平均勤続年数は12.7年です。厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」の一般労働者では、男性14.2年、女性10.4年でした。産業別では電気・ガス・熱供給・水道業の17.6年が最も長く、複合サービス事業16.8年、製造業15.3年が続きます。
応募先の平均勤続年数を見たら、平均年齢と採用者数も並べます。勤続年数は、今いる人が入社してから何年たったかの平均です。これから入る人が何年働けるか、過去に辞めた人が何年で辞めたかを表す数字ではありません。
業界別ランキング:最長は電気・ガス・水道の17.6年
2025年(令和7年)の一般労働者、男女計の平均勤続年数を長い順に並べました。単位は年。対象は概況に掲載された常用労働者10人以上の民営事業所です。短時間労働者は含みません。企業の平均を同じ重さで平均した値ではなく、労働者数を反映した平均です。
| 順位 |
産業 |
平均勤続年数 |
| 1 |
電気・ガス・熱供給・水道業 |
17.6年 |
| 2 |
複合サービス事業 |
16.8年 |
| 3 |
製造業 |
15.3年 |
| 4 |
金融業・保険業 |
14.6年 |
| 5 |
卸売業・小売業 |
14.5年 |
| 6 |
鉱業・採石業・砂利採取業 |
13.9年 |
| 7 |
建設業 |
13.7年 |
| 8 |
運輸業・郵便業 |
12.9年 |
| 9 |
情報通信業 |
12.3年 |
| 10 |
学術研究・専門・技術サービス業 |
12.1年 |
| 11 |
教育・学習支援業 |
11.7年 |
| 12 |
不動産業・物品賃貸業 |
10.7年 |
| 13 |
生活関連サービス業・娯楽業 |
10.6年 |
| 14 |
医療・福祉 |
9.9年 |
| 15 |
宿泊業・飲食サービス業 |
9.6年 |
| 16 |
サービス業(他に分類されないもの) |
9.3年 |
| ― |
産業計 |
12.7年 |
出典:厚生労働省、令和7年の賃金構造基本統計調査の概況第5-1表「勤続年数」、産業計は第2表。確認日:2026年10月22日。
業界の順位は、会社の働きやすさの順位ではありません。同じ産業の中にも、新卒を多く採る会社、中途採用で人数を増やしている会社、採用を抑えている会社があります。勤続年数が同じでも、人の入れ替わり方は違います。
情報通信業が12.3年だから、この業界なら入社後もその年数は在籍できる、とは読めません。表にあるのは調査時点の在籍者の状況です。転職してきた人は、それまで同じ仕事を長く続けていても、今の企業での勤続年数として数えます。
パートを多く雇う業界でも、この表は一般労働者だけ
ここでいう一般労働者は、同じ事業所の通常の所定労働時間・日数で働く人です。正社員と同じ意味ではなく、短時間労働者に当たらない契約社員なども含まれます。パートという呼び方だけで、集計上の区分が決まるわけでもありません。
宿泊業・飲食サービス業や小売業の数字を見るときも、「短時間で働く人が多いから、この表の勤続年数が短い」とすぐに説明しないことです。短時間労働者は、最初から別集計です。雇用形態の人数構成を調べたいときは、非正規雇用の割合と区別して読みます。
企業規模別:大企業14.1年、中企業12.4年、小企業11.5年
企業規模は、配属先の人数ではなく、その企業全体の常用労働者数です。以下も2025年の一般労働者の平均で、男女計と男女別を掲載しています。
| 企業規模 |
男女計 |
男性 |
女性 |
| 大企業:1,000人以上 |
14.1年 |
15.9年 |
11.1年 |
| 中企業:100〜999人 |
12.4年 |
13.8年 |
10.2年 |
| 小企業:10〜99人 |
11.5年 |
12.5年 |
9.8年 |
