初任給の平均は、大卒262,300円、高卒207,300円です。厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」の新規学卒者の数字で、令和7年6月の所定内給与額を数えています。通勤手当を含み、残業代と賞与は含みません。税や社会保険料を引く前の額です。
求人票の初任給と比べるときは、同じ学歴、同じ月給の範囲で見ます。総額だけで比べず、基本給、固定残業代、手当を分けます。自分に支給されない手当まで足した月給を、毎月使えるお金として考えないことです。
学歴別・男女別の初任給平均:大学院299,000円、大卒262,300円
令和7年の新規学卒者、一般労働者の所定内給与額です。民営事業所、企業規模10人以上の集計で、短時間労働者の時給とは別です。単位は円、中央値ではなく平均額です。
| 学歴 |
男女計 |
男性 |
女性 |
| 高校 |
207,300 |
210,100 |
202,900 |
| 専門学校 |
230,700 |
227,800 |
232,400 |
| 高専・短大 |
235,500 |
241,400 |
230,000 |
| 大学 |
262,300 |
264,900 |
259,700 |
| 大学院 |
299,000 |
301,200 |
292,900 |
出典:厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査 結果の概況」第10表。資料の千円を円に換算。2026年10月22日確認。
専門学校は女性の平均が男性を上回っています。他の学歴では男性の平均が高くなっています。ただし、同じ職場で同じ仕事をする男女の給与を比べた表ではありません。働く産業や職種、会社の規模などの違いも含んでいます。
大卒と高卒の差も、同じ年齢、同じ経験で学歴だけを変えた差ではありません。学校を卒業する年齢や就く仕事は異なります。この表を、学歴だけで将来の収入が決まるという説明には使えません。
「初任給」は入社月の振込額と一致しない
この調査で見ているのは6月分の所定内給与額です。入社した月の日割り給与や、初回の支給日までの振込額をそのまま集めたものではありません。会社の給与締め日や支払日を確かめてから、生活費を考えます。
所定内給与額は、通常の勤務に対して支払う給与の範囲です。基本給と同じ意味ではありません。通勤手当など、統計に含まれる手当があるため、求人票の「基本給だけ」とは直接比べられません。
新卒採用の募集条件が改定されていても、この表は令和7年に調べた実績です。令和8年以降の募集額や内定時に提示された額と、調査年を混ぜずに使います。
企業規模別:大卒は1,000人以上273,400円、10〜99人242,400円
新規学卒者第1表から、男女計の大卒・高卒を企業規模別に並べました。令和7年6月の所定内給与額の平均、単位は円です。人数は配属される店舗や支店だけではなく、企業規模です。
| 順位 |
企業規模 |
大卒 |
高卒 |
| 1 |
1,000人以上 |
273,400 |
216,500 |
| 2 |
100〜999人 |
254,100 |
202,200 |
| 3 |
10〜99人 |
242,400 |
199,900 |
| 全体 |
10人以上計 |
262,300 |
207,300 |
出典:厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」新規学卒者第1表、大学・高校の各シート、男女計・産業計。順位は大卒の平均額順。
大卒・高卒とも、規模の大きい区分の平均が高くなっています。とはいえ、少人数の会社がどこもこの平均以下という意味ではありません。個別の求人の給与は、同じ規模の平均とは別に確認します。
「小さな営業所だから小企業」とは限りません。応募する会社と、実際に雇用契約を結ぶ会社が違うなら、どちらの制度や給与が適用されるかを聞きます。グループ全体の人数だけで規模を決めることも避けます。
