会社に質問する無料・名前は会社に伝わりません

業界研究のやり方:公的な数字で業界を比べる5つ⁠の手順と業種別の比較表

・ナギサコーポレーション(運営)

この記事の答え

  • 業界研究は、業界の分け方、人の増減、給料の水準と内訳、働き方、業界の中の会社の5つ⁠の手順で進める
  • 毎月勤労統計 2025年分確報では、一般労働者の月の現金給与総額は全産業465,923円⁠。電気・ガス業653,339円⁠が最も高く、飲食サービス業等361,140円⁠が最も低い
  • パート比率は飲食サービス業等78.12%⁠、電気・ガス業3.66%⁠と業界で大きく違う。業界の平均を見たら、応募先の数字を求人票としょくばらぼで確かめる

口コミや求人票ではわからないことは、会社に直接聞けます。まだ載っていない会社にも質問をリクエストできます。名前は会社に伝わりません。

気になる会社に質問をリクエストする

業界研究は、5つ⁠の手順で進めます。業界の分け方を決める、働く人の数と増減を見る、給料の水準と内訳を見る、パート比率や入職・離職などの働き方を見る、最後に業界の中の会社を比べる、です。厚生労働省「毎月勤労統計調査 2025年分結果確報」⁠で⁠は⁠、一般労働者の月の現金給与総額は全産業で465,923円です。最も高い電気・ガス業は653,339円⁠、最も低い飲食サービス業等は361,140円で、同じ統計の中でも業界によって大きく違います。

業界の印象や知名度から入ると、数字を見ないまま候補を決めてしまいます。先に公的な統計で業界の平均を並べ、自分の条件に合いそうな業界を絞ります。そのあとで、1社ずつの数字を求人票や会社の公表資料で確かめます。この順番にすると、調べる量が多くても迷いません。

業界研究は、平均の数字で候補を絞るために使う

業界研究で調べるのは、業界全体の仕組みと平均の数字です。どこからお金が入るか、働く人がどれくらいいるか、給料や働き方の平均がどうなっているかを見ます。1社⁠の事業や職場の様子を調べる企業研究とは、目的が違います。

業界研究の役目は、候補の業界と会社を絞ることです。企業研究の役目は、絞った会社が自分の条件に合うかを確かめることです。業界の平均が高くても、その業界の会社すべてが高いわけではありません。業界の数字は、会社の数字を確かめる前の「物差し」⁠と⁠し⁠て使います。

会社を選ぶ条件がまだ決まっていない人は、先に条件を書き出します。給料、休日、勤務地、仕事の内容など、譲れないものと調整できるものを分けておくと、業界の数字のどこを見ればよいかが決まります。条件の決め方は就活の軸の決め方⁠で整理しています。

使う資料は公的な統計に絞る

業界の数字は、国や公的機関の統計から取ります。業界団体や会社のまとめも参考になりますが、数え方や対象がそろっていないことがあります。同じ物差しで業界を並べるなら、全国の事業所を同じ方法で調べた統計を使います。

この記事では、厚生労働省の毎月勤労統計調査 2025年分結果確報を使います。従業員5人以上⁠の事業所を対象に、毎月の給与、労働時間、雇用を調べている統計です。2025年⁠の1年間の月平均で、2026年10月25日⁠に資料を開いて確認しました。

手順1:業界の分け方を決める

最初に、どの単位で業界を見るかを決めます。公的な統計は、総務省の日本標準産業分類⁠で業界を分けています。建設業、製造業、情報通信業、卸売業・小売業、医療・福祉などの大きな分類が、統計の表の行になります。

就活や転職で使う「業界」⁠の言葉と、統計の分類は一致しないことがあります。たとえば「IT業界」⁠は⁠、統計では主に情報通信業に入ります。ただし、会社の中でシステムを作る仕事は、その会社の業種に数えられます。「商社」⁠は卸売業、「人材派遣」⁠はサービス業(他に分類されないもの)⁠に入ります。

自分が気になる業界を、統計の分類に置き換えてメモします。置き換えが難しいときは、志望する会社が主に何を売って売上を立てているかで決めます。メーカーなら製造業、店で商品を売る会社なら小売業です。

統計の業種名は短く書かれている

毎月勤労統計の表は、業種名を短く書いています。読むときは正式な分類に戻します。

表の名前 正式な分類
電気・ガス業 電気・ガス・熱供給・水道業
学術研究等 学術研究、専門・技術サービス業
飲食サービス業等 宿泊業、飲食サービス業
生活関連サービス等 生活関連サービス業、娯楽業
その他のサービス業 サービス業(他に分類されないもの)
鉱業、採石業等 鉱業、採石業、砂利採取業

