履歴書は、応募先の指定を確かめ、日付、学歴・職歴、資格、志望動機、本人希望欄を事実に沿って埋めます。厚生労働省が令和3年に示した履歴書様式例では、性別は任意記載です。2026年10月22日に確認した公式案内でもこの扱いを確認できます。採用の参考になる最新の令和5年若年者雇用実態調査では、新卒採用でマナー・社会常識を重視した事業所は58.6%でした。見栄えの工夫より先に、年月と連絡先の誤りをなくします。
厚生労働省の様式例は、性別を任意記載にしている
応募先の指定がなければ、厚生労働省の履歴書様式例を使えます。氏名と連絡先、学歴・職歴、免許・資格、志望の動機やアピールポイント、本人希望記入欄などで構成された様式です。法律で全員に同じ履歴書の使用を義務づけたものではありません。
厚生労働省の様式例の説明資料では、性別欄は男女を選択させる方式から、任意で記載する欄に変わったと説明しています。記載を希望しなければ未記載で構いません。性別欄そのものを必須事項として扱う説明にはなっていません。
経緯は、従来参考とされていたJIS規格の解説にある履歴書様式例が令和2年7月に削除されたことです。その後、公正な採用選考の観点から厚生労働省が新たな様式例を検討し、令和3年に公表しました。新しい様式例には、通勤時間、扶養家族数、配偶者、配偶者の扶養義務の欄を設けていません。
古い様式の空欄を埋めることだけを考えると、仕事の適性や能力と関係のない情報まで書き込みやすくなります。自分で用紙を選べるなら、現行の公式様式例を確認します。企業指定の入力画面に答えにくい欄があるときは、入力の必要性を採用担当やハローワークへ相談します。
新卒採用で重視する点のランキング
令和5年若年者雇用実態調査の表4から、新規学卒者の採用選考で重視された上位項目を並べました。対象は若年正社員の新卒採用選考をした事業所で、若年者は満15〜34歳です。新規学卒者は、学校卒業後3年以内で新規学卒者採用枠の採用者と定義されています。在学中の者は含みません。
| 順位 |
重視した点 |
事業所割合 |
| 1 |
職業意識・勤労意欲・チャレンジ精神 |
79.3% |
| 2 |
コミュニケーション能力 |
74.8% |
| 3 |
マナー・社会常識 |
58.6% |
| 4 |
組織への適応性 |
53.2% |
| 5 |
体力・ストレス耐性 |
36.2% |
出典:厚生労働省、令和5年の若年者雇用実態調査の概況の表4、冊子7ページ。令和4年10月〜令和5年9月の採用選考。複数回答の事業所割合で、平均や中央値ではありません。2026年10月22日確認。
この順位から、文字がきれいなら採用される、手書きなら熱意が伝わる、とは判断できません。履歴書の作成方法別の合格率を調べた表ではないためです。仕事への姿勢を伝えたいなら、志望動機や経験の中で、自分が何をしたかを書きます。
体力・ストレス耐性が上位にあっても、病歴や家庭の事情を積極的に記載すべきだという意味ではありません。仕事を遂行するうえで必要な条件と、本人の適性・能力に関係のない個人情報は分けて考えます。
日付と基本情報は、提出する直前に照合する
ハローワークの応募書類の作り方・履歴書では、日付は記載日ではなく提出日としています。郵送なら投函日、持参なら持参日です。メールや応募画面なら、送信する日の情報に更新します。下書きを作った日をそのまま残さないようにします。
和暦か西暦は書類の中でそろえます。生年月日だけ西暦、職歴だけ和暦という混在を避けると、年月を追いやすくなります。年齢欄がある場合は、記載した日付時点の年齢を確認します。毎回同じファイルを使う人ほど、日付だけを変えて年齢を見落とさないようにします。
氏名、ふりがな、現住所、電話、メールは、実際に連絡を受け取れる内容にします。建物名などを省いたことで郵便が届かなくならないか、メールの入力に誤りがないかを確認します。記事の例に個人の住所や連絡先は載せません。正式な応募では自分の情報を記入します。
連絡先欄は現住所以外で連絡を希望するときに使います。厚生労働省の様式例にもその旨が記載されています。書くことがないからと、家族や現在の勤務先の情報を埋める欄ではありません。勤務中に電話を受けられないなら、本人希望欄などで連絡方法を短く伝えます。
学歴は、入学と卒業の事実を古い順に書く
学歴欄は、学校の正式名称と入学・卒業の年月を確認して書きます。学部、学科、専攻など、最終的にどの分野を学んだかがわかるようにします。応募先が記載の開始時点や項目を指定していれば、その案内に従います。
以下の例はすべて架空の例です。実在の学校、勤務先、人物は示していません。名称や年月を入れる箇所は、説明用の置き換え欄で示します。
学歴欄の架空例:【入学年月】【学校名・学部・学科】入学。【卒業年月】同課程卒業。卒業前に提出する場合は、確認した予定年月とともに卒業見込みと記載。
