聞き返されても説明できます。
前の仕事が合わなかったなら、何が違ったのかを業務や条件の言葉にします。「向いていなかった」だけでは、次も同じことが起きるか判断できません。接客そのものが難しかったのか、勤務時間帯が合わなかったのかで探す仕事は変わります。
未経験の職種に応募するなら、興味を持った理由と、仕事の中身を調べた事実をつなげます。資格の勉強をしていることだけで実務ができるとは説明せず、今できること、入社後に習う必要があることを分けます。
研修があるという記載も、期間の長さだけで判断しません。何を誰から教わるか、独り立ちをどう判断するか、配属後に質問する相手がいるかを聞きます。未経験からの募集であっても、求める準備の程度は会社で違います。
経験者は担当業務と成果の中で自分がしたことを示す
経験を重ねた人は、役職名より中身を先に整理します。何を担当し、どこまで判断でき、どんな問題をどう処理したかを書きます。同じ役職でも、会社の規模や部署によって責任の範囲は違います。
成果を説明するときは、部署全体の結果と自分の担当を分けます。周囲の仕事まで自分の実績に含めないことです。取引先名や個人情報を持ち出さなくても、仕事の流れ、工夫、結果は説明できます。
管理経験を求める求人なら、人数だけでなく、採用、育成、評価、業務配分のうち何を担当したかを示します。管理職という肩書だけでは、応募先の求める役割に合うかわかりません。権限がなかった仕事を、できた仕事として書く必要もありません。
専門職で応募するなら、使った技術や資格を並べるだけでなく、どの業務で使い、現在も対応できるかを確認します。以前は使っていたが今は離れているものは、そのまま区別します。書類の整理は職務経歴書の書き方で確認できます。
年齢が上がるほど役職と給与の希望を切り離して考える
前職と同じ肩書を保つこと、同じ給与を受け取ること、同じ仕事内容を続けることは、別の条件です。どれも一度に満たす求人だけを探すのか、何を調整できるのかを整理します。年齢で希望を下げるのではなく、優先する条件を決める作業です。
管理職を離れて専門の仕事をしたいなら、その希望を具体的に書きます。肩書がない仕事でも働きたいという意思が、応募書類から伝わっていないことがあります。過去の役職を削る必要はありませんが、次に任されたい仕事をはっきりさせます。
収入の条件は、毎月必要な額と、賞与のように変わる部分を分けます。前職の年収だけを希望額にするより、内定条件を見て生活が成り立つかを確認しやすくなります。手取りは個人の条件で違うため、統計の割合から自分の収入を計算しないことです。
通勤、勤務日、夜間勤務、家族の予定との両立など、変えにくい条件も書き出します。条件を隠して入社し、後から調整を求めると双方が困ります。選考のどの段階で聞くかを決め、仕事に必要な範囲で伝えます。
応募数を増やす前に求人と書類のずれを点検する
書類選考が続けて通らなくても、年齢だけが原因とはわかりません。応募先の必須経験を満たしているか、書類の冒頭にそれが書かれているか、希望条件が求人と合うかを見直します。同じ書類を送るだけでは、仕事内容とのつながりが伝わらないことがあります。
求人を読んだら、必要な仕事、求める経験、自分が示せる根拠、確認したいことを並べます。根拠がない部分を長い自己PRで埋めるより、応募先に求められる仕事を確かめるほうが先です。
| 求人で見た内容 |
書類に出す根拠 |
面接で聞くこと |
| 業務改善を任せる |
改善前の問題と自分が変えた手順 |
入社後に最初に解く課題 |
| 後輩の育成を担う |
教えた内容と担当した範囲 |
育成に使える時間と支援 |
| 特定業務の経験を求める |
担当期間、使った知識、判断したこと |
必須の範囲と入社後に習える範囲 |
| 給与に幅がある |
希望する役割と経験 |
入社時の等級と評価の決め方 |
質問例は、「【募集業務】について、入社直後に任される範囲と、経験者にも説明や研修がある範囲を教えてください」です。年齢の話だけを続けず、仕事を始める条件を具体的に聞きます。
辞めた理由を伝えるときも、年齢による焦りだけを中心にしません。今の職場で変えたいことと、応募先で実現したい働き方をつなげます。話の組み立ては転職理由の伝え方にまとめています。
在職中の準備と退職後の生活を分けて組む
