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106万円⁠の壁とは:月額賃金の旧基準と撤廃後の確認方法

・ナギサコーポレーション(運営)

この記事の答え

  • 106万円⁠は年収の独立した加入基準ではなく、旧来の月額8.8万円以上という要件の参考額
  • 一般の短時間労働者の月額8.8万円要件は2026年10月1日⁠に撤廃。契約時間や企業規模などは引き続き確認する
  • 旧賃金要件、保険料の基礎となる報酬、健康保険の扶養の収入は、同じ給与明細でも数える範囲が違う

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106万円⁠の壁は、勤務先の健康保険・厚生年金保険に入る旧賃金要件、所定内賃金が月額8.8万円以上⁠を年収に換算した呼び名です。この賃金要件は2026年10月1日⁠に撤廃されました。現在は、年収106万円⁠を超えたかどうかで、一般の短時間労働者の加入を判定する制度ではありません。

日本年金機構と厚生労働省の公式資料を2026年10月22日⁠に確認しました。この記事では、旧賃金要件の数え方と、撤廃後に給与明細や契約書のどこを見るかを整理します。加入条件の全体像は社会保険の加入条件⁠で確認できます。

月額8.8万円⁠が旧制度の判定額だった

日本年金機構の適用拡大Q&A集、令和6年10月施行分⁠の問37は、所定内賃金が月額8.8万円以上かだけで旧賃金要件を判断し、年収106万円以上というのは参考の値と説明しています。

年間の給与総額が106万円⁠に達した日に、自動で加入する仕組みではありませんでした。働き始めた時期が年の途中か、賞与や残業代を受け取ったかなどで年間の給与は変わりますが、旧制度が確認していたのは契約に基づく所定内賃金の月額でした。

106万円という呼び名を、独立した法律上の年収要件だと理解すると、賞与で年収が増えたときや、短期間だけ働いたときに判断を誤ります。過去の加入判定を会社へ確かめる場合も、年末の合計だけでなく、その時点の契約と月額の算定内容を見ます。

2026年10月以降については、そもそも一般の短時間労働者の賃金要件が撤廃されています。古い説明の対象時期と、今の勤務条件を混ぜないことが出発点です。公式PDFに旧条件が載っていても、現在の加入要件は改正後の案内で確認します。

旧賃金要件に含めるものと除くもの

旧制度では基本給と諸手当を確認します。ただし、給与明細の総支給額をそのまま月額8.8万円⁠と比べるものではありませんでした。日本年金機構のQ&A集、問39が、除く賃金を具体的に挙げています。

給与の項目 旧賃金要件での原則の扱い
基本給 含める
除外項目に当たらない諸手当 含める
臨時の結婚手当など 除く
1か月⁠を超える期間ごとの賞与など 除く
時間外・休日・深夜の割増賃金など 除く
精皆勤手当 除く
通勤手当 除く
家族手当 除く

出典:日本年金機構、短時間労働者に対する適用拡大Q&A集、令和6年10月施行分の問39。旧月額8.8万円要件の賃金の範囲です。金額の平均を示した表ではありません。

この表は、現在のすべての社会保険の計算から右欄の項目が外れるという意味ではありません。加入要件の判定用の賃金、加入後に保険料を決める報酬、健康保険の扶養認定の収入では、それぞれ扱いが違います。

現在の日本年金機構の月額賃金の算定対象に関するQ&Aでも、同じ除外項目が説明されています。ただし、2026年10月1日更新のページでは、最低賃金の減額特例に関する特定減額特例対象者の要件の説明です。一般の短時間労働者の賃金要件が残ったと読むものではありません。

基本給と諸手当は名前だけで決めない

給与明細には、基本給のほかに職務、役職、資格、地域などに関する手当が並ぶことがあります。諸手当をすべて除くのではなく、どの支給条件で、何に対して払われるものかを確認します。旧要件の除外項目に当たるかを、会社の算定内容と照らします。

手当が月給の一部にまとめられているなら、給与規程や労働条件通知書の内訳を見ます。「各種手当込み」⁠としか書かれていない求人では、自分に必ず支給される部分と、条件を満たしたときだけ支給される部分が分かれません。面接では、適用条件まで聞きます。

旧要件の判定を遡って確かめるときにも、いまの給与明細だけでは当時の契約を再現できないことがあります。変更前の通知書や給与規程、会社からの加入案内をそろえます。記憶だけで当時の支給額を埋めず、わからない項目は給与担当に確認します。

