試用期間中も、給料を受け取って働く労働契約は成立しています。期間中だけ給与が違うなら、その金額と適用期間を入社前に確認します。最低賃金未満にする減額特例には都道府県労働局長の許可が必要です。14日を超えて引き続き働いた後の解雇には、原則30日前の予告か解雇予告手当が必要になります。
給料の額、試用期間の長さ、本採用の判断、社会保険の加入は、それぞれ確認する点が違います。試用中だから一括して会社の自由になるわけではありません。制度と公式案内の確認日は2026年10月23日です。
試用期間は、働きながら適性を確かめる期間
厚生労働省の確かめよう労働条件、試用期間は、適性を見極める期間について、契約が当然に終了する明確な合意などの事情がなければ、解約権を留保した労働契約と解されると説明しています。まだ社員でないから保護がない、という扱いではありません。
求人に試用期間ありと書かれていたら、採用の日からいつまでか、その間に何を確認するのかを聞きます。担当業務、教える人、面談の予定がわかれば、入社後に何を覚える必要があるかも整理できます。
試用期間という言葉と、有期の雇用契約も分けます。期間の定めのない契約の中に試用期間を置くのか、最初から有期契約を結ぶのかで、確認する契約条件が違います。名前だけで判断せず、労働条件通知書の契約期間の欄を読みます。
有期契約なら、更新の有無、更新の基準、上限なども確認します。試用中だから期間満了すれば必ず終わるとも、そのまま必ず無期契約になるとも決めつけません。書面が曖昧なら、契約を結ぶ前に説明を求めます。
給料が違うなら、差額だけでなく内訳を見る
ハローワーク大阪東の求人Q&AのQ2は、試用期間の有無と期間を記載し、求人条件と試用期間中の労働条件が違うなら、その条件も記入するよう案内しています。求人の月給だけを見て、期間中も同じと考えないことです。
試用期間中の賃金が低いときは、基本給が違うのか、手当が付かないのか、固定残業代の扱いが違うのかを分けます。総額の差だけでは、残業したときの支払いや、本採用後に増える部分がわかりません。
| 確認する欄 |
期間中と本採用後で比べること |
| 基本給 |
月給か時給か、金額が変わるか |
| 固定残業代 |
対象時間と金額、超えた分の支払い |
| 手当 |
支給条件、期間中に対象外となるもの |
| 賞与 |
算定期間と試用中の在籍の扱い |
| 締日と支払日 |
初回の給与にどの期間が含まれるか |
| 本採用後の変更 |
金額、変更日、適用条件 |
求人票に同条件とあれば、何を含めて同じなのかを確認します。給与だけが同じで、手当や研修中の勤務時間は違う可能性もあります。違いがないなら、それを労働条件通知書でも確かめます。
本採用後の給与について、頑張れば上がるという説明だけでは確定しません。あらかじめ決まっている額なのか、評価次第で変わるのかを聞きます。自分が期待する額を、契約で確定した金額として家計に入れないようにします。
書類の確認の順番は内定通知書と労働条件通知書で整理しています。内定の連絡が来たことと、働く条件がすべて決まっていることは分けて見ます。
最低賃金の減額特例は、会社だけでは決められない
厚生労働省の最低賃金の適用される労働者の範囲では、試の使用期間中の人を減額特例の対象の一つとして挙げています。ただし使用者が都道府県労働局長の許可を受けることが条件です。
試用中と呼んでいるだけで、最低賃金より低い額を払ってよいわけではありません。本人が同意した、研修で仕事が遅い、会社の規則に書いてあるといった説明だけで、許可の代わりにはなりません。
奈良労働局、最低賃金の減額の特例許可申請については、試用中の賃金を最低賃金未満にする合理性がある場合に限ると説明しています。減額の期間は必要最小限で最長6か月、減額率の上限は20%としています。
この数字は、すべての会社が試用期間を6か月にできるとか、給与を20%引けるという意味ではありません。最低賃金の減額特例に関する条件です。会社の一般的な試用期間と、特例許可を受けた期間は区別します。
最低賃金を下回る可能性がある説明を受けたら、適用する最低賃金、許可の有無、自分に適用される条件を聞きます。不明なままなら、求人票や賃金の書面を持って労働基準監督署へ相談します。
都道府県別の最低賃金ランキングで、給与の下限を確かめる
厚生労働省の令和8年度地域別最低賃金全国一覧から、改定額の上位を並べました。同額は同順位です。この表の地域は、いずれも2026年10月1日が発効日で、確認日には発効済みです。
| 順位 |
都道府県 |
時間額 |
| 1 |
東京 |
1,280円 |
| 2 |
神奈川 |
1,279円 |
| 3 |
大阪 |
1,231円 |
| 4 |
埼玉 |
1,196円 |
| 5 |
千葉 |
1,195円 |
| 5 |
愛知 |
1,195円 |
出典:厚生労働省、令和8年度の地域別最低賃金の全国一覧の1ページ、各都道府県の金額と発効日。表番号なし。調査の平均値ではなく、地域別最低賃金の時間当たりの額です。原資料の単位は円です。
