愛媛県の最低賃金は、令和8年(2026年)11月1日から時間額1,093円です。前年の1,033円から60円、率で5.8%の引上げで、47都道府県の改定額を高い順に並べると34番目です。発効日は11月1日なので、10月31日までに働いた分は改定前の1,033円で比べます。
数字は、厚生労働省の令和8年度の地域別最低賃金の全国一覧と、愛媛労働局の愛媛の最低賃金のページで2026年10月25日に確かめました。全国加重平均は1,177円で、愛媛県はこれより84円低い額です。
最低賃金は、法律で決まった時給の下限です。その会社の時給が下限ぎりぎりかどうかは、会社の残業時間や有給休暇の数字からは分かりません。求人票の時給と、愛媛県の会社を採用の数字で比べるページにある残業・有給の数字を合わせて見ると、働く条件の全体が見えます。松山市の会社は松山市の比較表で絞り込めます。
愛媛県の改定は11月1日から:それまでは旧額で比べる
愛媛県の令和8年度の改定は、全国の中でも発効が遅い組です。全国一覧の発効日を見ると、10月1日に変わった県が多い中、愛媛県は11月1日です。同じ日に変わるのは山梨・徳島・大分です。
| 項目 |
愛媛県の値 |
| 改定後の時間額 |
1,093円 |
| 改定前(令和7年度) |
1,033円 |
| 引上げ額 |
60円 |
| 引上げ率 |
5.8% |
| 発効日 |
令和8年11月1日 |
| 47都道府県の順位 |
34番目 |
出典:厚生労働省、令和8年度地域別最低賃金全国一覧(表番号なし)。順位は47都道府県の改定額を高い順に並べて数えたもの。
順位は、1,093円より高い県が33あることを示しています。1,093円で並ぶ県はありません。すぐ下は山形・島根・香川・熊本の1,092円です。引上げ額の60円は、宮城・山形・鳥取と並んで47都道府県で11番目に大きい額です。
切り替わる日は、給料日ではなく働いた日で決まります。10月21日から11月20日までの分を締める会社なら、10月31日までの勤務は1,033円、11月1日以降の勤務は1,093円と比べます。月の途中で単価が変わるので、時給制の人は11月分の明細で、いつの勤務から新しい時給になったかを見てください。
愛媛県の最低賃金の推移:この10年の改定額と引上げ額
愛媛労働局が公開している過去の最低賃金額の表から、平成28年度以降を抜き出しました。時間額は改定後の額、引上げ額と率は前の年度の額との差です。
| 年度 |
発効日 |
時間額 |
引上げ額 |
引上げ率 |
| 平成28年度 |
2016年10月1日 |
717円 |
21円 |
3.02% |
| 平成29年度 |
2017年10月1日 |
739円 |
22円 |
3.07% |
| 平成30年度 |
2018年10月1日 |
764円 |
25円 |
3.38% |
| 令和元年度 |
2019年10月1日 |
790円 |
26円 |
3.40% |
| 令和2年度 |
2020年10月3日 |
793円 |
3円 |
0.38% |
| 令和3年度 |
2021年10月1日 |
821円 |
28円 |
3.53% |
| 令和4年度 |
2022年10月5日 |
853円 |
32円 |
3.90% |
| 令和5年度 |
2023年10月6日 |
897円 |
44円 |
5.16% |
| 令和6年度 |
2024年10月13日 |
956円 |
59円 |
6.58% |
| 令和7年度 |
2025年12月1日 |
1,033円 |
77円 |
8.05% |
| 令和8年度 |
2026年11月1日 |
1,093円 |
60円 |
5.81% |
出典:愛媛労働局、過去の愛媛県最低賃金額の表(表番号なし)。引上げ率は同表の小数第2位までの値。
10年間で376円上がりました。とくに令和5年度からの4年間は44円、59円、77円、60円と大きく動いています。令和7年度は発効が12月1日まで遅れ、それまでの分は956円で計算する期間が長く続きました。
前の年の時給のまま働いている人は、改定のたびに会社が時給を上げているかを明細で確かめます。最低賃金ちょうどで雇われていた人は、11月1日以降の勤務で1,093円を下回っていれば、その分が足りていないことになります。
