転職回数は、何回から多いという公的な線引きがありません。厚生労働省の令和7年転職者実態調査では、転職した人のこれまでの転職回数は平均3.1回でした。今回が1回目の人は28.6%で、6回以上の人も16.7%います。2回目から5回目の人を合わせると、半分を超えます。
回数の平均は年齢で大きく変わります。25〜29歳は2.0回、30〜34歳は2.8回、45〜49歳は3.9回です。自分の回数を見るときは、全体の平均ではなく同じ年代の数字と比べます。
会社が回数をどう評価するかを数えた公的な調査はありません。同じ調査で分かるのは、会社が転職者を採った理由です。管理的な仕事と専門的・技術的な仕事では「経験を活かし即戦力になるから」が最も多く、回数そのものより、経験の中身が見られています。
この記事では、転職回数の分布、年齢別と職種別の平均、会社が転職者を採った理由を順に見ます。資料は2026年10月25日に確認しました。年齢と転職のしやすさは転職は何歳までで、辞める時期の決め方は転職のタイミングで扱っています。
転職回数を数えた調査:令和7年転職者実態調査
使う資料は、厚生労働省の令和7年転職者実態調査です。前回の調査は令和2年でした。2026年9月25日に結果が公表されています。
対象の「転職者」は、5人以上の事業所で働く一般労働者で、期間の定めがないか1年以上の契約の人のうち、2024年10月1日から2025年9月30日までに採用された人です。採用の前の1年間に、ほかの会社で雇われていた人に限ります。学生アルバイトと1か月未満の臨時的な仕事だけの経験は含みません。パートなどの短時間労働者も対象外です。
「転職回数」には今の会社への転職を含む
個人票の質問は「これまでの転職回数(今の勤め先への転職を含む)」です。1回と答えた人は、今の会社が初めての転職先という意味です。転職したことがない人は調査の対象に入っていません。
そのため、この調査の平均3.1回は、働く人全員の平均ではありません。最近1年の間に転職した人が、これまでに何回転職してきたかの平均です。
転職回数の分布:1回目の人は3割に満たない
| 転職回数 |
男女計 |
男性 |
女性 |
| 1回 |
28.6% |
27.8% |
29.4% |
| 2回 |
16.5% |
19.6% |
13.1% |
| 3回 |
17.5% |
17.5% |
17.5% |
| 4回 |
11.0% |
12.0% |
10.0% |
| 5回 |
9.3% |
7.4% |
11.5% |
| 6回以上 |
16.7% |
15.5% |
18.1% |
| 平均転職回数 |
3.1回 |
3.0回 |
3.2回 |
出典:厚生労働省、令和7年転職者実態調査、個人調査の第7表の年齢階級計。全転職者を100とした割合で、不明を除いて載せています。
1回目の人が最も多い一方で、3回目の人も17.5%、6回以上の人も16.7%います。転職した人の7割以上は、今回が2回目以上の転職です。3回目、4回目の転職は、転職した人の中では珍しくありません。
男女で比べると、平均は男性3.0回、女性3.2回でほぼ同じです。2回目は男性が多く、5回目と6回以上は女性がやや多くなっています。
年齢別の平均転職回数:40代後半は3.9回
| 年齢 |
平均転職回数 |
1回 |
2回 |
3回 |
6回以上 |
| 20〜24歳 |
1.4回 |
71.8% |
15.7% |
7.0% |
0.1% |
| 25〜29歳 |
2.0回 |
51.7% |
18.0% |
17.8% |
1.9% |
| 30〜34歳 |
2.8回 |
29.3% |
20.9% |
22.2% |
13.7% |
| 35〜39歳 |
2.8回 |
29.1% |
19.7% |
19.6% |
9.8% |
| 40〜44歳 |
3.3回 |
21.2% |
15.7% |
20.6% |
16.9% |
| 45〜49歳 |
3.9回 |
10.7% |
10.9% |
20.6% |
26.3% |
| 50〜54歳 |
3.8回 |
15.3% |
15.3% |
13.3% |
27.8% |
| 55〜59歳 |
4.1回 |
14.0% |
11.3% |
11.6% |
35.8% |
| 60〜64歳 |
3.6回 |
19.0% |
16.4% |
15.9% |
30.2% |
出典:厚生労働省、令和7年転職者実態調査、個人調査の第7表、男女計。全転職者を100とした割合。4回と5回は表から省いています。
20代前半では、転職した人の7割が1回目です。25〜29歳でも半分が1回目で、3回目までで9割近くになります。20代で3回目の転職をする人は、同じ年代の転職者の中では少数派です。
30代になると、1回目の人は3割以下に下がり、2回目と3回目の人が多くなります。30〜34歳では6回以上の人も13.7%いました。45〜64歳では、6回以上の人が4人に1人を超えます。
