契約社員とは、働く期間を決めた契約で雇われる人を、会社が呼ぶときの名前です。労働基準法や労働契約法に「契約社員」という区分はありません。法律が決めているのは、期間の定めのある契約(有期労働契約)のルールです。1回の契約期間は原則3年まで、同じ会社で通算5年を超えれば無期の契約に変わる申し込みができます。
総務省統計局の労働力調査では、2025年平均で契約社員と呼ばれて働く人は273万人でした。この記事では、正社員との違い、契約期間の上限、更新と無期転換、待遇の決まりを法令の条文で確かめ、統計で年齢・産業・契約期間を見ます。法令と統計は2026年10月25日に確認しました。
契約社員と正社員の違い:期間の定めがあるかどうか
正社員は、多くの会社で期間の定めのない契約で、定年まで働く前提の雇い方です。契約社員は、6か月や1年などの期間を決めて雇われ、期間が終わるたびに更新するかを決めます。働く時間はフルタイムのことが多く、労働力調査の詳細集計でも、契約社員273万人のうち月末1週間の就業時間が35時間以上の人は170万人でした。
ただ、呼び名と契約の中身は一致しないことがあります。労働力調査の詳細集計では、契約社員と呼ばれる人273万人のうち、有期の契約は202万人、無期の契約は51万人でした。呼び名だけで判断せず、労働条件通知書の「契約期間」の欄を見ます。
| 比べる点 |
契約社員に多い形 |
正社員に多い形 |
| 契約期間 |
6か月、1年などの期間を決める |
期間の定めがない |
| 更新 |
期間が終わるたびに更新を決める |
更新はない |
| 給与 |
月給か時給、賞与・退職金は会社ごと |
月給、賞与・退職金は会社ごと |
| 転勤・異動 |
勤務地や業務を限ることが多い |
範囲が広いことが多い |
| 辞め方 |
期間中はやむを得ない事由が要る |
2週間前の申し出で辞められる |
この表は一般的な傾向を並べたもので、法律で決まった違いではありません。賞与や退職金、転勤の有無は、会社の就業規則と契約で決まります。
正社員の辞め方は、民法627条で、期間の定めのない雇用は申し入れから2週間で終わると定められています。契約社員の辞め方は、次の節で説明します。
派遣社員・パート・嘱託との違い
派遣社員は、雇い主が派遣会社です。働く先の会社から指示を受けますが、契約を結ぶ相手は派遣会社になります。契約社員は、働く会社と直接契約を結びます。
パートは、正社員より働く時間が短い人を呼ぶことが多い名前です。パートでも期間を決めた契約なら、有期の契約のルールが当てはまります。嘱託は、定年の後に期間を決めて再雇用された人を呼ぶ会社が多い名前です。
どの呼び名でも、期間を決めた契約なら、この記事で説明する労働基準法14条や労働契約法18条・19条の決まりが同じように当てはまります。呼び名ではなく、契約期間の有無と雇い主を見ます。
契約期間の上限は原則3年:労働基準法14条
労働基準法14条は、期間の定めのある契約の長さに上限を置いています。
| 契約の種類 |
1回の契約期間の上限 |
| 原則 |
3年 |
| 高度な専門的知識等を持つ人がその業務につく契約 |
5年 |
| 満60歳以上の人との契約 |
5年 |
| 一定の事業の完了に必要な期間を決める契約 |
その期間 |
出典:労働基準法14条1項。高度な専門的知識等は、厚生労働大臣が定める基準に当てはまるもの。
これは1回の契約の長さの上限です。1年の契約を何回か更新することは、この条文では禁じられていません。更新の回数や通算の期間の上限は、会社が契約で決めます。
契約期間中に辞めたいとき
有期の契約は、期間中に辞めるにはやむを得ない事由が必要です(民法628条)。体を壊して働けない、約束と違う仕事をさせられるといった事情がこれに当たるかは、個別に判断されます。
例外が労働基準法附則137条です。1年を超える期間の契約をした人は、契約の最初の日から1年を過ぎれば、会社に申し出ていつでも辞められます。高度な専門職の人と60歳以上の人の契約は、この例外から除かれます。
労働条件として明示された内容が事実と違うときは、すぐに契約を解除できます(労働基準法15条2項)。この条文は契約社員にも正社員にも当てはまります。
会社からの途中の解雇と雇止め:労働契約法17条・19条
会社の側も、契約期間中はやむを得ない事由がなければ解雇できません(労働契約法17条1項)。期間を決めた以上、その期間は雇う約束をしているからです。
期間が終わって更新しないことを、雇止めと言います。労働契約法19条は、次のどちらかに当たる契約で、本人が更新を申し込んだのに会社が断ることが、客観的に合理的な理由を欠き社会通念上相当と認められないとき、同じ条件で更新を承諾したものとみなすと定めています。
