職種別の平均年収に当たる額は、看護師524万7,200円、保育士427万6,300円、介護職員(医療・福祉施設等)388万200円です。厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」の平均月額を12倍し、年間賞与を足しました。ソフトウェア作成者は578万4,700円、総合事務員は541万3,900円です。いずれも短時間労働者を除く一般労働者、男女計、企業規模10人以上の値を使った年収相当額です。
応募先の年収を比べるなら、職種名に加えて、平均年齢と勤続年数、月給と賞与の内訳を見ます。年収相当額は比較のために計算した額で、会社が自分に提示する年収ではありません。実際に入社する職場の給与は求人票と面接で確かめます。
年収相当額の計算式:月額×12+年間賞与
使う資料は、厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」一般労働者・職種第1表です。職種小分類別、産業計、男女計、企業規模計10人以上の平均値を使用しました。2026年10月22日にExcel原表を確認しています。
計算式は「きまって支給する現金給与額×12+年間賞与その他特別給与額」です。表の「月額」はきまって支給する現金給与額、「年間賞与」は年間賞与その他特別給与額を指します。どちらも千円単位なので、計算後も千円単位で載せます。
月額は令和7年6月分です。年間賞与は令和6年1月から12月の額です。別の期間の平均を組み合わせるため、令和7年の年間給与を直接調べた数字ではありません。この違いがわかるように、記事では計算結果を「年収相当額」と呼びます。
きまって支給する現金給与額には超過労働給与額も含みます。所定内給与額だけを使う計算とは結果が変わります。残業が少ない月の基本給と、そのまま比べることはできません。月額の中に何が入っているかまでそろえます。
主な13職種の年収相当額ランキング
次の順位は、下に掲載した13職種の中での順位です。すべての職種から選んだ高年収の上位ではありません。看護、保育、介護、ソフトウェア、事務、営業の給与を比べるために職種を選び、年収相当額が高い順に並べました。
金額はすべて千円、年齢は歳、勤続は年です。計算に使った月額と年間賞与を同じ行に置いています。端数は公表値の小数第1位を使い、計算結果も小数第1位までそのまま表示しました。
| 順位 |
職種 |
月額 |
年間賞与 |
年収相当額 |
平均年齢 |
勤続年数 |
| 1 |
その他の営業職業従事者 |
426.1 |
1,493.8 |
6,607.0 |
42.4 |
13.6 |
| 2 |
機械器具・通信・システム営業職業従事者(自動車を除く) |
425.6 |
1,486.8 |
6,594.0 |
42.2 |
13.7 |
| 3 |
自動車営業職業従事者 |
382.4 |
1,268.3 |
5,857.1 |
39.9 |
14.8 |
| 4 |
ソフトウェア作成者 |
390.8 |
1,095.1 |
5,784.7 |
37.1 |
9.9 |
| 5 |
薬剤師 |
398.7 |
883.5 |
5,667.9 |
40.1 |
8.6 |
| 6 |
総合事務員 |
356.5 |
1,135.9 |
5,413.9 |
44.6 |
13.1 |
| 7 |
看護師 |
365.9 |
856.4 |
5,247.2 |
42.1 |
9.8 |
| 8 |
理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、視能訓練士 |
309.9 |
717.2 |
4,436.0 |
36.2 |
8.4 |
| 9 |
介護支援専門員(ケアマネージャー) |
309.1 |
704.2 |
4,413.4 |
53.1 |
12.4 |
| 10 |
保育士 |
285.7 |
847.9 |
4,276.3 |
40.3 |
9.1 |
| 11 |
准看護師 |
303.2 |
636.8 |
4,275.2 |
51.8 |
13.6 |
| 12 |
介護職員(医療・福祉施設等) |
277.7 |
547.8 |
3,880.2 |
45.3 |
9.0 |
| 13 |
訪問介護従事者 |
281.6 |
439.7 |
3,818.9 |
51.2 |
8.8 |
出典:厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」一般労働者・職種第1表。産業計、男女計、企業規模計10人以上。年収相当額のみ「月額×12+年間賞与」で計算。月額は令和7年6月、賞与は令和6年分です。
たとえば看護師は、月額365.9千円の12か月分に年間賞与856.4千円を足して、524万7,200円です。同じ計算で、保育士は427万6,300円、施設等の介護職員は388万200円です。表の値から同じ計算をたどれます。
これらは平均で、中央値ではありません。経験の浅い人から長く勤めた人まで入っています。平均年齢と勤続年数が職種ごとに違うため、「この職種に変われば自分も同じ額になる」とは読めません。
