入社前に受ける雇入時の健康診断は、常時使用する労働者が対象で、法定項目は11項目です。医師による健診を受けてから3か月を経過しない人が結果を証明する書面を提出したときは、相当する項目を改めて実施しなくてよいと、労働安全衛生規則43条に定められています。予約の前に、会社指定の様式、必要な検査、費用の精算方法を確認します。
採用選考の途中で求められる検査と、雇い入れる際の健康管理のための検査は分けて考えます。どちらも入社前に行われることがありますが、目的まで同じになるわけではありません。制度と公式案内の確認日は2026年10月23日です。
受診の案内が届いたら、検査の目的を聞く
会社から健康診断書を出すよう言われたら、書類の名前だけで判断せず、雇入時健診として求めているのかを聞きます。指定の医療機関で会社が予約するのか、自分で予約して結果を送るのかも確認します。自己判断で安い健診を選ぶと、必要な項目が入っておらず、追加の受診が必要になることがあります。
確認する順番は、検査項目、受診先、提出期限、費用の支払方法、結果の提出先です。提出期限だけを見て先に予約をすると、検査のやり直しや、領収書の再発行で手間が増えます。すでに受けた健診がある人は、予約前にその受診日と項目を伝えます。
| 受け取った案内 |
先に聞くこと |
| 健康診断書を提出してください |
雇入時健診か、採用選考の検査か |
| 指定病院で受けてください |
会社が予約するか、自分で予約するか |
| 自分で受診してください |
必要項目、指定様式、精算の方法 |
| 過去の結果でも構いません |
受診日と項目が条件を満たすか |
| 入社日までに提出してください |
結果が間に合わないときの連絡先 |
採用条件の書類も一緒に届いているなら、健診の案内と雇用条件を別々に保存します。入社日や契約内容がまだはっきりしないときは、内定通知書と労働条件通知書の違いを確認してから、不明な点を会社へ聞きます。
雇入時の健康診断は、常時使用する労働者に行う
e-Govの労働安全衛生規則43条は、事業者が常時使用する労働者を雇い入れるとき、医師による健康診断を行うよう定めています。法律上の実施主体は事業者です。応募者が全員、自費で診断書を用意しなければならないという規定ではありません。
正社員かどうかという呼び方だけで対象を決めません。パートや契約社員でも、実際の契約や働く時間に応じて対象になることがあります。自分が対象か不明なら、雇用契約の期間と勤務予定を会社の担当者へ示して確認します。入社案内に対象者が書かれていないからといって、自分で対象外と決めないことです。
会社が小さいことや、試用期間中であることだけで、雇入時健診の説明が不要になるわけでもありません。仕事を始める段階で、どのように健康管理を行うかを会社が説明できるかを見ます。試用期間中の条件全体は試用期間の給料と本採用の扱いで整理しています。
ただし、健診対象かの個別の判断を、求人票の雇用形態の欄だけで済ませるのは避けます。勤務時間や契約更新の予定が変われば、確認する事情も変わります。疑問が残るときは、会社の説明を持って労働基準監督署へ相談します。
雇入時健診の法定項目を、予約前に照合する
次の表は、労働安全衛生規則43条の項目を読みやすく整理したものです。会社指定の用紙と医療機関の案内を照らし合わせます。検査を受けるかどうかの判断は、記事を見て自分で変更せず、会社と医療機関へ確認します。
| 項目 |
確かめる内容 |
| 既往歴・業務歴 |
過去の病気、従事した仕事の調査 |
| 自覚症状・他覚症状 |
本人の訴えと診察で認められる症状 |
| 身体計測等 |
身長、体重、腹囲、視力、聴力 |
| 胸部の検査 |
胸部エックス線検査 |
| 血圧 |
血圧の測定 |
| 貧血 |
血色素量、赤血球数 |
| 肝機能 |
GOT、GPT、γ-GTP |
| 血中脂質 |
LDL、HDL、血清トリグリセライド |
| 血糖 |
血糖検査 |
| 尿 |
尿中の糖と蛋白 |
| 心臓 |
心電図検査 |
出典:e-Gov、労働安全衛生規則43条各号。2026年10月23日確認。聴力は1,000ヘルツと4,000ヘルツの音に係る検査です。
医療機関のメニューに雇入時健診と書かれていても、会社指定の用紙への記入、結果の発行方法、受取方法まで同じとは限りません。会社の用紙があるなら、予約時に持ち込みが可能かを聞きます。自分で必要項目を口頭で説明し直すより、用紙を見てもらうほうが行き違いを防げます。
年齢が若いから採血は不要だと自己判断しないことです。定期健診には一定の省略規定がありますが、それをそのまま雇入時健診へ移すことはできません。過去の健診結果で代える話と、検査そのものを省略する話も区別します。
食事、飲水、服薬、当日の持ち物は医療機関の指示に従います。正しい結果を得ようとして、処方薬を自分の判断で中断するのは避けます。妊娠中や妊娠の可能性があるなど、検査に関して伝える必要がある事情は、予約時と受診時に医療機関へ相談します。