表に載せていない65歳以上は、平均3.6回、1回目の人が15.3%、6回以上の人が20.7%でした。55〜59歳の4.1回が、年齢別で最も多い平均です。
この表は、それぞれの年代で転職した人を1回だけ見た数字です。同じ人が20代から50代まで何回転職したかを追ったものではありません。
男女別:20代前半の女性は8割が1回目
20〜24歳で1回目の人は、男性62.7%、女性80.9%です。平均は男性1.5回、女性1.4回でした。55〜59歳では、平均が男性3.8回、女性4.5回で、女性の6回以上は42.3%です。なぜ回数が多いかの理由までは、この表から分かりません。
職種別の平均転職回数ランキング
今の勤め先での職種ごとに、平均転職回数を多い順に並べました。
| 順位 |
現在の職種 |
平均転職回数 |
1回目の人 |
6回以上の人 |
| 1 |
輸送・機械運転の仕事 |
4.0回 |
10.5% |
32.4% |
| 2 |
運搬・清掃・包装等の仕事 |
3.7回 |
16.2% |
25.4% |
| 3 |
その他の仕事 |
3.6回 |
21.1% |
30.0% |
| 4 |
管理的な仕事 |
3.3回 |
22.2% |
20.2% |
| 5 |
販売の仕事 |
3.2回 |
20.0% |
16.0% |
| 5 |
サービスの仕事 |
3.2回 |
25.7% |
21.6% |
| 7 |
生産工程の仕事 |
3.1回 |
29.8% |
14.8% |
| 7 |
建設・採掘の仕事 |
3.1回 |
18.2% |
12.0% |
| 9 |
事務的な仕事 |
3.0回 |
30.7% |
15.9% |
| 10 |
専門的・技術的な仕事 |
2.8回 |
35.5% |
12.7% |
| 10 |
保安の仕事 |
2.8回 |
32.1% |
10.4% |
出典:厚生労働省、令和7年転職者実態調査、個人調査の第7表、男女計の現在の勤め先での職種別。公表値が同じ職種は同順位としています。
輸送・機械運転の仕事は、6回以上の人が32.4%で、1回目の人は10.5%にとどまります。専門的・技術的な仕事は1回目の人が35.5%で、平均は2.8回でした。
年齢が高い層ほど平均の回数が多いため、職種ごとの年齢構成の違いも、この平均に入っています。自分の職種の平均と比べるときも、年齢の表と合わせて見ます。
学歴別:大学卒の平均は2.4回
最終学歴別の平均転職回数は、中学3.9回、高校3.6回、専修学校3.3回、高専・短大3.3回、大学2.4回、大学院2.1回です。大学卒では1回目の人が39.6%、大学院卒では54.6%でした。
今の勤め先の規模別:大きい会社ほど少ないとは限らない
| 今の勤め先の企業規模 |
平均転職回数 |
1回目の人 |
6回以上の人 |
| 1,000人以上 |
3.0回 |
30.5% |
15.6% |
| 500〜999人 |
3.2回 |
24.8% |
20.4% |
| 300〜499人 |
2.7回 |
33.2% |
11.6% |
| 100〜299人 |
2.9回 |
34.1% |
15.7% |
| 50〜99人 |
3.4回 |
24.7% |
20.7% |
| 30〜49人 |
3.0回 |
30.1% |
15.3% |
| 5〜29人 |
3.1回 |
23.7% |
15.0% |
出典:厚生労働省、令和7年転職者実態調査、個人調査の第7表、男女計の企業規模別。官公営を含む5人以上の企業規模計の平均は3.1回です。
1,000人以上の会社に転職した人も、平均は3.0回で、全体の3.1回とほとんど変わりません。大きな会社に入った転職者の中にも、6回以上の人が15.6%います。転職回数が多いと大きな会社に入れない、とこの表から言うことはできません。
規模別で平均が最も少ないのは300〜499人の2.7回、最も多いのは50〜99人の3.4回でした。規模の順に並んでいるわけではなく、差は1回もありません。会社の大きさより、年齢や職種による差のほうが大きく出ています。応募先の規模を回数で絞り込む前に、自分の年齢と職種の平均を見ておきます。
直前の会社にいた期間の分布
回数と合わせて見られやすいのが、1社ごとの在籍期間です。同じ調査の表9は、転職者が直前の勤め先に通算でどれくらいいたかを聞いています。
| 直前の勤め先にいた期間 |
男女計 |
男性 |
女性 |
| 6か月未満 |
8.2% |
9.7% |
6.5% |
| 6か月以上1年未満 |
10.8% |
7.5% |
14.3% |
| 1年以上2年未満 |
13.8% |
12.8% |
14.8% |
| 2年以上5年未満 |
27.4% |
25.0% |
29.9% |
| 5年以上10年未満 |
19.3% |
17.7% |
