シフト制は、働く日と時間が契約書ではなく、1週間や1か月ごとのシフト表で決まる働き方です。厚生労働省の留意事項では、いったん確定したシフトの日や時間を変えることは、労働条件の変更にあたります。変えるときは、会社と本人の双方が、合意してから行うよう求めています。会社の都合で休ませた場合は、シフト制でも平均賃金の6割以上の休業手当が必要です(労働基準法26条)。
トラブルを防ぐ一番の方法は、働き始める前に契約で決めておくことです。働く可能性のある曜日と時間帯、1か月の目安の日数、最低限入る日数を書面に残しておくと、シフトが減ったときに何と比べて減ったのかを示せます。この記事の内容は2026年10月25日に厚生労働省の資料で確かめました。
シフト制とは:勤務日が契約ではなくシフト表で決まる
使う資料は、厚生労働省のシフト制の留意事項です。令和4年1月に出され、令和8年6月19日に改正されています。会社向けに、今の法律に照らして、気をつけることをまとめたものです。
この資料でいうシフト制は、労働契約を結ぶ時点では、労働日や労働時間を決めきらず、一定期間ごとに作る勤務シフトで、初めて具体的な日と時間が決まる形です。期間は1週間や1か月などです。パートやアルバイトで広がっている働き方として書かれています。
その時々の事情に合わせて日と時間を決められるので、会社にも働く人にも便利な面があります。一方で、資料はトラブルの例も挙げています。会社の都合で労働日がほとんど入らなかったり、希望より多い日数を入れられたりする場合です。
交替勤務とは別のものとして扱う
工場や病院の三交替勤務も、日によって時間が変わります。ただし留意事項は、これをシフト制から外しています。年や月の労働日数と時間数が決まっていて、就業規則にある勤務パターンを組み合わせる働き方だからです。
自分の働き方がどちらに近いかは、契約書に日数や時間数が書いてあるかで見分けます。月の勤務日数と1日の時間が決まっていて、どの日に入るかだけが変わるなら、交替勤務に近い形です。日数も時間もシフト表が出るまでわからないなら、この記事でいうシフト制にあたります。
パートの比率が高い業種ランキング
シフト制で働く人の数を、業種ごとに数えた公的統計はありません。そこで、シフトで働くことが多いパートタイム労働者の比率を業種別に並べます。パートの全員がシフト制ではなく、正社員にもシフトで働く人がいる点に注意して読みます。
| 順位 |
業種 |
パートの比率 |
パートの月間労働時間 |
パートの出勤日数 |
| 1 |
飲食サービス業等 |
78.12% |
64.4時間 |
11.5日 |
| 2 |
生活関連サービス等 |
49.09% |
78.1時間 |
12.9日 |
| 3 |
卸売業、小売業 |
44.86% |
84.4時間 |
14.7日 |
| 4 |
教育、学習支援業 |
33.34% |
52.5時間 |
10.0日 |
| 5 |
医療、福祉 |
32.86% |
77.0時間 |
13.1日 |
| 6 |
その他のサービス業 |
29.94% |
87.9時間 |
14.8日 |
| 7 |
不動産・物品賃貸業 |
20.42% |
90.4時間 |
14.7日 |
| 8 |
運輸業、郵便業 |
18.76% |
99.2時間 |
15.5日 |
| 9 |
複合サービス事業 |
17.08% |
110.5時間 |
16.9日 |
| 10 |
製造業 |
13.00% |
109.9時間 |
16.5日 |
| 11 |
学術研究等 |
11.41% |
89.2時間 |
14.1日 |
| 12 |
金融業、保険業 |
10.57% |
97.3時間 |
15.4日 |
| 13 |
鉱業、採石業等 |
6.91% |
73.2時間 |
11.7日 |
| 14 |
建設業 |
5.53% |
83.1時間 |
14.0日 |
| 15 |
情報通信業 |
4.90% |
89.2時間 |
13.7日 |
| 16 |
電気・ガス業 |
3.66% |
103.8時間 |
15.3日 |
| ― |
調査産業計 |