- 何回も更新されていて、雇止めが正社員の解雇と同じように見える契約
- 本人が、更新されると期待することに合理的な理由がある契約
雇止めの予告や理由の明示など、くわしい流れは雇い止めとはで説明しています。
通算5年で無期転換:労働契約法18条
同じ会社との有期の契約が、更新を重ねて通算5年を超えると、本人は期間の定めのない契約への転換を申し込めます。申し込めば、会社は承諾したものとみなされます。会社は断れません(労働契約法18条1項)。
転換した後の給与などの条件は、別の定めがある部分を除き、それまでの有期の契約と同じです。無期転換は「正社員になる」決まりではありません。期間がなくなるだけで、給与や仕事は変わらないことがあります。
契約と契約のあいだに空白の期間があると、通算が途切れる場合があります。空白が6か月以上なら、その前の契約期間は通算に入りません(同条2項)。前の契約期間が1年未満のときは、もっと短い空白で途切れます。
厚生労働省の無期転換の案内には、申し込みの時期や通算の数え方のQ&Aがあります。正社員登用との違いは正社員登用と無期転換で詳しく扱っています。
2024年4月から、契約のときに明示する項目が増えた
労働基準法施行規則の改正で、2024年4月から、有期の契約を結ぶときと更新するときに、次の項目を書面などで示すことになりました。厚生労働省の明示ルールの資料にまとまっています。
- 更新の上限(通算の契約期間か更新回数の上限)の有無と内容
- 無期転換を申し込めること(申込権が生まれる更新のとき)
- 無期転換した後の労働条件
- 就業場所と業務の、変更の範囲(すべての契約で明示)
最初の契約の後で更新の上限を新しく設けたり短くしたりするときは、その理由をあらかじめ説明することも必要になりました。契約書に「更新上限 通算【年数】年」とあれば、何年目で終わる契約なのかを入社前に確かめられます。
待遇の差のルール:パートタイム・有期雇用労働法
パートタイム・有期雇用労働法(条文)は、有期の契約で働く人と正社員の待遇の差に決まりを置いています。
- 8条:基本給、賞与その他の待遇のそれぞれについて、仕事の内容と責任、配置の変更の範囲などに照らして、不合理な差をつけてはいけない
- 9条:仕事の内容と配置の変更の範囲が正社員と同じ人には、差別的な取り扱いをしてはいけない
- 13条:正社員を募集するときに知らせるなど、正社員への転換を進める措置を取る
- 14条:雇い入れたときに待遇の措置を説明し、求められたら正社員との差の内容と理由を説明する
差があること自体が、すぐに違法になるわけではありません。仕事の内容や異動の範囲が違えば、待遇が違うこともあります。気になる差があるときは、14条2項にもとづいて、会社に理由の説明を求められます。説明を求めたことを理由に、不利益な取り扱いをしてはいけないとも定められています(同条3項)。
年齢別の契約社員の数:55〜64歳が76万人で最も多い
ここからは統計です。使うのは、総務省統計局の労働力調査(詳細集計)2025年平均の第II-16表です。勤め先での呼び方が「契約社員」の人を数えています。
| 順位 |
年齢階級 |
男女計 |
男 |
女 |
| 1 |
55〜64歳 |
76万人 |
43万人 |
34万人 |
| 2 |
65歳以上 |
58万人 |
45万人 |
12万人 |
| 3 |
45〜54歳 |
47万人 |
16万人 |
31万人 |
| 4 |
25〜34歳 |
43万人 |
19万人 |
23万人 |
| 5 |
35〜44歳 |
35万人 |
13万人 |
22万人 |
| 6 |
15〜24歳 |
15万人 |
7万人 |
8万人 |
| 計 |
総数 |
273万人 |
143万人 |
130万人 |
出典:総務省統計局、労働力調査(詳細集計)2025年平均、第II-16表。非正規の職員・従業員のうち契約社員。万人単位の公表値のため、内訳の合計が総数と一致しないことがあります。
男性は55歳以上が多く、55〜64歳と65歳以上を合わせると88万人です。65歳以上は男性が45万人、女性が12万人で、差が大きい年齢階級です。女性は45〜54歳が31万人、55〜64歳が34万人と、40代から50代にも多くいます。
契約期間の長さ:1年以下の契約が多い
同じ表の、雇用契約期間別の人数です。
| 順位 |
雇用契約期間 |
人数 |
| 1 |
6か月超1年以下 |
89万人 |
| 2 |
1年超3年以下 |
47万人 |
| 3 |
3か月超6か月以下 |