賞与と臨時の支給を毎月の賃金と混ぜない

旧要件では、1か月⁠を超える期間ごとの賞与などは除く扱いでした。賞与を含めた年収を月平均に直し、その額だけで旧月額要件を判断する方法ではありません。臨時に支払われる結婚手当なども除外項目です。

賞与を受け取った年と受け取らなかった年で年間給与が違っても、それだけで加入資格の有無が切り替わったとは読めません。採用条件の「賞与あり」⁠と⁠、何の判定にその額を使うかを分けます。支給の名称や回数が一般的な説明と違うなら、勤務先へ具体的な扱いを聞きます。

残業代の除外と契約時間の確認は別

旧要件の原則では、時間外、休日、深夜の労働に対する割増賃金などを除きました。だからといって、恒常的に働き方が変わっても何も確認しなくてよい、という説明ではありません。

Q&A集の問40には、契約上の条件と実際の労働・賃金が継続して変わる場合の旧制度の扱いがあります。過去の判定を検討する人は、問39の除外項目だけを抜き出さず、契約と実態の違いも確認します。現在の加入判断では、まず賃金要件撤廃後の条件を勤務先へ聞きます。

通勤手当は保険料の基礎では扱いが違う

通勤手当は旧月額8.8万円⁠の判定から除かれましたが、加入後の保険料の基礎となる報酬では別です。日本年金機構のQ&A集、問42は、旧加入要件で算入しなかった諸手当等も加味して報酬月額を算出すると説明しています。

標準報酬月額と通勤手当の年金Q&Aも、通勤手当は、所得税で非課税となる部分を含めて報酬の対象になるとしています。税の非課税と、社会保険の報酬に含むかどうかは別です。

確認している制度 通勤手当の扱い
旧月額賃金の加入要件 原則として除外
加入後の標準報酬月額の基礎 報酬に含む
健康保険の被扶養者の収入 非課税という理由だけで除かない

出典:日本年金機構、適用拡大Q&A集の問39・問42、標準報酬月額と通勤手当のQ&A、労働契約内容による年間収入での被扶養者認定の案内。

同じ手当の扱いが変わるのは、矛盾しているからではありません。何を決めるための数字かが違うためです。質問するときも「通勤手当は入りますか」だけでなく、「加入要件ですか、保険料の報酬ですか、扶養の収入ですか⁠」⁠と目的をそろえます。

給与明細の控除欄に健康保険料や厚生年金保険料が出ているなら、差し引かれた金額だけから元の算定を推測しません。勤務先に、対象となる月、基礎となった報酬、手当の扱いを聞きます。この記事では、特定の給与額から個人の手取りを計算していません。

時間給や現物給付も旧制度の資料で確かめる

過去の月額要件を確認するときは、時給の数字だけでは足りません。日本年金機構の適用拡大Q&A集、問44では、個別の雇用契約に基づき週単位で所定労働時間を定める場合、週の賃金額に52/12を掛けて月額を算出するとしています。

自分で年収を大まかに割った値と、会社が契約に基づいて算定した月額が違うなら、先に使った時間と手当を聞きます。旧賃金要件の確認なのか、加入時の報酬月額の算出なのかでも方法が異なります。どちらか一方の説明をもう一方に当てはめないことです。

食事や住宅を現物で受けていた人にも、旧制度の説明があります。同Q&A集、問41は、食事や住宅などの現物給付でも、問39の除外項目に当たらないものは算定対象に含めるとしています。現金の振込額だけを見て当時の判定を終えることはできません。

ただし、現在の一般の短時間労働者について旧賃金要件を計算し直し、それを加入の条件として使うものではありません。過去の判定を確認する目的と、今後の保険料の基礎を確認する目的を分けて、勤務先へ問い合わせます。

給与明細は支給と控除の内訳をそろえて読む

給与明細を読むときは、基本給、各手当、残業などの支給項目と、税・保険料などの控除項目を分けます。社会保険料を引いた後の金額を、旧賃金要件の月額として比べてはいけません。給与明細の銀行振込額と、制度で使う賃金や報酬は別の数字です。

求人に時給だけが書かれているなら、勤務する曜日や時間帯で加算があるか、通勤手当の条件は何か、研修中に賃金が変わるかを聞きます。応募した人全員が同じ手当を受けるとは限らないため、自分の契約に適用される内訳を確かめます。