初任給が高い会社でも、昇給、賞与、転勤に伴う費用まで同じとは限りません。入社時の月給に加え、昇給の決まり方と手当の支給条件を読みます。入社時点で自分に適用される条件を書き出すと、規模のイメージに引っ張られず比較できます。
大卒の初任給ランキング:鉱業309,600円、学術研究290,100円
令和7年、民営事業所・企業規模10人以上・男女計の大卒新規学卒者です。産業別の所定内給与額を高い順に並べました。単位は円、すべて平均額です。
| 順位 |
産業 |
初任給平均 |
| 1 |
鉱業・採石業・砂利採取業 |
309,600円 |
| 2 |
学術研究・専門・技術サービス業 |
290,100円 |
| 3 |
不動産業・物品賃貸業 |
271,200円 |
| 4 |
医療・福祉 |
270,900円 |
| 5 |
建設業 |
269,800円 |
| 6 |
金融業・保険業 |
266,700円 |
| 7 |
情報通信業 |
260,400円 |
| 8 |
卸売業・小売業 |
259,000円 |
| 9 |
製造業 |
257,500円 |
| 10 |
教育・学習支援業 |
250,600円 |
| 11 |
生活関連サービス業・娯楽業 |
250,400円 |
| 12 |
運輸業・郵便業 |
249,700円 |
| 13 |
サービス業(他に分類されないもの) |
245,800円 |
| 14 |
宿泊業・飲食サービス業 |
245,400円 |
| 15 |
電気・ガス・熱供給・水道業 |
244,200円 |
| 16 |
複合サービス事業 |
236,300円 |
出典:厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」新規学卒者第1表、大学シート、男女計・企業規模計の所定内給与額。千円を円に換算。
鉱業・採石業・砂利採取業が最も高い数字です。初任給が高い順と、採用人数が多い順は違います。少ない人数で集計された産業もあるため、順位だけで就職のしやすさや個別企業の給与を決めないようにします。
高卒の初任給ランキング:鉱業233,100円、建設・運輸214,100円
対象と単位は大卒の表と同じで、学歴を高校卒に絞っています。同額は同順位です。
| 順位 |
産業 |
初任給平均 |
| 1 |
鉱業・採石業・砂利採取業 |
233,100円 |
| 2 |
運輸業・郵便業 |
214,100円 |
| 2 |
建設業 |
214,100円 |
| 4 |
宿泊業・飲食サービス業 |
211,200円 |
| 5 |
学術研究・専門・技術サービス業 |
210,300円 |
| 6 |
複合サービス事業 |
208,600円 |
| 7 |
サービス業(他に分類されないもの) |
208,400円 |
| 8 |
製造業 |
208,300円 |
| 9 |
生活関連サービス業・娯楽業 |
208,100円 |
| 10 |
情報通信業 |
206,400円 |
| 11 |
不動産業・物品賃貸業 |
205,700円 |
| 12 |
電気・ガス・熱供給・水道業 |
201,100円 |
| 13 |
金融業・保険業 |
199,900円 |
| 14 |
教育・学習支援業 |
199,500円 |
| 15 |
卸売業・小売業 |
199,300円 |
| 16 |
医療・福祉 |
188,200円 |
出典:厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」新規学卒者第1表、高校シート、男女計・企業規模計の所定内給与額。千円を円に換算。
高卒では建設業と運輸業・郵便業が同額で並びます。大卒の上位とは並びが違います。全学歴をまとめた平均だけを見るより、自分が応募する学歴区分に絞ったほうが、求人票と比べやすくなります。
産業は職種とも違います。製造業にも営業職や事務職があり、情報通信業の全員が開発職ではありません。この表は産業別の初任給で、同じ仕事だけを横に並べた職種別の順位ではありません。
将来の年収まで知りたいときは、初任給から年功の伸びを予測せず、業界別の平均年収で対象の違いを確認します。初任給の高い業種と、全年齢の平均年収の高い業種は同じとは限りません。
