広島県の1か月の総実労働時間は137.5時間、うち残業にあたる所定外労働時間は10時間です(2025年平均・事業所規模5人以上・パートを含む)。全国は135.1時間・9.8時間で、広島県は47都道府県で長いほうから23番目でした。厚生労働省の毎月勤労統計調査地方調査の2025年平均を、2026年10月26日に原本のExcelで確かめた数字です。全国の値は全国調査の結果で、47都道府県の地方調査を平均したものではありません。
県全体では真ん中ですが、製造業だけを見ると話が変わります。広島県の製造業の残業は月16.1時間で、47都道府県で2番目に長い数字です。とはいえ、同じ製造業でも残業がほとんどない会社はあります。県の平均より、行きたい会社の残業の数字を見ます。広島県の会社の数字は残業時間のランキングと広島県の会社のランキングで比べられます。
使う資料と、数えているもの
使う資料は、厚生労働省の毎月勤労統計調査地方調査 2025年平均分結果概要です。都道府県が集計した結果を、厚生労働省が4つの表にまとめています。表1が5人以上の調査産業計、表2が30人以上の調査産業計、表3と表4が製造業です。
数えているのは、常用労働者1人あたりの1か月の平均です。2025年1月から12月までの毎月の結果を平均しています。用語は次のとおりです。
| 言葉 |
中身 |
| 総実労働時間 |
実際に働いた時間。所定内と所定外の合計 |
| 所定内労働時間 |
就業規則で決まった始業から終業までの中で働いた時間 |
| 所定外労働時間 |
早出・残業・休日出勤など、決まった時間の外で働いた時間 |
| 出勤日数 |
1か月に1時間でも働いた日の数 |
この記事では、所定外労働時間を残業と呼びます。会社が残業代を払ったかどうかではなく、実際に働いた時間を事業所が報告した数字です。休憩時間は入りません。
対象には、正社員などの一般労働者と、パートタイム労働者の両方が入っています。パートが多い産業や県ほど、平均は短く出ます。この点はあとの節で、県の年報の数字を使って確かめます。
事業所の規模別:小さな職場を含む数字と大きな職場
広島県の値を、全国と並べました。順位は47都道府県の同じ欄を長い順に並べて数えたもので、同じ値は同じ順位にしています。
| 項目 |
5人以上 |
順位 |
30人以上 |
順位 |
| 総実労働時間 |
137.5時間 |
23番目 |
143.2時間 |
22番目 |
| 所定内労働時間 |
127.5時間 |
27番目 |
131.7時間 |
25番目 |
| 所定外労働時間 |
10時間 |
11番目 |
11.5時間 |
14番目 |
| 出勤日数 |
17.7日 |
30番目 |
18日 |
27番目 |
| 全国の総実労働時間 |
135.1時間 |
― |
141.1時間 |
― |
| 全国の所定外労働時間 |
9.8時間 |
― |
11.5時間 |
― |
所定内労働時間は27番目、出勤日数は30番目と、どちらも真ん中より少し下です。それでも総実労働時間が23番目まで上がるのは、所定外労働時間が11番目と長めだからです。決まった時間や日数は全国並みで、残業が少し多い県と読めます。
30人以上の事業所に絞ると、総実労働時間は143.2時間に延び、残業は11.5時間になります。全国の30人以上も11.5時間なので、残業は全国と同じ水準です。規模の大きい事業所ほど、パートの割合が下がり、1人あたりの時間が長くなる傾向があります。
製造業の労働時間:残業は47都道府県で2番目
広島県の産業で目立つのが製造業です。5人以上の製造業で働く人は20万500人で、県の常用労働者108万人の2割近くにあたります。
| 項目 |
5人以上 |
順位 |
30人以上 |
順位 |
| 総実労働時間 |
161.1時間 |
2番目 |
161.8時間 |
5番目 |
| 所定内労働時間 |
145時間 |
12番目 |
144.3時間 |
21番目 |
| 所定外労働時間 |
16.1時間 |
2番目 |
17.5時間 |