21.1% |
| 10年以上 |
20.0% |
26.7% |
12.7% |
出典:厚生労働省、令和7年転職者実態調査の結果の概況、表9。転職者計を100とした割合で、不明を除いて載せています。
1年未満で前の会社を辞めた人は、6か月未満と6か月以上1年未満を合わせて19.0%です。一方で、10年以上いた会社から転職した人も20.0%いました。
25〜29歳では「2年以上5年未満」が46.1%で最も多く、60〜64歳では「10年以上」が42.4%です。短い在籍が続いているかどうかは、回数だけでなく、この期間でも説明を求められることがあります。
前の会社を辞めた理由:自己都合が81.3%
転職回数を説明するときは、辞めた理由も合わせて話すことになります。同じ調査の表10では、直前の勤め先を辞めた主な理由は「自己都合」が81.3%、「契約期間の満了」が4.7%、「倒産・整理解雇・人員整理による勧奨退職」が3.3%でした。
自己都合の中身を3つまで選んでもらった表11では、「賃金が低かったから」25.5%、「会社の将来に不安を感じたから」25.2%、「満足のいく仕事内容でなかったから」24.7%の順です。給料、会社の先行き、仕事の中身は、どれも転職した人がよく挙げる理由です。
今の勤め先で正社員以外として働く転職者では、自己都合が66.2%に下がり、契約期間の満了が10.9%になります。有期の契約が終わって次の仕事に移った回は、自分から辞めた回とは分けて説明できます。60〜64歳では定年が14.9%でした。
転職が続いたときは、辞めた理由を並べて、同じ理由が繰り返されていないかを見ます。給料が理由の転職が続いたなら、次は評価と昇給の決まりを入社前に確かめる、というように、理由と次の会社選びをつなげます。
会社が転職者を採った理由:管理職と専門職は即戦力
転職者実態調査の事業所調査は、転職者を採った会社に理由を聞いています。職種ごとに3つまで選ぶ形式です。
| 採った理由 |
管理的な仕事 |
専門的・技術的な仕事 |
| 経験を活かし即戦力になるから |
60.7% |
64.1% |
| 専門知識・能力があるから |
50.2% |
51.2% |
| 離職者の補充のため |
30.9% |
44.3% |
| 職場への適応力があるから |
19.1% |
27.6% |
| 幅広い人脈を期待できるから |
13.1% |
3.1% |
| 新卒者の採用が困難なため |
3.6% |
11.6% |
出典:厚生労働省、令和7年転職者実態調査の結果の概況表4。その職種で転職者を採った事業所を100とした割合(3つまでの複数回答)。
事務的な仕事、販売の仕事、サービスの仕事などでは、「離職者の補充のため」が最も多く、次が「経験を活かし即戦力になるから」でした。どの職種でも、経験が採用の理由の上位に入っています。
賃金を決めるときに考えたこと
同じ調査の表5では、転職者の賃金を決める際に考えた要素は「これまでの経験・能力・知識」が59.2%で最も多く、「年齢」35.3%、「賃金の世間相場」34.2%が続きます。「前職の賃金」は27.0%でした。最も重視した要素でも、経験・能力・知識が38.4%で一番です。
回数が多くても、それぞれの職場で何を身につけたかを示せれば、採用と賃金の両方で見られる点に答えられます。
転職回数が多いと感じたときの準備
回数そのものは変えられません。準備できるのは、経歴の見せ方と、次の会社を選ぶ基準です。
| 準備すること |
中身 |
| 経験のつながり |
各社で担当した仕事と、次の仕事で使える技能を1本の線にする |
| 辞めた理由の整理 |
会社都合、契約満了、自分の希望を分けて事実で書く |
| 短い在籍の説明 |
1年未満の職場は、何が合わなかったかと次にどう生かしたか |
| 次に選ぶ基準 |
同じ理由で辞めないために、応募先で確かめる条件を決める |
職務経歴書は、会社ごとに同じ量を書くより、応募先の仕事に近い経験を厚く書きます。書き方は職務経歴書の記事にまとめています。
面接では、回数を謝るより、それぞれの転職で何を選んだかを短く話します。理由ごとの伝え方は転職理由の伝え方で整理しています。
その会社の実際の数字は、求人票・面接・しょくばらぼで確かめる
転職回数が気になる人は、次の会社で長く働けるかを入社前に見ておきます。そのためには、応募先が転職者をどう受け入れているかを確かめます。
求人票では、中途採用の人の配属先と、入社後の研修やOJTがあるかを見ます。転職者実態調査の概況では、転職者に教育訓練をした事業所は82.6%でした。面接では「中途で入った人は、最初の3か月でどんな仕事を任されますか」と聞くと、受け入れ方が分かります。
厚生労働省のしょくばらぼでは、掲載している会社の中途採用の比率や、平均勤続年数、離職者の数を調べられます。人が定着している会社かどうかを数字で見てから、応募先を絞ります。