出典:厚生労働省、毎月勤労統計調査 2025年分結果確報、第1表・第3表⁠の産業名。総務省、日本標準産業分類の大分類名。

業種別の比較表:給与総額、パート比率、人の増減

16業種を、一般労働者の月の現金給与総額が高い順に並べました。パート比率と労働者数の前年比は、パートタイム労働者を含む就業形態計の数字です。

順位 業種 給与総額(一般) パート比率 人の前年比
1 電気・ガス業 653,339円 3.66% 0.1%
2 金融業、保険業 600,357円 10.57% 0.4%
3 学術研究等 570,224円 11.41% 1.6%
4 情報通信業 570,056円 4.90% 1.3%
5 教育、学習支援業 559,761円 33.34% 2.0%
6 不動産・物品賃貸業 514,145円 20.42% 2.1%
7 鉱業、採石業等 496,321円 6.91% −1.4%
8 建設業 482,340円 5.53% 2.6%
9 卸売業、小売業 475,733円 44.86% 1.0%
10 製造業 472,927円 13.00% 0.1%
11 複合サービス事業 444,097円 17.08% −1.0%
12 運輸業、郵便業 435,079円 18.76% −0.3%
13 医療、福祉 406,432円 32.86% 1.6%
14 生活関連サービス等 376,983円 49.09% 2.6%
15 その他のサービス業 362,459円 29.94% 1.5%
16 飲食サービス業等 361,140円 78.12% 5.1%
ー 調査産業計 465,923円 31.31% 1.5%

出典:厚生労働省、毎月勤労統計調査 2025年分結果確報、第1表⁠の月間現金給与額と第3表⁠の常用雇用⁠。事業所規模5人以上⁠、2025年⁠の月平均。給与総額は一般労働者1人平均の月額で、中央値ではありません。人の前年比は労働者総数の前年比です。

この表は、1つ⁠の統計の中で業界を並べたものです。調査の対象と数え方がそろっているので、業界どうしの差を比べられます。ただし、業界の中の年齢や勤続年数、職種の違いまでは分けていません。給与総額が高い業界でも、若手の給料が高いとは限りません。

一般労働者は、パートタイム労働者以外の常用労働者です。正社員だけの数字ではなく、フルタイムの契約社員なども含みます。正社員として働く人を探すときも、この数字は業界の大まかな水準として読みます。

手順2:働く人の数と増減を見る

業界の大きさは、働く人の数で見ます。同じ第3表⁠の労働者総数(2025年の年平均)⁠は⁠、多い順に卸売業・小売業9,397千人⁠、医療・福祉8,408千人⁠、製造業7,671千人です。全産業では51,566千人でした。

人の数が多い業界は、会社の数も職種の幅も広いことが多く、勤務地や仕事の選択肢が広がります。一方で、同じ業界の中でも会社による差が大きくなります。業界の平均だけで決めず、手順5で会社ごとに確かめます。

前年比は、その業界で働く人が増えたか減ったかを示します。2025年⁠は飲食サービス業等が5.1%増で、建設業と生活関連サービス等が2.6%増でした。減ったのは鉱業・採石業等1.4%減、複合サービス事業1.0%減、運輸業・郵便業0.3%減です。

人が増えている業界では、採用が続いている可能性があります。ただ、前年比は1年分の変化です。景気や制度の変わり目で一時的に動くこともあるため、数年分を並べて見るほうが確かです。過去の年の確報も、同じ統計のページから開けます。

手順3:給料の水準と内訳を見る

給料を比べるときは、総額だけでなく内訳を見ます。毎月勤労統計の現金給与総額は、きまって支給する給与と、特別に支払われた給与に分かれます。きまって支給する給与には、所定内給与と、残業代などの所定外給与が入ります。特別に支払われた給与は、賞与などです。