2番目 |
| 出勤日数 |
18.8日 |
27番目 |
18.6日 |
31番目 |
| 全国の総実労働時間 |
155.5時間 |
― |
157.5時間 |
― |
| 全国の所定外労働時間 |
13.4時間 |
― |
14.8時間 |
― |
製造業の出勤日数は18.8日で27番目、全国の18.7日とほとんど変わりません。働く日数は同じで、1日あたりの残業が長いことになります。5人以上の製造業の残業16.1時間は、全国の13.4時間より2.7時間長い数字です。
30人以上の製造業では、所定内労働時間が21番目まで下がるのに、残業は17.5時間で2番目のままです。工場の決まった時間は全国並みで、残業で時間が延びている形です。製造業の求人を見るときは、残業の平均時間と繁忙期の時間を分けて聞きます。
産業別の労働時間:県の年報の表
広島県の統計課が公表している毎月勤労統計調査の年報のページには、2025年平均の実数表が載っています。そのExcelの第2表から、5人以上の産業別の値を総実労働時間の長い順に並べました。
| 順位 |
産業 |
総実労働時間 |
所定外労働時間 |
出勤日数 |
| 1 |
建設業 |
167時間 |
14.1時間 |
20.1日 |
| 2 |
製造業 |
161.1時間 |
16.1時間 |
18.8日 |
| 3 |
電気・ガス・熱供給・水道業 |
159.9時間 |
24.7時間 |
18.3日 |
| 4 |
運輸業・郵便業 |
153.1時間 |
16.5時間 |
19.4日 |
| 5 |
複合サービス事業 |
152.7時間 |
7.8時間 |
18.7日 |
| 6 |
情報通信業 |
151.2時間 |
14.6時間 |
18.4日 |
| 7 |
金融業・保険業 |
150.8時間 |
11.2時間 |
19.1日 |
| 8 |
学術研究・専門・技術サービス業 |
150.2時間 |
11.3時間 |
18.2日 |
| 9 |
サービス業(他に分類されないもの) |
146.1時間 |
12.6時間 |
18.4日 |
| 10 |
不動産業・物品賃貸業 |
144.4時間 |
12.8時間 |
17.9日 |
| 11 |
医療・福祉 |
135時間 |
3.8時間 |
18.1日 |
| 12 |
卸売業・小売業 |
126.8時間 |
8.6時間 |
17.3日 |
| 13 |
生活関連サービス業・娯楽業 |
118.9時間 |
5.5時間 |
16.7日 |
| 14 |
教育・学習支援業 |
109.1時間 |
4.6時間 |
15日 |
| 15 |
宿泊業・飲食サービス業 |
89.7時間 |
5.7時間 |
13.8日 |
残業が最も長いのは、電気・ガス・熱供給・水道業の24.7時間です。働く人は8,276人(県の実数表の第3表)と少ないものの、総実労働時間159.9時間のうち残業が24.7時間を占めます。次が運輸業・郵便業の16.5時間、製造業の16.1時間と続きます。
最も短いのは医療・福祉の3.8時間です。総実労働時間は135時間で県の平均とほぼ同じですが、残業がほとんどなく、決まった時間の中で働いている形です。電気・ガスの24.7時間とは6倍以上の差があります。
宿泊業・飲食サービス業の89.7時間、教育・学習支援業の109.1時間は、パートや非常勤で働く人が多い産業です。1人ひとりが短く働いているというより、短い時間で入る人が平均を下げています。県の実数表の第3表では、パートタイム労働者の比率は宿泊業・飲食サービス業が78.4%、教育・学習支援業が42.9%です。
パートを含む平均だと、短く出る
広島県の5人以上の常用労働者107万9,957人のうち、パートタイム労働者は33万9,542人で、比率は31.5%です(県の実数表の第3表)。3人に1人がパートなので、正社員の働き方より短い数字になります。
県の実数表の第6表には、就業形態別の時間が載っています。5人以上の調査産業計で比べると次のとおりです。
| 区分 |