過去の結果を使うには、受診日と検査項目が必要
43条のただし書きは、健診を受けた後3か月を経過しない人について、結果を証明する書面が提出されたときに、相当する項目の実施を不要としています。前の勤務先の結果や自分で受けた健診も、受診日と内容を確認するところから始めます。
最近受けたから全部使える、とは限りません。人間ドックでも必要な項目が欠けていることはあり、学校の健診でも内容が一致するとは限りません。書類が出た日ではなく受診日を伝え、項目ごとに対応を確認します。
結果を手元に持っていないなら、受診した医療機関や前の勤務先へ、写しの取得方法を問い合わせます。手元の画面を撮った画像だけで足りるか、正式な書面が必要かは提出先に確認します。会社が受け付ける形式を聞かずに再発行を依頼すると、書類を取り直すことがあります。
すべての項目を再受診する必要があるのか、不足項目だけ追加するのかも会社へ聞きます。受診者が自分で結果を切り貼りしたり、項目名を書き換えたりするのは避けます。確認に必要な原本や写しをそろえたうえで、医療機関と会社の担当者に判断を求めます。
費用と受診時間の賃金は、別々に確認する
厚生労働省が掲載する昭和47年基発第602号通達、労働安全衛生法および同法施行令の施行についての第66条関係は、法律で実施義務を課した健康診断の費用を事業者が負担すべきものと説明しています。雇入時健診の実施義務が会社にあることと、窓口で誰が先に払うかは別です。本人がいったん払って後から精算する手続きもあるため、予約前に確かめます。
この説明だけで、自分が追加した検査、診断書の追加発行、交通費、再検査の費用まで、すべて同じ扱いだと決めることはできません。会社が求める検査の範囲と、自分の希望で追加する検査を分けます。本人負担と言われたときも、どの費用についての説明かを聞き直します。
| 費用や時間 |
会社へ聞くこと |
| 健診の受診料 |
直接請求か立替か、指定先があるか |
| 診断書の作成料 |
必要な様式と精算対象 |
| 自分で追加する検査 |
法定健診と分けた支払いが必要か |
| 移動の費用 |
精算できるか、必要な証明は何か |
| 受診に使う時間 |
勤怠上どう扱うか、賃金の扱い |
| 再検査 |
医師の指示と会社の制度を誰に確認するか |
厚生労働省の健康診断を受けている間の賃金に関するFAQは、一般健康診断の受診時間の賃金について、労使間の協議で定めると説明しています。円滑な受診のため、事業者が賃金を払うことが望ましいともしています。検査費用の負担と同じ答えにはなりません。
同じFAQは、有害業務に関する特殊健康診断の受診時間は労働時間で、賃金の支払いが必要と説明しています。自分の検査が一般健診なのか特殊健診なのかを確認します。入社前という言葉だけで、時間や費用の扱いをひとまとめにしないことです。
健診結果のランキングは、不採用になる確率ではない
茨城労働局の一般定期健康診断の検査項目別有所見率、令和7年にある全国の数値を高い順に並べました。これは在職者の定期健康診断結果の集計です。入社前健診の受診者や、採用に落ちた人を数えた調査ではありません。
| 順位 |
検査項目 |
全国の有所見率 |
| 1 |
血中脂質検査 |
30.70% |
| 2 |
血圧 |
18.74% |
| 3 |
肝機能検査 |
15.96% |
| 4 |
血糖検査 |
13.53% |
| 5 |
心電図検査 |
11.30% |
| 6 |
貧血検査 |
9.22% |
| 7 |
聴力・4,000ヘルツ |
7.32% |
| 8 |
胸部X線検査 |
4.82% |
| 9 |
尿検査・糖 |
3.94% |
| 10 |
聴力・1,000ヘルツ |
3.81% |
| 11 |
尿検査・蛋白 |
3.49% |
| 12 |
喀痰検査 |
1.79% |
| 13 |
聴力・その他 |
0.71% |
出典:厚生労働省茨城労働局、一般定期健康診断の検査項目別有所見率、令和7年、1ページの全国行。表番号なし。単位は%で、平均値や中央値ではなく各検査で所見が認められた割合です。
何らかの所見があった者の全国の割合は59.68%です。同じ人に複数の所見があることもあるため、項目の割合を足して人数の割合にはできません。検査ごとに対象も違い、この表にある喀痰検査を、雇入時健診の必須項目に追加する読み方も誤りです。
所見があることと、仕事に支障があることも同じではありません。結果の数字から自分で働けるかを決めず、再検査や治療の必要性は医師へ確認します。会社へ配慮を相談するときも、診断名の印象だけでなく、担当する仕事で何を調整する必要があるかを医師と整理します。
採用選考で健康情報を求められたら、必要な理由を確かめる
厚生労働省の採用選考時に配慮すべき事項は、合理的・客観的に必要性が認められない採用選考時の健康診断を、就職差別につながるおそれがある事項として挙げています。必要性のない健康診断書の提出を求めることも含みます。
