定年年齢は会社で違い、一律定年制を定める企業では60歳が72.3%で最多です。65歳は21.1%、66歳以上は3.5%でした。定年制を詳しく調べた最新の厚生労働省「令和4年就労条件総合調査」の数字です。より新しい令和7年「高年齢者雇用状況等報告」では、65歳までの雇用確保措置を実施済みの企業は99.9%ですが、全社が65歳定年になった意味ではありません。
仕事を何歳まで続けられるかを知るには、定年の年齢と、定年後の継続雇用を分けて聞きます。60歳で定年を迎え、その後は再雇用で働く制度もあります。年齢だけでなく、定年前後の仕事内容、給与、勤務日数、契約期間まで確認してください。
定年制のある企業は94.4%。何を分母にした割合かを見る
厚生労働省の令和4年の就労条件総合調査の概況の、第14表では、定年制を定めている企業は94.4%、定めていない企業は5.6%です。定年制を定めている企業のうち、一律に年齢を定めている企業は96.9%です。確認日は2026年10月22日です。
調査対象は、主要産業の常用労働者30人以上の民営企業です。令和4年1月1日現在の制度を調べています。全ての規模の勤務先、公務の職場、自営業者をまとめた数字ではありません。回答を基に母集団へ復元した企業割合で、実際に働く人の人数割合でもありません。
| 区分 |
割合 |
分母 |
| 定年制を定めている |
94.4% |
調査の全企業 |
| 定年制を定めていない |
5.6% |
調査の全企業 |
| 定年を一律に定めている |
96.9% |
定年制を定めている企業 |
| 定年を職種別に定めている |
2.1% |
定年制を定めている企業 |
出典:厚生労働省、令和4年の就労条件総合調査の概況、11頁、第14表。単位は%。定め方が不明の企業などを含むため、掲載した定め方だけで100%にはなりません。
94.4%と96.9%は、同じ母数を使った2つの制度の比率ではありません。会社全体の中で定年制があるかを見た後、定年制のある会社の中でどう定めるかを見ています。この先の定年年齢の表は、さらに一律定年制の企業を分母にします。
就労条件総合調査は、すべての制度を毎年同じ項目で詳しく調べているわけではありません。令和7年の調査が公表されていても、令和4年の定年年齢の表を令和7年の数字に書き換えることはできません。定年制の内訳は令和4年、雇用確保措置の実施状況は令和7年と、表ごとに年を付けて読んでください。
定年年齢の割合ランキング:最も多いのは60歳
同調査第15表から、一律定年制の企業における年齢区分別の割合を高い順に並べました。「66歳以上」は複数の年齢をまとめた区分です。個々の定年年齢をすべて同じ幅で並べた分布ではありません。同率は同順位です。
| 順位 |
一律定年の年齢区分 |
企業割合 |
| 1 |
60歳 |
72.3% |
| 2 |
65歳 |
21.1% |
| 3 |
66歳以上 |
3.5% |
| 4 |
63歳 |
1.5% |
| 5 |
62歳 |
0.7% |
| 6 |
61歳 |
0.3% |
| 7 |
64歳 |
0.1% |
出典:厚生労働省、令和4年の就労条件総合調査の概況、12頁、第15表。2022年1月1日時点、一律定年制を定めている企業が分母。定年年齢が不明の企業を含み、公表値の合計が100%にならないことがあります。
65歳以上をまとめた割合は、原表の再掲で24.5%です。21.1%と3.5%を自分で足し直すと原表と一致しませんが、これは公表前の数値が丸められているためです。再掲の値を使うときは原表の24.5%をそのまま使います。
この表から定年年齢の平均や中央値は出していません。66歳以上の細かい内訳がわからず、企業数と労働者数も同じではないためです。「平均では何歳だから自分もその年齢まで同じ待遇」と読み替えることもできません。
60歳が最多でも、60歳以降に働く制度がない企業が最多という意味ではありません。定年を迎えた後も、継続雇用で仕事を続ける制度があるからです。就活や転職では、この順位と合わせて次の規模別の違いと雇用確保の仕組みを見ます。
規模別ランキング:65歳以上定年は30〜99人で27.0%
令和4年の第15表の「65歳以上」を軸に、割合が高い順に並べました。各規模で一律定年制を定めている企業を分母としています。給与の平均や働く人の年齢ではありません。
| 順位 |
企業規模 |
65歳以上 |
60歳 |
65歳 |
66歳以上 |
| 1 |
30〜99人 |
27.0% |
69.8% |
22.5% |
4.5% |
| 2 |
100〜299人 |
20.8% |
76.6% |
19.2% |
1.6% |
| 3 |
1,000人以上 |
17.8% |
79.3% |
17.1% |
0.7% |
| 4 |
300〜999人 |
14.1% |
81.7% |
13.8% |
0.2% |
出典:厚生労働省、令和4年の就労条件総合調査の概況、12頁、第15表。「65歳以上」は再掲の公表値。丸められた65歳と66歳以上を足して再計算していません。
