家族手当の月額は、民間の会社で配偶者12,320円、配偶者と子1人で19,003円、子1人のみで13,303円です。人事院の令和6年職種別民間給与実態調査(令和6年4月現在)の第5表の数字です。家族手当を出す会社は全体の半分を少し超える程度で、厚生労働省の令和7年就労条件総合調査では、令和6年11月分に家族手当などを支給した企業は全企業の56.9%でした。
国家公務員の扶養手当は、2026年4月から配偶者の分がなくなりました。子1人につき月13,000円です。民間でも、配偶者に出す家族手当を見直す予定または検討中の事業所は15.3%ありました。
数字と制度は、2026年10月25日に人事院、厚生労働省、e-Govの法令の公表で確かめました。調査ごとに対象の会社と時点が違うので、表ごとに書いています。
家族手当の平均を出している2つの調査
家族手当の数字は、主に2つの公的調査で見られます。
| 調査 |
対象 |
わかること |
| 人事院 職種別民間給与実態調査 |
企業規模50人以上かつ事業所規模50人以上の事業所 |
配偶者・子の人数ごとの月額、配偶者に出す割合 |
| 厚生労働省 就労条件総合調査 |
常用労働者30人以上の民営企業 |
家族手当を出した企業の割合(業種別・規模別)、受給者の平均 |
人事院の調査は、国家公務員の給与を決める基礎として民間の給与を調べたものです。令和6年は、対象の58,405事業所から11,686事業所を選んで実地で調べています。令和6年の調査は令和6年4月現在で、家族手当の表は令和6年分が最新です(令和7年と令和8年の資料には家族手当の表がありません)。
就労条件総合調査の家族手当は「家族手当、扶養手当、育児支援手当など」をまとめた区分です。資料の用語の説明では、配偶者や子どもなどの人数・年齢に応じて出す賃金で、扶養しているかどうかは問いません。
家族手当の月額:配偶者・子の人数別
| 扶養家族の構成 |
月額 |
| 配偶者 |
12,320円 |
| 配偶者と子1人 |
19,003円 |
| 配偶者と子2人 |
25,272円 |
| 子1人 |
13,303円 |
| 子2人 |
25,241円 |
| 子3人 |
37,208円 |
出典:人事院、令和6年の民間給与の資料第5表その1(令和6年職種別民間給与実態調査)。配偶者を含む3行は、配偶者に家族手当を支給し、その支給に配偶者の収入による制限がある事業所で算出。子だけの3行は、配偶者には支給せず子に支給する事業所で算出。
上の3行と下の3行は、別の事業所の集まりの平均です。「配偶者と子1人」の19,003円から「配偶者」の12,320円を引いて、子1人の分を6,683円と計算することはできません。
子だけに出す会社では、子1人13,303円、子2人25,241円、子3人37,208円です。1人増えるごとにおおむね1万2千円前後ずつ増えています。配偶者に出す会社の「配偶者と子2人」25,272円と、子だけの会社の「子2人」25,241円は、ほぼ同じ額でした。
配偶者の収入による制限
配偶者の月額は、配偶者の収入に制限がある事業所で出しています。配偶者の収入が会社の決めた額を超えると、家族手当が出なくなる仕組みです。上限の額は会社の規程によって違い、この調査からは読めません。
扶養の範囲と収入の関係は、130万円の壁と扶養で税と社会保険の側から整理しています。家族手当の上限は、それとは別に会社が決めるものです。
家族手当の制度があるか:民間の事業所の割合
| 支給の有無 |
割合 |
| 家族手当の制度がある |
74.5% |
| 配偶者に家族手当を支給する |
53.5% |
| 子に家族手当を支給する |
74.0% |
| 家族手当の制度がない |
25.5% |
出典:人事院、令和6年職種別民間給与実態調査の第5表その1。企業規模50人以上かつ事業所規模50人以上の事業所。
制度がある事業所のほとんどは、子に家族手当を出しています。配偶者に出す事業所は53.5%で、子に出す74.0%より20ポイント余り少なくなっています。
配偶者分を見直す予定の事業所
| 見直し予定の状況 |
割合 |
| 見直す予定、または見直しを検討中 |
15.3% |
| 税制・社会保障や他社・公務員の動向によっては検討 |
11.1% |
| 見直す予定はない(検討もしていない) |
73.6% |
出典:人事院、令和6年職種別民間給与実態調査の第5表その2。配偶者に家族手当を支給する事業所が対象。
配偶者に出している事業所の4分の3近くは、見直しの予定がないと答えています。それでも、予定や検討中、条件しだいで検討を合わせると26.4%です。入社するときの家族手当が、ずっと同じ条件で続くとは限りません。
家族手当を支給した企業の割合:業種別ランキング
厚生労働省の令和7年就労条件総合調査の原表から、家族手当などを令和6年11月分に支給した企業の割合を高い順に並べました。分母は全企業です。制度がある企業の割合も並べています。
| 順位 |
業種 |
支給した企業 |