一般労働者の所定外給与と、特別に支払われた給与を、特別に支払われた給与が多い順に並べました。

業種 所定外給与 特別に支払われた給与
電気・ガス業 62,629円 153,567円
金融業、保険業 29,951円 152,417円
教育、学習支援業 9,951円 150,228円
情報通信業 35,922円 132,560円
学術研究等 29,480円 132,315円
不動産・物品賃貸業 27,191円 121,317円
鉱業、採石業等 27,949円 120,478円
製造業 35,346円 107,566円
卸売業、小売業 21,062円 104,766円
建設業 27,994円 102,106円
複合サービス事業 19,139円 101,891円
運輸業、郵便業 49,547円 74,014円
医療、福祉 19,718円 70,474円
その他のサービス業 24,807円 55,525円
生活関連サービス等 17,346円 50,504円
飲食サービス業等 24,659円 47,218円
調査産業計 27,477円 97,812円

出典:厚生労働省、毎月勤労統計調査 2025年分結果確報、第1表⁠、一般労働者。事業所規模5人以上⁠、2025年⁠の月平均。特別に支払われた給与も、毎月の値を年平均した月額です。

同じくらいの総額でも、中身は違います。運輸業・郵便業は所定外給与が49,547円で、電気・ガス業に次いで多い業種です。残業代の比重が高い業界は、働く時間が変われば月の給料も変わります。教育・学習支援業は所定外給与が9,951円⁠と少なく、特別に支払われた給与が150,228円⁠と多い業種です。

特別に支払われた給与の月平均を12倍すると、1年分の目安になります。電気・ガス業なら153,567円 × 12 = 1,842,804円で、私たちの計算です。賞与の支給月や支給の有無は会社ごとに違うため、この計算は業界の平均の比較にだけ使います。

年収で比べたいときは、ほかの統計も見る

毎月勤労統計は月の給与の統計です。年収で業界を比べたいときは、国税庁の民間給与実態統計調査など、年間の給与を調べた統計を使います。業界別の年収のランキングは業界別の平均年収⁠にまとめています。

統計によって、対象の事業所の規模や、数える人の範囲が違います。違う統計の数字を1つ⁠の表に混ぜて順位をつけないことです。比べるときは、同じ統計の中で業界を並べます。

手順4:パート比率、入職と離職で働き方を見る

パートタイム労働者比率は、その業界で働く人のうち、パートタイム労働者が占める割合です。2025年⁠は飲食サービス業等78.12%⁠、生活関連サービス等49.09%⁠、卸売業・小売業44.86%⁠が高く、電気・ガス業3.66%⁠、情報通信業4.90%⁠、建設業5.53%⁠が低い業種でした。

パート比率が高い業界では、就業形態計の平均給与が低く出ます。短い時間で働く人が多く入るためです。業界の平均給与を見るときは、一般労働者の数字か、就業形態計の数字かを先に確かめます。比較表で一般労働者の給与総額を使ったのは、この差を減らすためです。

パート比率は、職場の人の構成を考える材料にもなります。正社員として入る人は、パートの人の勤務を組む役目や、少ない人数で店や施設を回す役目を任されることがあります。応募先で、正社員とパートの役割の分け方を聞いておきます。

入職率と離職率は月平均の数字

第3表には、入職率と離職率も載っています。月ごとに、入った人と辞めた人が労働者全体の何%かを示す数字の年平均です。一般労働者の離職率は全産業で1.42%⁠、飲食サービス業等2.50%⁠、製造業0.93%でした。

月の数字なので、1年間の離職率とは違います。1年間で何%の人が辞めたかを業界別に見たいときは、厚生労働省の雇用動向調査を使います。業界別のランキングは離職率の平均で確認できます。

残業の多さも、働き方を見る数字です。毎月勤労統計の労働時間の表には、業界別の所定外労働時間が載っています。業界ごとの残業時間を比べるときも、同じ統計の中で並べます。

手順5:業界の中の会社を比べる

業界の候補が絞れたら、その業界の会社を比べます。ここからは企業研究です。業界の平均は、会社の数字を読むときの比較の基準として使います。

上場している会社は、金融庁のEDINETで有価証券報告書を読めます。従業員の状況の欄に、平均年齢、平均勤続年数、平均年間給与が載っています。業界の平均と比べると、その会社が業界の中でどの位置にいるかがわかります。

上場していない会社は、厚生労働省のしょくばらぼで、掲載している会社の残業時間、有給休暇の取得、採用と離職の数などを調べられます。掲載していない会社もあるので、載っていないことを悪い意味に読まないようにします。調べる順番は企業研究のやり方⁠で整理しています。