出典:厚生労働省、令和7年賃金構造基本統計調査の概況の第4表。単位は年、平均値。企業規模5〜9人の結果を加えた表ではありません。
大企業ほど勤続年数が長い並びです。ただし、この表でわかるのは、規模の区分ごとに平均が違うことまでです。研修が充実しているから、給与が高いからなど、長さの理由をこの表だけから決めることはできません。
応募先が小規模でも、比較する相手を全国の大企業だけにする必要はありません。同じ業界と規模で見て、その会社の採用や人員の動きを確認します。支店や店舗の人数だけで小企業の欄を選ぶと、比べる相手が変わってしまいます。
平均年齢が高い小企業でも勤続年数は短い
同じ第4表の男女計では、平均年齢が大企業43.4歳、中企業44.1歳、小企業46.0歳です。平均年齢が高い区分ほど、必ず勤続年数も長いわけではありません。年齢と勤続年数は別の項目です。
中途採用で経験者が入れば、年齢は高くても今の企業での勤続は短くなります。ただし、この表から中途採用が実際にどれだけ寄与したかは出せません。年齢構成を確認したうえで、採用経路別の人数を会社に聞きます。
男女別:男性14.2年、女性10.4年をどう読むか
| 区分 |
平均勤続年数 |
平均年齢 |
| 男女計 |
12.7年 |
44.4歳 |
| 男性 |
14.2年 |
45.2歳 |
| 女性 |
10.4年 |
43.2歳 |
出典:厚生労働省、令和7年賃金構造基本統計調査の概況の第2表。一般労働者、企業規模計。
男女の平均には違いがあります。しかし、同じ年に入社した男女が何年残ったかを調べた表ではありません。平均年齢も違いますし、働く産業、職種、採用時期、雇用形態の構成もそろえていません。
「女性は仕事を長く続ける意思が弱い」「男性のほうが定着しやすい」と性別の特徴に置き換えるのは誤りです。過去の採用や継続就業の積み重ねが今の構成に現れています。何が影響したかは、会社の採用と退職の履歴を見ないとわかりません。
会社の男女差が大きいときは、数字を隠すよう求めるのではなく、背景を聞きます。「男女別の勤続年数に差がありますが、採用人数や中途入社の構成はどう違いますか」と聞けば、説明の対象を絞れます。育児との両立を確認したいなら、休業から復帰した後の勤務時間や配属の実績も別に聞きます。
年齢階級別:25〜29歳4.1年、55〜59歳20.5年
年齢別は、e-Stat「令和7年賃金構造基本統計調査」一般労働者・産業大分類第1表の「産業計」を使いました。学歴計・企業規模計(10人以上)の平均勤続年数です。2025年の一般労働者を、その時点の年齢で分けています。
| 年齢階級 |
男女計 |
男性 |
女性 |
| 19歳以下 |
0.9年 |
0.9年 |
0.9年 |
| 20〜24歳 |
2.0年 |
2.2年 |
1.9年 |
| 25〜29歳 |
4.1年 |
4.3年 |
3.9年 |
| 30〜34歳 |
6.7年 |
7.0年 |
6.2年 |
| 35〜39歳 |
9.6年 |
10.1年 |
8.7年 |
| 40〜44歳 |
12.3年 |
13.1年 |
10.7年 |
| 45〜49歳 |
14.9年 |
16.4年 |
12.3年 |
| 50〜54歳 |
18.0年 |
20.1年 |
14.3年 |
| 55〜59歳 |
20.5年 |
22.8年 |
16.2年 |
| 60〜64歳 |
20.1年 |
21.6年 |
17.1年 |
| 65〜69歳 |
17.3年 |
17.5年 |
17.0年 |
| 70歳以上 |
18.2年 |
17.6年 |
19.9年 |
出典:厚生労働省、令和7年の賃金構造基本統計調査。一般労働者・産業大分類第1表、シート「産業計」の勤続年数欄。単位は年、平均値。
全体の12.7年を、入社して間もない人が多い会社へそのまま当てると、短さだけが目に入ります。年齢別で見ると、男女計は20〜24歳2.0年、25〜29歳4.1年です。働き始めてからの期間に限りがある若手と、長く勤務できる年齢の層を同じ条件では比べられません。
