退職の挨拶メールは、上司や担当窓口と退職の手続き・公表方針を確認してから送ります。社内は関わった相手へのお礼、社外は後任と今後の連絡先まで伝える連絡です。厚生労働省の令和7年の雇用動向調査では、年間の離職者数は7,052.6千人でした。これは最新の年次統計の人数で、メールで挨拶した人数や送る時期を示す数字ではありません。
最終出社日に送ると決めつけず、取引先への引き継ぎが必要なら、会社の承認を得て対応が間に合う時期に知らせます。以下の例文はすべて架空の例です。社名や人名などの【】は、実際の送信時に会社が認めた情報へ置き換えます。
退職の申し出と挨拶メールは別にする
退職の挨拶を全員に送れば、退職の手続きも終わるわけではありません。先に上司や担当窓口へ申し出て、退職日、最終出社日、引き継ぎ、社内外への公表時期を確認します。個別の退職手続きと、関係者へのお知らせを混ぜないことです。
まだ調整中の退職日を、確定した日として取引先へ送らないようにします。後から日付が変わると、問い合わせ先や納品の担当も混乱します。退職が確定していても、会社として知らせる順番があるなら、それを確認してから送ります。
退職届や提出先の整理は退職届の書き方で確認できます。挨拶メールでは、退職の承認を求めたり、労働条件の争点を大勢に知らせたりしません。相談や異議の申し出が必要なら、相手と窓口を分けて行います。
| 作業 |
相手 |
確認すること |
| 退職の申し出 |
上司・担当窓口 |
手続きと日程 |
| 社内の公表 |
上司・関係部署 |
順番と知らせる範囲 |
| 引き継ぎ |
後任・所属部署 |
未完了の仕事と対応者 |
| 社外への案内 |
承認された取引先 |
後任と連絡開始日 |
| 挨拶 |
仕事で関わった相手 |
お礼と必要な連絡 |
有給休暇などで最終出社日と退職日が離れるなら、対応できる期間を正確に分けます。在籍していても、業務用メールを確認できなくなる日があるかもしれません。退職日だけを知らせて、相手がその日まで返信を待てると誤解しないようにします。
送る時期は、相手が次の対応をできる日から逆算する
社内への挨拶は、仕事の引き継ぎと社内の公表が済み、誰が何を担当するかわかる状態で送ります。最終出社日が使われることもありますが、全社共通の決まりではありません。会社の慣行や、上司からの案内を確認します。
社外は、取引先が後任を把握して業務を続けられる時期を相談します。最後の勤務が終わる直前に知らせても、相手が担当者を確認できないことがあります。進行中の案件があるなら、後任との面談や紹介の機会が必要かも含めて決めます。
| 相手と状況 |
送る前に整えること |
時期を決める軸 |
| 同じ部署 |
担当変更と引き継ぎ |
社内での公表が済んだか |
| 他部署の関係者 |
今後の社内窓口 |
問い合わせが止まらないか |
| 進行中の取引先 |
案件と後任の共有 |
次の連絡に間に合うか |
| 過去に関わった取引先 |
送信範囲の承認 |
連絡する必要があるか |
| 最終出社後に休暇 |
対応可能日の整理 |
返信が滞らないか |
「退職の何日前が正解か」を、ここで使う公的資料から決めることはできません。必要な通知時期は、仕事と会社の方針によって違います。日数だけを守って、後任が決まらないまま案内することを避けます。
退職日の公表前に、親しい取引先へ個別に話すことも会社の方針を確認します。社外で先に話が広がると、会社の説明と食い違うことがあります。関係が深い相手でも、個人的な判断だけで業務上の情報を出さないようにします。
社内向けは日付とお礼を短く伝える
社内向けでは、退職日や最終出社日、これまでのお礼、必要なら今後の業務窓口を書きます。長い経歴や仕事ごとの思い出を全部並べる必要はありません。相手が忙しいときにも、退職することと必要な連絡がわかる文にします。
