最新の全国の有効求人倍率は1.18倍、新規求人倍率は2.06倍です。厚生労働省「一般職業紹介状況」令和8年8月分の季節調整値で、パートタイムを含み、新規学卒者を除きます。職種別では同じ月の常用・パートを含む原数値で、建設躯体工事従事者8.25倍、一般事務従事者0.29倍と差があります。全国の倍率だけで、希望する仕事への入りやすさは決まりません。
応募先を探すときは、希望職種、働く地域、雇用形態の順で絞ります。倍率が高い職種でも、資格、経験、勤務時間などが合わなければ採用にはつながりません。数字を読んだあとは、自分が応募できる求人の条件を見ます。
全国の有効求人倍率1.18倍と新規求人倍率2.06倍の意味
厚生労働省「一般職業紹介状況(令和8年8月分)」報道発表資料の第1表で、全国の指標を確認できます。公表日は令和8年10月2日、確認日は2026年10月22日です。
| 指標 |
令和8年8月 |
数える範囲 |
| 有効求人倍率・季節調整値 |
1.18倍 |
繰越分を含む有効求人と有効求職 |
| 新規求人倍率・季節調整値 |
2.06倍 |
当月の新規求人と新規求職 |
| 有効求人倍率・原数値 |
1.16倍 |
季節調整前の同月の実数による倍率 |
| 新規求人倍率・原数値 |
2.17倍 |
季節調整前の当月受付分の倍率 |
| 正社員有効求人倍率・季節調整値 |
1.00倍 |
正社員求人とパートを除く常用求職 |
出典:厚生労働省「一般職業紹介状況(令和8年8月分)」第1表、第2表。全国、新規学卒者を除く。正社員の行以外はパートを含みます。
有効求人倍率は、有効求人数を有効求職者数で割った値です。前月から有効なまま繰り越された求人と求職も含みます。新規求人倍率は、その月に新しく受け付けた求人数を、新規求職申込件数で割ります。分子も分母も違うため、新規のほうが高いことだけで、直近に急に採用が楽になったとは読めません。
季節調整値は、季節によって繰り返される動きなどを調整した値です。前月との動きを追うときに使います。原数値は調整する前の数字です。同じ月でも1.18倍と1.16倍が並ぶのは、誤記ではなく、この違いです。
正社員有効求人倍率にも注意が必要です。分母には、パートを除く常用の求職者が入ります。その中には契約社員や派遣労働を希望する人もいるため、「正社員を希望する人だけに対する正社員求人の倍率」とは一致しません。
職種別ランキングの読み方:常用・パートを含む原数値でそろえる
職業別の値は、同月の参考統計表の7-1を使います。全国計、常用、パートを含む、令和8年8月の原数値です。全国のニュースで使われる季節調整値1.18倍と、集計範囲も違います。この職業表の職業計は1.06倍です。
次のランキングは、表7-1の内訳項目を中心に選びました。専門的・技術的職業従事者、事務従事者、販売従事者、サービス職業従事者、生産工程従事者、輸送・機械運転従事者、建設・採掘従事者、運搬・清掃・包装等従事者の大きな合計区分は除きます。内訳のない管理的職業従事者、保安職業従事者、農林漁業従事者は残し、分類不能の職業は除きます。
分類の細かさが違う合計と内訳を重ねて順位にすると、同じ仕事の集団が繰り返し登場します。どの区分を並べた順位なのかを決めて読むため、この範囲で高い順と低い順を載せています。資格ごとの求人倍率がわかる表ではありません。
職業別の高い順:建設躯体工事8.25倍、保安6.99倍
| 順位 |
職業分類 |
有効求人倍率 |
| 1 |
建設躯体工事従事者 |
8.25倍 |
| 2 |
保安職業従事者 |
6.99倍 |
| 3 |
土木作業従事者 |
6.71倍 |
| 4 |
建築・土木・測量技術者 |
5.71倍 |
| 5 |
建設従事者(建設躯体工事従事者を除く) |
4.37倍 |
| 6 |
介護サービス職業従事者 |
3.89倍 |
| 7 |
機械整備・修理従事者 |
3.87倍 |
| 8 |
採掘従事者 |
3.78倍 |