都道府県別の大卒初任給:上位は大分280,800円、東京275,500円
同じ調査の都道府県別第4表から、男女計・産業計・企業規模10人以上・大学卒の上位と下位を抜き出しました。令和7年6月の所定内給与額の平均、単位は円です。勤務先事業所の所在地による集計で、出身地別ではありません。
| 全国順位 |
都道府県 |
大卒の初任給平均 |
| 1 |
大分 |
280,800円 |
| 2 |
東京 |
275,500円 |
| 3 |
秋田 |
274,400円 |
| 4 |
石川 |
274,000円 |
| 5 |
千葉 |
268,300円 |
| 43 |
福島 |
234,100円 |
| 44 |
鹿児島 |
232,400円 |
| 45 |
沖縄 |
231,400円 |
| 46 |
宮崎 |
231,000円 |
| 47 |
山形 |
230,300円 |
出典:厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」都道府県別第4表、表頭分割01・男女計・産業計・大学。千円を円に換算。
この並びは、その県の新卒者が全員同じ水準で採用されるという意味ではありません。産業や職種、企業規模の構成が違い、対象者が少ない地域では平均が動くこともあります。同じ条件の仕事を選んだときの地域差とは分けます。
勤務地を選ぶなら、家賃や通勤だけでなく、転勤の範囲、住宅に関する手当、自分が希望する仕事の募集があるかを確認します。県の平均が高いことと、その条件で自分が採用されることは別です。
初任給と手取りの違い:平均額をそのまま振込額にしない
初任給の統計は控除前です。給与明細では支給項目と控除項目を分けて確認し、口座に入る金額とは区別します。本人の条件を置かずに、平均初任給から一律の割合を引いて手取りを決めることはできません。
求人票に書かれた住宅手当や家族に関する手当も、全員が受け取るとは限りません。支給条件があるなら、自分が満たすか、いつから適用されるかを確認します。通勤手当も、統計では含むことと、自分の勤務先で実際にいくら出るかは別です。
入社初月の給与は、締め日と支払日で受け取る時期が変わります。入社前に「通常の月給」と「最初に受け取る給与の対象期間」を聞いておくと、引っ越しや生活費の計画を立てやすくなります。平均額では支払日はわかりません。
初任給の年額換算と、初年度の年収は別
月給を年の月数分に延ばしただけでは、初年度の年収にはなりません。入社時期、賞与の算定期間、初年度の賞与の扱いがあるためです。求人票の年収例が、入社年なのか通常勤務した年なのかも確認します。
ボーナスを含む年収例では、実績額と予定額を分けます。会社全体の昨年度実績を、新入社員の初年度にそのまま当てはめないようにします。賞与の統計と読み方はボーナスの平均でまとめています。
求人票は基本給・固定残業代・手当を別々に読む
月給が平均より高くても、その中に残業代が先に含まれていれば、統計の所定内給与額と範囲が違います。同じ総額なら同じ待遇、と決めないことです。求人票の内訳を、次のように分けて残します。
| 項目 |
確認する内容 |
平均との比較で注意する点 |
| 基本給 |
学歴・採用区分ごとの額 |
所定内給与額の全部ではない |
| 固定残業代 |
対象時間と金額、超過分の支払 |
残業代込みの総額をそのまま比べない |
| 職務・資格などの手当 |
対象者と支給条件 |
自分に適用される分だけ数える |
| 通勤手当 |
計算方法、上限、対象経路 |
統計の所定内給与額には含まれる |
| 住宅などの手当 |
住居や契約に関する条件 |
求人の最大額が全員に出るとは限らない |
厚生労働省の「固定残業代を賃金に含める場合は、適切な表示をお願いします」は、固定残業代を除いた基本給、固定残業時間と金額などの計算方法、対象時間を超えた分の追加支払を明示するよう求めています。