次は社内向けの架空の例です。会社の公表方針に合わせ、退職理由の表現も必要な範囲に留めます。
件名:退職のご挨拶【所属・氏名】
【社内の宛名】
お疲れさまです。【所属】の【氏名】です。
このたび、【退職日】をもって退職することとなりました。最終出社日は【最終出社日】です。
在職中は多くの方に支えていただき、ありがとうございました。特に【業務で学んだことや感謝していること】を通じて、多くのことを学びました。
担当していた【業務の範囲】については、【承認された引き継ぎ先・社内窓口】へ引き継いでおります。
本来であれば直接ご挨拶すべきところ、メールでのご挨拶となり失礼いたします。これまでのご指導とご協力に、心より御礼申し上げます。
【所属・氏名】
すべての人に「ご指導」と書くのが合わないなら、「日々のご協力」など関係に合った言葉へ変えます。すでに対面で挨拶した相手に、直接話せなかったという文をそのまま送らないことです。例文の体裁より、実際の関係に合っているかを確認します。
業務の引き継ぎがまだ終わっていないなら、完了したように書きません。「【窓口】で対応します」など、会社が認めた体制を伝えます。挨拶メールの文面で未完了の仕事を片づけたことにせず、引き継ぎ記録には残します。
異動や休暇と間違えない日付の書き方
退職日と最終出社日を両方書くときは、項目名をつけます。「【日付】で最後です」だけでは、その日から連絡できないのか、その日まで在籍しているのかがわかりません。相手が必要とする日を明確にします。
社内の部署によっては、貸与品の返却、経費の処理、権限の変更など、挨拶以外の手続きが必要です。挨拶メールを送ったから手続きを知らせたことになるとは限りません。担当部署に必要な方法で連絡します。
引き継ぎ資料の保管先も、社内のルールに合わせます。挨拶メールに誰でも開けるリンクを貼る前に、閲覧できる範囲を確認します。個人の保存先へ会社の資料を移して、退職後も対応する前提にはしません。
取引先向けは後任と連絡先まで書く
社外向けは、お礼だけでは仕事が止まることがあります。担当がいつ変わるか、今後誰に連絡すればよいかを入れます。会社が認めた後任と業務用の連絡先を使い、本人や会社が公表していない個人の連絡先は載せません。
次は取引先向けの架空の例です。宛名、所属、日付、後任、引き継ぎ状況は、すべて承認された内容に置き換えます。
件名:退職および担当変更のご挨拶【所属・氏名】
【取引先の宛名】
いつもお世話になっております。【所属】の【氏名】です。
私事で恐縮ですが、【退職日】をもって退職することとなりました。最終出社日は【最終出社日】です。
在職中は【担当した業務の範囲】において、温かいご支援をいただき、誠にありがとうございました。
【担当変更日】以降は、【後任の所属・氏名】が担当いたします。今後のご連絡は、下記の窓口へお願いいたします。
【後任の所属・氏名】
【会社が承認した業務用の連絡先】
【進行中の業務】については、【確認済みの引き継ぎ状況】となっております。引き継ぎにあたり、ご不便のないよう対応いたします。
本来であれば直接ご挨拶すべきところ、メールでのご連絡となり失礼いたします。これまでのお力添えに、心より御礼申し上げます。
【所属・氏名・業務用の署名】
引き継ぎが完了していないのに、「万全です」「ご迷惑はおかけしません」と保証しないことです。何が完了し、残った仕事を誰が担当するかを、実際の状況に合わせて書きます。相手の対応が必要なら、その依頼はお礼の後ろに埋めず、用件としてはっきり伝えます。
後任の紹介を兼ねて同報するなら、会社の運用と後任の了承を確認します。後任がまだ知らない案件を突然メールで渡しても、引き継ぎにはなりません。先に社内で業務の内容、期限、相手への説明を共有します。
後任が未定なら、個人ではなく承認された窓口を伝える