四国の4県と比べた愛媛県の最低賃金
同じ四国の4県を、全国一覧の値で並べました。愛媛県で働く人が県境を越えて通勤する、または転職先を探す場合の比べる材料になります。
| 県 |
改定後 |
改定前 |
引上げ額 |
発効日 |
全国の順位 |
| 徳島 |
1,103円 |
1,046円 |
57円 |
2026年11月1日 |
27番目 |
| 愛媛 |
1,093円 |
1,033円 |
60円 |
2026年11月1日 |
34番目 |
| 香川 |
1,092円 |
1,036円 |
56円 |
2026年10月1日 |
35番目(4県同額) |
| 高知 |
1,086円 |
1,023円 |
63円 |
2026年10月29日 |
45番目(2県同額) |
出典:厚生労働省、令和8年度地域別最低賃金全国一覧(表番号なし)。全国の順位は改定額で数えたもの。
愛媛県は令和7年度には香川県より3円低い1,033円でしたが、令和8年度は60円上がって香川県の1,092円を1円上回りました。それでも徳島県とは10円の差があります。
ただし、発効日がそろっていない点に注意が必要です。2026年10月29日の時点では、香川県はすでに1,092円、高知県はこの日から1,086円ですが、愛媛県と徳島県はまだ改定前の額です。県をまたいで比べるときは、比べる日の適用額をそろえます。全国47都道府県の表は最低賃金ランキング2026年度にあります。
愛媛県の特定最低賃金:船舶製造・修理業は1,136円
愛媛県には、地域別最低賃金とは別に、5つの業種で特定最低賃金(産業別の最低賃金)が決められています。その業種の事業所で働く人には、地域別と特定の両方がかかり、高いほうが適用されます。しくみは特定最低賃金とはで詳しく説明しています。
| 業種 |
時間額 |
発効日 |
11月1日以降の地域別との差 |
| 船舶製造・修理業、舶用機関製造業 |
1,136円 |
2025年12月25日 |
43円高い |
| はん用機械器具、生産用機械器具、業務用機械器具製造業 |
1,114円 |
2025年12月25日 |
21円高い |
| パルプ、紙製造業 |
1,113円 |
2025年12月25日 |
20円高い |
| 電子部品・デバイス・電子回路、電気機械器具、情報通信機械器具製造業 |
1,107円 |
2025年12月25日 |
14円高い |
| 各種商品小売業 |
854円 |
2022年12月25日 |
地域別のほうが高い |
出典:愛媛労働局、愛媛の最低賃金の特定最低賃金の表、各種商品小売業の額は厚生労働省、令和7年度 特定最低賃金の審議・決定状況(令和8年1月15日時点)。差は地域別1,093円との引き算。
造船、製紙、機械、電子部品の4業種は、11月1日以降も地域別の1,093円より高い額が残ります。たとえば造船所で働く人の下限は1,093円ではなく1,136円です。
各種商品小売業(百貨店、総合スーパーなど)の特定最低賃金は854円で、地域別のほうが高くなっています。愛媛労働局のページでも、この業種には愛媛県最低賃金の額が適用されると書いています。地域別より低くなった特定最低賃金は、実際には使われません。
特定最低賃金には、適用されない人がいます。愛媛県の4業種では、18歳未満または65歳以上の人、雇入れ後6か月未満で技能を習っている途中の人、清掃や片付けなど業種ごとに決められた軽い業務を主にする人が外れます。外れる人には地域別の1,093円が適用されます。自分が対象かどうかは、雇用契約書の業務内容と、会社がどの業種に分類されるかで決まるので、迷ったら愛媛労働局に聞きます。
1,093円を月給・年収に直した額
時給を月の額に直すときは、働く時間の前提を決めて掛け算します。ここでの額は税金や社会保険料を引く前の額で、残業代や手当、賞与は入れていません。
| 働き方の前提 |
1か月の時間 |
月の額(1,093円) |
月の額(改定前1,033円) |
| 1日8時間・月20日 |
160時間 |
174,880円 |
165,280円 |
| 1日6時間・月20日 |
