慶弔休暇の日数は、法律で全国一律に決まっていません。結婚や親族の死亡などに対して会社が設ける法定外の休暇で、対象者、日数、有給・無給は就業規則などで決まります。厚生労働省の令和7年就労条件総合調査では、特別休暇制度がある企業は60.3%です。ただし、この数字は慶弔休暇だけの普及率ではありません。
制度と資料は2026年10月23日に確認しました。必要になったら、人事や労務の窓口に、該当する出来事、対象となる親族の範囲、使いたい日を伝えます。「何日休めるか」だけでなく、どの日から数え、休日を含めるか、給与はどうなるかまで一緒に確認します。
慶弔休暇は会社の規則で内容を確かめる
慶弔休暇の「慶」は結婚などのお祝い、「弔」は親族が亡くなったときなどの弔事を指します。会社によっては結婚休暇、忌引休暇と別の名前で定めています。求人票に同じ名前があっても、使える範囲まで同じとは限りません。
厚生労働省のモデル就業規則の令和7年12月版、第30条の解説では、慶弔休暇は労基法上必ず定めるものではないと説明しています。各事業場で必要な期間を具体的に定める内容です。
法律上の休暇と違い、すべての会社に慶弔休暇という制度の設置を求めるものではありません。ただし、会社が規則で認めている内容は確認できます。社内の説明が違うときは、該当する規則の箇所を示して、今回の扱いを尋ねます。
「有給の特別休暇」と「年次有給休暇」は別
慶弔休暇中も給与が出る会社では、「有給」と説明されることがあります。その言葉は、休む日に賃金を支払うという意味です。年次有給休暇の残日数から引くという意味とは限りません。
年次有給休暇は法定の休暇です。一定の条件を満たすと付与され、慶弔の出来事があるときだけ使うものではありません。会社独自の有給の慶弔休暇と混ぜず、勤怠上どの休暇として処理されるのかを確認します。
休暇の基本は有給休暇の平均と制度で整理できます。「給与が出る休み」という共通点だけで、取得条件や残日数まで一緒に考えないようにします。
特別休暇制度の割合ランキング:企業規模で差がある
令和7年就労条件総合調査の第7表から、特別休暇制度がある企業の割合を高い順に並べました。常用労働者30人以上の民営法人が対象で、令和7年1月1日現在の制度です。単位は%、企業数を基にした割合で、労働者の取得率や平均日数・中央値ではありません。
| 順位 |
企業規模 |
制度がある |
| 1 |
1,000人以上 |
75.0% |
| 2 |
300〜999人 |
72.4% |
| 3 |
100〜299人 |
64.5% |
| 4 |
30〜99人 |
57.3% |
| — |
調査計 |
60.3% |
出典:厚生労働省、令和7年就労条件総合調査の概況第7表、特別休暇制度がある企業の列。
この調査の特別休暇は、法定休暇以外で、就業規則などに制度として認められている休暇です。慣行も含みます。第7表には夏季休暇や病気休暇などの種類がありますが、慶弔休暇だけの項目はありません。表の数字を「慶弔休暇がある会社の割合」と呼ばないことです。
規模の大きな企業で割合が高くても、応募する会社の規則は個別に読みます。大きな会社だから必ず有給、小さな会社だから使えない、とこの表から判断することはできません。利用できる雇用形態や日数の制限も表には出ていません。
特別休暇制度にはさまざまな種類がある
同じ第7表の調査計を、掲載された種類別の企業割合が高い順に並べると次のとおりです。複数回答なので、各割合を足して全体の企業割合を作ることはできません。
| 順位 |
調査上の休暇の種類 |
企業割合 |
| 1 |
夏季休暇 |
41.5% |
| 2 |
病気休暇 |
28.4% |
| 3 |
左記以外の1週間以上の長期の休暇 |
16.7% |
| 4 |
リフレッシュ休暇 |
15.4% |
| 5 |
ボランティア休暇 |
7.3% |
| 6 |
教育訓練休暇 |
5.4% |
出典:厚生労働省、令和7年就労条件総合調査の概況、第7表の種類別企業割合。表の「左記以外」は元資料の夏季・病気・リフレッシュ・ボランティア・教育訓練以外を指します。
制度がない企業は39.4%です。不明の企業も含む集計なので、制度ありとなしを足して必ず100%になるとは限りません。会社の採用ページに「特別休暇あり」と書いてあっても、この表のどれを導入しているかまではわかりません。
日数は出来事・対象親族・雇用区分ごとに読む
慶弔休暇の日数を調べるときに、他社の例をそのまま使わないことです。本人の結婚、家族の結婚、親族の死亡では、会社の規定上の区分が違うことがあります。親族の範囲も、親等だけでなく配偶者側を含むかなどを確認します。
厚生労働省のモデル就業規則では、第30条に出来事や親族ごとの休暇の例、第43条に休暇中の賃金の例を載せています。解説では、日数や有給・無給を各事業場で具体的に定めるとしています。日数だけを切り取らず、どの人に適用する規則かまで読みます。