後任が決まっていないからといって、退職後の自分の私用メールを窓口として載せる必要はありません。会社に、どの部署や共通窓口が対応するかを確認します。自分の退職後の勤務や責任を、挨拶メールだけで約束しないことです。
次は後任が未定のときの架空の例です。会社が了承した案内だけを入れます。
今後の【対象業務】に関するお問い合わせは、【承認された部署・窓口】で承ります。連絡先は【業務用の連絡先】です。担当体制については、【会社が決めた案内方法】にてお知らせいたします。
「後任から連絡します」と書くなら、誰がいつ連絡するかを社内で決めます。未定の予定を確定したように出すと、相手は連絡を待ち続けます。会社がまだ決めていないことは、その場で作文せず、窓口に確認します。
進行中の案件が複数あるなら、挨拶と引き継ぎの詳細は分けます。挨拶のメールには担当変更と窓口、案件ごとの確認には納期や作業の残りを記します。取引先に必要のない別案件の情報まで一緒に送らないようにします。
宛先は社内と社外を混ぜず、送信範囲を確かめる
社内全員に送るか、関係部署だけにするかは会社のルールと実際の関係で決めます。退職することを知らせる必要がない相手まで、名簿から拾って一斉に送る必要はありません。社内の配信リストにも、外部の関係者が入っていることがあります。
取引先へまとめて送ると、別の取引先のアドレスや取引関係が見えてしまうことがあります。個別送信、宛先の設定、配信方法は会社のルールに従います。見えない宛先にすれば、どんな一覧を使ってもよいわけではありません。そもそも送ってよい相手かを確認します。
| 送信前の確認 |
間違いの例 |
確認する場所 |
| 社内外の区別 |
社内向け文を取引先へ送る |
宛先と本文 |
| 配信リスト |
想定外の相手が含まれる |
リストの利用範囲 |
| 後任の連絡先 |
古い部署や私用番号を記載 |
承認された連絡先 |
| 日付 |
退職日と担当変更日が逆 |
確定した日程 |
| 添付 |
内部の引き継ぎ表を誤添付 |
ファイルの中身 |
| 転送履歴 |
他社の情報が残っている |
引用部分と過去の文 |
宛先の自動補完は便利ですが、同じような名前の相手を選ぶことがあります。送信前に表示名だけでなくアドレスも照合します。大量の宛先を一度に確認できないなら、会社が認めた範囲で送信を分け、誤りを見つけられる形にします。
退職理由の詳細、不満、次の勤務先は必要な範囲に留める
挨拶メールは、退職理由を詳しく説明する場ではありません。社内の不満、上司への批判、給与交渉の経緯、健康や家庭の事情を書き込むと、必要以上の情報が広がります。退職理由を伝える必要があるときも、相手と目的を確かめます。
会社への相談や問題の申告を諦めるという意味ではありません。必要な記録と相談は、挨拶と分けて進めます。多数の宛先への挨拶に書くと、個別の対応を求めたことが伝わりにくくなることもあります。誰に何を求めるかを明確にします。
| 書かない内容 |
避ける理由 |
別に必要な対応 |
| 上司や同僚への不満 |
関係のない相手にも広がる |
適切な相談窓口へ |
| 詳しい健康・家庭事情 |
個人情報が残る |
必要な担当者へ説明 |
| 顧客や案件の秘密 |
共有範囲を越える |
承認された引き継ぎ |
| 未承認の次の勤務先 |
不要な情報が広がる |
公表可否を確認 |
| 私用の連絡先 |
退職後も業務が届く |
会社の窓口を案内 |
| 引き継ぎへの保証 |
未確認の約束になる |
完了状況を事実で伝える |
転職先を知らせる必要がないなら、挨拶に書きません。取引先を個人的に次の仕事へ誘導する内容も、会社の規定や契約を確認せずに送らないことです。会社の連絡先一覧を私物として持ち出してよいとは限りません。