120時間 |
131,160円 |
123,960円 |
| 1日5時間・月16日 |
80時間 |
87,440円 |
82,640円 |
計算:時給×1か月の時間。例は1,093円 × 160時間 = 174,880円。
1日8時間・月20日の働き方なら、改定前より月9,600円増えます。この前提で12か月働くと、1,093円 × 160時間 × 12か月 = 2,098,560円です。実際の年収は、休日の数、残業、賞与、勤務日数で変わります。
月給制の人は、逆に月給を時給に直して比べます。厚生労働省の最低賃金の特設サイトにあるチェック方法では、月給を1か月平均所定労働時間で割ります。割る前に、通勤手当や残業代など最低賃金に入らない賃金を月給から除きます。詳しい計算は時給の計算と最低賃金との比べ方にまとめています。
愛媛県で働く人の年収の水準は、愛媛県の平均年収で年齢別・業種別に見られます。最低賃金は下限、平均年収は働く人全体の平均なので、2つを並べると自分の給与の位置がつかみやすくなります。
最低賃金と比べない賃金:通勤手当・残業代・賞与など
最低賃金と比べるのは、毎月決まって払われる基本的な賃金だけです。愛媛労働局のページと、厚生労働省の対象となる賃金の説明では、次の賃金を除くとしています。
- 結婚手当など、臨時に払われる賃金
- 賞与など、1か月を超える期間ごとに払われる賃金
- 時間外労働・休日労働の割増賃金
- 深夜労働の割増のうち、通常の賃金を超える部分
- 精皆勤手当、通勤手当、家族手当
たとえば時給1,050円に皆勤手当や交通費を足して1,093円を超えていても、それでは足りません。比べる時給は1,050円で、11月1日以降は43円足りない計算です。逆に、職務手当や資格手当のように毎月決まって払われる手当は、比べる額に入ります。
パートや学生のアルバイトにも、同じ1,093円が適用されます。試用期間だから、高校生だから、という理由で下げることは原則できません。障害や試用期間などで下げるには、会社が都道府県労働局長の許可を受ける必要があります。派遣で働く人は、派遣会社の所在地ではなく、派遣先の事業所がある都道府県の最低賃金が適用されます。
時給が1,093円を下回っていたときの相談先
給与が最低賃金を下回っているかもしれないときは、まず次の4つをそろえます。
- 求人票か労働条件通知書(時給・所定労働時間が書いてあるもの)
- 給与明細(基本給と手当の内訳が分かるもの)
- 勤務記録(タイムカードやシフト表の写し、自分のメモ)
- 働いた場所(事業所の住所)
そのうえで、会社の給与担当者に「11月1日以降の時給がいくらで計算されているか」を聞きます。説明が合わないときは、愛媛労働局の労働基準部賃金室か、最寄りの労働基準監督署に相談できます。愛媛県には、松山・新居浜・今治・八幡浜・宇和島の5つの労働基準監督署があります。
最低賃金法4条で、会社は最低賃金額以上の賃金を払わなければならず、下回る分の契約は無効になって最低賃金と同じ額を定めたものとみなされます。地域別最低賃金を下回る賃金を払った会社には、同じ法律の40条で50万円以下の罰金が定められています。
求人票・面接・しょくばらぼで、その会社の数字を確かめる
最低賃金を満たしているかは、時給と働いた日が分かれば自分で確かめられます。一方、その会社で長く働けるかは、時給だけでは分かりません。残業がどれくらいあるか、有給休暇を取れているか、若い人が辞めずに続いているかは、別の数字で見ます。
愛媛県の会社は、愛媛県の会社の比較ページで、残業時間が少ない順や有給休暇の取得率が高い順に並べて見られます。市ごとには今治市・新居浜市・西条市などの表があります。求人票の時給が1,093円に近い会社なら、残業代がきちんと出ているか、有給の取得率はどうかを合わせて見ると、月の手取りの見通しが立てやすくなります。
面接では「11月1日以降の時給はいくらになりますか」「月給のうち固定残業代を除いた額はいくらですか」と聞くと、比べるための数字がそろいます。会社ごとの残業や有給の実際の数字は、厚生労働省のしょくばらぼでも確かめられます。載っていない項目は、会社に聞く項目として残しておきます。
出典