看護師と准看護師:月額の手当と夜勤の前提を聞く
看護師の年収相当額は524万7,200円、准看護師は427万5,200円です。看護師の平均年齢42.1歳・勤続9.8年に対し、准看護師は51.8歳・勤続13.6年です。同じ年齢と勤続にそろえた資格間の比較ではありません。
月額は看護師365.9千円、准看護師303.2千円です。求人票の基本給だけと比べる前に、どの手当が入っているかを確かめます。夜勤のある職場と日中だけの職場では、自分に適用される手当の条件が違います。
この表から、夜勤手当だけの額を取り出すことはできません。平均給与に含まれる手当の内容を仮定して、夜勤なしの年収を差し引いて作ることもしません。日勤を希望するなら、応募先の日勤枠の基本給、資格手当、賞与を聞きます。
面接では「提示された給与例の勤務形態と、含まれる手当を教えてください」と聞きます。交替勤務なら、夜勤回数や勤務予定の決め方も確認します。給与例の額と、自分が続けられる勤務の前提を一緒に見るためです。
保育士と准看護師:年収相当額が近くても月給と賞与が違う
保育士は月額285.7千円、年間賞与847.9千円です。准看護師は月額303.2千円、年間賞与636.8千円。月額は准看護師のほうが高いものの、年収相当額は保育士427万6,300円、准看護師427万5,200円となります。
年収相当額だけだと近い数字でも、毎月の給与と賞与の配分は同じではありません。毎月の支払いを考えるなら月給、年間の支給条件を比べるなら賞与まで分けて見ます。合計額が近いから、毎月使えるお金も同じとは限りません。
保育士の平均年齢は40.3歳、勤続9.1年です。この平均を、新卒の給与や未経験入職時の給与として使うことはできません。経験の扱いを知りたいなら、これまでの勤務が採用時の給与にどう反映されるかを聞きます。
求人票では基本給、資格手当、そのほかの毎月の手当を確認します。処遇改善などに関する支給があるなら、毎月の給与に入るのか、一時金として支給されるのかも分けます。制度名だけを見て、必ず同じ額を受け取れると判断しないことです。
賞与の回数だけでは年額はわかりません。算定する給与項目、前年度の実績、初年度の扱いを確認します。比較の方法はボーナスの平均と支給実績の読み方でも整理しています。
介護職は施設等・訪問・ケアマネージャーを分けて読む
介護職員(医療・福祉施設等)は388万200円、訪問介護従事者は381万8,900円、介護支援専門員は441万3,400円です。仕事の名前をひとまとめにして「介護職の平均」とすると、担当業務の違いが見えなくなります。
施設等の介護職員は月額277.7千円、年間賞与547.8千円です。訪問介護従事者は月額281.6千円、年間賞与439.7千円。訪問のほうが月額は高くても、賞与を足した年収相当額の並びは逆になります。
ケアマネージャーは平均年齢53.1歳、勤続12.4年です。施設等の介護職員の45.3歳、勤続9.0年とは構成が違います。資格を取った直後に平均額を受け取れると考えず、採用時の経験の扱いと担当業務を確かめます。
施設へ応募するなら、夜勤、早番・遅番、配置、記録業務などを聞きます。訪問なら、移動時間、訪問先の組み方、急な予定変更時の扱いを確認します。年収相当額が近くても、働く時間の配置と身体的な負担は表だけでは比べられません。
この表は一般労働者の集計です。短時間での訪問やパート勤務を希望する人は、表の年間相当額をそのまま自分の給与には使えません。時給、勤務する時間、支給対象になる手当など、自分の契約の条件で確認します。
ソフトウェア作成者は578万4,700円:エンジニア全体の平均ではない
ソフトウェア作成者は月額390.8千円、年間賞与109万5,100円です。計算は390.8×12+1,095.1=578万4,700円。平均年齢37.1歳、勤続9.9年でした。
エンジニアという呼び方には、ソフトウェア以外の技術職も含まれます。ここで使った職種はソフトウェア作成者です。設計、運用、研究、製造の技術者を全部合わせた平均として紹介することはできません。
求人票でも、開発するもの、担当する工程、顧客対応の範囲、運用当番の有無を見ます。同じ職種名でも、実装を中心にする仕事と、要件の調整やチームの管理まで担う仕事では採用条件が違います。年収の幅は、どの役割に対応しているかまで聞きます。
未経験採用なら研修後の配属、経験者採用なら自分が担当する工程と権限を確認します。給与例が高くても、管理や顧客との調整を担う人の例なら、技術作業だけの仕事と同じ条件ではありません。
月額は超過労働給与を含むため、残業の前提も見ます。求人票の固定残業代が含まれるなら、基本給と固定残業代の金額・時間を分けます。年収を高く見せる残業込みの例と、残業なしの月給を並べないようにします。
総合事務員は541万3,900円:一般事務の求人を全部表す値ではない
総合事務員の月額は356.5千円、年間賞与は113万5,900円です。計算結果は541万3,900円。平均年齢44.6歳、勤続13.1年です。長く勤めた人などを含む平均なので、入社直後の給与を示す表ではありません。
