愛知県の最低賃金は、令和8年(2026年)10月1日から時間額1,195円です。前年度の1,140円から55円上がり、引上げ率は4.8%でした。47都道府県の改定額を高い順に並べると、愛知は千葉と同額の5番目です。
10月1日以降に愛知県内の事業場で働いた時間には、1,195円以上の時給が必要です。パート、アルバイト、派遣(派遣先が愛知県内の場合)も同じです。
求人票の時給が最低賃金ぎりぎりかどうかは、会社が公表している数字だけでは分かりません。時給は求人票で、働きやすさは愛知県の会社を採用の数字で比べるにある残業時間や有給休暇の比較表で確かめ、二つを合わせて見ます。名古屋市・豊田市・岡崎市のように、市ごとの比較表もあります。
愛知県の最低賃金は1,195円、10月1日から
数字は、厚生労働省の令和8年度の地域別最低賃金の全国一覧と、愛知労働局の愛知県の最低賃金のページで2026年10月25日に確かめました。どちらも、改定後1,195円、改定前1,140円、発効日は令和8年10月1日です。
| 項目 |
愛知県 |
| 改定後の時間額 |
1,195円 |
| 改定前(令和7年度) |
1,140円 |
| 引上げ額 |
55円 |
| 引上げ率 |
4.8% |
| 発効日 |
2026年10月1日 |
| 47都道府県の順位 |
5番目(千葉と同額) |
出典:厚生労働省、令和8年度の地域別最低賃金の全国一覧(表番号なし)。順位は47の改定額を高い順に並べて数え、同額は同順位としました。全国加重平均は1,177円(改定前1,121円)です。
愛知の1,195円は、全国加重平均より18円高い額です。全国加重平均は各都道府県の働く人の数で重みをつけた平均で、どこかの県に適用される額ではありません。
最低賃金は時間額だけで決められています。日給や月給で働く人も、時間当たりに直して比べます。9月30日までに働いた分は1,140円、10月1日以降に働いた分は1,195円で判定します。9月から10月にまたがる締め日の給与は、日ごとに分けて見ます。
愛知県の最低賃金の推移:平成28年度から
愛知労働局の愛知県最低賃金の推移から、平成28年度以降を抜き出しました。愛知県最低賃金は昭和48年12月10日に新設され、平成14年に日額が廃止されて時間額だけになっています。
| 年度 |
時間額 |
引上げ額 |
発効日 |
| 平成28年度 |
845円 |
25円 |
2016-10-01 |
| 平成29年度 |
871円 |
26円 |
2017-10-01 |
| 平成30年度 |
898円 |
27円 |
2018-10-01 |
| 令和元年度 |
926円 |
28円 |
2019-10-01 |
| 令和2年度 |
927円 |
1円 |
2020-10-01 |
| 令和3年度 |
955円 |
28円 |
2021-10-01 |
| 令和4年度 |
986円 |
31円 |
2022-10-01 |
| 令和5年度 |
1,027円 |
41円 |
2023-10-01 |
| 令和6年度 |
1,077円 |
50円 |
2024-10-01 |
| 令和7年度 |
1,140円 |
63円 |
2025-10-18 |
| 令和8年度 |
1,195円 |
55円 |
2026-10-01 |
出典:愛知労働局、愛知県最低賃金の推移の地域別最低賃金の表(表番号なし)。引上げ額は同じ表の値です。
平成28年度の845円から令和8年度の1,195円まで、10年で350円上がりました。令和2年度は1円だけで、令和5年度から40円を超える引上げが続いています。
令和7年度だけは発効日が10月18日でした。毎年10月1日に変わるとは限らないので、給与を確かめるときは、その年度の発効日を推移表か全国一覧で見ます。
東海の近い県と比べる
同じ全国一覧から、東海4県と長野県を並べました。
| 県 |
改定後 |
改定前 |
引上げ額 |
発効日 |
| 愛知 |
1,195円 |
1,140円 |
55円 |
2026-10-01 |
| 静岡 |
1,154円 |
1,097円 |
57円 |
2026-10-15 |
| 三重 |
1,143円 |
1,087円 |
56円 |
2026-10-01 |
| 岐阜 |
1,121円 |
1,065円 |
56円 |
2026-10-01 |
| 長野 |
1,117円 |
1,061円 |
56円 |
2026-10-02 |
出典:厚生労働省、令和8年度の地域別最低賃金の全国一覧(表番号なし)。
愛知は東海で最も高く、隣の岐阜とは74円、三重とは52円の差があります。引上げ額は愛知の55円が最も小さく、ほかの4県は56円か57円でした。
県境をまたいで通勤する人は、住んでいる県ではなく、働く事業場がある県の額を見ます。岐阜県に住んで名古屋市の店で働くなら1,195円です。派遣で働く人は、派遣元の会社の所在地ではなく、派遣先の事業場がある県の額になります。
全47都道府県の順位と発効日は、最低賃金ランキング2026年度にまとめています。
愛知県の特定最低賃金:9業種の時間額
特定最低賃金は、特定の産業で働く人に、県の最低賃金とは別に決める最低賃金です。愛知県では9業種に設定されています。愛知労働局の推移表の特定最低賃金の欄から、現在の時間額を並べました。
| 業種 |
時間額 |
今の額になった年度 |
| 製鉄業、製鋼・製鋼圧延業、鋼材製造業 |
1,175円 |
令和7年度 |
| 輸送用機械器具製造業 |