雇入時健診が法律で定められているから、選考段階でも一律にどんな健康情報を集めてもよい、ということにはなりません。会社が何のために情報を必要としているのか、予定する仕事とどのように関係するのかを聞きます。
提出をためらう項目があるときは、説明を受けずに書類を書き換えるのではなく、担当者へ利用目的と必要な範囲を確認します。納得できないまま送る前に、ハローワークなどへ相談します。相談時には、会社から届いた依頼文や指定様式を見せると話が進みます。
結果の提出が遅れそうなら、受診前に連絡する
医療機関の予約日と、結果が出る日は別です。提出期限までに受診できても、書面の発行が間に合わないことがあります。予約時に受取可能日と郵送の有無を聞き、会社の期限と照合します。発行日数を全国共通の数字で決めつけることはできません。
遅れがわかったら、会社へ受診予定日、結果の受取予定、先に提出できる書類を連絡します。何も言わずに期限を過ぎるより、会社が手続きの順番を調整しやすくなります。代わりの医療機関へ予約し直す必要があるかも、独断で決めず確認します。
次は架空の連絡例です。実際の日程と、会社から指定された方法に置き換えます。
雇入時健診は【受診日】に予約済みです。結果の受取予定は【受取日】で、指定の提出期限に間に合いません。先に受診予定を報告し、結果を受け取り次第提出する方法でよいか、ご確認をお願いします。
提出方法がオンラインでも、健診結果の画像を普通の応募書類と同じ場所に送るとは限りません。会社から指定された送信先を確認し、ファイル名や添付の方法も合わせます。送った後は、受領されたかを確認できる連絡を残します。受領の返答がないときは、同じ結果を何度も別の宛先へ送る前に、担当窓口へ確認します。
紙で出すなら、原本を出すのか写しでよいのかを先に聞きます。封筒の指定や、医療機関から直接送る必要があるかも確認します。必要な手続きは会社や受診先の案内で変わるため、友人の勤務先の方法をそのまま使わないことです。
受診日を変更したら、結果の受取予定と会社への連絡も更新します。予約を取り直しただけで提出日の相談が済んだことにはなりません。前の予定のまま会社が待っていると、書類が未提出の理由が伝わらないため、変更した内容をまとめて伝えます。
立替精算は、領収書の指定まで聞いてから受診する
自分で受診料を払う案内なら、精算に使う書類を会社へ聞きます。領収書の宛名、明細の要否、提出方法がわかれば、医療機関の窓口で必要な書類を受け取れます。結果の診断書と費用の領収書は、別の提出先になることもあるため、それぞれの送付先を確かめます。
健診と追加の検査を同じ日に受けるなら、会社が求めた検査がどこまでかを伝えます。自分で選んだ追加検査の分まで含めて精算できると考えず、明細を分けられるかを医療機関へ確認します。金額の説明が曖昧なら、検査を追加する前に支払う範囲を聞きます。
次は架空の確認例です。会社の案内に書かれている内容は重ねて聞かず、不明なところだけ残します。
雇入時健診の予約前に、費用の精算方法を確認させてください。指定の医療機関と必要項目、領収書の宛名、精算に必要な書類をご教示ください。過去の結果が使える項目についても確認をお願いします。
返答が来たら予約の条件と照合します。会社指定の受診先が予約できないときは、別の場所を探す前に連絡します。期限が近いことを伝え、代わりの医療機関で受けてよいか、結果の提出日を調整できるかを確認します。
結果に再検査の案内があったら、医療機関へ確認する
健診の結果と一緒に再検査や受診の案内が届いたら、会社へ結果を出す手続きと、自分が医療機関へ相談する手続きを並べます。提出したら終わりにせず、結果の見方がわからない点は受診先へ聞きます。記事のランキングから自分の結果を診断しないことです。
会社から追加の書類を求められたときは、必要な内容と利用目的を聞きます。再検査の診療費と会社指定の証明書の作成料も、同じ支払いとは限りません。会社の健診担当者と医療機関へ、それぞれどこを確認するかを分けます。
仕事で必要な配慮を相談するなら、重い物の扱い、勤務時間、通院の予定など、担当する業務に関係する点を整理します。必要な配慮を伝えることと、関係のない健康情報まで広く渡すことは分けます。会社が指定した提出先と共有する範囲を確認し、必要な相手へ必要な情報を届けます。
その会社の健診手順と、普段の働き方を確かめる
提出前には、受診日、必要項目、指定様式、提出先を照合します。領収書は精算が終わるまで残し、結果も自分の控えを保存します。送付方法は会社の指定を確かめ、関係のない人が閲覧する場所へ置かないようにします。
入社前の手続きとあわせて、入社後の健診、相談先、勤務時間、残業の実績も見ます。健康を保って働けるかは、健診があるかだけでは決まりません。企業研究の進め方に沿って、仕事内容と普段の働き方を並べます。
その会社の実際の数字は、求人票・面接・しょくばらぼで確かめます。残業や有給の集計年度を確認し、健診の予約や精算の手順など、公開情報でわからない点は入社担当者へ聞きます。