31.31% |
79.1時間 |
13.5日 |
出典:厚生労働省、毎月勤労統計調査の2025年分結果確報、第3表のパートタイム労働者比率と、第2表のパートタイム労働者の総実労働時間と出勤日数。事業所規模5人以上、2025年の月平均です。
この調査でいうパートタイム労働者は、常用労働者のうち、1日の所定労働時間が一般の労働者より短い人か、1日の時間は同じでも週の所定労働日数が少ない人です。全産業では労働者5,156万6千人のうち1,614万4千人がパートでした。
飲食サービス業等は、働く人の8割近くがパートです。パートの月の労働時間は64.4時間、出勤日数は11.5日で、全産業のパートより短くなっています。同じパートでも、製造業や複合サービス事業は月110時間前後で、働き方の形がかなり違います。
業種の平均は、応募先のシフトの入り方を示すものではありません。同じ飲食店でも、昼だけの募集と夜まで通しの募集では、時間も日数も変わります。業種の傾向を知ったうえで、応募先には自分の入る時間帯と日数を聞きます。時給の水準はパートの平均時給でまとめています。
労働条件通知書に「シフトによる」だけでは足りない
労働基準法15条で、会社は働き始める前に、始業と終業の時刻や休日などを、書面で示す必要があります。本人が希望すれば、メールなどの電子的な方法でも構いません。シフト制でも、この決まりは同じです。
留意事項は、シフト制で特に問題になりやすい欄を挙げています。どの欄も、書き方まで具体的に示しています。
| 欄 |
留意事項に書かれていること |
| 始業と終業の時刻 |
時刻が決まっている日は、その時刻を書く。「シフトによる」だけでは足りない |
| 休日 |
決まっていればその日を書く。曜日が未定なら、休日の決め方の考え方を書く |
| 更新の上限 |
有期契約で通算期間や回数の上限があれば、契約と更新のたびに示す |
| 無期への転換 |
通算5年を超えて更新するときは、申し込めることと転換後の条件を示す |
出典:厚生労働省、シフト制の留意事項(令和8年6月19日改正)、2(2)アの各項目。
始業と終業の時刻は、労働日ごとに書く方法のほかに、原則の時刻を書いたうえで、最初の期間のシフト表を一緒に渡す方法も示されています。休日は、労働基準法35条の「毎週1回、または4週間で4日以上」を満たす考え方を書く必要があります。
受け取った通知書に「シフトによる」としか書いていないなら、原則の時間帯と、最初のシフト表をもらえるかを聞きます。聞きにくいときは、「勤務の時間帯の目安を書面でいただけますか」と頼むと角が立ちません。
契約で決めておくこと:最大の日数、目安、最低限
留意事項は、会社が一方的にシフトを決めるのは望ましくないとして、話し合って決めておくとよい事項を挙げています。法律で書く義務がある項目ではありませんが、決めておけばシフトが減ったときの話し合いの土台になります。
| 決めておくこと |
書き方の例 |
| 入る可能性のある最大の日数・時間帯 |
毎週月・水・金曜日のうち、シフトで決める |
| 目安の日数・時間数 |
1か月【日数】日程度、1週間平均【時間】時間 |
| 最低限入る日数・時間数 |
1か月【日数】日以上、毎週月曜日は入る |
| シフト表の作り方 |
作る前に希望を聞く。確定したら【日付】までに知らせる |
| シフトの変え方 |
確定後に変えるときの申し出の期限と手続き |
出典:厚生労働省、シフト制の留意事項(項目2の2のウ)。例は資料の記載をもとに、置き換える欄を【】にしています。
目安の日数だけを決めた場合、実際の日数が下回っても「目安だから」と言われることがあります。生活費をシフトの収入でまかなうなら、最低限の日数か時間を入れてもらうほうが安心です。留意事項も、目安とあわせて、最低限の日数を決める例を挙げています。
話し合って決めた内容は、できるだけ書面で確かめるよう求められています(労働契約法4条)。口頭で「毎月20日くらいは入れるよ」と言われただけでは、後から確かめる手段がありません。契約書の余白でもメールでもよいので、文字で残します。
