兵庫県の最低賃金は、令和8年(2026年)10月1日から時間額1,172円です。前年度の1,116円から56円上がり、引上げ率は5.0%でした。47都道府県の改定額を高い順に並べると8番目で、近畿では大阪、京都に次ぐ額です。
兵庫県では、鉄鋼業と輸送用機械器具製造業の特定最低賃金が、県の最低賃金より高く決まっています。この2業種で働く人は、1,172円ではなく業種の額が下限です。
時給が最低賃金を上回っていても、働きやすいかどうかは別に確かめます。求人票の時給と、兵庫県の会社を採用の数字で比べるの残業時間や有給休暇の取得率を合わせて見ます。神戸市・姫路市・尼崎市など市ごとの比較表もあります。
兵庫県の最低賃金:1,172円、全国で8番目
厚生労働省の令和8年度の地域別最低賃金の全国一覧と、兵庫労働局の兵庫県の最低賃金のページで、2026年10月25日に確かめました。
| 項目 |
兵庫県 |
| 改定後(令和8年度) |
1,172円 |
| 改定前(令和7年度) |
1,116円 |
| 引上げ額 |
56円 |
| 引上げ率 |
5.0% |
| 発効日 |
2026年10月1日 |
| 47都道府県の順位 |
8番目 |
出典:厚生労働省、令和8年度の地域別最低賃金の全国一覧(表番号なし)。順位は47の改定額を高い順に数え、同額は同順位として扱いました。
引上げ額の56円と引上げ率の5.0%は、全国加重平均の引上げ額56円・引上げ率5.0%と同じです。額では全国加重平均の1,177円を5円下回っています。
額が決まった流れは、兵庫労働局の発表に残っています。令和8年8月4日に兵庫地方最低賃金審議会が56円引上げを答申し、9月1日に兵庫労働局が時間額1,172円への改正決定と、10月1日の発効日を発表しました。
兵庫労働局のページは、兵庫県最低賃金は県内の事業場で働くすべての労働者に適用されると書いています。9月30日までに働いた分は1,116円、10月1日以降に働いた分は1,172円で判定します。
兵庫県の最低賃金の推移:経年表から
兵庫労働局の兵庫県の最低賃金経年表は、平成元年度からの県の最低賃金と特定最低賃金を一つの表にしています。平成28年度から令和7年度は経年表の値、令和8年度は全国一覧の値です。
| 年度 |
時間額 |
引上げ額 |
引上げ率 |
| 平成28年度 |
819円 |
25円 |
3.15% |
| 平成29年度 |
844円 |
25円 |
3.05% |
| 平成30年度 |
871円 |
27円 |
3.20% |
| 令和元年度 |
899円 |
28円 |
3.21% |
| 令和2年度 |
900円 |
1円 |
0.11% |
| 令和3年度 |
928円 |
28円 |
3.11% |
| 令和4年度 |
960円 |
32円 |
3.45% |
| 令和5年度 |
1,001円 |
41円 |
4.27% |
| 令和6年度 |
1,052円 |
51円 |
5.09% |
| 令和7年度 |
1,116円 |
64円 |
6.08% |
| 令和8年度 |
1,172円 |
56円 |
5.0% |
出典:兵庫労働局、兵庫県の最低賃金経年表(時間額)の兵庫県最低賃金の欄(表番号なし)。令和8年度は厚生労働省、令和8年度の地域別最低賃金の全国一覧。引上げ率の桁数は、それぞれの資料のとおりです。
10年で353円上がりました。令和5年度の1,001円で初めて1,000円を超えています。令和7年度は64円・6.08%で、この10年で最も大きな引上げでした。
令和7年度の発効日は10月4日です(厚生労働省の最低賃金特設サイトの過去5年分の一覧で確認)。令和8年度は10月1日に戻りました。経年表は、県の最低賃金は平成14年度から、特定最低賃金は平成15年度から日額を廃止したことも記しています。
近畿と隣の県と比べる
近畿の2府4県と、県境を接する岡山県・鳥取県を、令和8年度の全国一覧から並べました。
| 府県 |
改定後 |
改定前 |
引上げ額 |
発効日 |
| 大阪 |
1,231円 |
1,177円 |
54円 |
2026-10-01 |
| 京都 |
1,180円 |
1,122円 |
58円 |
2026-11-16 |
| 兵庫 |
1,172円 |
1,116円 |
56円 |
2026-10-01 |
| 滋賀 |
1,136円 |
1,080円 |
56円 |
2026-10-03 |
| 奈良 |
1,107円 |
1,051円 |
56円 |
2026-10-04 |
| 岡山 |
1,104円 |
1,047円 |
57円 |
2026-10-02 |
| 和歌山 |
1,101円 |
1,045円 |
56円 |
2026-10-03 |
| 鳥取 |
1,090円 |
1,030円 |
60円 |
2026-10-03 |
出典:厚生労働省、令和8年度の地域別最低賃金の全国一覧(表番号なし)。
大阪とは59円の差です。尼崎市や西宮市に住んで大阪市内の店で働く人には、大阪の1,231円が適用されます。逆に大阪から神戸市の事業場に通う人は1,172円です。決め手は働く事業場の所在地で、派遣なら派遣先の所在地です。
京都の改定は11月16日なので、10月29日の時点で京都府内の事業場に適用されるのは改定前の1,122円です。この時点では兵庫の1,172円のほうが50円高くなります。岡山とは68円、鳥取とは82円の差があります。
