公務員の平均年収を調べるとき、最新の給与月額は、国家公務員の行政職俸給表(一)が428,451円、地方公務員の一般行政職が413,968円です。前者は人事院の令和8年調査、後者は総務省の令和7年調査です。この月額だけでは、賞与込みの平均年収は出ません。国家の月額を12倍した5,141,412円も、年間の実績給与とは別の計算値です。
応募先を比べるなら、国家か地方かを決めるだけでは足りません。職種、採用区分、勤務地、経験の扱いをそろえ、俸給や給料、毎月の手当、賞与を分けます。自衛官は一般の行政職と異なる俸給表を使うため、行政職の平均を自衛官の給与として読むこともできません。
国家公務員の行政職は月額428,451円、平均年齢41.7歳
使う資料は、人事院の令和8年の国家公務員給与等実態調査の報告書です。令和8年、2026年4月1日現在の給与等を集計しています。次は報告書の概要2ページにある平均値です。単位は円、年齢は歳で、中央値ではありません。
| 区分 |
平均給与月額 |
平均年齢 |
職員数 |
| 行政職俸給表(一) |
428,451円 |
41.7歳 |
139,564人 |
| 全俸給表 |
439,356円 |
41.7歳 |
248,729人 |
出典:人事院の令和8年の国家公務員給与等実態調査の報告書Ⅰ「職員数、平均年齢、平均経験年数及び平均給与月額」2ページ。確認日:2026年10月22日。
行政職俸給表(一)は、一般的な行政事務などの給与を調べるときに使う区分です。全俸給表には、行政職以外の税務職、研究職、医療職なども入ります。全俸給表のほうを「事務職の平均」として示すと、対象がずれます。
この調査の全俸給表という言葉も、すべての国家公務員を無条件に含む意味ではありません。報告書の調査対象と注記に範囲があり、自衛官を足し合わせた平均ではありません。在外公館勤務や育児休業中の職員など、対象外となる区分も記されています。
平均年齢41.7歳という点も見落とせません。採用直後の給与と、経験を積んだ職員を含む平均給与は違います。平均に届いていないという理由だけで、若手の給与が不適切だとは判断できません。募集要項の初任給や経験者採用の給与決定の説明に戻って確かめます。
国家公務員の給与月額は、俸給だけの金額ではない
行政職俸給表(一)の平均給与月額428,451円は、平均の俸給342,178円に、地域手当等、俸給の特別調整額、扶養手当、住居手当などを合わせた数字です。報告書3ページには、集計する給与の範囲が書かれています。
「俸給」は基本となる給与です。「給与月額」は、この調査で対象とする諸手当を含む月額です。超過勤務手当や賞与まで一括して含む、給与明細のすべての支給額という意味ではありません。
住居手当などは、支給の条件に該当する人に支給されます。平均に手当が入っていても、自分にも同じ額が出るわけではありません。募集要項で示す初任給に何が含まれるか、勤務地が変わったときにどの手当が変わるかを聞きます。
手取りとも違います。公表額から税や社会保険料などが差し引かれた後の額を示す統計ではないため、生活費の計算にそのまま置きません。採用時の説明でも、支給額と控除後の見込みを混ぜないようにします。
月額の12倍で出るのは、賞与を足す前の計算値
月額を年単位で見たいときは、何を計算したかを表に残します。次の値は各調査の平均月額を12倍したものです。年度途中の改定や異動、個人ごとの手当の変化を反映する計算ではありません。
| 区分・調査時点 |
式 |
月額の12倍 |
| 国家・行政職(一)、令和8年4月 |
428,451円×12 |
5,141,412円 |
| 地方・一般行政職、令和7年4月 |
413,968円×12 |
4,967,616円 |
| 地方・一般行政職の国比較ベース、令和7年4月 |
372,336円×12 |
4,468,032円 |
出典:人事院の令和8年の国家公務員給与等実態調査の報告書概要2ページ、総務省の令和7年の地方公務員給与実態調査結果等の概要の第8表。表の右列は公表月額からの計算値で、賞与込みの平均年収ではありません。
地方の通常の給与月額と国比較ベースの差は、後の節で説明します。ここでどちらか都合のよい額を選んで、国家と地方の年収の順位をつけることはしません。調査年と給与の範囲が違うためです。
年収を組み立てるなら、対象期間の月々の給与に、その期間の期末・勤勉手当や該当する手当を足します。平均給与月額のすべてに賞与の月数を掛ける計算は避けます。住居手当などを賞与の算定基礎にそのまま足すと、制度と違う額を作ってしまいます。
賞与の公表値や支給条件は公務員のボーナスで確認します。平均月額と賞与の実績を並べるときも、対象者と年度がそろっているかを見ます。別の集団の平均同士を足しただけで「この年の平均年収」と呼ぶことはできません。
地方公務員の給与ランキング:一般行政職の団体区分別
総務省の令和7年の地方公務員給与実態調査結果等の概要第8表から、一般行政職の平均給与月額を高い順に並べました。令和7年、2025年4月1日現在です。月ごとに支払われる諸手当を含み、期末・勤勉手当は含みません。