| 9 |
外勤事務従事者 |
3.51倍 |
| 10 |
家庭生活支援サービス職業従事者 |
3.23倍 |
| 10 |
電気工事従事者 |
3.23倍 |
出典:厚生労働省「一般職業紹介状況(令和8年8月分)」参考統計表7-1。全国、常用・パートを含む原数値。前節に示した区分のうち高い順。同じ公表値は同順位です。
建設関係の仕事が上位でも、未経験で応募できる仕事と、資格や経験を求める仕事は分かれます。表の職業名を、そのまま自分の応募条件に読み替えることはできません。求人の業務内容と必要な免許・資格を見ます。
介護サービス職業従事者の3.89倍も、希望する施設や勤務時間に限った数字ではありません。夜勤の有無、身体介護の範囲、訪問先への移動などを絞れば、自分が選べる求人の範囲は変わります。倍率が高いから勤務条件を確認しなくてよい、とはなりません。
上位の仕事が高給与とは限りません。倍率は求人と求職の関係、給与は支払われる額です。給与も合わせて比べたいときは、看護師・保育士・介護職などの職種別平均年収で、賃金の集計条件を確認します。
職業別の低い順:美術・デザイン等0.15倍、一般事務0.29倍
| 順位 |
職業分類 |
有効求人倍率 |
| 1 |
美術家、デザイナー、写真家、映像撮影者 |
0.15倍 |
| 2 |
事務用機器操作員 |
0.27倍 |
| 3 |
一般事務従事者 |
0.29倍 |
| 3 |
その他の運搬・清掃・包装等従事者 |
0.29倍 |
| 5 |
会計事務従事者 |
0.55倍 |
| 6 |
船舶・航空機運転従事者 |
0.57倍 |
| 7 |
その他の専門的職業 |
0.69倍 |
| 7 |
その他の輸送従事者 |
0.69倍 |
| 9 |
居住施設・ビル等管理人 |
0.73倍 |
| 10 |
製造技術者(開発を除く) |
0.74倍 |
出典:厚生労働省「一般職業紹介状況(令和8年8月分)」参考統計表7-1。全国、常用・パートを含む原数値。高い順の表と同じ採用区分を低い順に掲載。分類不能の職業は除外しています。
一般事務0.29倍は、求職者に対して求人が少ない状態を示します。ただし、この数字を自分の内定率にすることはできません。応募する人の経験、応募先の採用基準、ほかの経路から応募する人は、ここではそろえて数えていません。
希望職種の倍率が低いときは、職種名を変える前に、仕事内容を細かく見ます。事務という名前でも、経理の知識、受発注、顧客対応、資料作成など、任される内容が違います。自分が経験してきた作業を具体的に説明できる求人を探します。
「人気があるから倍率が低い」「給料が低いから倍率が高い」と原因を言い切ることもできません。この表は応募動機を調べた資料ではありません。求人がどこに、求職がどこに集まっているかを知る資料として使います。
都道府県別の上位と下位:就業地別で勤務地を比べる
勤務地の求人を比べるため、報道発表資料の第6表-1を使います。令和8年8月、新規学卒者を除きパートタイムを含む、有効求人倍率の季節調整値です。47都道府県の中で高い側と低い側を分けて載せました。
| 高い側の順位 |
都道府県 |
有効求人倍率 |
| 1 |
福井県 |
1.72倍 |
| 2 |
山梨県 |
1.71倍 |
| 3 |
富山県 |
1.68倍 |
| 4 |
島根県 |
1.60倍 |
| 5 |
香川県 |
1.53倍 |
出典:厚生労働省「一般職業紹介状況(令和8年8月分)」第6表-1。就業地別、季節調整値、パートを含む。
| 低い側の順位 |
都道府県 |
有効求人倍率 |
| 1 |
大阪府 |
0.95倍 |
| 2 |
福岡県 |
0.97倍 |
| 3 |
北海道 |
0.98倍 |
| 4 |
神奈川県 |
1.02倍 |
| 5 |
兵庫県 |
1.05倍 |
| 5 |
和歌山県 |
1.05倍 |
出典:同資料第6表-1。低い順。兵庫県と和歌山県は同順位です。