47都道府県の一覧は最低賃金ランキング2026年度にあります。
兵庫県の特定最低賃金:6件の時間額
兵庫労働局のページに載っている特定最低賃金は6件です。時間額の高い順に並べました。
| 特定最低賃金の件名 |
時間額 |
発効日 |
1,172円との関係 |
| 輸送用機械器具製造業 |
1,188円 |
2025-12-01 |
16円高い |
| 鉄鋼業 |
1,180円 |
2025-12-01 |
8円高い |
| 塗料製造業 |
1,158円 |
2025-12-01 |
県の額が適用 |
| はん用機械器具製造業、生産用機械器具製造業、業務用機械器具製造業 |
1,150円 |
2025-12-01 |
県の額が適用 |
| 電子部品・デバイス・電子回路製造業、電気機械器具製造業、情報通信機械器具製造業 |
1,117円 |
2025-12-01 |
県の額が適用 |
| 計量器・測定器・分析機器・試験機・測量機械器具製造業 |
1,117円 |
2025-12-01 |
県の額が適用 |
出典:兵庫労働局、兵庫県の最低賃金の特定(産業別)最低賃金の表(表番号なし)。「1,172円との関係」は、表の時間額と兵庫県最低賃金を比べたものです。
地域別最低賃金と特定最低賃金の両方がかかるときは、高いほうを払わなければなりません。兵庫労働局のページもそう案内しています。輸送用機械器具製造業の人は1,188円、鉄鋼業の人は1,180円が下限です。残りの4件は1,172円を下回っているので、10月1日からは県の最低賃金が下限になります。
同じページは、繊維工業、各種商品小売業、自動車小売業には令和8年10月1日から兵庫県最低賃金1,172円が適用されていると書いています。経年表では、この3件は令和7年度の欄が「—」です。
業種の額がかからない人もいる
厚生労働省の最低賃金特設サイトの適用される対象者では、特定最低賃金は産業の基幹的労働者に適用され、18歳未満または65歳以上の人、雇入れ後一定期間未満の技能習得中の人、その産業に特有の軽易な業務に従事する人などには適用されないとしています。外れる人の細かな範囲は件名ごとに違うので、兵庫労働局のページで件名のPDFを開いて確かめます。
1,172円で働くと月いくらか
1日8時間・月21日、合わせて168時間働いた場合で計算しました。特定最低賃金が高い2業種も並べます。
| 前提 |
計算 |
1か月の額 |
| 県の最低賃金で168時間 |
1,172円 × 168時間 |
196,896円 |
| 改定前の額で168時間 |
1,116円 × 168時間 |
187,488円 |
| 鉄鋼業の額で168時間 |
1,180円 × 168時間 |
198,240円 |
| 輸送用機械器具製造業の額で168時間 |
1,188円 × 168時間 |
199,584円 |
改定前と比べると、168時間で月9,408円の差です。税金や社会保険料を引く前の額で、残業代、深夜手当、通勤手当は入っていません。
月給制の人は、会社の1か月平均所定労働時間で、最低賃金の対象となる月給を割ります。月168時間の会社なら196,896円、輸送用機械器具製造業なら199,584円が下限です。具体的な計算は時給の計算と最低賃金との比べ方で確かめられます。
兵庫県で働く人の給与の平均は兵庫県の平均年収にまとめています。
最低賃金と比べない賃金
兵庫労働局のページは、支払われる賃金のうち次のものは最低賃金に含まれないとしています。
- 臨時に支払われる賃金
- 1か月をこえる期間ごとに支払われる賃金
- 時間外、休日および深夜労働に対して支払われる賃金
- 精皆勤手当、通勤手当、家族手当
厚生労働省の最低賃金特設サイトの対象となる賃金も同じ考え方で、深夜労働については通常の賃金を超える割増部分を除くと説明しています。結婚手当や賞与も除きます。
基本給が低くても通勤手当や皆勤手当で1,172円を超える、という計算は使えません。毎月決まって支払われる基本給と手当だけで判定します。
兵庫県で1,172円を下回っていたら
自分で確かめる点は、働いた日が10月1日以降か、除く賃金を外したか、所定労働時間を労働条件通知書で確かめたか、の3つです。鉄鋼業や輸送用機械器具製造業で働く人は、業種の額で比べ直します。
それでも下回るときは、会社に計算の根拠を聞きます。解決しない場合は、兵庫労働局の労働基準部賃金室か、勤務先を受け持つ労働基準監督署に相談できます。監督署の所在地と管轄は、兵庫労働局の労働基準監督署の所在地一覧・管轄で確かめられます。相談の準備は労働基準監督署に相談するにはにまとめています。
兵庫県の会社の残業・有給を、求人の時給と一緒に見る
最低賃金は下限で、働き方の良し悪しは示しません。同じ1,200円の求人でも、残業が多い会社と少ない会社では、手元に残る時間がまったく違います。
求人票では時給のほかに、どの手当が毎月出るかを確かめます。働き方の数字は、兵庫県の会社がしょくばらぼに公表した残業時間や有給休暇の取得率を、次の比較表で見られます。
表にない会社には、面接で残業と有給休暇の実績を数字で聞きます。内定が出たら、所定労働時間と時給を労働条件通知書で確かめます。
出典