卒業と中途退学、修了と修了見込みを混ぜないようにします。休学や編入などで在籍の流れが複雑なら、事実を追える形で記載します。卒業していないのに、読みやすさを理由に卒業へ変えることはできません。
学校の名称が変わっているときは、在籍当時の名称と現在の名称を区別します。略称が一般的でも、応募書類では正式名称を確認します。年月が曖昧なら卒業証書や在籍記録に戻り、記憶だけで埋めないことです。
新卒で学んだ内容をアピールしたいときも、学歴欄を研究の長文で埋める必要はありません。研究内容や取り組みは自己PRなどへ分け、何を学んだかと何に取り組んだかが読める構成にします。
職歴は、勤務先と雇用関係を区別する
職歴は入社と退職を古い順に書きます。配属、雇用形態、担当した職種など、経歴を理解するために必要な情報を添えます。現在も勤務しているなら、その状態がわかるように記載します。退職予定と退職済みは分けます。
職歴欄の架空例:【入社年月】【勤務先の名称】入社。【所属】で受発注と請求関連業務を担当。【退職年月】一身上の都合により退職。現在在職中なら、退職したと書かず現在に至ると記載。
派遣就業は、雇用契約を結んだ派遣元と、実際に働いた派遣先を混同しないようにします。契約社員、パート、アルバイトなどの経験も、正社員だったように変えず、事実の雇用形態を示します。同じ場所で働いていても雇用主が変わったなら、経歴で区別します。
転職回数が多くて欄が足りないときは、文字を極端に小さくする前に様式を見直します。指定用紙なら、別紙の扱いや職務経歴書への記載方法を確認します。履歴書から都合の悪い職歴を消して、経歴を別のものに変えないようにします。
担当業務の説明が長くなるなら、職務経歴書の書き方に沿って別の書類へ整理します。履歴書は経歴の流れ、職務経歴書は実務の内容という役割を分け、入退社の年月をそろえます。
退職理由は短く書き、説明を別に準備する
退職理由は、自己都合、契約期間の満了、会社都合など、事実に合わせて簡潔に記載します。すべての事情を履歴書の職歴欄で説明しようとすると、経歴を追いにくくなります。前職で起きた問題の詳しい説明は、面接で必要な範囲に絞ります。
会社都合だったものを、一身上の都合へ機械的に置き換える必要はありません。手元の離職関係書類と記載が食い違わないかを確認します。自分の認識と書類の扱いが違うときは、経緯を整理してハローワークなどへ相談します。
空白期間があるときも、在職期間を伸ばして埋めません。職業訓練や学習の経験は、実際に行った内容として示せます。家庭の事情や健康に関する詳細まで、空白を説明するために書き込む必要はありません。伝える範囲を整理する方法は転職理由の伝え方で確認できます。
免許・資格は、正式名称と今の状態を書く
免許・資格欄は、名称、取得や合格の年月、現在の状態を確認します。資格試験に合格したことと、登録や免許交付を受けたことが異なる資格では、その段階を区別します。受験予定を取得済みの欄と同じ書き方にしないことです。
資格欄の架空例:【取得年月】【免許・資格の名称】取得。学習中の分野は、取得と書かず、【分野】を学習中と記載。
資格が多い人は、応募職種に関係するものと必須条件の資格を読み取りやすくします。有効期限があるものは失効していないかを確認します。資格がない場合は、持っていない事実を記載し、必要なら実務で扱える作業をアピール欄へ分けます。
同じ厚労省調査の表4では、業務に役立つ専門的な知識や技能を重視した事業所は、新卒で30.4%、中途で34.8%です。資格・免許や語学力も含む項目ですが、資格だけの効果を示す数字ではありません。応募に必要な資格は、その求人の条件で判断します。
志望動機欄は、仕事内容と自分の経験をつなげる
志望動機は、応募先の何に関心があり、どの経験をどう使いたいかを書きます。「理念に共感した」だけでは、担当したい仕事との関係がわかりません。採用ページや求人票で確かめた業務を挙げ、その仕事を選ぶ理由へつなげます。
志望動機欄の架空例:依頼内容を確認し、関係部署と調整して処理を進める仕事に取り組みたいと考え、応募しました。これまで受発注業務で、依頼の不足事項を処理前に確認してきました。募集されている事務業務で、この確認と連絡の経験を活かしたいと考えています。
この例を使うときは、応募先で本当にその仕事を募集しているかを調べます。採用ページにない業務を勝手に想定して書くと、話がかみ合いません。関心の理由が給与や勤務地であっても、仕事の内容を確認することは必要です。
欄が小さい場合は、結論と根拠になる経験を残します。職務経歴書と同じ文章を長く繰り返すより、履歴書だけでも方向がわかる文章にします。詳しい組み立ては志望動機の書き方で整理できます。
本人希望欄には、必要な条件と連絡事項を書く
本人希望欄は、希望職種、勤務上の条件、連絡できる方法などを伝える欄です。特に希望がなければ、勤務条件は貴社の規定に従います、といった書き方があります。ただし、実際には受け入れられない条件があるのに、何も確認せずそう書く必要はありません。
