会社に質問する無料・名前は会社に伝わりません

副業は会社にバレる?住民税の特別徴収と普通徴収のしくみ

・ナギサコーポレーション(運営)

この記事の答え

  • 会社員の住民税は、会社が給与から天引きして納める特別徴収が原則。副業の所得も合わせて計算されると、会社が天引きする額が増える
  • 事業や雑所得など給与以外の副業は、確定申告書第二表の住民税の欄で「自分で納付」⁠を選ぶと普通徴収にできる(地方税法321条⁠の3第2項ただし書⁠)⁠。アルバイトなど給与の副業の住民税は、法律上は特別徴収で集める
  • 所得税の確定申告が要らない「20万円以下」⁠は所得税だけの基準。住民税は申告が要る。令和4年⁠の副業がある人(非農林業)⁠は305万人⁠、副業者比率4.8%

口コミや求人票ではわからないことは、会社に直接聞けます。まだ載っていない会社にも質問をリクエストできます。名前は会社に伝わりません。

気になる会社に質問をリクエストする

副業をすると会社に知られるか。きっかけになりやすいのは住民税です。会社員の住民税は、会社が給与から天引きして市区町村に納める「特別徴収」⁠が原則で、副業の所得も合わせて計算されると、会社が天引きする額が増えます。

事業所得や雑所得など、給与以外の副業なら、確定申告書の第二表で住民税を「自分で納付」⁠にすると、その分を自宅に届く納付書で払う「普通徴収」⁠にできます(地方税法321条⁠の3第2項ただし書⁠)⁠。一方、アルバイトなど給与の副業の住民税は、法律上は特別徴収で集めることになっています。

この記事では、住民税のしくみを総務省の説明、地方税法の条文、市区の案内で確かめ、副業がある人の数を総務省統計局の令和4年就業構造基本調査で見ます。2026年10月26日⁠に確認しました。どの方法でも「知られない」⁠と⁠は言い切れません。先に就業規則の副業の決まりを読むのが近道です。

住民税は会社が天引きして納める:特別徴収のしくみ

総務省の個人住民税の説明は、納付の方法を2つ⁠に分けています。

方法 誰が納めるか 主な対象
特別徴収 給与を払う会社などが、本人の給与から差し引いて市区町村に納める 会社員など給与を受けている人
普通徴収 本人が、市区町村から届く納税通知書で納める 自営業の人、給与以外の所得の分を「自分で納付」⁠にした人など

会社員の場合、市区町村が決めた税額の通知が会社と、会社を通して本人に届き、会社が毎月の給与から天引きします。住民税は前年の所得をもとに計算されるので、副業の所得は翌年度の住民税に反映されます。天引きが始まる時期は住民税はいつから引かれるか⁠で説明しています。

会社に届く通知でわかること

東京都中央区は、給与所得が複数ある場合の徴収方法の案内で、会社には「特別徴収義務者用」⁠と「納税義務者用」⁠の税額通知書を送り、特別徴収義務者用には給与から差し引く税額だけを記載し、所得や控除の内訳は記載しないと説明しています。

つまり会社の担当者が見るのは、まず天引きする税額です。ただ、給与の額から見込まれる住民税より天引きの額が大きければ、別の所得があることに気づかれる可能性はあります。通知書の様式や送り方は市区町村ごとに違います。

給与以外の副業は「自分で納付」⁠を選べる

地方税法321条の3は、給与所得者の住民税について次のように定めています。

項 定めていること
1項 給与所得者の前年の給与所得に係る所得割と均等割は、特別徴収の方法によって徴収する
2項本文 給与所得以外の所得がある場合、市町村は条例により、その所得割を給与の特別徴収に加えて徴収できる
2項ただし書 申告書に、給与所得以外の所得に係る所得割を普通徴収にしてほしい旨の記載があるときは、この限りでない

この「普通徴収にしてほしい旨の記載」⁠にあたるのが、所得税の確定申告書第二表や、市区町村の住民税申告書にある住民税の徴収方法の欄です。ここで「自分で納付」⁠を選びます。

「自分で納付」⁠を選んでも特別徴収になる場合

東京都文京区の副業がある場合の徴収方法の案内⁠と中央区の案内には、選んでも特別徴収になる例が載っています。

  • 給与以外の所得がマイナスの場合(中央区・文京区)
  • 追加した所得より、追加した控除が大きい場合(中央区)
  • 申告した所得に対する税額より、ふるさと納税の税額控除が大きい場合(中央区)
  • 主たる給与の源泉徴収票で計算した住民税額が、確定申告書の内容で計算した額より大きい場合(文京区)

文京区は、e-Taxで申告して納付方法を選べなかった場合は区の税務課に問い合わせるよう案内しています。扱いは市区町村で違うことがあるので、住んでいる市区町村の案内を確かめます。

アルバイトなど給与の副業は本業の天引きにまとまる

副業も会社に雇われて給与をもらう働き方なら、副業先から市区町村に給与支払報告書が出ます。321条⁠の3第1項は、給与所得に係る住民税を特別徴収で集めると定めており、2項ただし書で普通徴収を選べるのは給与以外の所得の分です。

