障害者雇用率の最新実績は、民間企業で2.41%、法定雇用率を達成した企業の割合は46.0%です。厚生労働省「令和7年障害者雇用状況の集計結果」の、令和7年6月1日現在の数字です。現在の法定雇用率は、2026年7月から2.7%に変わっています。実績を数えた時点の法定率2.5%と分けて読みます。
就職や転職で知りたいのは、雇用率に加えて、どの仕事を、どんな条件で続けられるかです。雇用率が高いことだけで、給与や配慮、相談のしやすさは決まりません。公表された数字を見た後は、求人票と面接で実際の業務や勤務条件を確かめます。
実雇用率2.41%と達成企業46.0%は分母が違う
令和7年の集計は、障害者の雇用義務のある民間企業や公的機関などが報告した、6月1日現在の雇用状況です。民間企業は、制度上の常用労働者数が40.0人以上の企業、当時の法定雇用率は2.5%です。
| 項目 |
民間企業の公表値 |
数字の意味 |
| 実雇用率 |
2.41% |
労働者数を分母にした率 |
| 達成企業の割合 |
46.0% |
対象企業数を分母にした率 |
| 雇用障害者数 |
704,610.0人 |
雇用率制度上の算定人数 |
出典:厚生労働省「令和7年障害者雇用状況の集計結果」総括表1、詳細表1(1)・(4)。令和7年6月1日現在。率は%、人数は制度上の換算を含む人。2026年10月22日確認。
実雇用率は、企業ごとの雇用率を単純に平均したものではありません。算定対象労働者数の合計と、雇用障害者数の合計による率です。人数の多い企業の雇用状況も全体の率に影響します。
達成企業の割合46.0%は、企業を単位に数えています。「雇われている障害者の46.0%が達成企業にいる」という意味でも、「障害者の就職率が46.0%」という意味でもありません。就職を希望する人のうち何人が採用されたかを調べた数字とは違います。
雇用障害者数の小数点は、人数の数え方による
704,610.0人は、働いている人をそのまま実人数で数えた数字ではありません。制度では、障害の程度や週所定労働時間などに応じた算定を行います。短時間労働者の扱いや、重度の障害者の算定などがあるため、小数点を含む人数になります。
厚生労働省の障害者雇用率制度についての資料では、週所定労働時間30時間以上、20時間以上30時間未満、10時間以上20時間未満の区分ごとの扱いを示しています。どの人も単純に同じ人数として数える制度ではありません。
求人に短時間勤務の記載があっても、本人が制度上どう算定されるかと、働く条件が合うかは別です。応募の判断では、担当する仕事、所定労働時間、給与、休憩を確認します。統計上の人数を、個人の働く価値を比べる数字として使わないことです。
企業規模別ランキング:実雇用率は1,000人以上が2.69%
次の表は、令和7年6月1日現在の民間企業の実雇用率が高い順です。企業規模は制度上の常用労働者数による区分で、雇用障害者数は換算を含む人数です。率は%、人数は人で、中央値ではありません。
| 順位 |
企業規模 |
実雇用率 |
雇用障害者数 |
| 1 |
1,000人以上 |
2.69% |
360,778.5人 |
| 2 |
500人以上1,000人未満 |
2.41% |
76,557.5人 |
| 3 |
300人以上500人未満 |
2.27% |
58,363.0人 |
| 4 |
100人以上300人未満 |
2.18% |
127,623.5人 |
| 5 |
40.0人以上100人未満 |
1.94% |
81,287.5人 |
出典:厚生労働省「令和7年障害者雇用状況の集計結果」詳細表1(2)「企業規模別の雇用状況」、グラフ(2)。企業規模別の実雇用率で順位付け。
この区分では、企業規模が大きいほど実雇用率が高くなっています。ただし、規模別の集計が、その規模のすべての企業の雇用率を表すわけではありません。大きな企業でも未達成はあり、小さな企業でも達成している会社があります。
人数が多い規模で、本人の希望する職種の募集が多いとも限りません。雇用障害者数は現在の雇用状況であり、公開求人の件数ではありません。求人を探すときは、会社の規模に加えて、勤務地と具体的な募集職種を確認します。
達成企業割合で並べると順位が変わる
| 順位 |
企業規模 |
法定雇用率達成企業の割合 |
| 1 |
1,000人以上 |
57.5% |
| 2 |
100人以上300人未満 |
48.6% |
| 3 |
40.0人以上100人未満 |
44.7% |
| 4 |
500人以上1,000人未満 |
44.5% |
| 5 |
300人以上500人未満 |
40.3% |
出典:同集計結果の詳細表1(2)、グラフ(3)。令和7年6月1日現在、当時の法定雇用率2.5%に対する達成企業割合で順位付け。
実雇用率では企業規模の順に並びましたが、達成企業の割合は同じ並びではありません。分母が労働者数か企業数かによって、見えるものが違います。片方だけを見て「この規模なら達成している」と決めることはできません。