| 順位 |
団体区分 |
平均給与月額 |
平均年齢 |
| 1 |
指定都市 |
445,629円 |
41.9歳 |
| 2 |
特別区 |
434,733円 |
39.5歳 |
| 3 |
都道府県 |
420,139円 |
42.3歳 |
| 4 |
市 |
408,453円 |
42.3歳 |
| 5 |
町村 |
370,910円 |
41.6歳 |
| ー |
全地方公共団体平均 |
413,968円 |
42.0歳 |
出典:総務省の令和7年の地方公務員給与実態調査結果等の概要の第8表「団体区分別平均給与月額(一般行政職・R7)」6ページ。平均給与月額による順位で、個別自治体の順位ではありません。
指定都市と市は資料上の別区分です。「市」の額に指定都市も同じ形で入っていると読まないようにします。特別区も町村とは別の区分です。
順位には給料だけでなく諸手当の違いも反映されます。表から生活の余裕や仕事の負担の順位を作ることはできません。勤務地による住居費や通勤、担当する仕事の違いは、この平均給与月額の表だけではわかりません。
平均年齢も完全にはそろっていません。若手から役職者まで含む集計なので、転職して入る人の給与が必ずこの平均になるわけでもありません。応募先の自治体が示す採用区分と、経験年数の換算方法を見ます。
地方の一般行政職の額と、国と比べるための額の違い
同じ第8表には、「平均給与月額」と「平均給与月額(国比較ベース)」が載っています。全地方公共団体平均では、前者が413,968円、後者が372,336円です。同じ対象の給与でも、含める手当の範囲によって数字が変わります。
平均給与月額は、平均給料月額と諸手当月額の合計です。資料の注記では、扶養手当、地域手当、住居手当、特殊勤務手当、時間外勤務手当などの月ごとの手当を含みます。期末・勤勉手当など、除く手当も明記されています。
国比較ベースは、国の公表資料と同じ範囲で比較するため、時間外勤務手当等を除いたものです。国の給与月額と並べるなら、地方だけ時間外勤務手当を含む額を使わないようにします。
ただし、給与の範囲をそろえても、令和8年の国家と令和7年の地方では調査時点が違います。同じ令和7年の比較をする場合、総務省の第7表には国の行政職の月額414,480円が載っています。最新の国家の428,451円とは別の時点の値です。
公表された数字がいくつも見つかったときは、どれかが間違いと決める前に、年と欄名を確かめます。「給与」「給料」「国比較ベース」の文字を残したままメモすれば、比較の途中で範囲を取り違えにくくなります。
同じ国家の行政職でも、年齢階層で月額は違う
人事院の令和8年報告書には、参考1として行政職俸給表(一)の年齢階層別の平均給与月額があります。次は学歴計の一部です。区切りは20代・30代という10歳刻みではないので、原表どおりに記載します。
| 年齢階層 |
平均給与月額 |
| 20歳以上24歳未満 |
261,113円 |
| 24歳以上28歳未満 |
297,781円 |
| 28歳以上32歳未満 |
333,404円 |
| 32歳以上36歳未満 |
370,391円 |
| 36歳以上40歳未満 |
410,060円 |
| 40歳以上44歳未満 |
450,899円 |
出典:人事院の令和8年の国家公務員給与等実態調査の報告書参考1「行政職俸給表(一)の年齢階層別、給与決定上の学歴別人員及び平均給与月額」29ページ、計の欄。令和8年4月1日現在、単位は円。
この表は同じ人を追いかけた昇給表ではありません。今その年齢階層にいる職員の平均です。年齢が上がれば表どおりの額に必ず達するという約束には使えません。
経験者採用では、民間で働いた期間が給与決定上どう扱われるかが気になるところです。年齢が同じでも職務経験や採用後の級・号俸が同じとは限りません。モデル額が提示されたら、前歴をどのように換算した例か、どの勤務地と手当を前提にした例かを確認します。
自衛官は階級と号俸の表を見る。行政職の平均は使わない
自衛官の基本となる俸給は、階級と号俸で確認します。防衛省が公表した令和7年の給与法改正に関する新旧対照表の改正案側、別表第二「自衛官俸給表」には次の金額があります。同改正は、防衛省の国会提出法案一覧で令和7年法律第95号、令和7年12月24日公布と確認できます。
| 階級の区分 |
号俸 |
俸給月額 |
| 2等陸士・2等海士・2等空士 |
1 |
224,600円 |
| 3等陸曹・3等海曹・3等空曹 |
1 |
235,300円 |
| 3等陸尉・3等海尉・3等空尉 |
1 |
293,300円 |
| 2等陸尉・2等海尉・2等空尉 |
1 |
298,900円 |
| 1等陸尉・1等海尉・1等空尉 |
1 |
321,300円 |
出典:防衛省「防衛省の職員の給与等に関する法律の一部を改正する法律案 新旧対照条文」第一条関係、別表第二の改正案側、14ページ、001号俸。令和7年法律第95号に対応する俸給表の例であり、年収や採用者全員の初任給の表ではありません。