シフトが減らされたとき:確定の前と後で分けて考える
シフトが減ったと感じたら、まず確定前の話か、確定後の話かを分けます。扱いが違うからです。
確定したシフトの日や時間を変えることは、労働条件の変更にあたります。留意事項は、労働契約法8条を引いて、変える場合は、会社と労働者の双方が、合意したうえで行うよう求めています。翌週のシフト表が出た後で、会社が一方的に入っていた日を消すのは、この考え方に反します。
確定前のシフトの組み方は、契約で決めた内容と比べます。最低限の日数を決めていたのに、それを下回るシフトしか組まれないなら、契約と違うと伝えられます。目安の日数しか決めていない場合でも、いつから、何日減ったのかを記録しておくと、話を進めやすくなります。
記録には、次のものを残します。
- 毎月のシフト表と、実際に働いた日数・時間
- 契約書や労働条件通知書の、日数や時間帯の欄
- シフトの変更を言われた日、相手、理由として説明された内容
- 給与明細で、休業手当が付いているかどうか
無期転換を申し込んだことを理由に減らさない
有期契約が通算5年を超えると、本人の申し込みで無期契約に変わります(労働契約法18条)。留意事項は、申し込んだことを理由に、会社がシフトの頻度を一方的に減らさないよう求めています。申し込んだ後にシフトが急に減ったなら、その時期と日数を記録しておきます。
休業手当:会社の都合で休ませたら平均賃金の6割以上
労働基準法26条では、会社の責めに帰すべき理由で労働者を休ませたとき、休んだ期間について平均賃金の6割以上の休業手当を払う必要があります。シフト制の人でも、この決まりは同じです。
会社の責めに帰すべき理由には、会社の故意や過失だけでなく、経営や管理の都合で生じた支障も含まれます。たとえば、売上が落ちたので、確定していた日を休みにした場合です。
不可抗力の場合は対象外です。留意事項は、不可抗力といえるには次の2つを両方満たす必要があると説明しています。
- 原因が事業の外から起きた事故であること
- 通常の経営者として最大の注意を尽くしても、避けられない事故であること
2つ目を満たすには、休業を避けるための努力を、尽くしたといえる必要があります。在宅勤務で仕事を続けられないか検討したか、ほかに就ける業務があるのに休ませていないか、といった事情で判断されます。
休業手当が払われているかは、給与明細で確かめます。明細に項目がなく、確定していた日を休みにされた場合は、会社の担当者に理由を聞きます。話が進まなければ、都道府県労働局や労働基準監督署にある総合労働相談コーナーに相談できます。シフトが一方的に減らされたときの相談先として、留意事項でも案内されています。
有給休暇はシフト制でも付く
シフト制でも、6か月続けて勤め、全労働日の8割以上出勤すれば有給休暇が付きます(労働基準法39条)。契約が6か月未満でも、更新して6か月以上になっていれば条件を満たします。
週の所定労働日数が4日以下で週30時間未満の人は、日数に応じて付与されます。6か月の時点では、週4日なら7日、週3日なら5日、週2日なら3日、週1日なら1日です。勤続年数に応じて増えていく表は、有給の付与日数にまとめています。
シフト制で気になるのは、所定労働日数を決めていない場合です。留意事項は、決めていないことを理由に、有給を付与しないことは認められないとしています。算出しにくいときは、最初の付与なら雇い入れから6か月の労働日数の実績を2倍した日数を、1年間の所定労働日数とみなして計算できます。2回目以降は前の1年の実績を使います。
有給を取った日の賃金は、時給の人なら、その日の所定労働時間に、時給をかけた額などになります。年10日以上付与される人は、そのうち5日を1年以内に取らせる義務が会社にあります。
雇用保険と社会保険:週20時間の見方
雇用保険は、週の所定労働時間が20時間以上で、31日以上雇われる見込みがあれば加入します。シフト制では、契約に目安の時間が書いてあればそれで判断し、書いていない場合や実際の時間と離れている場合は、実際の勤務時間の平均で判断します。