事務という呼び方は広く、求人では総務、人事、経理、受付、営業事務などに分かれます。総合事務員という公的な分類を、名前に事務が付く求人すべてへ当てはめることはできません。
仕事内容を見るときは、入力や書類の処理が中心か、判断や他部署との調整まで担当するかを確かめます。給与例に役職者を含むなら、その役割と必要経験も聞きます。一般職という呼び方だけで担当範囲を決めつけないことです。
事務職の求人倍率が低いから、この平均給与も低いはずと判断することはできません。求人と求職の割合と、在職者の賃金は別の統計です。採用の状況を知りたいときは有効求人倍率の職種別ランキングで、対象を分けて確認します。
営業職は、扱うものと固定給・変動給を分ける
表の営業職は、自動車、機械器具・通信・システム、その他の営業職業従事者を別に載せています。その他の営業職業従事者660万7,000円は、営業職全体の平均という意味ではありません。分類名の「その他」を落とすと対象が変わります。
自動車営業は月額382.4千円、年間賞与126万8,300円、年収相当額585万7,100円です。機械器具・通信・システム営業は月額425.6千円、年間賞与148万6,800円、年収相当額659万4,000円。何を扱う職種かをそろえて比べます。
営業の求人では、固定給、歩合、賞与を分けて聞きます。高い年収例が載っているなら、どの成果を上げた人の例か、通常の担当範囲は何かを確認します。入社直後から同じ顧客や案件を持てるとは限りません。
売上目標だけでなく、新規開拓と既存顧客対応の比率、移動、受注後の対応まで聞くと、年収の前提が具体的になります。固定給の提示額で生活できるかを確認し、変動する部分を確定した収入として扱わないようにします。
業界別の平均と職種別の平均を混ぜない
業界は会社の事業、職種は担当する仕事の分類です。医療・福祉の会社にも事務があり、製造業にも営業があります。職種別の表から、勤務先の業種ごとの給与をそのまま読み取ることはできません。
業界の給与水準は業界別の平均年収ランキングで確認できます。ただし、国税庁の年間給与と、この調査の月額・賞与から計算した額は、対象者も期間も違います。異なる資料の値をそのまま同じ順位へ混ぜないことです。
企業規模計10人以上の値にも注意します。小さな事業所と大企業の人が含まれていても、すべての規模が同じ給与とは限りません。会社の大きさ、配属先、勤務地に加え、職種や経験を絞って提示条件を確かめます。
内定時は、入社初年度と通常の年度を分けて確認する
年間賞与がある会社でも、入社した直後は算定期間が短いことがあります。通常の年度の給与例と、実際に入社する年の提示を分けて聞きます。前年度の満額の賞与を、そのまま初年度にも受け取れると考えないことです。
月給も、試用期間中とその後で条件が違うかを確かめます。資格や配属先による手当があるなら、いつから支給されるかを聞きます。資格取得後や配属変更後の額が採用ページに載っていても、入社時点の額とは限りません。
年収相当額の表に近づけるために、見込める残業や未確定の歩合を足す必要はありません。基本給と支給が確認できた手当を先に並べ、条件つきの収入は別に残します。違いがある欄だけを面接で聞けば、確認する内容を絞れます。
職種を変えて応募する人は、これまでの経験が給与へ反映される範囲も確認します。同じ勤続年数でも、その仕事での経験を求める採用枠では扱いが違います。今の職場で長く働いたことと、応募先の等級の条件を分けて説明します。平均年齢や勤続年数は比較の背景を読むための情報で、採用時の等級を決める表ではありません。
同じ職種の求人を並べても、給与例の対象をそろえる
応募先を比べる表には、職種名だけでなく、経験者向けか未経験者向けか、役職を含むかも書きます。役職者の給与例と一般の担当者の提示額を並べると、仕事の責任の違いが給与の差に混ざります。
勤務地ごとに条件が違うなら、自分が配属される場所の給与で比べます。採用ページで最も高い給与が載る拠点と、今回募集している拠点が同じとは限りません。転勤や異動で手当が変わるかも聞いておくと、その後の条件を把握できます。
給与例が表より高いか低いかだけで選考を終えず、差が生まれる内訳を確認します。月給、賞与、残業、担当する役割を分ければ、統計の平均と違う理由を具体的に考えられます。
その会社の実際の数字は、求人票・面接・しょくばらぼで確かめる
求人票では基本給、毎月の手当、固定残業代、賞与を分けます。表に近い年収が載っていても、自分が入社する職種と等級の条件かを確認します。経験者の給与例を見たら、経験年数と担当業務を一緒に聞きます。
面接では「今回の提示額に含まれる手当と、想定する勤務を教えてください」と聞きます。賞与は算定対象の給与、前年度実績、初年度の扱いを確認します。看護や介護の交替勤務、営業の変動給など、職種ごとに金額が変わる条件を残します。
厚生労働省のしょくばらぼでは、掲載されている残業、休暇、採用後の定着などを見ます。給与が高くても希望する勤務を続けられるかは別です。職種別の平均で比較を始め、その会社の実際の数字は求人票・面接・しょくばらぼで確かめます。