19万人 |
| 4 |
3年超5年以下 |
12万人 |
| 5 |
1か月以上3か月以下 |
11万人 |
| 6 |
5年超 |
6万人 |
| 参考 |
有期の契約の計 |
202万人 |
| 参考 |
無期の契約 |
51万人 |
出典:総務省統計局、労働力調査(詳細集計)2025年平均、第II-16表の契約社員。有期の契約の内訳には、ほかに1か月未満1万人、期間がわからない16万人がいます。契約期間の定めがあるかわからない人は18万人です。
1年以下の契約が多くを占めます。1年ごとに更新する働き方が一般的です。期間がわからない人と、期間の定めがあるかわからない人が合わせて34万人いることにも目が向きます。自分の契約期間を知らずに働いている人が少なくないということです。
産業別ランキング:製造業が45万人で最も多い
| 順位 |
産業 |
契約社員の人数 |
| 1 |
製造業 |
45万人 |
| 2 |
サービス業(他に分類されないもの) |
40万人 |
| 3 |
医療,福祉 |
34万人 |
| 4 |
卸売業,小売業 |
31万人 |
| 5 |
教育,学習支援業 |
24万人 |
| 6 |
運輸業,郵便業 |
18万人 |
| 7 |
情報通信業 |
13万人 |
| 8 |
建設業 |
10万人 |
| 8 |
公務 |
10万人 |
| 10 |
学術研究,専門・技術サービス業 |
9万人 |
出典:総務省統計局、労働力調査(詳細集計)2025年平均、第II-16表の契約社員。公務は他に分類されるものを除く。公表値が同じ産業は同順位。
職業別では、事務従事者が79万人で最も多く、専門的・技術的職業従事者が43万人、生産工程従事者が38万人でした。工場の製造の仕事だけでなく、事務の仕事に契約社員が多いことがわかります。
勤め先の従業者の規模で見ると、500人以上が103万人、30〜499人が105万人、1〜29人が32万人、官公が31万人でした。大きい会社だけの雇い方ではなく、中規模の会社にも同じくらいいます。会社の規模で更新の決まりが変わるわけではないので、どの規模でも契約書の欄で確かめます。
契約社員として働いている理由:自分の都合のよい時間が最多
同じ表で、今の雇用形態についている主な理由を見ます。
| 順位 |
主な理由 |
人数 |
| 1 |
自分の都合のよい時間に働きたいから |
50万人 |
| 2 |
正規の職員・従業員の仕事がないから |
46万人 |
| 3 |
専門的な技能等をいかせるから |
43万人 |
| 4 |
家計の補助・学費等を得たいから |
32万人 |
| 5 |
通勤時間が短いから |
16万人 |
| 6 |
家事・育児・介護等と両立しやすいから |
15万人 |
出典:総務省統計局、労働力調査(詳細集計)2025年平均、第II-16表の契約社員。その他(59万人)を除く。理由不詳を含むため、内訳の合計は総数の273万人になりません。
正社員の仕事がないからという人が46万人いる一方、専門の技能をいかせるからという人も43万人います。契約社員を選ぶ理由は人によって違います。自分がどちらに近いかで、次の契約で確かめることも変わります。正社員を目指すなら登用の実績、専門をいかしたいなら仕事の範囲と更新の基準を先に聞きます。
非正規で働く人全体の数と割合は非正規雇用の割合で扱っています。
仕事からの年間収入
同じ表では、契約社員の仕事からの年間収入は200〜299万円が95万人で最も多く、300〜399万円が56万人、100〜199万円が55万人でした。400万円以上は合わせて44万人です。収入の区分ごとの人数で、平均の額ではありません。
契約社員の求人に応募するときに確かめること
| 確かめる項目 |
聞くこと・見る書類 |
| 契約期間 |
1回の期間と、最初の契約の開始日 |
| 更新の基準 |
何で更新を決めるか(勤務成績、会社の業績など) |
| 更新の上限 |
通算の年数か回数の上限があるか |
| 無期転換 |
通算5年を超えたときの申し込みの手順 |
| 正社員登用 |
制度の有無と、前年に登用された人数 |
| 待遇 |
賞与・退職金・手当の対象になるか |
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契約社員の働き方は、会社ごとの契約と就業規則で大きく変わります。法律の決まりは最低限の線です。更新の実績や正社員への登用の数は、面接で聞くか、内定のときの書面で確かめます。
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