130万円の壁は、健康保険の被扶養者として認定される年間収入の基準です。原則は130万円未満、60歳以上や一定の障害者は180万円未満です。19歳以上23歳未満の配偶者以外については、2025年10月から150万円未満に変わっています。金額だけでなく、本人の社会保険加入、生計維持、同居や仕送りなども確認します。
日本年金機構、協会けんぽ、厚生労働省の公式資料を2026年10月22日に確認しました。2026年4月からは、給与収入だけの人について、一定の条件で労働契約の内容に基づき年間収入を判定する扱いも始まっています。前年の年収だけを見て、今年の扶養の可否を決めるものではありません。
年齢区分別の収入基準ランキング
収入基準の額が大きい順に並べました。健康保険の被扶養者認定に使う制度上の年額で、平均や中央値ではありません。収入が表の額と同じなら、原則の「未満」という条件は満たしません。
| 順位 |
認定を受ける人の区分 |
年間収入の基準 |
| 1 |
60歳以上、または一定の障害者 |
180万円未満 |
| 2 |
19歳以上23歳未満、配偶者以外 |
150万円未満 |
| 3 |
上記以外 |
130万円未満 |
出典:日本年金機構、家族を被扶養者にするときの手続きの1、被扶養者の認定・収入要件と若年者の年間収入要件の見直し。2026年10月22日確認。若年者の基準は認定日が2025年10月1日以降の扱いです。
この表は、どの区分が得かを比べる順位ではありません。本人の年齢や関係に応じて適用される条件が変わります。障害者の区分は、単に障害があると申告すれば適用されるという意味ではなく、公式案内の障害の程度などを確認します。
150万円未満の扱いは配偶者を除きます。若い配偶者だから同じ金額を使えるわけではありません。対象者の年齢は、扶養認定日が属する年の12月31日時点で判定します。認定日に誕生日を迎えているかだけでは決まりません。
認定日より前の期間にさかのぼる手続きも、適用日を確かめます。日本年金機構の案内では、2025年10月1日より前の期間の認定は、若年者でも旧来の130万円未満で判定します。届出を出した日だけで新しい基準になるものではありません。
先に本人が勤務先で加入するか確認する
家族の健康保険の扶養でいたいと思っていても、勤務先で本人が健康保険・厚生年金に加入する条件を満たすときは、その加入の確認が先です。年間収入が130万円未満であることだけで、本人の加入を避けることはできません。
短時間労働者の加入に使っていた月額8.8万円以上という賃金要件は、2026年10月1日に撤廃されました。週の所定労働時間や企業規模などの条件は別に残っています。詳しい加入の順番は社会保険の加入条件で整理しています。
ここで区別するのは、勤務先で本人が保険に入ることと、家族が入る健康保険の被扶養者になることです。どちらも社会保険の話ですが、同じ申請でも同じ条件でもありません。現在の健康保険の保険者と、新しい勤務先の担当者に、それぞれ確認が必要になることがあります。
家族の勤務先で扶養の届出をしたことと、自分の勤務先での加入対象の判定も別です。自分の勤務条件が変わったなら、家族の会社だけへ連絡して終わらせず、自分の会社へも時間や契約の変更を伝えます。
年収は今後の見込みで判断する
日本年金機構は、年間収入を過去の収入ではなく、被扶養者に該当する時点と、その後の年間の見込み収入額と説明しています。所得税で使う暦年の給与収入を、そのまま一つの判定材料に置き換えることはできません。
退職した人なら、前年に給与があっても今後同じ給与が続くとは限りません。逆に、前年の年収が少なくても、新たな契約で収入が増えるなら、その見込みを確認します。転職、契約時間の変更、手当の新設など、これからの収入が変わる時期を伝えます。
同案内には、原則130万円未満の給与収入等について月額108,333円以下、雇用保険等の受給者は日額3,611円以下という記載もあります。ただし、この数字だけを見て個人の扶養継続を決めるものではありません。年齢別の基準や、労働契約による新しい判定の扱いもあります。
年末までの支給額を調整すれば必ず解決する、という制度ではないことも押さえます。収入が変わるとわかった段階で、いつからどの額が続くのかを保険者へ相談します。確定後の源泉徴収票が出るまで待たなければ相談できないわけではありません。
通勤手当と賞与を除かずに資料をそろえる
健康保険の扶養で確認する収入は、所得税の課税される給与と同じ範囲ではありません。税の非課税となる通勤手当だから、扶養認定の収入からも外せるという読み方は避けます。給与明細の課税対象額だけでなく、手当の内容まで確認します。
日本年金機構の労働契約内容による年間収入の案内は、労働基準法第11条に規定する賃金を使い、諸手当と賞与も含むとしています。通勤手当についても、金額が明確でなければこの方法で年間収入を判定できない例として挙げています。
| 収入の項目 |