契約を更新したときは、単価だけでなく、所定労働時間や手当の変更も見ます。給与明細だけでは、当月に一時的な応援勤務が多かったのか、契約が恒常的に変わったのかはわかりません。労働条件通知書と勤怠記録を合わせて確認します。

担当者へ確認するときは、対象月の明細を見せて、どの項目を何の算定に使ったかを聞きます。前月と控除額が違うことだけを理由に誤りと決めず、対象となる月や計算根拠をそろえます。説明のつかない点が残れば、勤務先と加入先の窓口へ確認します。

賃金要件はすでに撤廃されている

日本年金機構の2026年10月⁠の撤廃のお知らせは、令和7年法律第74号に基づき、短時間労働者の所定内賃金が月額8.8万円以上という要件を2026年10月1日⁠に撤廃したと説明しています。

厚生労働省の適用拡大Q&Aも、2026年10月⁠に撤廃されたと明記しています。令和7年⁠の改正当初に案内されていた「公布から3年以内に撤廃」という将来の説明だけで止めず、実際の施行を確認します。

時点 月額賃金の要件
2026年9月まで 原則として所定内賃金月額8.8万円以上
2026年10月1日以降 一般の短時間労働者の賃金要件を撤廃

出典:日本年金機構、令和8年10月⁠の短時間労働者に係る賃金要件撤廃のお知らせ。厚生労働省、適用拡大Q&Aの年収約106万円⁠に関する項目。確認日は2026年10月22日です。

最低賃金の減額特例の許可を受けていて、所定内賃金が月額8.8万円未満の特定減額特例対象者は原則として加入対象外となり、申し出による加入が可能です。これは例外の扱いです。一般のパートの給与が少なかった月すべてに当てはまるものではありません。

勤務先から改正の案内を受け取ったら、条件だけでなく、自分の資格取得日や必要な手続きを確認します。加入の説明を受けた時期、実際の加入日、給与から保険料を引く時期は、同じ日付とは限りません。案内文と給与明細のどちらかだけで判断しないことです。

企業規模の要件は一度になくならない

賃金要件の撤廃は、ほかの条件もすべて撤廃したという意味ではありません。厚生労働省の適用拡大Q&Aでは、週の所定労働時間、学生かどうか、雇用の見込み、対象となる企業等を確認します。

現行の対象企業は原則51人以上で、2027年10月から36人以上へ拡大します。厚生労働省の年金制度改正法の概要資料は、その後も企業規模要件を段階的に縮小し、2035年10月⁠に撤廃する予定を示しています。2026年10月⁠の賃金要件の撤廃と同じ時期ではありません。

賃金の額が旧基準より少ないことを理由に、今も対象外だと説明されたなら、適用する規定と時点を聞きます。企業規模など別の条件で対象外なのか、過去の案内がそのまま残っているのかを分けます。会社への質問は、制度名と契約内容を具体的にして行います。

時給ランキングは契約条件と一緒に読む

賃金要件を調べる人は、募集時給から働く時間や収入を考えることが多くなります。ただし、全国の平均時給は、応募先の契約時給や加入条件そのものではありません。次は産業別の平均時給が高い上位です。

厚生労働省の令和7年賃金構造基本統計調査、短時間労働者、男女計、企業規模10人以上⁠が対象です。令和7年6月⁠の1時間当たり所定内給与額の平均で、単位は円です。残業代や賞与を含む年収を時間で割った値でも、中央値でもありません。

順位 産業 平均時給
1 教育・学習支援業 2,541円
2 医療・福祉 2,113円
3 学術研究・専門・技術サービス業 1,874円
4 情報通信業 1,853円
5 金融業・保険業 1,829円

出典:厚生労働省、令和7年賃金構造基本統計調査の短時間労働者第13表。掲載16産業の男女計を高い順に並べ、上位5産業を掲載しました。

資格職や専門職を含む産業の平均を、資格を問わない仕事の時給として使うことはできません。ランキングの業界へ移れば必ずその時給になるという表ではありません。応募職種、必要な資格、担当する業務と支給条件を確かめます。

時給が上がっても、同じ契約時間を確保できるかは別です。求人に出た金額だけで年間収入の見込みを作らず、所定の時間と日数、シフトの変動、手当の支給条件を聞きます。その情報を、加入後の報酬や家族の扶養の確認にも使います。