シフトが減って一時的に20時間を下回っても、すぐに外れるわけではありません。ずっと下回る見込みになった時点で、被保険者でなくなります。留意事項には、雇用保険の加入条件の週の時間が、令和10年10月1日から10時間以上に変わることも書かれています。加入条件の全体は雇用保険の加入条件で確かめられます。
健康保険と厚生年金は、正社員の4分の3以上働く人のほか、週20時間以上などの条件を満たす人も加入します。月額賃金8.8万円以上の条件と、勤め先の従業員数の条件は、段階的に見直される予定が留意事項に書かれています。自分が入るかどうかは、勤め先で確かめます。
シフトを減らされて辞めるとき:離職理由の扱い
シフト減が続いて辞める場合、離職理由によって、失業手当の扱いが変わることがあります。留意事項によると、次の場合は、特定理由離職者または特定受給資格者と認められ、給付制限を受けないほか、所定給付日数が手厚くなる場合があると書いています。
- 具体的な就労日数が労働条件として示されていたのに、シフトを減らされた場合
- 更新のときに、前より少ないシフトの条件を示され、更新を希望せずに辞めた場合
ここでも、契約に日数が書いてあるかどうかが効いてきます。日数の書いていない契約だと、減ったことを示しにくくなります。認められるかはハローワークが判断するので、契約書とシフト表、給与明細を持って相談します。
契約の終わり方:シフト制でも解雇と雇止めのルールは同じ
シフトを入れないまま、事実上の退職に追い込まれる形も起こり得ます。契約を終わらせる場面のルールは、シフト制でも変わりません。
- 有期契約の途中での解雇は、やむを得ない理由がなければできない(労働契約法17条)
- 無期契約の解雇は、客観的に合理的な理由と、社会通念上の相当性がなければ無効(同16条)
- 解雇するときは、30日前までの予告か、平均賃金30日分以上の解雇予告手当が要る(労働基準法20条)
- 3回以上更新したか、1年を超えて勤めた有期契約を更新しないときは、30日前までの予告が要る
出典:厚生労働省、シフト制の留意事項(項目2の5のア)。
「シフトを入れないから自分から辞めてほしい」といった話が出たら、解雇なのか、合意での退職なのか、契約期間の満了なのかを、相手に確かめます。どれにあたるかで、予告や手当、失業手当の扱いが変わるためです。
1か月単位の変形労働時間制が付いている場合
シフト制で、1か月単位の変形労働時間制を使う職場もあります。この場合、就業規則に勤務時間のパターンと組み合わせ方、シフト表の作り方と知らせ方を定める必要があると、留意事項に書かれています。適用する期間の労働日と時間は、制度を入れるときか、決められた期日までに具体的に定めてから、シフト表を作ります。契約書に変形労働時間制とあれば、就業規則のその部分を見せてもらいます。
応募の前に聞いておくこと
シフト制の求人は、時給と勤務地だけで比べがちです。実際に困るのは、入れる日数が思ったより少ない、逆に断れないほど入れられる、という場面です。面接では次の点を聞いて、答えを書き残します。
| 確かめたいこと |
面接で聞くこと |
| 入れる日数 |
同じ時間帯の人は、月に何日くらい入っていますか |
| 最低限の日数 |
1か月の最低日数を契約に書いていただけますか |
| シフトの出る時期 |
シフト表はいつ、どの方法で知らせていますか |
| 変更の扱い |
確定後にシフトが変わるのは、どんなときですか |
| 繁忙期と閑散期 |
季節によって入れる日数はどれくらい変わりますか |
月の収入の見込みは、時給に月の時間数をかけて出します。月給の人と比べたいときは、時給の計算の方法で時間単価をそろえると比べやすくなります。
その会社の実際の数字は、求人票・面接・しょくばらぼで確かめる
業種別のパートの比率や労働時間は、応募先が業界の中で、どのような働き方かを見る物差しです。その会社で実際に月何日入れるか、シフトがいつ出るかは、求人票、面接、契約書で確かめます。
厚生労働省のしょくばらぼでは、掲載している企業の残業時間や有給休暇の取得状況、平均勤続年数などを見られます。シフトの入り方とあわせて、続けやすい職場かどうかを数字で比べます。