収入確認で注意すること |
| 基本給 |
手取りではなく支給される賃金を確認 |
| 通勤手当などの諸手当 |
非課税という理由だけで除かない |
| 賞与 |
契約上の支給条件や見込みを確認 |
| 公的年金 |
給与以外の収入として伝える |
| 雇用保険の失業等給付 |
非課税でも収入に含まれる |
| 傷病手当金・出産手当金 |
受け取る期間と金額を伝える |
出典:日本年金機構、家族を被扶養者にするときの手続きの収入要件、労働契約内容による年間収入での被扶養者の認定の案内。収入の種類を示した表で、全員にすべての収入があるという意味ではありません。
給与所得控除後の所得や、税・保険料を引いた銀行振込額では判断しません。源泉徴収票に出る金額だけでは通勤手当などがわからないこともあるため、給与明細と契約書を合わせて用意します。掛け持ちで働いているなら、ほかの勤務先の収入も保険者へ伝えます。
残業代の扱いには、次の労働契約による判定と、従来の収入見込みによる判定の違いがあります。「残業は必ず全部除外」「どの認定でも必ず同じ額を加算」とまとめず、適用する方法を確認します。契約上の賃金と、後から生じた変動を分けて相談します。
労働契約による収入判定は必要書類まで確認する
日本年金機構の労働契約内容による年間収入の案内では、2026年4月1日以降、一定の条件で労働条件通知書などの契約内容から見込まれる年間収入を使えるとしています。
給与収入だけで、ほかの収入が見込まれないことなどが前提です。年金収入や事業収入などがある人まで、給与の契約書だけで認定するものではありません。収入の基準額自体が全員について変わった制度でもありません。
必要なのは、労働条件通知書、雇用契約書、労働条件が記載された事業主証明など、労働契約内容のわかる書類です。加えて、認定を受ける本人による、給与収入のみである旨の申立てが必要です。申立ては届出の所定欄で行える扱いもあるため、提出先の案内を確認します。
| 書類の状態 |
新しい方法での判定に関する注意 |
| 契約期間が認定日から1年未満 |
年間収入を判定できない例として掲載 |
| 労働時間がシフト制との記載だけ |
時間が不明確な例として掲載 |
| 通勤手当ありとの記載だけ |
手当の額が不明確な例として掲載 |
| 給与以外の収入がある |
この方法だけで判定しない |
出典:日本年金機構、労働契約内容による年間収入での被扶養者の認定の取り扱いについて、必要書類・留意事項。2026年5月1日更新の案内を確認。
表に当てはまったら、扶養に入れないと即断するものではありません。労働契約による方法で判定できるか、従来の方法で収入を確認するかを保険者へ聞きます。「シフト制だから書類は不要」ではなく、判定に必要な時間や賃金をどう示すかを確認します。
厚生労働省の労働契約による年間収入の取扱いQ&Aは、契約に明確な規定がなく、契約段階で見込み難い時間外労働の賃金等は、この年間収入の見込みに含めないとしています。契約書がないときや他の収入があるときには、従来どおり収入証明書などで判定すると説明しています。
この扱いは、契約書の数字を不当に小さくすればよいという意味ではありません。実際の収入との食い違いなどを保険者が確認することもあります。契約を変更したときは、新しい労働条件を示して再確認します。認定された後も、収入確認の案内には対応します。
同居なら収入の割合、別居なら仕送りも確認する
年収の基準未満でも、主に被保険者に生計を維持されていることが必要です。日本年金機構は、同居なら認定を受ける人の収入が被保険者の収入の半分未満、別居なら被保険者からの仕送り額未満と説明しています。
同居していて収入が半分以上でも、被保険者の年間収入を上回らず、世帯の生計を総合的に勘案して認定されることがあります。これも本人が自由に選べる扱いではありません。保険者へ世帯の状況を伝えて確認します。
収入の比較とは別に、家族関係によって同居が必要かどうかが変わります。配偶者、子、孫、兄弟姉妹、父母や祖父母などの直系尊属は、必ずしも同居している必要はありません。それ以外の一定の親族は同居が条件となります。
| 家族関係の例 |
同一世帯の条件 |
| 配偶者 |
同居は必須ではない |
| 子・孫・兄弟姉妹 |
同居は必須ではない |
| 父母・祖父母などの直系尊属 |
同居は必須ではない |
| 上記以外の3親等内の親族など |
原則として同居が必要 |
出典:日本年金機構、家族を被扶養者にするときの手続きの同一世帯の条件。関係の範囲と生計維持の条件は別に確認します。
別居している家族では、仕送りの事実や金額を示す資料が必要になることがあります。協会けんぽの被扶養者資格の再確認FAQは、送金者、受取人、仕送り額がわかる通帳や現金書留の控えなどでの確認を説明しています。必要資料は提出先へ聞きます。
国内居住の条件もあります。海外に住む家族には例外的に認められる扱いがありますが、日本年金機構は特例の確認を求めています。住民票の有無だけで全部の条件が決まると考えず、海外留学など事情があるときは申請前に確認します。
