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就業規則とは:会社に作る義務がある条件と、見せてもらう方法

・ナギサコーポレーション(運営)

この記事の答え

  • 常時10人以上⁠の労働者を使用する事業場は、就業規則を作成し労働基準監督署へ届け出る。企業全体ではなく事業場で数える
  • 作成・変更時は過半数組合か過半数代表の意見を聴く。労働者がいつでも読めるよう周知する義務も別にある
  • 令和7年監督業務の速報で就業規則関係の違反は10,391事業場。在籍中は本体と別規程、施行日、閲覧先を確認する

口コミや求人票ではわからないことは、会社に直接聞けます。まだ載っていない会社にも質問をリクエストできます。名前は会社に伝わりません。

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就業規則は、給与、労働時間、休み、退職、服務規律など、職場で共通に使うルールをまとめたものです。常時10人以上⁠の労働者を使用する事業場では、作成して労働基準監督署へ届け出る義務があります。厚生労働省の令和7年監督業務の速報では、就業規則に関する労働基準法89条⁠の違反は10,391事業場でした。会社が作ったかだけでなく、自分がいつでも読める状態かまで確認します。

制度は2026年10月23日⁠に厚生労働省の公式資料で確認しました。基にするのは令和7年12月版のモデル就業規則です。モデルは各社の規則そのものではないので、自分の賃金や休暇を確かめるときは、会社で現在使っている版を読みます。

作成義務は会社全体ではなく事業場で判断する

労働基準法89条⁠の基準は、常時10人以上⁠の労働者を使用する事業場です。大きな企業に勤めているか、小さな企業に勤めているかだけでは決まりません。店舗や営業所などの実態に沿って判断します。

厚生労働省のモデル規則PDFは、はじめにの3ページ⁠で企業単位と事業場単位の違いを説明しています。複数の店舗がある会社では、企業全体の人数を単純に足す説明になっていないかを確認します。事業場の独立性など判断が必要なときは、会社の説明と実態を照合します。

「常時」⁠は⁠、たまたま出勤した日の人数を数えるという意味ではありません。同じ日に働く人数が少ないシフト勤務でも、通常使用する労働者の人数を確認します。正社員だけで数えず、パートやアルバイトなども含めます。

常時10人未満なら、89条⁠の作成・届出義務の対象ではありません。ただし、労働基準法のほかの規定がなくなるわけではありません。賃金や休日などの法定基準、契約時の労働条件の明示は別に確認します。規則がないから、会社が何でも自由に決められるということではありません。

小規模な職場が任意に就業規則を作ることもあります。義務があるかと、実際に規則があるかを分けて聞きます。自分の契約内容を確認するときは雇用契約書の確認⁠もあわせて読み、個別の条件と共通の規則を並べてください。

必ず書く事項と、制度があれば書く事項

モデル就業規則のはじめに、2〜3ページに、労働基準法89条⁠の記載事項がまとまっています。必ず書くものと、その職場で制度や負担を定めるときに書くものを分けて読むと、探す場所がわかります。

区分 項目 確かめる中身
必ず書く 労働時間 始業・終業、休憩、休日、休暇、交替勤務
必ず書く 賃金 計算と支払いの方法、締日と支払日、昇給のこと
必ず書く 退職 退職の手続き、解雇の事由
定めがあれば 退職手当 対象者、計算方法、支払方法・時期
定めがあれば 臨時の賃金等 賞与など、最低賃金額の定め
定めがあれば 本人の費用負担 食費、作業用品など
定めがあれば 安全・衛生 職場の安全衛生のルール
定めがあれば 職業訓練 研修や訓練のルール
定めがあれば 災害補償等 災害補償、業務外の傷病の扶助
定めがあれば 表彰・制裁 種類と程度
定めがあれば その他 事業場の全員に適用するルール

出典:厚生労働省、令和7年12月版モデル就業規則、はじめにの2・3ページ⁠、労働基準法89条⁠の記載事項。給与額の平均や制度の普及率を示す表ではない。

「定めがあれば」⁠は⁠、書かなくても口頭で自由に運用できる、という意味ではありません。その制度を設けるなら必要な内容を記載します。賞与や退職金が法律で一律に全社へ支給を義務づけられているわけではないこととも区別します。