全国の金額を比べるときは、都道府県ごとの発効日も確認します。資料に改定額が載っていても、その日より前の労働に新しい額をそのまま当てはめるわけではありません。試用期間が発効日をまたぐ人は、期間中の賃金をひとまとめにして比べないようにします。
ランキングは、給与が高い会社の順位ではありません。最低賃金の下限と、会社が提示する給与の水準は別です。本社がある場所だけで判断せず、勤務する事業場に適用される最低賃金を確認します。特定の産業に適用する最低賃金があるときは、その確認も必要です。
月給の人は、月給の総額を見ただけでは比較できません。最低賃金との比較に算入する賃金と所定労働時間を確認します。手当や残業代などを全部含めればよいとは考えず、計算に迷うときは監督署へ聞きます。
試用期間の長さは、就業規則と契約で確認する
厚生労働省、モデル就業規則の令和7年12月版の第6条の解説は、試用期間の長さに関する労働基準法上の定めはないとしています。ただし労働者の地位を不安定にするため、あまりに長い期間は好ましくないと説明しています。
モデル就業規則は規程の見本で、すべての会社に同じ試用期間を設定する法律ではありません。会社が何か月と決めているか、短縮や延長の条項があるかを読みます。期間が書かれているだけなら、開始日と終了予定日も確かめます。
延長があり得るなら、判断する事情、説明を受ける時期、延長中の給与や仕事を聞きます。延長できる条項があるというだけで、どのような延長でも当然に有効となるわけではありません。自分の契約と説明を残して、疑問があれば相談します。
面談の予定がある会社なら、そこで何を確認するかを先に聞きます。覚える業務、確認する行動、指導を受ける相手が具体的なら、働く側も質問を用意できます。終了直前に初めて基準を聞く状態を避けるための確認です。
社会保険は、試用期間の終了を待って考えるものではない
日本年金機構の適用事業所と被保険者は、試用中でも報酬が支払われるなら使用関係が認められると説明しています。健康保険・厚生年金は、試用中も加入要件を満たせば加入します。試用期間があること自体を、加入しない理由にする扱いではありません。
会社から本採用後に入ると言われたら、健康保険と厚生年金の加入要件をどう判定したか、資格取得日はいつかを聞きます。試用中だけ雇用契約の期間や労働時間が違うと説明されたときは、その内容を契約書で確認します。
加入要件は働き方や事業所の状況によって変わるため、ここで勤務時間の数字だけを拾って判定しないようにします。詳しい確認事項は社会保険の加入条件で整理しています。制度の変更があるときは、適用日も合わせて確認します。
自分で国民健康保険などに入っている人も、手続きの日を確認せずに先に脱退しないことです。会社での加入がいつからになるかを確かめ、必要な書類をそろえて手続きを進めます。保険料が給与からいつ引かれるかと、資格を取得する日も別に見ます。
解雇予告の適用除外は、最初の期間だけ
e-Govの労働基準法21条は、試の使用期間中の者を解雇予告の適用除外としつつ、14日を超えて引き続き使用された場合は除外しないと定めています。試用期間全体が解雇予告の対象外という意味ではありません。
原則はe-Govの労働基準法20条の、少なくとも30日前の解雇予告です。予告しないときは平均賃金の30日分以上を支払い、予告の日数が不足するなら、その不足分について平均賃金を支払って短縮する仕組みです。天災などの例外や認定が関係する場面もあるため、個別の事情は監督署へ確認します。
ここでいう平均賃金は、求人票の月給を単純に日割りした数字と決めつけません。支払いを求める前に、計算の対象期間や給与の記録をそろえます。給与明細、勤怠、契約書、解雇を伝えられた文面が確認の材料になります。
最初の14日以内ならどんな理由でも自由に解雇できる、という意味でもありません。解雇予告の手続きと、解雇自体が有効かどうかは違う問題です。e-Govの労働契約法16条の、客観的に合理的な理由と社会通念上の相当性を確認する話は別に残ります。
本採用しないと言われたら、理由と終了日を記録する
会社から本採用しないと言われたときは、契約がどう終わるという説明かを確認します。解雇なのか、有期契約の期間満了なのか、自分の退職を求められているのかで、その後の確認が変わります。口頭の言い方だけをそのまま書類の区分へ置き換えないことです。
その場で動揺していても、伝えられた日、終了するとされた日、理由、説明した担当部署を記録します。自分から退職を申し出るつもりがないなら、会社が用意した退職届を内容を読まずに提出しないようにします。
| 会社の説明 |
確認して残す内容 |
| 能力が足りない |
どの業務のどの事実か、指導の記録 |
| 試用期間を延ばす |
根拠の条項、延長期間、労働条件 |
| 明日から来なくてよい |
雇用の終了日、予告や手当の説明 |
| 自分で退職届を書いてほしい |
会社の判断か自分の申出か |
| 契約期間が終わる |