| 就業規則などの項目 |
確認する内容 |
| 対象となる出来事 |
結婚、出産、親族の死亡などのどれか |
| 対象となる人 |
本人、配偶者、親族の範囲 |
| 日数 |
該当する区分で何日か |
| 適用される社員 |
正社員、契約社員、パートなど |
| 勤続の条件 |
入社直後や試用期間中にも使えるか |
| 賃金 |
全額支給、一部支給、無給のどれか |
規則の表に「父母」とあっても、配偶者の父母まで同じ日数とは決めません。本人にとって身近な人だから同じ扱い、とも限りません。規則の用語がわからないときは、人事へ具体的な続柄を伝えて確認します。
社内の別の規程に細かい条件が載ることもあります。就業規則の本文だけで見つからなければ、休暇規程や慶弔関係の規程など、参照先があるかを聞きます。掲示された古い資料を見ていることもあるため、適用される版を確かめます。
何日休めるかと、いつ使えるかは別の質問
付与日数がわかっても、その日数を自由に使えるとは限りません。出来事が起きた日から連続して使うのか、式や葬儀の日を含めるのか、一定期間内で使えるのかは、会社の規定を読みます。
結婚の場合は、入籍日と式の日が離れていることもあります。どちらを基準にするか、届出にどの証明が必要かを先に聞けば、旅行や休業日の予約と食い違いにくくなります。法定の全国共通ルールとして日付を決めつけないことです。
弔事では予定が急に決まります。すべての書類がそろうまで連絡を待つのではなく、わかっている日程と、まだ決まっていない点を伝えます。連絡先が上司だけか人事にも必要か、申請が事後でもよいかを確認します。
休日を含める規則か、所定労働日だけか
連続する暦日で数える規則なら、その間に会社の休日が入ると、出勤を免除される日数と表に書かれた日数が一致しないことがあります。所定労働日を基に数える規則なら、扱いは変わります。どちらかを全国共通の数え方とは説明できません。
勤務表と休暇規則を並べ、開始日、終了日、その間の休日を一緒に確認します。シフト制の人は、土日が休みという前提の説明を自分に当てはめないようにします。勤務先が定める休日は年間休日の平均と業界別の違いとも分けて考えます。
移動で前後にも休みが必要なら、慶弔休暇の日数に含むのか、年次有給休暇などを別に申請するのかを聞きます。遠方だから自動で延長される、と予定を組まないことです。移動のための上乗せ規定があるかも確認します。
無給なら休んだ月の給与を給与規程で確かめる
慶弔休暇という名前だけでは、給与が出るかはわかりません。有給・無給の別と、支払う賃金の範囲を確認します。基本給は出ても別の手当の扱いが違うなど、給与の項目ごとに確かめる必要があります。
無給とわかったときも、月給から引く方法を自分で推測しないことです。日割りや時間割りの方法は給与規程などを読み、どの締切の給与に反映されるかを担当者へ尋ねます。インターネット上の平均日数を使って給与を計算してはいけません。
休暇として承認されることと、賃金の支払いがあることは別です。無給の休暇を使うか、年次有給休暇を申請するか迷うときは、適用される規則、年休残日数、必要な手続きを聞いて決めます。会社の処理が決まる前に、年休へ振り替わると見込まないようにします。
賞与や皆勤手当などへの影響も、規程のどこに書かれているかを聞きます。「欠勤扱いではない」という説明だけで、すべての賃金項目が変わらないと判断することはできません。疑問が残るなら、給与明細を受け取った後に処理内容を照合します。
年休の取得義務と別枠の慶弔休暇を混ぜない
厚生労働省、年5日の年次有給休暇の確実な取得の資料で説明する取得義務は、年次有給休暇を対象にしたものです。会社独自の慶弔休暇を有給で使っても、それだけで年次有給休暇を取得したことにはなりません。
勤怠の画面に「有給」とだけ表示されていてわからないなら、年次有給休暇の残日数が減ったかを確認します。会社の特別休暇として処理した日と、本人が年次有給休暇を申請した日は、同じ休日の記録としてまとめず区分を残します。
年次有給休暇の義務の対象や取得の数え方は有給休暇の年5日義務で確認できます。制度の名称を似せた社内表示に引きずられず、何の権利を使って休んだ日かを確かめます。
申請は必要な日程と不明点を短く伝える
急な弔事では、気持ちの整理がつく前に会社へ連絡することもあります。最初の連絡で個人的な事情を長く説明する必要はありません。休む必要があること、希望日、連絡できる方法、未確定の日程を分けて伝えます。
例文は「慶弔休暇の申請について確認したいです。【対象となる出来事・続柄】のため、【開始日】から【終了日】まで休暇を希望します。適用日数と休日の数え方、申請書類、賃金の扱いを教えてください」です。
日程が決まっていないなら「【確定している日】以外は未定のため、決まり次第連絡します」と付け足します。事実が不明な部分を仮の日付で埋めて確定した予定として送らず、どこが未定かを残します。