1,000人以上の実雇用率2.69%も、2026年7月からの法定率2.7%に対して集計した実績ではありません。令和7年のデータを、率が変わった後の達成状況として説明しないようにします。
2026年7月から民間企業の法定雇用率は2.7%
法定雇用率は、実際の雇用状況を集計した率ではなく、事業主に求められる制度上の率です。厚生労働省の制度資料では、民間企業は令和8年6月まで2.5%、同年7月以降2.7%としています。
| 適用時期 |
民間企業の法定雇用率 |
雇用義務の対象となる規模 |
| 令和6年4月から令和8年6月まで |
2.5% |
常用労働者数40.0人以上 |
| 令和8年7月以降 |
2.7% |
常用労働者数37.5人以上 |
出典:厚生労働省の障害者雇用率制度についての資料(2ページ)、ハローワークの法定雇用率の案内、厚生労働省の事業主の方へ。2026年10月22日現在。
現在は2.7%です。「今後2.7%になる予定」と読む時期ではありません。過去の調査の表に2.5%が残っているのは、その時点の法定率を示しているためです。調査の数字を書き換えるのではなく、現在の制度と別に説明します。
37.5人以上という対象規模も、社員名簿の実人数だけを見て判定するものではありません。短時間労働者の算定や業種による除外率など、制度上の扱いがあります。対象企業かを判断するときは、事業主向けの資料やハローワークで確認します。
公的機関と教育委員会は民間と率が違う
同じ制度資料では、令和8年7月以降の国・地方公共団体は3.0%、都道府県等の教育委員会は2.9%です。民間企業の2.7%と同じ表現でまとめないようにします。
雇用率を比較するときは、民間か公的機関か、集計日がいつか、適用される法定率が何かを確認します。求人に「法定雇用率達成」と書かれていれば、いつの、どの範囲の達成かを見ます。古い実績が掲載されているだけなら、現在の状態は別に確認します。
前年との比較では除外率の変更にも注意する
令和7年の集計結果は、実雇用率について、前年と公表値が同じ2.41%でも、小数点以下第3位まで比較すると上昇していると説明しています。記事では公表された桁の2.41%を使い、別の丸め方で増減を作りません。
同資料は、令和7年4月に除外率が10ポイント引き下げられたことの影響を含むと説明しています。除外率の対象となる業種では、雇用率の計算に使う労働者数に影響します。実雇用率が下がったことだけで、雇用している障害者が減ったとは判断できません。
企業規模別では、雇用障害者数はすべての区分で前年より増えています。その一方、実雇用率は1,000人以上以外の区分で前年を下回っています。人数と率が同じ方向に動くとは限らない例です。
就職先の数字を見るときも、率の増減だけを評価せず、集計する企業の範囲や算定方法が変わっていないかを確認します。理由が公表されていない部分は、採用が悪化したなどと推測で埋めません。
障害者雇用納付金は、雇用義務と対象範囲が違う
厚生労働省の事業主向け案内では、法定雇用率未達成企業のうち、常用労働者100人超の企業から障害者雇用納付金を徴収すると説明しています。雇用義務の37.5人以上という範囲と、納付金制度の対象は同じではありません。
納付金制度は、障害者を雇用する事業主間の経済的負担の調整を図り、雇用の水準を高める仕組みです。納付金をもとに、調整金や報奨金、雇い入れに伴う施設・設備などの助成に使われます。
納付金を払えば、雇用義務を果たしたことになるわけではありません。求職者が会社の制度対応を調べるときも、支払っているかどうかだけで、その会社の採用や職場環境を評価しないことです。
金額の計算は、企業の算定人数や期間などの確認が必要です。応募者個人が負担する費用を示した制度でもありません。求人選びでは、納付金の試算より、自分の雇用条件と必要な配慮について会社と話せるかを確認します。
雇用率の高さだけでは、配慮や仕事の中身はわからない
雇用率は、法に基づく雇用の状況を示します。仕事内容、賃金、教育訓練、定着、職場の相談のしやすさを、まとめて点数にした数字ではありません。
達成している企業でも、自分が希望する仕事や勤務条件に合うかは別に確認します。未達成という情報だけで、個別の求人に必要な配慮がないと決めることもできません。具体的に何ができ、何がまだ決まっていないかを、採用担当と確認します。
求人票では、雇用形態と契約期間、更新条件、業務の内容、勤務場所を読みます。「事務」とだけ書いてあれば、入力、確認、電話対応、来客対応など、実際に任される作業を聞きます。仕事の名前が同じでも、負担のかかる場面は違います。
給与も、月給か時給か、勤務時間とどう対応するか、賞与や昇給の対象かを確認します。雇用率を達成した会社なら全員の給与条件が同じ、ということではありません。内定後は、口頭の説明と書面の条件が一致しているかを見ます。
面接では、必要な配慮を仕事の場面に沿って相談する