本人希望欄の架空例:募集されている事務職を希望します。在職中のため、勤務中に電話に出られないことがあります。メールでご連絡いただければ、確認後に返信します。入社時期は面接でご相談させてください。
勤務できる時間帯や勤務地に制約があるなら、採用後に初めて伝えるのではなく、選考中に相談します。理由を家族の職業や病歴まで広げず、働くうえで必要な条件として伝えます。希望と確定事項は分け、入社可能日が未定なら未定と書きます。
希望年収などの交渉は、求人条件と内訳を確認しながら進めます。「規定に従う」と書いた後でも、提示された労働条件を読む作業は省けません。本人希望欄の定型文を、条件確認の代わりにしないことです。
写真は、指定されたサイズと本人の確認しやすさを見る
写真の要否と形式は応募先の案内を確認します。厚生労働省の様式例には、写真を貼る必要がある場合の欄があり、本人単身で胸から上という案内があります。ハローワークの応募書類の作り方は、概ね6か月以内に撮影したものを案内しています。
本人だけの正面上半身を、無背景、無帽で撮ります。顔が小さすぎる切り抜きや、強い加工で本人の印象が変わった写真は避けます。紙に貼るなら、はがれないようにし、裏面へ氏名を記載するという公式案内も確認できます。
オンライン提出では、画像形式や容量の指定を読みます。画面では見えていても、PDFへの変換で写真がずれたり、圧縮で顔が不鮮明になったりします。送るファイルそのものを開いて確認します。写真撮影に高い費用をかけたかどうかで、適性や能力が決まるわけではありません。
添付する書類は、求められたものと提出版をそろえる
履歴書だけなのか、職務経歴書や応募先指定の書類も必要なのかを、募集要項で確かめます。似た名称の書類でも、入力欄や提出先が分かれていることがあります。添付メールだけで提出が完了するのか、応募画面への登録も必要なのかを確認します。
提出用のファイルを保存した後は、変更前の内容が混ざっていないかを見ます。編集画面では直っていても、添付したPDFが古い版なら相手には訂正前の情報が届きます。送信直前に、添付されたファイルそのものを開いて確認します。
送信後に記載の誤りへ気づいたら、どの書類のどの箇所かを整理して、採用窓口へ連絡します。説明なしに同じ書類を送り直すと、どれが最新かわからなくなります。訂正したことを伝え、差し替え方法の案内があれば従います。
手書きとパソコンは、提出方法に合わせて選ぶ
手書きが指定されていなければ、パソコンで作成できます。ハローワークの応募書類の作り方も、応募企業の指定を踏まえて選ぶ説明です。熱意を示すためだけに、読みづらい手書きへ変える必要はありません。
手書きなら、読みやすい文字でそろえ、間違いがあれば書き直します。パソコンなら、入力漏れ、変換ミス、文字切れを確認します。どちらの方法でも、他の応募先名が残ったままの志望動機や、更新していない日付は直します。
保存した編集用ファイルと、提出用ファイルを区別すると取り違えを防げます。ファイル名は応募先の指定に従い、指定がなければ書類の種類と本人がわかるものにします。不要な住所や生年月日をファイル名へ追加する必要はありません。送信前には宛先と添付ファイルを開き直します。
家族・本籍・思想信条は、空欄を埋める材料にしない
厚生労働省の採用選考時に配慮すべき事項は、本籍・出生地、家族、住宅状況、宗教、支持政党などを、就職差別につながるおそれのある事項として挙げています。仕事の適性・能力に関係しない情報を、応募書類や面接で把握しないという考え方です。
「聞いてはいけない質問」を探すときも、雑談だから何でもよいとは考えません。家族の職業や収入、本籍などを聞かれ、答えるべきか困ったときは、職務との関係や必要性を確認します。断れなかったことを、自分の落ち度として抱え込む必要はありません。
質問の内容、日時、やり取りを記録し、ハローワークなどへ相談できます。応募書類に書くべき仕事の情報と、聞かれた個人情報を分けて整理すると、相談先にも状況を伝えやすくなります。
書類の完成後は、会社の実際の条件を確かめる
提出前に、履歴書と添付書類の年月、資格、連絡先、希望条件を照合します。文章を整えた結果、経験していない仕事までできるように読めないかも確認します。面接では、書いた内容を自分の言葉で説明できる状態にしておきます。
応募先については、企業研究のやり方に沿って仕事内容と働き方を調べます。本人希望欄で伝えた条件が、求人の実際の運用と合うかまで聞きます。勤務時間や配属の違いを、入社後に初めて知ることを防ぐためです。
その会社の実際の数字は、求人票・面接・厚生労働省のしょくばらぼで確かめます。休日や残業、採用と定着の数字は、年度と対象を確認します。履歴書を完成させることと、納得できる条件で応募先を選ぶことを、一緒に進めます。