業界研究のメモの型

業界ごとに、次の形でメモをつけると比べやすくなります。【】⁠の中に自分で調べた数字を入れます。

見る項目 記入欄
統計の業種名 【業種名】
働く人の数と前年比 【千人・%】
一般労働者の給与総額 【月額】
所定外と特別の給与 【月額】
パート比率 【%】
1年間の離職率 【%】
気になる会社と数字 【会社ごとに】

数字の横には、資料名と調査の年を書いておきます。あとで別の年の資料と見比べたとき、どの数字がいつのものかがわかります。

数字の読み方で気をつけること

統計の数字は、平均です。業界の中の大きな会社と小さな会社、若い人と年配の人をまとめた数字なので、自分が入ったときの給料や働き方とは違います。平均を見て「この業界なら月の給料は〜円」⁠と決めつけないことです。

調査の対象にも注意します。毎月勤労統計は、事業所規模5人以上⁠の事業所が対象です。従業員が5人より少ない職場は入っていません。業界によっては、小さな事業所で働く人が多いこともあります。

前年比や順位は、年によって入れ替わります。1年分の順位の差が小さい業界どうしは、順位の差を大きく扱いません。表の学術研究等570,224円⁠と情報通信業570,056円のように、差が小さい業界は同じくらいと読みます。

もう1つは、業界の数字と職種の数字を混ぜないことです。同じ製造業でも、営業、技術、製造の現場では給料も働き方も違います。職種ごとの平均は、厚生労働省の賃金構造基本統計調査で調べられます。

その会社の実際の数字は、求人票・面接・しょくばらぼで確かめる

業界研究で候補の業界を絞ったら、最後は応募する会社の数字を確かめます。業界の平均は物差しです。実際に働く会社の給料、残業、休日は、会社ごとに違います。

求人票では、基本給と手当、固定残業代の有無、賞与の前年度の実績を分けて読みます。業界の平均と比べて高いか低いかだけでなく、何が含まれた金額かを確かめます。面接では、配属予定の部署の残業や休日の実際を聞きます。

公表されている会社の数字は、しょくばらぼで確かめられます。業界の平均と並べて、気になる差があれば、それを面接で聞く質問にします。業界研究で作ったメモは、その質問を作るための材料になります。

よくある質問

業界研究のやり方を教えてください。

①業界の分け方を決める、②働く人の数と増減を見る、③給料の水準と内訳を見る、④パートの割合や入職・離職などの働き方を見る、⑤業界の中の会社を比べる、の5つ⁠の手順で進めます。数字は厚生労働省の毎月勤労統計調査など、公的な統計から取ります。

給料が高い業界はどこですか?

厚生労働省「毎月勤労統計調査 2025年分結果確報」第1表では、一般労働者の月の現金給与総額は電気・ガス業653,339円⁠、金融業・保険業600,357円⁠、学術研究等570,224円⁠の順です。事業所規模5人以上⁠、2025年⁠の月平均です。

パートで働く人が多い業界はどこですか?

同じ調査の第3表では、パートタイム労働者比率は飲食サービス業等78.12%⁠、生活関連サービス等49.09%⁠、卸売業・小売業44.86%⁠の順に高く、全産業では31.31%です。業界の平均給与を見るときは、この比率も一緒に見ます。

働く人が増えている業界はどこですか?

同じ第3表⁠の労働者総数の前年比は、飲食サービス業等が5.1%増、建設業と生活関連サービス等が2.6%増です。鉱業・採石業等は1.4%減、複合サービス事業は1.0%減、運輸業・郵便業は0.3%減でした。

業界研究と企業研究はどう違いますか?

業界研究は業界全体の仕組みと平均の数字を調べ、候補の業界と会社を絞るために使います。企業研究は1社⁠の事業、数字、働き方を調べ、自分の条件に合うかを確かめるために使います。業界の平均を、その業界の会社1社⁠の数字として読むことはできません。

業界研究の数字はどこで調べればいいですか?

給料と雇用は厚生労働省の毎月勤労統計調査、離職率は雇用動向調査、年収は国税庁の民間給与実態統計調査などで調べられます。会社ごとの数字は、厚生労働省のしょくばらぼや有価証券報告書で確かめます。

気になる会社の「ホント」⁠を⁠、会社に聞いてみませんか。

残業、休み、評価のしかた、職場の雰囲気。求人票に書いていないことを質問すると、会社に回答をお願いして、届いた答えをこのサイトに載せます。まだ載っていない会社にもリクエストできます。無料で、名前やメールアドレスは会社に伝わりません。

気になる会社に質問をリクエストする

あわせて読む