「業務手当」などの名称でも、残業に対する固定の支払が含まれるなら中身を確認します。名称だけで通常の手当として足さず、基本給と固定残業代の境目を答えてもらいます。時間数が書かれていなければ、比較表には未確認と残します。
固定残業時間が、実際の月平均残業時間と同じとも限りません。給与の計算に使う時間と、配属予定部署で働いた時間の実績は別に聞きます。残業がある月とない月で支給額がどうなるかも確認します。
内定の条件提示では、募集額と自分の適用額を照らす
採用ページの初任給が学歴ごとに分かれているなら、自分の区分を確認します。大学院修了でも、求人の採用区分や職種によって説明が異なることがあります。募集額の大きい区分を自分で選ぶのではなく、今回の選考でどの給与条件が提示されるかを担当者に聞きます。全国平均も、その区分に合わせて読みます。
同じ月給表示でも、勤務地に関係する手当の有無が違うことがあります。転居の予定があるなら、入社時点の住まいで対象になるか、勤務地が変わった後に額が変わるかを聞きます。自分の希望する勤務条件では出ない手当まで、採用ページに載っているという理由で計上しないようにします。
内定時に条件の書面を受け取ったら、求人票と並べます。月給の総額だけでなく、基本給と手当の内訳、固定残業代の時間数、勤務地、試用期間の条件が一致するかを見ます。説明を受けた内容が書面に見つからなければ、どの規程に書かれているかを確認します。わからないまま平均額とだけ比較して承諾しないことです。
初任給の高さと昇給の説明を分けて聞く
初任給は入社時の給与です。長く働いたときにどのように上がるかは、この平均表に載っていません。昇給の時期、評価の基準、職務や等級が変わるときの扱いを別に聞きます。初任給が高いことから将来の伸びを推定せず、会社の給与制度の説明に戻ります。
給与の説明でモデル年収が出てきたら、その人が担当する仕事と役割を確認します。同年代であっても、役職や専門性、勤務時間が異なれば自分の比較対象とは違います。将来の実例として読むことと、自分がその年齢になれば受け取れると考えることを分けます。何を満たせば次の処遇になるかを聞くほうが、入社後の仕事につながります。
初任給を就活の条件に直して比較する
会社を絞る前に、給与の何を優先したいかを書きます。毎月の生活費を安定して払いたいのか、専門的な仕事を覚えながら将来の処遇を知りたいのか、転居を伴わず働きたいのかで、聞く内容は変わります。平均を上回るという条件だけでは、応募先で確かめるべきことが絞れません。
初任給と一緒に、入社後の研修と配属の範囲も読みます。採用職種によって給与が違うなら、自分の配属先が決まる時期と、配属によって支給条件が変わるかを確認します。総合職という名称だけで、実際の仕事内容や勤務場所がわかるわけではありません。給与と業務の説明を別々に読んだ後、同じ採用条件の話としてつながっているかを見ます。
給与の高い求人を見つけたときほど、その額に含まれる支払を確認します。残業や特定の勤務時間帯に対応する支払、支給条件のある手当、通常の基本給を分けると、他の求人と同じ範囲で比べられます。説明が足りない項目はゼロと決めつけず、未確認として残します。質問への回答が出てから比較表を埋めると、思い込みで順位を付けずに済みます。
応募先の実際の初任給は、求人票・面接・しょくばらぼで確かめる
比較の最後は、自分の学歴、雇用形態、採用職種、勤務地に適用される条件へ戻ります。採用ページの大きな月給表示と、個別の求人票や条件提示に違いがあれば、どちらが今回の募集条件かを聞きます。
面接では「初任給は平均より高いですか」より、「今回の採用区分の基本給と手当、固定残業代を分けて教えてください」と聞きます。試用期間に別の条件があれば、その期間の給与も書き留めます。
厚生労働省のしょくばらぼでは、公開されている採用や働き方の情報を調べられます。初任給の内訳がなければ、全国平均で埋めず、求人票や面接で確認します。休暇や残業の実績も並べると、給与と働き方を一緒に判断できます。
調べる順番と項目は企業研究のやり方で整理しています。平均は比較の入口です。入社後に自分へ支払われる実際の数字を、求人票・面接・しょくばらぼで確かめます。