就業地別は、求人を実際に働く場所で数える区分です。受理地別は、求人を受け付けた窓口の所在地で数えます。募集をまとめて受け付ける場所と、実際に勤務する場所が違えば、両者の倍率も変わります。
同じ月の受理地別では最高が東京都1.70倍、最低が神奈川県0.83倍です。就業地別の順位と混ぜて「働く地域のランキング」にしないようにします。転居を考えるなら就業地別を読み、その地域で希望職種の求人があるかまで確認します。
地域全体の倍率には、さまざまな職業が入っています。地域の倍率が高くても、自分が希望する事務や技術職の求人が多いとは限りません。地方へ移るかを決める前に、通える範囲、仕事内容、給与、勤務時間をそろえた求人票を見ます。
過去10年の年平均:令和7年は1.22倍
厚生労働省「一般職業紹介状況」長期時系列表3・有効求人倍率の「パートタイムを含む一般」の年平均を並べました。年度平均や、特定の月の季節調整値とは分けます。単位は倍です。
| 年 |
有効求人倍率・年平均 |
| 平成28年(2016年) |
1.36 |
| 平成29年(2017年) |
1.50 |
| 平成30年(2018年) |
1.61 |
| 令和元年(2019年) |
1.60 |
| 令和2年(2020年) |
1.18 |
| 令和3年(2021年) |
1.13 |
| 令和4年(2022年) |
1.28 |
| 令和5年(2023年) |
1.31 |
| 令和6年(2024年) |
1.25 |
| 令和7年(2025年) |
1.22 |
出典:厚生労働省「一般職業紹介状況」長期時系列表3、パートタイムを含む一般の「年平均」欄。令和8年8月分公表時点の表を使用。新規学卒者を除く原数値による年平均です。
令和7年の新規求人倍率の年平均は2.20倍です。報道発表資料第4表で確認できます。こちらも新規学卒者を除き、パートを含む原数値による年平均で、令和8年8月の季節調整値2.06倍とは期間と調整の扱いが違います。
直近の年平均は1.22倍で、令和6年の1.25倍を下回っています。平成30年の1.61倍と同じ状態ではありません。長い期間を見れば、全国で求人が求職を上回っていても、その程度は変わります。
令和7年度平均は参考統計表1で1.20倍ですが、上の令和7年平均1.22倍とは期間が違います。暦年は年の初めから終わり、年度は年度の区切りで集計します。企業の採用資料と並べるときも、年と年度の表示を落とさないようにします。
ハローワーク以外だけに出ている求人は入らない
一般職業紹介状況は、ハローワークの職業紹介業務の実績を集計した統計です。民間の求人サイト、人材紹介、企業の採用ページだけに出ている求人を、すべて合算した日本全体の求人数ではありません。
ハローワークでも扱う求人はこの統計の範囲に入りますが、民間の掲載件数を追加して新しい倍率を作ることはしません。同じ求人が複数の媒体に載ることもあり、件数の単位や求職者の数え方もそろわないからです。
オンラインの求職登録もあります。資料の注記では、令和3年9月以降の数値に、来所せずオンライン上で求職登録した人などが含まれています。「窓口で直接相談した人だけの統計」と読むのも正確ではありません。
倍率が高い仕事の中に、長く募集が続く求人があっても、その理由までは表に載りません。増員か欠員補充か、専門性のためか、勤務条件が合いにくいためかは会社ごとに聞きます。離職の状況は離職率の平均と業界別ランキングの考え方で、採用人数と合わせて確かめます。
倍率を応募の準備に使う:条件を変える順番を決める
希望職種の倍率が低くても、すぐに別の仕事へ移る必要はありません。応募書類で何を伝えられるかを先に点検します。経験した作業、使える道具、担当した顧客や業務範囲などを、求人の仕事内容と対応させます。
求人を広げるときは、職種、地域、雇用形態を一度に変えず、譲れる条件から見直します。仕事内容は保ちたいが勤務地は広げられるのか、勤務時間を変えずに担当業務を広げられるのかで探し方が変わります。倍率の低さだけで、続けられない条件を受け入れないことです。