この調査では、小さい規模ほど定年そのものを65歳以上とする割合が高い区分があります。大企業なら必ず定年年齢も高いという関係ではありません。ただし、大企業に60歳定年が多いことから、継続雇用も少ないとは判断できません。
定年が高いことと、定年前後の待遇が変わらないことも別です。定年より前に職務や給与が変わる制度があるか、定年後の再雇用で担当範囲が変わるかを聞きます。年齢の表だけで収入の長期計画を作らないでください。
会社の定着を一緒に見るなら、平均勤続年数の読み方も使えます。ただし、平均勤続年数が長い会社だから、これから入る自分の定年後の契約まで同じになるわけではありません。入社時点の制度と雇用区分を確認します。
65歳までの雇用確保措置は99.9%。継続雇用が65.1%を占める
新しい制度の実施状況は、厚生労働省「令和7年高年齢者雇用状況等報告」発表資料と別表で確認できます。令和7年6月1日時点、常時雇用する労働者21人以上の237,739社が対象です。
65歳までの雇用確保措置を実施済みの企業は237,457社、99.9%です。その実施済み企業の中で、どの措置を取っているかを見ると次の順になります。3種類の内訳は、実施済み企業が分母である点に注意してください。
| 順位 |
65歳までの雇用確保措置の内容 |
企業数 |
実施済み企業内の割合 |
| 1 |
継続雇用制度の導入 |
154,505社 |
65.1% |
| 2 |
定年の引上げ |
73,585社 |
31.0% |
| 3 |
定年制の廃止 |
9,367社 |
3.9% |
出典:厚生労働省「令和7年高年齢者雇用状況等報告」発表資料3頁、別表7頁の表3−1。令和7年6月1日時点。措置内容の割合は実施済み237,457社を100としたものです。実施率99.9%は別表6頁の表1。
99.9%は、65歳まで元と同じ雇用形態や月給が維持される人の割合ではありません。会社が法律上の措置を実施している割合です。継続雇用制度が最も多いことからも、定年年齢そのものを変えずに定年後の制度で対応する会社があるとわかります。
令和4年調査の常用労働者30人以上と、この報告の21人以上は対象が違います。令和4年の24.5%と令和7年の65歳以上定年企業の割合を、そのまま同じ企業群の増加率として計算しないでください。
65歳までの義務は、定年引上げ・廃止・継続雇用から選ぶ
厚生労働省の「高年齢者の雇用」では、定年を定めるなら原則60歳以上とすること、65歳未満に定める事業主には65歳までの雇用確保措置が必要なことを説明しています。
措置は、65歳までの定年引上げ、定年制の廃止、65歳までの継続雇用制度のいずれかです。制度導入の義務を「全員65歳定年になった」と説明すると、60歳定年と再雇用を組み合わせる会社の実態が読めなくなります。
継続雇用は、現に雇用する高年齢者が希望するときに定年後も引き続き雇用する制度です。対象者を限定する基準に関する経過措置は2025年3月31日で終了しています。令和7年度から希望者全員を対象とする65歳までの雇用確保が全面的に必要になったと、令和7年報告の発表資料も説明しています。
ただし、法律の制度導入義務と、個人ごとの契約内容は分けて確認します。通常の解雇・退職事由に該当する場合などの扱いもあり、どんな事情でも同一条件の雇用が保証されると断定するものではありません。会社の規程と提示される労働条件を確認します。
70歳までの就業確保措置は34.8%。雇用以外の方法も含む
同じ令和7年報告で、70歳までの就業確保措置を実施済みの企業は82,748社、34.8%です。企業規模別では次のとおりです。この報告の中小企業は21〜300人、大企業は301人以上で、前の就労条件総合調査の規模区分とは違います。
| 順位 |
規模区分 |
70歳までの就業確保措置の実施率 |
| 1 |
中小企業(21〜300人) |
35.2% |
| 2 |
大企業(301人以上) |
29.5% |
| ー |
全体 |
34.8% |
出典:厚生労働省「令和7年高年齢者雇用状況等報告」発表資料4頁、別表8頁の表4−1。令和7年6月1日時点、報告企業に占める割合。個人の就業率や採用率ではありません。
70歳までの措置は、法律上は努力義務です。65歳までの雇用確保の義務と同じに扱わないでください。「70歳までの就業機会確保」と「70歳定年の義務化」も違います。
選べる措置には、定年引上げ、定年廃止、継続雇用制度のほか、業務委託契約や社会貢献事業への従事に関する制度も含まれます。後の2つは雇用以外の措置です。そのため34.8%を「70歳まで社員として雇い続ける企業の割合」と呼ぶのは誤りです。
就業を続ける制度があると聞いたら、雇用契約か業務委託かを最初に確認します。働く時間、報酬、指示の受け方、費用負担などを、契約の中身に沿って聞いてください。制度の名前だけでは、毎日の働き方も収入も決まりません。
定年延長・勤務延長・再雇用は、どこで契約が変わるかを聞く