社内の人と私的な交流を続けたいなら、業務の一斉連絡とは分けます。誰でも見られる挨拶メールに、自分や他の人の私用連絡先を並べる必要はありません。退職後の業務連絡は、会社が決めた窓口で受ける体制にします。
離職者数の業種別ランキングから、引き継ぎの必要を考える
厚生労働省の令和7年雇用動向調査表4-1から、年間離職者数が多い上位の産業を並べました。対象は令和7年(2025年)の調査対象事業所の常用労働者で、一般労働者とパートタイム労働者を含みます。単位は千人で、公表された推計人数です。平均や中央値ではありません。
| 順位 |
産業 |
離職者数 |
| 1 |
医療・福祉 |
1,200.2千人 |
| 2 |
卸売業・小売業 |
1,120.8千人 |
| 3 |
宿泊業・飲食サービス業 |
1,042.7千人 |
| 4 |
サービス業(他に分類されないもの) |
1,005.2千人 |
| 5 |
製造業 |
750.7千人 |
| ー |
産業計 |
7,052.6千人 |
出典:厚生労働省、令和7年の雇用動向調査結果の概要・産業別の入職と離職の表4-1、計の離職者数欄。確認日:2026年10月23日。
離職には自己都合だけでなく、定年や契約満了なども含まれます。産業の規模が違うため、人数が多い順を「辞めやすい会社の順位」と読むことはできません。挨拶メールを使う人だけの調査でもなく、電話や対面で知らせる仕事もあります。
数字から学べるのは、仕事の担当者が変わる場面があるという背景までです。メールを送ること自体より、担当が変わっても必要な情報と窓口が残るかを確認します。自分の職場で必要な引き継ぎは、仕事内容と相手との約束から決めます。
辞める事情を整理する段階なら、退職理由ランキングの読み方も確認できます。ただし、統計で多い理由を自分の挨拶に借りる必要はありません。理由の整理と、関係者へ伝える連絡は別の作業です。
返信が来たら、お礼と引き継ぎの用件を分けて返す
挨拶への返信には、関係に合った言葉で短くお礼を返します。返事が来ない相手へ、読んだかどうかを催促する必要はありません。全員への返信で、私的な会話まで広く配信しないようにします。
返信の中に仕事の依頼があれば、自分の感謝の返事だけで終わらせず、承認された後任や窓口に引き継ぎます。退職後に自分が対応すると約束せず、会社の体制に沿って案内します。相手がまだ担当変更を理解していないなら、今後の連絡先を再度短く伝えます。
送信後に日付や連絡先の誤りを見つけたら、正しい情報を確認して訂正します。訂正メールで、誤った内容と正しい内容が混ざらないようにします。個人情報や機密を別の相手に送ったなら、会社の担当窓口へ実際の送信状況を伝え、指示に沿って対応します。
対面で挨拶する機会があるなら、メールと説明が食い違わないようにします。口頭では後任が決まったと話し、メールには未定と残っている状態だと、相手はどちらに従えばよいかわかりません。送る直前に担当変更の最新情報を確認します。
社外への挨拶を上司が送る予定なら、同じ相手へ自分から重複して案内する必要があるかも聞きます。案内する人と時期をそろえ、取引先に別々の説明が届かないようにします。
次の会社は実際の数字と引き継ぎの体制を確かめる
退職の挨拶を準備すると、休む人や辞める人の仕事を誰が引き継ぐかが見えてきます。次の会社を選ぶときも、担当者が不在の日の対応、入社直後の研修、相談できる相手を確認します。「引き継ぎあり」という表示だけで終えず、配属先でどう行うかを聞きます。
企業研究のやり方に沿って、求人票の条件と面接の説明を合わせます。厚生労働省のしょくばらぼでは、掲載企業の採用・離職や残業、有給休暇などの情報を確認できます。対象年度と雇用区分を見て、未掲載の項目は会社への質問にします。
挨拶をきれいに終えるだけでなく、次の職場で同じ困り事が起きないかも確認します。その会社の実際の数字は、求人票・面接・しょくばらぼで確かめます。