中央区は、令和9年度住民税(令和8年中の所得に対する住民税)⁠か⁠ら⁠、複数の勤務先の給与を合算して税額を計算し、原則として主たる給与の会社からの特別徴収にすると案内しています。申告書で「自分で納付」⁠を選んでも、副業を含めた給与の住民税は主たる会社で特別徴収するとしています。理由として、地方税法321条⁠の3の定めに沿った扱いにするためと書いています。

給与の副業をしている人は、本業の会社の天引き額に副業分が加わる前提で考えます。2か所で働くと社会保険の届出が要る場合もあり、その決まりはダブルワークの社会保険⁠で整理しています。

副業の所得の種類で、住民税の扱いが分かれる

ここまでの条文と市区の案内を、副業の種類ごとにまとめます。

副業の種類 所得の区分の例 住民税の納め方 会社への伝わり方の例
アルバイト、パートなど雇われる仕事 給与所得 給与所得の分は特別徴収(321条の3第1項)⁠。本業の天引きに合算される扱いの市区がある 天引き額の増加、労働時間の通算のための申告
業務委託、ネット販売、執筆など 事業所得、雑所得 申告書で「自分で納付」⁠を選ぶと、その分を普通徴収にできる(2項ただし書)⁠。例外あり 天引き額の増加(選ばなかった場合)
株式の配当や不動産の賃貸 配当所得、不動産所得など 給与以外の所得として「自分で納付」⁠を選べる 天引き額の増加(選ばなかった場合)

業務委託のつもりでも、働き方によっては雇用と判断されることがあります。逆に、会社員が個人で受けた仕事は事業所得か雑所得として申告します。どちらに当たるかは、税務署や市区町村に契約書と入金記録を持って確かめます。

20万円以下でも住民税の申告は要る

「副業が20万円以下なら申告はいらない⁠」⁠と言われるのは所得税の話です。国税庁のタックスアンサーNo.1900は、給与を1か所から受けていて全部が源泉徴収の対象になる人について、給与所得と退職所得以外の所得の合計が20万円⁠を超える場合に確定申告が必要としています。

住民税には同じ基準がありません。地方税法317条⁠の2は、市町村民税の申告書の提出を定め、給与所得以外の所得がない給与所得者などを除いています。給与以外の所得がある人は、この除外に当てはまりません。一方、317条⁠の3は、所得税の確定申告書を出した場合は住民税の申告書を出したものとみなすと定めています。

状況 所得税 住民税
給与1か所、給与以外の所得が20万円⁠を超える 確定申告が必要 確定申告をすれば申告したものとみなされる
給与1か所、給与以外の所得が20万円以下 確定申告は不要(還付を受ける場合などを除く) 市区町村への申告が必要
給与2か所以上 年末調整されなかった給与と給与以外の所得の合計などで判定 給与支払報告書で把握される。給与以外の所得があれば申告

所得税の申告をしない場合でも、市区町村への住民税の申告で、住民税の徴収方法を選ぶ欄があるかを確かめます。所得の数え方と申告の手順は副業の確定申告⁠にまとめています。

住民税以外で副業がわかる場面

住民税だけを工夫しても、会社が副業を知る場面は残ります。

  • 労働時間の通算:副業も雇用で働く場合、厚生労働省の副業・兼業の促進に関するガイドライン⁠の労働者向けリーフレットは、企業は労働者からの申告等で把握した他社の労働時間と自社の労働時間を通算して管理するとしています
  • 社会保険:2か所で加入要件を満たすと、どちらの保険者を選ぶかの届出が要る
  • 就業規則の届出:副業を届出制や許可制にしている会社では、申請そのものが会社に伝える手続きになる

ガイドラインの労働者向けリーフレットは、勤めている企業の副業のルールを確認し、そのルールに照らして業務内容や就業時間が適切な副業を選ぶよう求めています。隠し方を探すより、ルールの範囲で申告して働くほうが、長く続けやすくなります。

副業がある人は305万人⁠に増えた

総務省統計局の令和4年就業構造基本調査 結果の概要では、非農林業従事者のうち副業がある人は305万人で、5年前より60万人増えました。副業者比率は4.8%です。

年 副業がある者の数 副業者比率(総数) 正規の職員・従業員 非正規の職員・従業員
2007年 241.5万人 3.9% 2.2% 5.4%
2012年 214.6万人 3.6% 1.8% 5.3%
2017年 245.1万人 3.9% 1.9% 5.8%
2022年 304.9万人 4.8% 2.5% 7.2%

2022年⁠の副業者比率は、総数4.8%⁠、正規の職員・従業員2.5%⁠、非正規の職員・従業員7.2%です。総数は5年前より0.9ポイント上がりました。副業がある人の数は、2012年から2回続けて増えています。