1,146円 |
令和7年度 |
| はん用・生産用・業務用機械器具製造業 |
968円 |
令和3年度 |
| 自動車(新車)小売業 |
943円 |
令和2年度 |
| 電子部品・デバイス・電子回路、電気機械器具、情報通信機械器具製造業 |
901円 |
平成30年度 |
| 計量器・測定器、光学機械器具・レンズ、時計製造業 |
875円 |
平成29年度 |
| 各種商品小売業 |
847円 |
平成28年度 |
| 自動車(新車)、自動車部分品・附属品小売業 |
800円 |
平成19年度以前 |
| 染色整理業 |
732円 |
平成20年度 |
出典:愛知労働局、愛知県最低賃金の推移の特定最低賃金の表(表番号なし)。時間額は令和7年度の欄の値で、製鉄業等と輸送用機械器具製造業の効力発生日は2025年12月16日です。「今の額になった年度」は、同じ表で額が最後に変わった年度です。
9業種とも1,195円を下回っています。愛知労働局のページも、令和8年10月1日から9業種に愛知県最低賃金1,195円が適用されると書いています。両方の最低賃金がかかるときは高いほうを払う決まりなので、いまはどの業種でも1,195円が下限です。
輸送用機械器具と製鉄は改正の意見が出ている
愛知地方最低賃金審議会は令和8年10月14日、2業種の改正について意見を出しました。愛知労働局の公示では、輸送用機械器具製造業を1,208円(効力発生日は令和8年12月16日)、製鉄業等を1,230円(同じく令和9年1月1日)とする内容です。公示の時点では異議の申出を受け付けている段階で、金額は決定前です。
決まれば、輸送用機械器具製造業で働く人は12月16日から、県の最低賃金より13円高い1,208円が下限になります。ただし、18歳未満または65歳以上の人、雇入れ後3か月未満で技能を習得中の人、清掃や片付けなどの業務を主にする人には特定最低賃金がかからず、県の最低賃金が適用されます。
1,195円を月給・年収に直すと
1日8時間、月20日働いた場合で計算します。1か月の労働時間は160時間です。
| 前提 |
計算 |
金額 |
| 1か月(8時間 × 20日) |
1,195円 × 160時間 |
191,200円 |
| 改定前の1か月 |
1,140円 × 160時間 |
182,400円 |
| 1年(160時間 × 12か月) |
1,195円 × 1,920時間 |
2,294,400円 |
改定前と比べると、同じ時間働いて月8,800円の差です。いずれも税金や社会保険料を引く前の額で、残業代や通勤手当は入っていません。
月給制の人は、この表を逆に使います。月給から残業代や通勤手当などを除いた額を、会社の1か月平均所定労働時間で割り、1,195円以上かを見ます。所定労働時間が月160時間なら、対象となる月給が191,200円以上必要です。計算の手順は時給の計算と最低賃金との比べ方で詳しく説明しています。
愛知県で働く人の給与の平均は、愛知県の平均年収で年齢別・業種別に見られます。最低賃金は下限、平均年収はその県の一般労働者の平均です。二つの間のどこに求人の条件があるかを見ると、提示額の位置がつかめます。
最低賃金と比べない賃金
厚生労働省の最低賃金特設サイトの対象となる賃金では、最低賃金と比べるのは毎月支払われる基本的な賃金だとして、次の賃金を除きます。
- 臨時に支払われる賃金(結婚手当など)
- 1か月を超える期間ごとに支払われる賃金(賞与など)
- 所定労働時間を超える労働に対する賃金(時間外割増賃金など)
- 所定労働日以外の労働に対する賃金(休日割増賃金など)
- 午後10時から午前5時までの労働に対する賃金のうち、通常の賃金を超える部分(深夜割増賃金など)
- 精皆勤手当、通勤手当、家族手当
基本給が低くても、皆勤手当を足すと1,195円を超える、という説明は通りません。皆勤手当は除いて計算します。一方で、職務手当や資格手当のように毎月決まって支払われる手当は、対象に入ります。
1,195円を下回っていたときの相談先
給与明細の時給が1,195円より低い、または月給を時間額に直すと下回る場合は、次の順で確かめます。
- 働いた日が10月1日以降かを見る(9月30日までは1,140円)
- 給与明細から、上の除く賃金を外す
- 労働条件通知書で、所定労働時間と時給・月給を確かめる
- 勤務記録(シフト表、タイムカード)と照らし合わせる
これで下回っていれば、会社に説明を求めます。解決しないときは、愛知労働局の賃金課か、勤務先を受け持つ愛知県内の労働基準監督署に相談できます。相談の準備と流れは労働基準監督署に相談するにはにまとめています。
最低賃金より低い賃金を労使で合意しても、その部分は無効になり、最低賃金と同額を定めたものとみなされます。本人が了解していたかどうかは関係ありません。
求人票の時給と、会社の残業・有給の数字を合わせて見る
最低賃金は「これより下は違法」という線で、働きやすさを示す数字ではありません。時給が1,195円より少し高くても、残業が多い、有給休暇が取りにくい会社では、時間当たりで見た暮らしは変わります。
時給や月給は、求人票と面接で確かめます。そのうえで、会社が厚生労働省のしょくばらぼに公表している残業時間や有給休暇の取得率を、カイシャのホントの比較表で並べて見ます。
比較表に載るのは、しょくばらぼに数字を出している会社です。載っていない会社は、面接で所定労働時間、月の平均残業時間、有給休暇の取得日数を聞き、労働条件通知書で確かめます。
出典