ただし、年齢別の数字も「この年齢なら何年で転職するべきか」を示していません。同じ人を年齢ごとに追いかけた結果ではなく、その年に各年齢階級にいた別の人たちの平均です。自分の勤続が平均より短いことを、応募をためらう理由にする必要はありません。
長くいる人だけが残ると、平均は長くなる
この数字には、調査時点ですでに退職した人の勤続年数は入りません。若手が辞め、長く勤める層が多く残っていれば、在籍者の平均は長く出ることがあります。長い平均と、若手の定着の悪さが同時に起きることもあります。
逆に、新卒や中途の採用を増やしている企業では、入社直後の人が平均に加わります。退職が増えていなくても、在籍者全体の平均は短くなり得ます。前年との変化だけで職場環境が悪化したとは決めず、入社と退職を分けて聞きます。
離職率と一緒に見ると、人の動きがわかる
勤続年数は在籍者の状態、離職率は一定期間に辞めた人の動きです。どちらか片方だけでは、人の入れ替わりは見えません。分母も違うので、勤続年数から離職率を計算したり、その逆をしたりはできません。
確認したいのが新卒で入った人の定着なら、新卒採用者のうち今も残っている人数を見ます。中途採用で入るなら、その職種で入社した人がその後どう働いているかを聞きます。会社全体の長い勤続年数は、配属先での定着を保証しません。
離職率を比較するための対象と期間は、離職率の平均と業界別ランキングで整理しています。勤続年数が短い理由を、先に「辞める人が多いから」と決めず、採用が増えたのか、離職が増えたのか、両方なのかを順に確認します。
| 見えた数字 |
追加で確かめること |
| 勤続年数が長い |
若手と中途入社者の定着、最近の採用人数 |
| 勤続年数が短い |
設立時期、採用の増加、離職者数 |
| 前年より大きく短くなった |
採用拡大、組織再編、集計対象の変更 |
| 男女差が大きい |
男女別の採用時期、雇用形態、平均年齢 |
| 業界平均と離れている |
同じ規模・対象の数字か、職種構成が違うか |
数字に対する説明が具体的なら、その会社の人の動きを確かめられます。「若い会社だから」だけで終わるときは、いつの採用が増えたのか、採用後に何人残っているのかまで聞きます。
設立が新しい会社と、採用が止まった会社は分けて考える
設立してからの期間が短い会社は、長い勤続年数を持つ人がまだ少ないことがあります。業界全体の平均より短いというだけで、人が定着しない会社とは判断できません。設立からどの段階で採用を増やしたか、今の人数になった経緯を確認します。
長く事業を続けている会社でも、採用を抑えた結果として在籍者の年齢が上がり、平均勤続年数が長くなることがあります。その場合、若手が入社した後の育成や、担当者が退職するときの引き継ぎが別の確認点です。「長く勤める人がいる」と「新しく入る人を支える仕組みがある」は、同じ質問ではありません。
会社の沿革に合併や事業の移管があれば、勤続年数をどう数えているかも聞きます。組織の名前が変わった時点から数えるのか、以前の勤務を通算しているのかで、数字の見え方は変わります。採用ページの説明だけで判断できなければ、集計方法を確認します。
入社後の仕事を長く続けたい人は、研修の名前を聞くだけで終わらず、担当を持つまで誰が支えるか、業務を覚えた後に何を任せるかまで聞きます。勤続年数の統計が示すのは在籍期間です。技能を伸ばせるか、希望する仕事を続けられるかは、仕事内容の説明から確かめます。
入社後の役割が変わるかも、勤続年数とは別に確認する
長く勤めている社員が多い会社でも、同じ部署で同じ業務を続けているとは限りません。部署異動、職種転換、転勤などがあれば、企業としての勤続は続いても仕事の中身は変わります。自分が長く続けたいのが「その会社」なのか「その仕事」なのかを分けて聞きます。