本文とは別に賃金規程、育児・介護休業の規程、退職金規程を置く会社もあります。就業規則に「別に定める」⁠とあれば、参照先も含めて確認します。本体の見出しだけで、制度がある、ないと判断しないでください。

給与は金額だけでなく計算と支払条件を読む

求人票の月給は、入社時の個別条件を示す情報です。規則では、欠勤や遅刻の控除、手当の対象、給与の締日、昇給の時期など、共通の扱いを確認します。基本給と手当の区分が個別の通知と合うかも見ます。

賞与は、制度の有無、算定の対象期間、支給日に在籍していることが必要か、会社の業績による変更があるかを読みます。前年度の支給実績と、将来必ず支払われる条件は別です。実績が高くても、自分が同じ額を受け取るとは決まりません。

休みは制度名と申請の順番を確認する

年間休日の多さだけでは、休暇の使い方までわかりません。法定休日の扱い、シフトの決め方、振替の手続き、有給休暇の申請先などを見ます。休暇の申請と、欠勤の連絡が同じ扱いになっていないかも確認します。

慶弔休暇など会社独自の休暇は、対象の事情や日数、給与が出るかが会社によって違います。制度名が求人に書いてあっても、対象範囲までは読み取れないことがあります。自分が知りたい事項を決めてから規則の該当箇所を探します。

作成・変更では過半数代表の意見を聴く

労働基準法90条は、作成や変更の際に、過半数で組織する労働組合があるならその組合、なければ労働者の過半数を代表する者の意見を聴くことを求めています。届出には、その意見を記した書面を添付します。

代表者は、会社が都合のよい人を指名すれば済むものではありません。モデルのはじめに、3〜4ページは、管理監督者でないこと、意見を聴く相手を選ぶと明らかにした投票や挙手等で選出されること、会社の意向で選ばれないことを説明しています。

従業員代表という役職があるから、そのまま就業規則の意見を聴く代表に当たるとは限りません。何のために、どのように選ばれた代表なのかを確認します。選ぶ手続きと、会社が変更内容を説明する手続きを分けて見てください。

意見を聴くことは、全員の賛成を得ることと同じではありません。ただし、代表者の意見を聴いて届け出たという説明だけで、不利益な変更がすべて有効になるわけでもありません。

労働者に不利益な変更では、労働契約法上の合意や変更の合理性も問題になります。厚生労働省の変更時の解説も、変更の内容や説明の経緯を踏まえて、自由な意思に基づく同意かを見る必要を説明しています。通知を受け取ったことと、変更に同意したことを混同しないでください。

届け出た後も、いつでも読める状態にする

労働基準法106条⁠による周知は、作成・届出と別に必要です。労働基準監督署へ提出してあるから、社員には見せなくてもよいという仕組みではありません。

モデルのはじめに、4ページは、本人への配付、職場の見やすい場所への掲示や備付け、常時画面で確認できる電子媒体などを挙げています。全員に紙を配る方法だけではなく、労働者が実際にいつでも見られる状態かを確認します。

会社の案内 確認すること
社内サイトにある 自分の権限で開けるか、どれが最新版か
事務所に備えている 保管場所、閲覧できる方法、別規程の所在
入社時に配っている その後の改定版をどう知らせるか
人事に聞けばよい 毎回の許可なしで確認できる方法があるか

「置いてあるはず」⁠で終わらせず、自分の端末や勤務先から実際に開きます。リンクが切れている、閲覧権限がない、別規程だけ見つからないといった状態は、具体的に伝えると改善を求めやすくなります。

規則を確認した日、ファイルの名称、施行日を控えておくと、後で給与や休暇の説明と食い違ったときに照合できます。古いファイルと新しいファイルが並んでいるなら、今の適用版を担当者に確認してください。

入社前は、知りたい条件を示して閲覧を頼む

在籍する労働者への周知義務と、応募中の人への対応は同じではありません。応募しただけで必ず就業規則の全文コピーを受け取れると断定することはできません。

内定後に条件を検討するときは、知りたい項目を具体的に伝えます。「働く条件を確認したいため、【確認項目】⁠に関する就業規則と別規程を、承諾前に閲覧できますか⁠」⁠と聞けます。給与、転勤、休日など、判断に必要な部分を示します。

全文を渡せないと言われたときは、該当箇所の閲覧や、会社による書面の説明ができるかを聞きます。秘密の情報を求めているわけではなく、契約の判断に必要な条件を確かめたい、と目的を伝えます。