結果の概要は、都道府県別の副業者比率も表5-1で示しています。その順位はダブルワークの社会保険⁠の記事に載せたので、ここでは本業の産業と会社の規模で見ます。

本業の産業別:正社員で副業がある人の数

同じ調査の全国結果、第77表から、本業が正規の職員・従業員で、副業がある人の数を本業の産業別に並べました。数は人数で、割合ではありません。

順位 本業の産業 副業がある正規の職員・従業員
1 医療,福祉 172,400人
2 製造業 109,100人
3 卸売業,小売業 96,500人
4 教育,学習支援業 72,500人
5 情報通信業 69,800人
6 建設業 65,400人
7 サービス業(他に分類されないもの) 59,600人
8 運輸業,郵便業 56,700人
9 学術研究,専門・技術サービス業 51,500人
10 宿泊業,飲食サービス業 29,600人

正規の職員・従業員で副業がある人は、全産業で94万1,000人です。医療・福祉が最も多いのは、その産業で働く正社員がもともと多いことも影響します。人数の順位は、副業の「しやすさ」⁠の順位ではありません。

本業の会社の規模別:大企業にも副業をしている正社員はいる

同じ第77表を、本業の会社の従業者規模で見ます。

本業の従業者規模 副業がある正規の職員・従業員
2〜4人 72,400人
5〜9人 79,200人
10〜19人 74,500人
20〜29人 43,800人
30〜49人 53,700人
50〜99人 59,500人
100〜299人 93,500人
300〜499人 29,100人
500〜999人 32,900人
1000人以上 128,100人
官公庁など 66,500人

1000人以上⁠の会社が本業の人が12万8,100人で、規模の区分の中では最も多くなっています。大きな会社では人事の手続きが決まっていることが多く、副業の申請の方法も就業規則に書かれています。

隠すより先に、就業規則と申請の方法を読む

会社に知られるかどうかは、住民税の納め方だけでは決まりません。副業が給与なら天引きにまとまり、雇用なら労働時間の通算もあります。まず次の順で確かめます。

  1. 就業規則の副業・兼業の条文:許可制か届出制か、禁止している業務(競業、秘密の漏えいのおそれなど)⁠は⁠何⁠か
  2. 申請の方法と、申請に書く項目(副業先、業務内容、働く時間)
  3. 副業の所得の種類:給与か、事業・雑所得か。住民税と社会保険の扱いがここで分かれる
  4. 住んでいる市区町村の住民税の案内:「自分で納付」⁠の扱いと申告の期限

転職先を選ぶときも、副業の扱いは会社ごとに違います。求人票に副業の可否が書かれていないことは多いので、面接で「副業は届出制ですか、許可制ですか。申請に何を書きますか⁠」⁠と聞きます。残業時間や有給休暇の取得など、本業でどれだけ時間が残るかに関わる数字は、厚生労働省のしょくばらぼに会社が載せている場合があります。求人票と面接の答えに合わせて確かめます。

よくある質問

副業をすると会社に知られますか?

住民税は会社員なら給与から天引きされ、会社に届く通知書に天引きする税額が書かれます。副業の所得を合わせて計算されると、その額が増えます。給与以外の副業なら普通徴収を選ぶ方法がありますが、知られない保証はありません。就業規則の副業の決まりを先に確かめます。

「自分で納付」⁠を選べば必ず普通徴収になりますか?

なりません。地方税法321条⁠の3第2項ただし書で選べるのは給与以外の所得に係る分です。文京区や中央区は、所得がマイナスの場合などは「自分で納付」⁠を選んでも特別徴収になると案内しています。お住まいの市区町村の案内で確かめます。

アルバイトの副業も「自分で納付」⁠にできますか?

地方税法321条⁠の3第1項は、給与所得に係る住民税を特別徴収で集めると定めています。中央区は、令和9年度住民税からは副業を含めた給与の住民税を全て主たる勤務先の特別徴収にすると案内しています。扱いは市区町村に確かめます。

副業が20万円以下なら何もしなくてよいですか?

国税庁のタックスアンサーNo.1900の20万円⁠の基準は所得税の確定申告の話です。住民税には同じ基準がなく、地方税法317条⁠の2で給与以外の所得がある給与所得者は市区町村へ申告します。所得税の確定申告をすれば住民税の申告をしたものとみなされます(317条の3)⁠。

副業をしている人はどのくらいいますか?

総務省統計局の令和4年就業構造基本調査では、非農林業従事者のうち副業がある人は305万人⁠、副業者比率は4.8%です。正規の職員・従業員は2.5%⁠、非正規の職員・従業員は7.2%で、5年前よりそれぞれ上がっています。

住民税以外で副業がわかることはありますか?

副業も雇用されて働く場合、厚生労働省の副業・兼業ガイドラインは、会社が労働者の申告などで把握した他社の労働時間と自社の労働時間を通算して管理するとしています。社会保険で2か所の加入が必要な場合は届出もあります。申告して働くことが前提の仕組みです。

気になる会社の「ホント」⁠を⁠、会社に聞いてみませんか。

残業、休み、評価のしかた、職場の雰囲気。求人票に書いていないことを質問すると、会社に回答をお願いして、届いた答えをこのサイトに載せます。まだ載っていない会社にもリクエストできます。無料で、名前やメールアドレスは会社に伝わりません。

気になる会社に質問をリクエストする

あわせて読む

掲載をご希望の企業さまはこちら👉