ほかの壁の数字を給与明細に混ぜない

103万円⁠の壁と所得税の改正は、本人の所得税や家族の所得控除の話です。給与所得控除や基礎控除を使う所得税の計算と、旧月額賃金の判定は違います。非課税だから社会保険にも入らない、と広げて読むことはできません。

130万円⁠の壁と扶養の範囲は、家族の健康保険の被扶養者の話です。将来の年間収入見込み、年齢、家族関係、生計維持などを確認します。旧月額8.8万円⁠の判定で通勤手当を除いたことを、そのまま扶養の収入計算に使ってはいけません。

給与担当から説明を受けるときは、書面の数字がどの制度に対応するかを書き分けます。月の契約賃金なのか、保険料の基礎なのか、扶養認定の見込み収入なのかをそろえると、別の担当者に引き継いでも話がずれにくくなります。

手取りの増減は一律に計算しない

社会保険に加入すると保険料の負担が変わりますが、本人の手取りの変化は、賃金、手当、加入する保険などによって異なります。勤務先の制度や家族の条件を見ずに、年収の数字だけで必ず損か得かを決めることはできません。

会社に確認するのは、希望する契約時間での給与の内訳、加入する保険、控除の見込み、適用される時期です。家族の会社に手当があるなら、その支給条件も別に確かめます。予想だけで家族手当を受け取り続けられる前提にしないことです。

契約時間を増やす提案を受けたときは、増えた時間が継続するのか、繁忙期だけなのかも聞きます。支給額だけでなく、通える時間帯や休みとの両立も確認します。制度上の境目だけで仕事を決めると、勤務の実態を見落とします。

その会社の賃金と加入時期を確かめる

手元には、求人票、労働条件通知書、給与規程や手当の案内、給与明細を置きます。改正前の判定を確認するなら、当時の書類も用意します。担当者へは、給与のどの項目を使ったか、対象とした月はいつか、加入日がいつかを聞きます。

求人票の総額と採用時の書面が違うなら、面接で聞いた説明だけに頼らず、実際に合意する内訳を確かめます。自分の手当や時間が未確定のままなら、保険料や扶養の結論も先に決めません。足りない情報を勤務先へ聞き、保険者へ伝える条件をそろえます。

その会社の実際の数字は、求人票・面接・しょくばらぼで確かめます。公開された労働時間などと自分の契約を比べ、加入と報酬の算定は勤務先へ、家族の被扶養者認定は健康保険の保険者へ確認します。

よくある質問

106万円⁠の壁はいつ撤廃されましたか?

日本年金機構の賃金要件撤廃のお知らせでは、2026年10月1日⁠に所定内賃金が月額8.8万円以上という要件を撤廃したとしています。厚生労働省の適用拡大Q&Aも2026年10月⁠に撤廃済みと説明しています。

106万円未満なら加入不要ですか?

日本年金機構の令和6年10月施行分の適用拡大Q&A集、問37でも、106万円⁠は参考値で、旧制度は月額8.8万円⁠で判定すると説明しています。現在はその賃金要件自体が撤廃されており、年収だけでは加入を決められません。

残業代や賞与は旧基準に入っていましたか?

日本年金機構の適用拡大Q&A集、問39では、月額8.8万円⁠の算定で時間外・休日・深夜の割増賃金、1か月⁠を超える期間ごとの賞与、臨時の賃金を除くとしています。これは旧賃金要件の説明で、現在の一般的な加入判定ではありません。

通勤手当は社会保険の計算から外れますか?

日本年金機構の適用拡大Q&A集、問39では旧月額8.8万円⁠の判定から除きますが、問42では保険料の基礎となる報酬は別と説明しています。同機構の標準報酬月額のQ&Aでは通勤手当を報酬に含めます。制度ごとに確認が必要です。

賃金要件がなくなれば全員加入ですか?

厚生労働省の適用拡大Q&Aでは、週20時間以上⁠、学生ではないこと、2か月⁠を超える雇用見込みなどを確認します。対象企業は現行で原則51人以上です。日本年金機構は最低賃金の減額特例に関する適用除外も案内しています。

130万円⁠の壁もなくなりましたか?

別の制度です。日本年金機構の被扶養者の案内では、原則年間収入130万円未満などの基準があります。2026年10月⁠の月額8.8万円要件の撤廃を、そのまま健康保険の扶養基準の撤廃とは読めません。

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