規則を後で見せるという説明なら、いつ、どの条件を確認できるのかを明確にします。求人票、内定時の説明、労働条件通知書で条件が変わっていないかも照合してください。「入社してから説明する」だけでは、承諾前の判断に必要な情報が残ることがあります。

在籍中は、本体と別規程の閲覧先を聞く

人事や総務、上司へ、閲覧場所と最新版を確認します。言い方は「給与の計算を確認したいため、現在適用されている就業規則と賃金規程の閲覧先を教えてください⁠」⁠で足ります。争っていることを前提にする必要はありません。

最初から全条文を読み切ろうとせず、知りたい項目を目次から探します。該当条文に別の条文や別規程への参照があれば、その参照先まで読むと、条件の抜けを防げます。

見せてもらえないときは、いつ、誰へ、何の閲覧を求め、どう回答されたかを記録します。紙を渡さないという回答なのか、閲覧そのものを認めない回答なのかも分けます。会社が別の閲覧方法を案内しているなら、実際に使えるかを確認します。

それでも在籍する労働者が確認できない状態なら、労働基準監督署などへ相談できます。規則の不利益変更や個別の契約内容を争う問題は、届出や周知の違反とは別の論点も含みます。相談の際は、何を確認したいのかを伝えてください。

就業規則の違反事業場数を業種別に比べる

厚生労働省の令和7年監督業務実施状況の速報、第1表その2から、労働基準法89条⁠の違反事業場数が多い区分を並べました。令和7年1月から12月⁠の定期監督等で把握した件数です。全国のすべての企業を調べた結果ではなく、平均や中央値でもありません。

順位 業種区分 違反事業場数
1 製造業等の1号小計 2,373
2 商業の8号小計 2,026
3 保健衛生業の13号小計 1,578
4 接客娯楽業の14号小計 1,399
5 建設業の3号小計 750
参考 全業種合計 10,391

出典:厚生労働省、令和7年監督業務実施状況、速報資料PDF⁠の第1表その2、89条・就業規則の欄。法別表第1の号別小計を比較した上位5区分。単位は事業場、速報値。

1号小計には、表に掲載された電気・ガス・水道業なども含まれます。一般の産業分類の製造業だけを抜いた数字ではありません。商業には卸売、小売、理美容業など、保健衛生業には医療保健業や社会福祉施設などが入っています。

この表は89条関係の違反をまとめたものです。作成義務のある会社すべてに占める違反率や、就業規則を一切作っていない会社の数として読み替えることはできません。監督対象の数や構成も業種で違います。

周知の義務は106条⁠の別の欄です。89条⁠の数字に周知違反を混ぜたり、届出の件数と呼んだりしないでください。応募先がこの業種だから違反しているという結論も、この集計からは出せません。

改定の案内は変更前と変更後を並べて読む

改定版だけが配られたときは、どの条文が変わったかを確認します。賃金や休暇の条件は、言葉の置き換えに見えても、対象となる人や申請できる時期が変わることがあります。変更の一覧や会社の説明資料があるかを聞きます。

適用開始日と説明を受けた日も分けます。翌月から適用される変更なのか、過去の扱いの説明なのかで、照合する給与明細や勤務表が違います。改定前の期間に起きたことを、改定後の条文だけで確認しないでください。

会社が経過措置を設けることもあります。入社時期や現在の職位によって別の扱いが残るなら、自分にどの規定が適用されるかを確認します。同じ職場の人の説明だけで判断せず、自分の契約と適用対象をそろえて読みます。

説明を聞いたという確認の書面と、変更へ同意する書面は、文面を読んで区別します。提出を求められたら、何を確認するための署名なのかを聞きます。わからない条文を残したまま、全内容を理解したという記載へ署名することは避けます。

雇用形態が変わるときは適用する規程も確認する

パートから正社員になる、有期契約から無期契約へ移る、定年後に再雇用されるといったときは、適用する規則や別規程が変わることがあります。以前の規則を読んだ経験があっても、今回の条件を確認し直します。

給与だけでなく、休日、休職、退職、賞与や退職金の対象がどう変わるかを見ます。名称が正社員に変わったことだけで、すべての制度が自動的に同じ条件になると判断しないでください。変更する契約の説明と、規則の適用範囲を並べます。