厚生労働省の事業主向け案内は、募集・採用時と雇用後の差別禁止、合理的配慮の提供義務を説明しています。配慮は、仕事上の支障となっている事情を改善するために相談します。企業に過重な負担となる場合の扱いも含め、個別の状況を確認する制度です。
伝える内容は、仕事で困る場面と、実施されれば働きやすくなる対応を結び付けます。たとえば、口頭だけだと指示を確認しづらいなら、作業手順を書面で受け取れるかを聞きます。通院のために勤務を調整したいなら、予定の伝え方と調整する相手を確認します。
| 確認したいこと |
面接などでの質問 |
| 実際の業務 |
入社直後に担当する作業と、仕事を増やす際の進め方を教えてください |
| 指示の受け方 |
手順を文書で確認したいとき、どのように相談できますか |
| 勤務時間 |
通院などで調整が必要なときの申請方法を教えてください |
| 相談先 |
配属先以外に、勤務や配慮を相談できる担当者はいますか |
| 配慮の見直し |
働き始めてから困る点がわかったとき、誰と話し合いますか |
| 評価と育成 |
担当業務の評価、研修、業務範囲を見直す仕組みを教えてください |
説明を受けたら、対応の有無だけでなく、実際にどの部署で運用するかを確認します。採用担当が可能と言っていても、配属先との調整がまだなら、その確認の進め方を聞きます。入社前に合意した内容を、入社後に相談する相手へ引き継ぐ方法も確かめます。
支援機関の利用も含めて、相談の方法を決める
面接だけでは伝えにくい点があれば、ハローワークなどの相談窓口を使います。支援を利用している人は、会社との話し合いにどう関わってもらえるかを確認します。すべてを本人だけで説明し切る必要はありません。
会社に伝えた内容が、どこまで配属先へ共有されるかも聞きます。必要な配慮を実施するための共有と、関係のない人へ広く知らせることは分けて考えます。安心して相談できる連絡先と、情報の扱いを確認しておくと、入社後に困ったときの話が進めやすくなります。
会社の雇用率を見るときは、集計する範囲を確認する
企業が雇用率を公表していても、応募する法人だけの値か、制度上認められた範囲の値かを読みます。厚生労働省の事業主向け案内では、特例子会社や関係会社などの算定の特例も説明しています。グループの公表値と、実際に雇用契約を結ぶ法人の条件を混ぜないことです。
特例子会社の求人であれば、働く場所、業務を指示する相手、雇用条件を説明する法人を確認します。名前にグループの説明があっても、賃金や休暇の条件がほかの法人と同じと決まるわけではありません。求人票に記載された雇用主の条件で比べます。
雇用率に加えて雇用人数が公表されている場合は、実人数か、雇用率算定上の人数かを確認します。同じ「人」という単位でも、数え方が違えば直接は比較できません。数字の下に注記があれば、その範囲まで読んでから質問します。
全社の取り組みを紹介する採用ページでも、配属予定の職場で利用できる仕組みを聞きます。相談窓口がどこにあるか、配属先とどのように連絡を取るかがわかると、制度の説明を実際の働き方へつなげられます。
入社前に確認した条件を、入社後にも見直せるようにする
必要な配慮は、実際に働いてから調整が必要になることもあります。入社時の合意だけで終わりにせず、勤務開始後に見直す話し合いの方法を確認します。担当する業務が変わったときも、同じ相談先を使えるかを聞きます。
確認した内容は、仕事内容、勤務時間、配慮、相談先ごとに分けて残します。自分が希望したことと、会社が対応すると説明したことを混ぜずに書くと、入社前の認識の違いに気づけます。採用の場で決まらなかった点は、いつ誰と確認するかを明確にします。
休暇と定着は、雇用率とは別の数字で確認する
雇用率だけでは、休暇が取れるか、人が長く働いているかはわかりません。会社が公表している残業や有給休暇の取得、新卒の採用と離職などの数字も読みます。全社の値と配属先の実績を分けて確認します。
ホワイト企業の見分け方は、認定や印象だけに頼らず、働く条件を確かめるための記事です。障害者雇用でも、制度があるという説明と、自分の職場でどう運用されるかを分けます。
休暇については、有給休暇の取得状況で会社を比べる際の見方を整理しています。通院などで使う必要があるなら、会社全体の取得状況に加え、配属先での申請と引き継ぎを聞きます。求人票にない内容を、平均で埋めないことです。
その会社の数字は、求人票・面接・しょくばらぼで確かめる
令和7年の実雇用率2.41%と達成企業割合46.0%は、制度上の雇用の状況です。現在の法定率2.7%を確認したうえで、応募先では、仕事内容、賃金、勤務時間、相談先を具体的に見ます。
その会社の実際の数字は、求人票・面接・しょくばらぼで確かめます。公表されている雇用や働き方の情報を読み、集計の範囲と時点を確認し、配慮の運用など掲載されていない点を面接で相談します。企業研究のやり方の順に整理し、雇用率の達成だけでなく、働き続ける条件まで確認します。