制度がある企業 |
| 1 |
複合サービス事業 |
94.6% |
96.7% |
| 2 |
電気・ガス・熱供給・水道業 |
74.1% |
82.1% |
| 3 |
製造業 |
67.8% |
70.9% |
| 4 |
教育、学習支援業 |
67.2% |
72.5% |
| 5 |
金融業、保険業 |
66.9% |
70.0% |
| 6 |
医療、福祉 |
66.0% |
67.3% |
| 7 |
鉱業、採石業、砂利採取業 |
61.1% |
63.6% |
| 8 |
建設業 |
58.5% |
64.0% |
| 9 |
学術研究、専門・技術サービス業 |
56.6% |
61.4% |
| 10 |
不動産業、物品賃貸業 |
53.5% |
59.2% |
| 11 |
運輸業、郵便業 |
52.2% |
55.2% |
| 12 |
生活関連サービス業、娯楽業 |
51.6% |
57.9% |
| 13 |
卸売業、小売業 |
51.4% |
56.3% |
| 14 |
情報通信業 |
48.7% |
50.7% |
| 15 |
宿泊業、飲食サービス業 |
40.2% |
46.5% |
| 16 |
サービス業(他に分類されないもの) |
36.2% |
43.7% |
| ― |
調査産業計 |
56.9% |
61.0% |
出典:厚生労働省、令和7年就労条件総合調査の原表(e-Stat)の第33-1表(支給企業割合)と第31-1表(制度有企業割合)。家族手当、扶養手当、育児支援手当などの列。令和6年11月分、全企業を100とした割合。
複合サービス事業は、9割を超える企業が家族手当を出しています。製造業も67.8%と高めです。
情報通信業は48.7%で、半分に届きません。制度がある企業と、令和6年11月分に実際に支給した企業は別に数えていて、業種ごとに2〜8ポイントの差があります。
製造業の中では、機械関連が72.9%、消費関連が67.6%、素材関連が63.0%でした。卸売業・小売業は、卸売業が61.0%、小売業が43.5%と差があります。
家族手当を支給した企業の割合:企業規模別
| 企業規模 |
支給した企業 |
制度がある企業 |
| 1,000人以上 |
67.9% |
71.1% |
| 300〜999人 |
67.0% |
71.0% |
| 100〜299人 |
63.5% |
67.2% |
| 30〜99人 |
53.4% |
57.6% |
出典:厚生労働省、令和7年就労条件総合調査の原表第33-1表・第31-1表。家族手当、扶養手当、育児支援手当などの列。全企業を100とした割合。
1,000人以上と300〜999人はほぼ同じで、30〜99人で下がります。製造業だけで見ると、100〜999人で77.7%、1,000人以上で74.9%と、中堅の企業のほうが高い数字でした。会社が大きいほど家族手当が出やすいとは言い切れません。
家族手当は月給の何%か:業種別の1人平均
もう1つの見方が、家族手当の総額を社員の数で割った1人平均です。受け取っていない人も分母に入るので、受給者の平均よりずっと小さくなります。業種ごとに、家族手当が給与の中でどれくらいの重さかがわかります。
| 順位 |
業種 |
1人平均の家族手当 |
所定内賃金に占める割合 |
| 1 |
電気・ガス・熱供給・水道業 |
11,600円 |
2.8% |
| 2 |
教育、学習支援業 |
5,800円 |
1.4% |
| 3 |
複合サービス事業 |
5,400円 |
1.3% |
| 4 |
製造業 |
4,900円 |
1.4% |
| 5 |
鉱業、採石業、砂利採取業 |
3,800円 |
1.1% |
| 6 |
建設業 |
3,700円 |
1.0% |
| 7 |
金融業、保険業 |
3,600円 |
0.9% |
| 8 |
運輸業、郵便業 |
3,500円 |
1.2% |
| 9 |
学術研究、専門・技術サービス業 |
3,200円 |
0.8% |
| 10 |
情報通信業 |
3,100円 |
0.8% |
| 10 |
卸売業、小売業 |
3,100円 |
0.9% |
| 12 |
不動産業、物品賃貸業 |
3,000円 |
0.9% |
| 13 |
医療、福祉 |
2,500円 |
0.8% |
| 14 |
生活関連サービス業、娯楽業 |
2,200円 |
0.7% |
| 15 |
サービス業(他に分類されないもの) |
1,900円 |
0.7% |
| 16 |
宿泊業、飲食サービス業 |
1,700円 |
0.6% |
| ― |
調査産業計 |
3,600円 |
1.1% |
出典:厚生労働省、令和7年就労条件総合調査の原表第32-3表(1人平均月額、千円を円に換算)と第32-1表(構成比)。令和6年11月分。家族手当、扶養手当、育児支援手当などの列。1人平均は、手当の支給総額を期間を定めずに雇われている労働者の数で割った額で、支給した人の平均ではありません。同じ額の業種は同じ順位です。