勤務地が変わるときも、勤務先のカレンダーや労働時間の制度が同じかを確認します。本社の規則に支店独自の定めがあるのか、別の事業場の規則を適用するのかを聞きます。前の職場での運用が、そのまま新しい配属先でも使われるとは限りません。

読み終わった後には、確かめられた条件と、まだ説明を受けていない条件を分けて控えます。空欄を推測で埋めるより、担当者へ具体的に聞くほうが早く解決します。問い合わせた内容と回答の日付も残しておくと、入社や異動の後に照合できます。

読んだ規則と会社の説明が違ったら

該当条文、会社からの説明、実際に行われた扱いを並べます。たとえば賃金なら、規則の計算方法と給与明細、勤務記録を照合します。休暇なら、規則の申請方法と、申請した日や返答を控えます。

規則に書いていないことを口頭で補っているのか、改定したのに周知されていないのか、対象者が異なる別規程を使っているのかで、確認先が変わります。説明に納得できないときも、違う点を条文と事実で示すと論点が絞れます。

懲戒の規定を読んでいるなら、種類と程度だけでなく、どの行為を理由に処分できるかも確認します。懲戒処分の手続きで、規則に書いてあることと処分が有効であることの違いを整理しています。

契約書へ署名したら、就業規則の内容が何でも優先するということではありません。法令、労働協約、個別の契約との関係を確認する必要があります。難しいときは、関係する書面を一緒に持って相談してください。

読む規則を特定するときは、入社予定の雇用形態と配属先を伝えます。会社全体向けの案内しかないと、別規程の対象条件を見落とすことがあります。自分が対象になる規則と、対象にならない制度を区別して確認します。

公開されている制度の紹介と、就業規則の条文に差があったら、更新の時期も聞きます。紹介ページの説明が短いために条件を省いていることもあります。短い紹介文だけで自分へ適用されると判断せず、具体的な条件の説明を受けてください。

応募先のルールと実際の数字を確かめる

就業規則が整っていることと、休暇や相談制度が使われていることは別に確認します。規則には制度の条件が書かれ、求人票や公開データには実績が載ります。両方を見て初めて、働き方を具体的に比較できます。

面接では、配属予定部署の残業時間、有給休暇の取得状況、シフト変更の頻度など、気になる実績を聞きます。社内規則の閲覧方法と、入社後に説明を受ける時期も確かめてください。調べる順番は企業研究の手順⁠で整理しています。

その会社の実際の数字は、求人票・面接・しょくばらぼで確かめます。制度の有無だけで終えず、いつの、誰を対象にした実績かをそろえて、自分が働く職場の条件を確認してください。

よくある質問

就業規則を作る義務は何人からですか?

常時10人以上です。厚生労働省の令和7年12月版モデル就業規則のはじめには、労働基準法89条⁠の作成・届出義務を企業単位ではなく事業場単位で説明しています。パートなども含めて確認します。

パートだけの店舗にも必要ですか?

正社員だけを数える制度ではありません。厚生労働省のモデル就業規則は常時使用する労働者10人以上⁠を基準にしています。雇用形態ではなく、事業場の通常の使用人数と実態を確認します。

会社は就業規則を見せなくてもよいですか?

在籍する労働者への周知が必要です。厚生労働省のモデル就業規則は労働基準法106条⁠に基づき、配付、掲示・備付け、いつでも確認できる電子媒体などの方法を説明しています。個別配付だけが周知の方法ではありません。

就業規則の変更には全員の同意が必要ですか?

作成・変更の届出では、労働基準法90条⁠に基づく過半数組合か過半数代表の意見聴取が必要です。厚生労働省のモデル就業規則は、不利益な変更の合理性も慎重に検討するよう説明しています。意見聴取と個人の同意は別の問題です。

就業規則には何を必ず書きますか?

厚生労働省のモデル就業規則のはじめにでは、労働時間、賃金、退職の3区分を示しています。労働基準法89条⁠に基づく事項で、退職には解雇の事由も含みます。退職金や賞与などは制度を設けるときの記載も確認します。

就業規則の違反はどのくらいありますか?

厚生労働省の令和7年監督業務実施状況の速報、第1表その2の89条欄は10,391事業場です。定期監督等で把握した違反事業場数で、全国すべての会社の違反率や、届出書類の数ではありません。

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