契約期間、更新条件、これまでの説明 |
次は架空の確認例です。実際に言われた内容に合わせて使います。
【通知日】に本採用を行わないとの説明を受けました。雇用を終了する理由と終了日、解雇予告または手当の扱いを、書面でご説明ください。あわせて、契約上の扱いを確認したいと考えています。
説明に納得できないときは、何に同意していないかを整理します。勤務先への返答期限と、相談先へ持っていく資料を確認し、会社の説明だけで自分の権利がなくなったと判断しないことです。
指導の記録と、自分が確認した内容も残す
能力や勤務態度を理由にされたときは、評価の言葉だけでなく、具体的な指摘を読み直します。何の作業ができなかったのか、教わった手順は何か、いつ改善を求められたかを時系列で整理します。自分が質問した内容と返答も残します。
仕事に慣れないうちは、指示を聞いたつもりでも、完成の条件や締切が食い違うことがあります。指導を受けたら、どこを直すのか、次は誰に確認するのかを聞きます。できていない点を全部性格の問題にまとめず、仕事ごとに分けて把握します。
記録を残す際は、顧客情報や他人の個人情報を持ち出さないようにします。契約や自分の給与、勤怠、会社から自分への通知など、相談に必要な資料を整理します。社内システムの機密資料を広く保存する方法で解決しようとしないことです。
厚生労働省の総合労働相談コーナーでは解雇などの労働問題を相談できます。賃金や解雇予告などの法令に関する疑問は労働基準監督署、社会保険の加入は年金事務所など、論点に合わせて確認します。
本採用の判断が近づいても説明がないなら、終了予定と面談の予定を確認します。働き続けているだけで、給与や担当範囲が自動的に期待どおりへ変わるとは考えないことです。会社の返答が当初の書面と違うなら、どの条件を変える説明なのかを聞きます。
延長や条件変更を伝えられたときは、変更前と変更後を並べます。期間だけが違うのか、給与や仕事も違うのかで、確認する内容が変わります。すぐ返答を求められても、読んでいない書面へ署名せず、確認したい点と回答する日程を伝えます。
家計を組む際には、試用期間の給与で支出をまかなえるかも見ます。本採用後の給与が確定していないなら、将来増えると聞いた分を確定収入として扱わないようにします。入社日と給与の締日の関係で、初回の振込が想定より少なくなることもあるため、計算対象の期間を会社へ確認します。
初回の給与は、在籍日数と勤務の記録から確認する
入社後に初めて給与明細を受け取ったら、求人票の月給と振込額をそのまま比べないことです。給与の締日までの在籍期間、支給した手当、控除された保険料や税を分けます。月の途中に入った人は、どの期間が計算に含まれているかを会社へ聞きます。
基本給や手当の差が説明と違うなら、明細の該当欄を示して確認します。試用中だから少ないという返答だけで終えず、契約のどの条件に基づいた額かを聞きます。説明が書面にないなら、何が適用されているかを文面で残してもらいます。
残業した人は、勤務の記録と手当の対象を照合します。試用中は残業代がないという説明を、最低賃金の減額特例と混ぜてはいけません。どんな仕事をいつ行ったかを整理し、未払いが疑われるときは資料を持って監督署へ相談します。
仕事の相談は、できた点と次に覚える点を分けて行う
期間中の面談では、評価はどうですかとだけ聞くより、どこまで任せられる状態か、次に何を覚える必要があるかを聞きます。指摘を受けた箇所は、自分が理解した内容を言い直して確認します。評価の結論を推測するより、翌日の仕事に使える説明を求めます。
次は架空の相談例です。
【担当業務】について、現在できている点と、改善が必要な点を確認したいです。特に【確認事項】の進め方に迷っています。次の作業でどこを変えるか、完成後に誰へ確認するかを教えてください。
入社後に仕事内容が変わったときは、当初の担当範囲とどう違うかも記録します。学ぶべき仕事が増えたのか、説明された仕事とは別の業務へ変わったのかで相談内容は変わります。給与や勤務時間の変更も伴うなら、仕事の指導とは別に条件を確認します。
本採用の連絡を受けたときは、いつからどの条件に変わるかを確かめます。給与が変わるなら、その適用日と支給される月を確認します。言葉だけの本採用と、実際の給与計算や雇用契約の内容が食い違っていないかを見ます。
入社前には、試用期間の終わりまで条件を並べる
試用期間ありという記載だけで応募をやめる必要はありません。期間中と本採用後の給与、担当業務、教育、判断時期、社会保険の手続きを確認し、説明と書面が一致しているかを見ます。
求人票から入社後の働き方を調べる手順は企業研究の進め方でまとめています。試用中の条件だけでなく、その後の残業や休みの実績も調べます。本採用になれば不明な条件が自然に解決するとは考えず、入社前に質問を残します。
その会社の実際の数字は、求人票・面接・しょくばらぼで確かめます。試用期間の給与と期間は書面で、普段の残業や有給の取得状況は年度のある実績で確認してから入社を決めます。