調査産業計では、所定内賃金341,800円のうち家族手当は3,600円で、1.1%です。電気・ガス・熱供給・水道業は11,600円で、2位の教育、学習支援業の5,800円のちょうど2倍です。
企業規模別では、1,000人以上が4,600円(1.2%)、100〜999人が3,300円(1.0%)、30〜99人が2,400円(0.8%)でした。支給した企業の割合と同じく、小さい企業ほど少なくなります。
受け取っている人の平均額(令和6年11月分で月17,600円)は、住宅手当の相場で住宅手当や通勤手当と並べています。
国家公務員の扶養手当:配偶者分の廃止と子の引き上げ
国家公務員の家族手当にあたるのが扶養手当です。人事院は令和6年の勧告で、配偶者に係る手当を廃止し、子に係る手当を引き上げる見直しを2年かけて行うとしました。次の表は、その勧告の内容です。
| 扶養親族 |
見直し前 |
令和7年度 |
令和8年度 |
| 配偶者(行政職の7級以下) |
6,500円 |
3,000円 |
廃止 |
| 配偶者(行政職の8級) |
3,500円 |
廃止 |
廃止 |
| 子(1人あたり) |
10,000円 |
11,500円 |
13,000円 |
出典:人事院、令和6年の勧告のポイント「その他諸手当」のうち扶養手当の見直し(月額)。
今の法律の条文でも確かめました。給与法の第11条(2026年4月1日施行の版)は、扶養親族を、22歳に達した後の最初の3月31日までの子・孫・弟妹、60歳以上の父母・祖父母、重度心身障害者としています。配偶者は入っていません。
月額は、子が1人につき13,000円、父母などが1人につき6,500円です(行政職の8級は3,500円、9級以上は父母などの分は出ません)。15歳に達した後の最初の4月1日から22歳に達した後の最初の3月31日までの子には、1人につき5,000円が加算されます。
国家公務員で扶養手当を受け取っている人
| 扶養親族の数 |
人数 |
| 1人 |
37,135人 |
| 2人 |
37,320人 |
| 3人 |
10,060人 |
| 4人 |
1,407人 |
| 5人 |
187人 |
| 6人以上 |
68人 |
| 計 |
86,177人 |
出典:人事院、令和8年の公務員給与の資料の第5表(令和8年国家公務員給与等実態調査、令和8年4月1日現在)。
人事院の結果概要では、調査の全職員248,729人のうち、扶養手当の受給者は86,177人です。受給者1人あたりの平均は月24,976円で、平均の扶養親族数は1.7人でした。
民間で子だけに出す事業所の子1人13,303円と、国家公務員の子1人13,000円は近い額です。ただし民間は令和6年4月、公務員は2026年4月からの額で、時点が違います。民間の配偶者分12,320円にあたる手当は、国家公務員にはもうありません。
家族手当のある会社を選ぶときに見ること
家族手当は、入社したときの家族の状況だけで決まるものではありません。結婚、出産、子の進学、配偶者の就職で、もらえる額が変わります。応募先の規程では、次の点を確かめます。
| 確かめること |
聞き方の例 |
| 対象の家族 |
配偶者、子、親のうち、どの家族が対象ですか |
| 子の年齢の上限 |
子は何歳まで対象ですか |
| 配偶者の収入の上限 |
配偶者の収入が【金額】を超えたらどうなりますか |
| 共働きのときの扱い |
夫婦とも社員のとき、2人とも受け取れますか |
| 申請の時期と書類 |
家族が増えたとき、いつまでに何を出しますか |
配偶者に出さない会社が全体の半分近くあることは、人事院の調査の53.5%からわかります。残りの点は、会社の規程を読まないとわかりません。
月給の中に家族手当がどう入っているか
家族手当は毎月の給与に入る手当です。求人票の月給に家族手当が含まれているかどうかで、自分に当てはまる額は変わります。独身の人は、家族手当を除いた月給で比べます。
子1人の家族手当が月13,303円の会社なら、年間では 13,303円 × 12 = 159,636円です。賞与の計算の基礎に家族手当を入れるかどうかも会社で違います。年収で比べるときは、月給、賞与、手当を分けて書き出します。
労働基準法の第37条は、割増賃金(残業代)の計算の基礎となる賃金に家族手当を入れないと定めています。家族手当が多くても、残業1時間あたりの単価は上がりません。計算の手順は残業代の計算で、明細の読み方は給与明細の見方で説明しています。
その会社の実際の数字は、求人票・面接・しょくばらぼで確かめる
平均の月額と支給する会社の割合は、応募先の手当が多いか少ないかを見る物差しです。その会社で家族手当が出るか、いくらかは、求人票の手当の欄、賃金規程、内定時の労働条件の説明で確かめます。
厚生労働省のしょくばらぼでは、掲載している企業の残業時間や有給休暇の取得、育児休業の取得の実績を見られます。家族手当の額と合わせて、家族と暮らしながら続けられる働き方かどうかを比べます。