総実労働時間 |
所定外労働時間 |
出勤日数 |
| 一般労働者 |
165.5時間 |
13.6時間 |
19.7日 |
| パートタイム労働者 |
76.9時間 |
2.3時間 |
13.5日 |
| 合計(常用労働者) |
137.5時間 |
10時間 |
17.7日 |
正社員として働く人に近いのは、一般労働者の165.5時間と残業13.6時間です。合計の137.5時間より28時間長く、残業も3.6時間多くなります。製造業の一般労働者は166.3時間・残業17.2時間、卸売業・小売業の一般労働者は167時間・残業13.8時間でした。
卸売業・小売業は、合計では126.8時間と短い産業です。ところが一般労働者だけでは167時間で、製造業の一般労働者より長くなります。店舗で働く正社員を目指す人は、産業の平均ではなく一般労働者の数字で比べます。
男女別にも差があります。5人以上の調査産業計で、男は152.3時間・残業14.4時間、女は121.1時間・残業5.2時間です(県の実数表の第2表)。女はパートの割合が高く、平均が短く出ています。
年間の労働時間に直すと1,650時間
毎月勤労統計調査の数字は1か月の平均です。年間に直すときは、月の値を12倍します。
137.5時間 × 12 = 1,650時間
10時間 × 12 = 120時間
全国は135.1時間 × 12 = 1,621.2時間で、広島県のほうが28.8時間長い計算です。製造業なら161.1時間 × 12 = 1,933.2時間、残業は16.1時間 × 12 = 193.2時間になります。
これは月平均を12倍した目安の計算で、県が年間の値として公表した数字ではありません。パートを含む平均なので、フルタイムで働く人の年間時間はもっと長くなります。一般労働者の165.5時間を12倍すると1,986時間です。
年間の働く日数から考えたい人は、年間労働日数の平均で年間休日からの計算方法を書いています。全国の時間の見方は平均勤務時間で、産業別の全国の残業は残業が少ない業界ランキングで並べています。
給与は全国6番目、詳しくは平均年収の記事で
同じ調査の5人以上の広島県の現金給与総額は月34万3,242円で、47都道府県で6番目でした。年齢別・業種別の年収は広島県の平均年収にまとめています。
時給で働く人は、広島県の最低賃金とパートの平均時給をあわせて見ると、時間と収入の関係がつかめます。求人の多い職業は広島県の有効求人倍率で確かめられます。
求人票で、残業の数字をこう読む
県の平均で残業が10時間でも、会社ごとの差のほうがずっと大きくなります。求人票に「残業月平均10時間」と書いてあっても、部署によって違うことがあります。面接では、配属予定の部署の残業時間を聞きます。
求人票の「固定残業代」は、一定の時間分の残業代を前もって給与に含める仕組みです。固定残業代の時間が20時間なら、その時間までは残業代が別に増えません。実際の残業時間と、固定残業代の時間の両方を確かめます。
製造業では、交替勤務や繁忙期の休日出勤で残業が増えることがあります。年間を通した平均だけでなく、忙しい月の時間も聞いておくと、入社後の生活が想像しやすくなります。月45時間という残業の上限の決まりは、残業が少ない業界ランキングで説明しています。
その会社の実際の数字は、求人票・面接・しょくばらぼで確かめる
県の平均でわかるのは、広島県全体の位置だけです。同じ県・同じ産業でも、残業の多い会社と少ない会社があります。会社の数字は、ランキングで並べて比べます。
広島県の残業時間のランキングでは、会社が公表した残業の数字を並べています。県全体の比較は広島県の会社のランキングから開けます。市ごとに見るなら、広島市・福山市・東広島市のページもあります。
ランキングの数字は、会社が厚生労働省のしょくばらぼなどで公表したものです。正社員だけの数字か、全員の数字かは会社によって違います。気になる会社が見つかったら、求人票と面接で配属先の残業を確かめ、内定のときに受け取る労働条件の書面で最後に照らし合わせます。