結婚など前もってわかる出来事は、会社の期限に沿って事前に申請します。取得できる期間が決まっているなら、先に休暇の承認と勤務予定を確認し、必要な手配を進めます。本人の希望と会社の規則で使える日を別々に書くと、相談が進みます。
証明書類と引き継ぎは別に確認する
証明書類は何を出すか、原本か写しか、提出先はどこかを聞きます。他の人の例で必要書類を決めず、自分に適用される規則に沿います。家族に関する情報は、会社の正式な提出先へ必要な範囲で渡します。
引き継ぎは、進行中の業務、締切、保存場所、連絡先を短くまとめます。休暇の証明と仕事の引き継ぎを同じ資料にせず、仕事の関係者へ個人的な事情が広く伝わらないようにします。職場に知らせる内容は、担当窓口とも相談できます。
休暇中の連絡が必要とされるときは、緊急の判断を誰が担うかも確認します。すべてを本人に連絡する運用では、休む日程を決めても仕事が離れません。引き継ぎ先が決まっていない業務は、上司へ未決として渡します。
規則にない出来事や日数不足は別の休暇を相談する
対象となる親族や出来事が規則に含まれなかったときは、年次有給休暇、欠勤、会社独自の別の休暇など、使える手続きを確認します。慶弔休暇を使えないことと、必ず出勤しなければならないことは同じではありません。
必要な休みが規定の日数を超えるなら、どの日まで慶弔休暇で、その後をどう申請するかを分けます。まとめて休みの許可を得たつもりでも、勤怠の申請が一部しか入っていないことがあります。承認された日程と勤怠上の区分を照合します。
人事と上司の説明が違うときは、どの規程のどの区分を適用するのかを確認します。口頭で聞いたことは、確認のメールなどで残しておくと、給与処理の段階で食い違いを見つけやすくなります。規則の解釈で解決しなければ、労働局の相談窓口に状況を整理して相談します。
規程を読むときは休暇と慶弔金の条件を分ける
会社によっては、休暇に関する規定と、結婚祝いや弔慰金などに関する規定が別にあります。慶弔に関する案内を見つけても、金銭の給付だけが載っているなら休める日数は確定しません。制度名が似ていても、どの項目の説明かを区別します。
休暇の対象と金銭の支給対象が同じとは限りません。休めることが確認できても、会社からお金が出ると見込まず、それぞれの規程と必要な申請を確かめます。今回使う書類が休暇届なのか別の給付の申請書なのかも確認します。
規程の一覧を見ても見つからないときは、「今回の雇用区分に適用される休暇の規程と、慶弔金などの規程は別ですか」と聞けます。資料の置き場所がわかれば、今後の申請でも古い社内メールを探し直す必要が減ります。
申請後は承認日程と給与の処理を照合する
連絡した希望日と承認された日が同じかを確かめます。途中に会社の休日があるなら、どの日が慶弔休暇で、どの日が通常の休日かを勤務表で見ます。追加の年次有給休暇を申請したときは、その範囲も分けます。
| 段階 |
確認して残すこと |
| 申請前 |
適用される規程と希望日程 |
| 申請時 |
休暇の区分と提出書類 |
| 承認後 |
承認された日程と引き継ぎ先 |
| 給与支払後 |
賃金、手当、年休残日数の処理 |
勤務表が確定した後に日程が変わったら、上司に伝えるだけで申請の変更も済んだと考えないことです。人事や勤怠システムで訂正が必要かを聞きます。行事の予定が延期されたときも、承認済みの休暇をそのまま使えるか確認します。
休暇後の明細を見て無給になっていた、年休の残りが減っていたなど、事前の説明と違う点があれば担当者へ照会します。最初から会社の違反と決めつけず、どの規程を適用し、どの勤怠記録を基に処理したかを確認します。申請書と返答の控えがあれば、食い違った箇所を示せます。
会社から訂正の説明を受けたら、修正がいつの給与や勤怠に反映されるかも聞きます。連絡したことで処理が完了したとは限らないため、次の明細などで結果を確認します。返答が不明なままなら、問い合わせた日時と未解決の点を残します。
休暇が必要な出来事は、仕事の予定どおりには起こりません。申請の窓口、規程の置き場所、緊急の連絡方法を普段から知っておくと、必要なときに確認する項目を絞れます。制度を使った人の個人的な体験を集めるより、自分に適用される条件を確かめます。
求人票と面接では休暇の名前より適用範囲を聞く
応募先の「福利厚生充実」「特別休暇あり」だけでは、慶弔休暇の条件はわかりません。自分の雇用区分に適用されるか、出来事ごとの日数、賃金の扱い、入社直後から使えるかを聞きます。会社の制度を調べる順番は企業研究のやり方で整理できます。
質問は「今回の雇用区分で使える慶弔休暇について、対象範囲、日数、有給・無給、申請先を教えてください」で十分です。他の社員が誰の弔事で休んだかなど、個人の事情を尋ねる必要はありません。
特別休暇の企業割合は制度を知る資料です。自分が働く会社で何日休めるかは、適用される規則で確かめます。年次有給休暇の取得実績も合わせ、その会社の実際の数字は、求人票・面接・しょくばらぼで確かめます。