専門分野を深めたい人は、勤続年数よりも、担当分野で経験を積んだ社員がその後どんな役割を持つかを確認します。管理職に進む道だけなのか、専門職として仕事を続ける道もあるのかを聞くと、採用ページの長期勤務の説明を自分の進路へつなげられます。
幅広い仕事を経験したい人は、異動の希望をいつ伝えるか、本人の希望と事業の都合をどう調整するかを聞きます。平均勤続年数が長いことだけでは、希望する異動の機会があるかはわかりません。制度名と、実際に使われた場面を分けて確認します。
中途入社では、前職で身につけた経験をどこまで任せてもらえるかも聞きます。長く在籍する社員の仕事の進め方に合わせる必要があるのか、新しく入る人が提案する機会もあるのかは、職場によって違います。平均の長短から、変化を受け入れる文化まで推測しません。
採用担当者へ聞いた説明と、配属先の説明がずれるときは、そのまま書き留めます。全社の制度はあるが配属先には利用例がない、ある職種では長く働く人が多いが別職種では少ない、といった違いがあるかを確認するためです。数字をどちらか都合のよい説明だけに合わせないことです。
勤続年数の確認を通じて知りたいのは、社員が残った理由と、新しく入る自分が仕事を続ける条件です。担当者の感想だけで判断せず、仕事内容、育成の流れ、異動の範囲、相談の手順を資料や面接の答えで埋めます。平均から始めても、最後は自分の仕事の具体的な話へ進みます。
しょくばらぼで会社ごとの平均勤続年数を探す
厚生労働省のしょくばらぼは、企業の職場情報を検索・比較できるサイトです。フリーワード検索で応募先を探し、所在地などから同名の別法人でないことを確認して、企業の詳細情報を開きます。
詳細では、雇用管理などの職場情報から平均継続勤務年数を探します。項目名は一般に「平均勤続年数」と呼んでいる数字と表記が違うことがあります。男女別の掲載や対象年度、対象となる雇用管理区分、情報提供元も読みます。
空欄は勤続年数が短いという意味ではありません。未掲載の理由も、空欄からはわかりません。公式採用ページに別の数字があれば、どちらが新しいかを調べ、対象者が同じかを確認します。古い数値と新しい数値を平均して使うことはしません。
連結全体と、実際に入社する法人を混ぜない
採用サイトがグループ共通でも、雇用契約を結ぶ法人は個別です。グループの平均勤続年数と、入社する会社の数字が同じとは限りません。出向先や配属先の数字も、雇用主の数字とは分けて扱います。
しょくばらぼや会社資料で数字を見つけたら、資料名、年度、対象者、値をセットでメモします。対象がわからない数値は、同業の他社と順位をつけず、質問するための材料に残します。公的サイトの掲載でも、すべて国が独自に調査した会社別の値という意味ではありません。
その会社で続けられるかは、求人票・面接・しょくばらぼで確かめる
応募先の確認では、全体の平均から、入社する職種と配属先の話へ進みます。「平均勤続年数が長いので安心しました」で終わらず、最近入った人が仕事を覚えるまでの支援と、担当が変わるときの相談方法を聞きます。
求人票では、雇用形態、勤務地、仕事内容と変更の範囲を確認します。長く働きたい場所や仕事が決まっている人ほど、会社の平均の長さと、自分が続けられる条件を分けて考える必要があります。配置や転勤の条件が合わなければ、勤続年数が長くても希望とはずれます。
面接では「公表されている平均継続勤務年数の対象年度と、対象となる社員の範囲を教えてください」「今回の職種で中途入社した人の定着状況を教えてください」と具体的に聞きます。答えが全社の話なら、配属予定部署にも同じ傾向があるかを続けて確認します。
調べたことを整理する順番は、企業研究のやり方で確認できます。勤続年数の長短で先に結論を出さず、求人票の条件、面接で聞いた運用、しょくばらぼの数字がつながっているかを確かめます。その会社で何が続けやすく、何が自分には難しいかまでわかれば、平均を会社選びに使えます。