一時的な増収は事業主の証明を相談する
厚生労働省の年収の壁・支援強化パッケージでは、人手不足による労働時間延長などで一時的に収入が増えたとき、事業主の証明を添付して、引き続き扶養認定を受ける扱いが設けられました。
確認先は厚生労働省の事業主証明Q&Aです。原則として連続2回までという運用があります。確認が毎年行われることを前提とした回数であり、繁忙期に追加出勤した回数を数えるものではありません。
この取扱いは、2025年10月1日の恒久化の通知で、当面の対応ではなく恒久的な扱いとなりました。ただし、恒久化したから同じ人が無制限に証明を使えるわけではなく、具体的な運用は従来どおりとされています。
基本給が上がった、恒常的な手当が新設されたなど、今後も収入増が続くことが確実なときは、一時的な増収には当たりません。協会けんぽのFAQも同じ区別を示しています。勤務時間を恒常的に延ばした契約変更と、臨時の応援勤務を分けて相談します。
証明書を出せば必ず認定されるという保証はありません。通常の収入確認書類に加え、増収の理由や見込みを保険者が確認します。勤務先で本人の社会保険に加入する要件を満たした人が、その加入を避けるための制度でもありません。
退職後は給与以外の収入も確認する
退職すれば、前の会社からの通常の給与が続かなくなることがあります。ただし、その事実だけで健康保険の扶養に入れると判断はできません。日本年金機構の案内では、公的年金、雇用保険の失業等給付、傷病手当金、出産手当金も収入に含むとしています。
たとえば、雇用保険の待期中と基本手当を受給し始めた後では、伝える収入の状況が変わります。同案内は、待期中も収入要件を満たせば認定が可能とし、一定額以上の基本手当の支給が始まったときは扶養削除の届出が必要と説明しています。受給予定を勤務先や保険者へ伝えて確かめます。
手当の入金が後日でも、対象となる期間や受給の見込みを省いて相談しないことです。何月に口座へ入ったかだけでなく、何の給付をいつから受けるかを伝えます。必要書類は、保険者からの案内に合わせてそろえます。
年金を受け取りながらパートで働く人は、給与の契約だけで年間収入を判定できる新しい方法を、当然に使えるとは限りません。給与以外に収入があることを先に伝え、従来の判定で必要な証明書を確認します。給与が基準未満だからという理由で、ほかの収入を省かないことです。
勤務先の変更と家族の届出を同じ日付で整理する
家族を扶養する側が転職するときと、扶養される側が働き方を変えるときでは、確認する書類が違います。どちらが変わったのか、変更前後の保険者はどこか、勤務開始や退職の日はいつかを整理します。会社名などを公開する必要はなく、手続き先へ必要な情報を伝えます。
認定の結果が出る前に、医療機関で使う資格の扱いを自己判断しないことです。加入先が変わるなら、資格を確認する方法や、申請中に受診する場合の手順も確認します。給与の条件に合意したことと、健康保険の届出が完了したことを区別します。
認定後に再確認の書類が届いたときも、その時点の収入や仕送りの状況を確かめます。前回の申請で認められたから、契約が変わっていても同じ説明でよいとは限りません。手元にある最新の通知書と給与明細を使い、変更した箇所を伝えます。
税の扶養や会社の家族手当を一緒にしない
本人の所得税や親の控除は、健康保険の被扶養者とは別の条件です。103万円の壁と所得税の改正では、令和7年分の見直しと令和8年分の追加改正を整理しています。税の控除に収まることを、健康保険の扶養が続く根拠にはできません。
旧来の106万円という呼び名も、扶養の年間収入基準ではありません。勤務先で加入するための旧賃金要件と、撤廃後の確認方法は、106万円の壁の記事で説明しています。同じ給与明細でも、制度により使う項目が異なります。
勤務先独自の家族手当や扶養手当にも、会社が定める条件があります。健康保険で被扶養者になったら自動的に支給される、税の制度が変われば同じ日から手当も変わる、と考えないことです。手当を支給する会社の規定を確認します。
その会社の契約と実際の勤務を確かめる
応募先では、週の所定労働時間、シフトの決め方、通勤手当と賞与の条件を確認します。給与収入の見込みを作れるかどうかは、この情報がそろうかにかかっています。「扶養内で働けます」とだけ説明されたなら、何の扶養を指し、どの契約で働くのかまで聞きます。
すでに働いている人は、収入が変わった理由、契約変更の日、変更後の条件を整理します。認定の方法や提出書類、届出が必要な日付は、自分で推測せず保険者へ確認します。家族の会社が窓口になるときは、説明された内容を同じ書類で共有します。
その会社の実際の数字は、求人票・面接・しょくばらぼで確かめます。勤務時間の実績と自分の契約を比べ、収入の見込みは勤務先へ、被扶養者として認定されるかは健康保険の保険者へ確認します。