表の1号俸が、あらゆる採用区分の初任給になるという意味ではありません。どの階級で任用され、どの号俸が適用されるかを確認してから読みます。階級が同じでも号俸が違えば、月額は変わります。
自衛官の収入には、勤務に応じた手当や賞与などが関わります。俸給表だけから手当込みの平均年収を作ることはできません。任期を通じた収入の例を見つけても、任用一時金や退職手当を含むなら、通常の1年分の給与と分けます。
令和8年10月9日には、新しい給与法改正案も提出されています。提出済みという事実を、改定済みの俸給として扱いません。採用を考えるときは、募集時点で適用される俸給表と改定の状況を採用窓口で確認します。
警察・消防・教員の給与は、一般行政職とは分けて読む
地方公務員の一般行政職の表を、警察官、消防士、教員の給与として使うことはできません。職種ごとに給料表や手当、勤務の組み方が違います。公務員という大きな括りだけで、給与と働き方をひとまとめにしないようにします。
警察や消防の公表資料の読み方は警察官・消防士の年収、教育職は教員の給料で確かめます。一般行政職と比較する場合も、月額なのか年額なのか、時間外勤務手当が入るか、平均年齢が近いかをそろえます。
仕事を選ぶ段階では、月額の差と勤務条件を並べます。夜間勤務、異動、勤務地の範囲が自分の生活にどう関わるかは、給与表の順位では決まりません。募集要項の勤務条件と、配属先についての説明を確認します。
モデル給与は、年齢より前提条件を読む
採用案内にあるモデル給与は、一定の条件を置いた例です。実際にその年齢の人全員が受け取った平均ではありません。経験者採用なら、想定する職務経験、採用後の役職や級、勤務地などをそろえて読みます。年収の数字だけを抜き出すと、含まれている手当がわからなくなります。
モデルの月額と年額が並んでいたら、年額に何を足しているかを確認します。毎月の固定的な給与、期末・勤勉手当、想定した超過勤務の手当が同じ欄にあるとは限りません。算定条件に書かれていない項目を、自分であるものとして足すことはしません。
住居や家族に関係する手当を含む例なら、その前提も確認します。モデルの家族構成などを自分に置き換えた額は、支給要件を確認するまで確定しません。平均やモデルを見てから、自分への提示条件を採用先に聞く順番にします。
採用初年度の賞与にも注意します。通年在職の例と、年の途中から採用される人では、同じ期間を働くわけではありません。年額のモデルをそのまま初年度の収入計画に入れず、採用日と在職期間を前提にした説明を受けます。
昇給や昇格についても、年齢別平均の表を将来の約束にしません。勤務成績や職務、制度の改定などが関わるためです。「数年後には平均の額になる」と読み替えず、採用先が示す昇給や評価の仕組みを確認します。
公表年、調査日、改定日を別々に残す
令和8年の国家の調査は令和8年4月1日現在、令和7年の地方の調査は令和7年4月1日現在です。公表を見た日と給与を調べた日は違います。最新の調査だから、今後の改定まで含んだ給与だと受け取らないようにします。
給与改定の報道や勧告を見かけても、その数字を調査済みの平均に自分で上乗せして最新値を作ることはしません。勧告、法案の提出、成立や公布、実際の適用はそれぞれ違う段階です。資料に書かれた段階の言葉を残します。
採用先から給与額の説明を受けたら、「どの時点の給与表による額か」「今後改定があれば、どの資料で確認できるか」を聞きます。内定時と入職時が離れているなら、入職前に更新の有無を確認します。古い募集要項の数値を、現在の確定額として使い続けないためです。
地方公務員では、自治体自身の給与公表資料も読みます。全国の団体区分平均は傾向を見るための値で、応募先の条例や個々の採用条件を置き換えるものではありません。全国平均と自治体の数字が違うときも、対象職種と時点、手当の範囲から照らします。
比較の表に資料名と対象年月を書いておけば、後から新しい資料が出たときも差し替える場所がわかります。額だけをコピーしておくと、どの条件の数字だったかを見失います。
求人票・面接・しょくばらぼで、提示された給与の中身を確かめる
給与を見るときは、基本となる月額、毎月の手当、賞与、臨時に支給される額を別々に書きます。採用時に提示される金額が、どの級・号俸や前歴を前提にするかも残します。平均給与と自分への提示額を混ぜないためです。
面接や採用窓口では、「この月額に地域手当は含まれますか」「職務経験はどの範囲を換算しますか」「採用初年度の期末・勤勉手当はどの条件で計算しますか」と聞きます。モデル給与の額が出たら、前提が自分の応募区分と合っているかを確かめます。
民間の求人も比べているなら、厚生労働省のしょくばらぼにある残業や休暇の実績を並べます。公務の応募先については、しょくばらぼに掲載がなければ、採用案内や各機関の給与公表資料、説明会で補います。載っていないことを低評価の根拠にはしません。
年収の見出しだけで判断せず、その会社や応募先の実際の数字を、求人票・面接・しょくばらぼで確かめます。国家と地方の平均は全体を知るために使い、入った後の給与と勤務条件は、採用先が示す自分の区分の説明で確認します。