定年延長は、定年の年齢そのものを引き上げることです。再雇用は、定年でいったん退職した後、改めて雇用する制度です。勤務延長は、定年年齢に達した後も退職させず、引き続き雇用する制度です。同じ継続雇用でも、退職や新たな契約がどこに入るかが違います。
定年の年齢だけを聞くと、その後に交わす契約を見落とします。再雇用なら、現在の契約が終わる日、新しい契約が始まる日、条件提示の日を確認します。仕事を途切れず続ける予定でも、会社の書類では退職と採用の手続が別になることがあります。制度名と日程を一緒に聞いてください。
定年の引上げが発表された会社でも、全員に同じ時期から同じ年齢が適用されると決めないでください。就業規則で、どの雇用区分、どの対象者から適用するかを確認します。採用ページの簡単な紹介文と、内定時に示される条件に違いがあれば、会社へ説明を求めます。
定年後も同じ職場で働く人がいるという実績は役立ちます。ただ、その人が以前の制度の対象者だったり、自分と違う職種だったりすれば、条件まで同じにはなりません。個人の給与を聞く必要はなく、自分の雇用区分に適用される制度の資料を確認します。
「65歳以上定年」と「70歳までの就業確保」を足さない
令和7年報告では、65歳以上定年企業に定年制を廃止した企業を含めると34.9%です。70歳までの就業確保措置の実施率34.8%と数字が近くても、同じ会社を同じ基準で数えた指標ではありません。前者は定年制の状況、後者は雇用以外も含む就業確保措置です。
たとえば定年を変えず、継続雇用で高い年齢まで対応する会社は、定年年齢だけの分類と就業確保措置の分類で位置が違います。この2つの割合を足して、長く働ける会社の割合を作ることはできません。同じ会社が両方に入ることもあります。
令和4年就労条件総合調査の65歳以上24.5%とも、母数が違います。こちらは一律定年制の企業内で、定年年齢が65歳以上である割合です。年を追って変化を見るなら、同じ報告の同じ定義の項目を比べてください。違う集計の数字の差を、そのまま制度の改善幅とは呼べません。
定年までの年数だけで、会社の選び方を決めない
定年が遅い会社を探すときも、入社後に担当する仕事と、年齢が上がった後に求められる仕事を続けて確認します。研修や職種転換の機会があるか、役割の変更をいつ相談するかがわかれば、制度の年齢だけより働き方を具体的に考えられます。
健康や家庭の事情で働く時間を変えたい人は、短時間勤務や勤務日の相談窓口も聞きます。定年後まで一律にフルタイムを続ける前提なのか、希望に応じた働き方を相談できるのかを、募集の雇用区分に沿って確認してください。会社の実績と、今回約束される条件を分けて聞くことが必要です。
再雇用で変わる条件は、給与・時間・仕事・更新で聞く
定年後も働く予定なら、今の月給がそのまま続くと置かず、再雇用後の給与表や労働条件を確認します。賞与があるか、役職手当が続くか、残業を想定するかで、同じ月額表示でも年間の収入は変わります。
勤務時間と勤務日数も別の質問です。定年前と同じ仕事で時間だけが変わるのか、担当範囲を減らすのか、勤務場所も変わるのかを聞きます。「希望を聞きます」という説明なら、いつ相談し、いつ条件が決まるかまで確認してください。
| 面接や制度説明で聞くこと |
確認する資料・回答 |
| この雇用区分の定年は何歳か |
就業規則、雇用契約 |
| 定年後はどの制度で働くか |
再雇用か勤務延長か、雇用先 |
| 給与と賞与はどう決まるか |
賃金規程、条件提示の時期 |
| 何日・何時間働くか |
本人の希望を聞く時期、勤務案 |
| 契約はいつまでで更新はどうするか |
契約期間、更新の基準、上限 |
| 仕事と勤務地は変わるか |
担当業務、異動・転勤の範囲 |
退職金の支払時期も確認します。定年で受け取るのか、その後の勤務に別の支給があるのかで、制度を調べる順番が変わります。金額の統計は退職金の相場、税の計算は退職金の税金で分けて読めます。
会社全体の実績を聞くときも、定年前の雇用区分と、再雇用後の区分をそろえます。異なる職種や勤務日数の事例を、そのまま自分への提示条件として受け取らないことです。実績と今回の契約条件を分けて説明してもらいます。
説明を聞いた日と、資料の改定日も残します。定年制度を変更する予定という話と、すでに適用されている規程を分けておくと、入社後に前提が違うという行き違いを防げます。
求人票・面接・しょくばらぼで、その会社の制度と実績を確かめる
求人票では定年年齢、再雇用制度、勤務延長制度を別々の欄として読みます。面接では「制度があるか」だけで終わらず、配属予定の職種で定年後にどのような働き方をしているかを聞きます。個人を特定する情報は不要で、条件と実績の集計を確認すれば足ります。
しょくばらぼに載る平均勤続年数なども、会社の実際の数字を知る材料になります。ただし、しょくばらぼの掲載情報だけで定年後の給与や更新条件まで確定するとは限りません。求人票の数字、面接での回答、就業規則と契約書を照合し、その会社で何歳からどの条件に変わるかを確かめてください。