| 今の状況 |
次に確かめること |
| 応募できる求人が少ない |
職種名ではなく実際の業務で探せるか |
| 求人は多いが条件が合わない |
勤務時間、勤務地、必要資格のどこが合わないか |
| 書類で止まる |
必須条件に対応する経験が伝わっているか |
| 内定先を比べている |
基本給、賞与、休日、配属後の業務を同じ項目で並べたか |
倍率が高い職種なら、自分の条件に合う求人を選ぶために使います。倍率が低い職種なら、経験を具体化し、探す範囲を見直すために使います。どちらでも、倍率だけを理由に応募先の条件を軽く見ないようにします。
応募先の比較では、求人票を見た日も残す
倍率は特定の月の集計ですが、手元の求人は募集が続く間にも変わります。求人票を保存したら、見た日と募集の職種、勤務地を一緒に残します。前に見た給与条件を前提に応募しないよう、応募する時点の条件を読み直します。
同じ職種名の募集が何度も出ていても、それだけで離職が多いと断定はできません。事業の拡大、拠点の新設、欠員など、理由は会社によって違います。掲載の繰り返しを見つけたら、今回の採用背景を聞く材料にします。
ハローワークの求人と企業の採用ページで条件が違うときは、対象の部署や雇用形態が同じかを確認します。自分に有利なほうの条件が適用されると決めつけず、今回の応募枠の説明を受けます。最終的な提示条件まで照合して、応募時に読んだ内容と違う点を残します。
同じ月・同じ区分で動きを追い、原因は決めつけない
倍率の前月差を見るときは、同じ季節調整値を使います。原数値と季節調整値を交互に拾うと、調整方法の違いが景気の変化に見えてしまいます。職業別の原数値を追うなら、同じ職業分類と雇用の範囲で比較します。
倍率が上がっても、求人が増えたとは限りません。分母の求職者が減っても倍率は上がります。逆に倍率が下がっても、求職者が増えた結果という可能性があります。動きを説明するには、倍率と一緒に求人数、求職者数を読みます。
応募を始めたあとに倍率が下がったとしても、その数字だけで応募を止める必要はありません。自分が応募できる求人があるか、書類や面接がどこまで進んでいるかを確かめます。全国の変化と自分の選考は、同じ時間軸で動くとは限りません。
複数の職種に応募する人は、仕事内容に合わせた書類を用意します。倍率の高い職種へ名前だけ合わせても、必要な経験が伝わらなければ採用側は判断できません。これまでの仕事のどの部分が応募先で使えるかを、求人の業務に沿って説明します。
職種を変えるなら、資格や研修の有無だけでなく、経験を積んだあとに担当する仕事まで聞きます。入社しやすさだけで決めると、働き始めてから想定との違いが出ます。自分が続けたい仕事内容と、応募できる条件の両方で求人を選びます。
転職先が決まるまでの期間は、この倍率からは計算できません。資格、経験、勤務地、入社できる時期が人によって違うからです。退職日を先に決める必要がある人ほど、倍率の高さより、実際の募集と選考の進み方を確かめます。
その会社の実際の数字は、求人票・面接・しょくばらぼで確かめる
求人票では業務、勤務地、必要資格、給与、勤務時間を確認します。募集人数が載っていても、増員か退職者の補充かはわからないことがあります。面接では「今回の募集の背景と、入社後に担当する業務を教えてください」と聞きます。
人が足りない職場なら、欠員の仕事を誰が担っているか、入社後の教育を誰が行うかも確かめます。採用が急いでいるという説明だけで、仕事を覚える期間や支援があると決めつけないことです。
厚生労働省のしょくばらぼでは、公開されている採用・定着・残業・休暇などの情報を見ます。数字の対象年度と雇用形態をそろえ、わからない点を面接で補います。調べる順番は企業研究のやり方で整理しています。全国の求人倍率を読んだあとは、その会社の実際の数字を求人票・面接・しょくばらぼで確かめます。