応募に使える時間、面接の予定、内定条件を確認する時間を確保します。在職中に動くなら、業務用の端末や連絡先を使わず、連絡を返せる時間帯を自分で管理します。採用側からの連絡に対応できる状態を作っておきます。
退職してから探すなら、収入がない期間の支出を先に書きます。受け取れるか未確認の給付や退職金を、確定した収入として置かないことです。家賃などの固定費と、応募活動の交通費などを分ければ、条件を急いで妥協していないかを見直せます。
次の入社日を求められても、今の職場の退職日が決まっていなければ確定とは答えません。引き継ぎや休暇を確認し、調整が必要だと伝えます。選考が進む前に自分の希望日程を書いておくと、内定後の話が早くなります。
経験を生かす転職と職種を変える転職で説明を変える
同じ職種で移るなら、前の会社との規模や分担の違いを調べます。前職では専門部署に任せていた作業も、応募先では自分の担当になるかもしれません。自分が担当していなかった範囲は、面接で確認する項目として残します。
職種を変えるなら、前職で得た力のうち、新しい仕事でも使える部分を具体的に説明します。調整が得意というだけでなく、関係者が多い仕事で納期をどう管理したかなど、行動がわかる形にします。過去の肩書を、新しい職務の経験と同一視しないことです。
未経験でも応募できると書かれていたら、採用後の担当範囲と育成を聞きます。完全に最初から教える募集か、関連した経験を前提とする募集かで準備は変わります。年齢の話をする前に、応募条件の意味を合わせます。
経験の少ない仕事へ移ると、これまでの賃金とのつながりも確認が必要です。希望年収を伝えるときは、前職の金額だけでなく、任される職務と働く時間を見て検討します。提示条件が出る前に、下げられる額だけを決める必要はありません。
面接の反応は質問された内容と回答に分けて見直す
面接後は、聞かれたこと、答えたこと、説明が足りなかったことを短く記録します。「年齢を気にされている気がした」だけで終わらせず、実際の質問を残します。次に同じ質問を受けたときの準備になります。
過去の実績ばかり聞かれたなら、具体的な担当の説明が足りなかったのかもしれません。入社後にしたいことを聞かれたなら、前職を離れる理由と次の希望がつながっているかを見直します。反応から原因を断定せず、修正できる箇所を探します。
相談窓口で応募書類を見てもらうときも、求人票を一緒に出します。書類だけでは、相手が求める仕事とのずれがわかりません。これまでの応募先と結果を整理すれば、応募の範囲を変えるか、説明を直すかを相談しやすくなります。
選考の結果を受けて急いで退職を決めるより、次の応募で変える点を決めます。統計の年齢別の率は、自分の応募の経緯を説明しません。自分の記録と求人の条件を見て、準備を進めます。
面接で年齢に触れられたときは、実際に確認されている条件を聞き取ります。勤務時間、入社時の役割、将来の契約など、仕事の条件についての質問なら、その内容に答えます。年齢を理由に応募を断られたなどの疑問があるときは、求人票と発言の記録を残して相談します。
家族の予定や通院などで勤務に制約がある場合も、働ける曜日や時間を整理して伝えます。私生活の詳しい事情をすべて説明するより、勤務に関係する条件を合わせることが先です。仕事の条件と関係しない個人情報まで、自分から広げる必要はありません。
複数の内定を比較するなら、説明を受けた条件を同じ表に写します。基本給、賞与、勤務時間、通勤、担当業務の空欄があれば、承諾前に確認します。どちらが自分の年齢に合うかという印象より、続けたい仕事と生活の条件がそろうかを見ます。
条件の比較を家族や相談員と進めるときも、確定した提示と自分の希望を分けます。まだ交渉中の金額や配属を確定したものとして扱わないことで、退職と入社の日程を急いで決めることを防げます。
応募先で年齢より任される仕事と実績を確かめる
年齢別の統計を読んだ後は、個々の求人に戻ります。募集理由、入社後の業務、給与の幅、定年や契約更新の条件を確認します。面接で聞いた話は労働条件通知書と照合し、曖昧な点を入社前に残さないようにします。
企業研究の進め方に沿って公開情報を調べ、しょくばらぼで採用や定着、勤務の実績を見ます。転職に一律の年齢上限はなくても、必要な条件は会社と職種で違います。その会社の実際の数字は、求人票・面接・しょくばらぼで確かめます。